ノリで書いたよ!一方的だけどボーイズラブだよ!
超高校級の政治家
実際彼は政治家ではないが、あまりの有能ぶりに世間が呼び出した称号である。
数々の議員に意見を出し、実際に彼の意見を参考にしながら行政を行った議員もいる。そうやって彼が裏から操っている議員も少なくないという噂も出ている。
また彼は秘書業を数々の事務所で行なっており、事務仕事やスケジュール管理などそのあまりの敏腕振りにスカウトが殺到している人材である。
また180センチを超える身長と筋肉質な体、そして凛々しい顔つき。
ルックスもよく、仕事もでき、最近はメディア露出も増えている今話題の人物である。
そんな彼には夢があった。
* * * * *
麗らかな日差しの中、日向 創は目を覚ました。
窓からは小鳥のさえずりが入り、柔らかな風が吹く。
台所からはリズミカルな包丁の音が聞こえ、おいしそうな匂いが漂ってくる。
しばらくボケーと朝日を浴びて微睡んでいた。
がしかし、すぐに事態がおかしいことに気づいた。
「おい!!また勝手に入りやがったな!飛鳥!!!」
ガバリと布団から飛び起きて台所へと向かう。
「おはよう。なんだ創、急に怒って体に悪いぞ。まず顔を洗ってくるべきだ」
「違う!そうじゃない!どうやって入った」
「?合鍵だが」
「なんでお前が持っているんだよ合鍵」
「作ったんだが。それがどうかしたか?」
「なんでそんな不思議そうな顔をしてるんだよ!お前にこの……ムグッ」
「そんなこと言ってないで飯を食え」
ぐいっとパンを口に突っ込む。
日向が咀嚼してパンを飲み込む。焼きたてのパンにうっすらとバターが塗ってありとても美味しい。
もぐもぐと口を動かして味わっていると、ようやく頭が冷静になってくる。
「……顔洗ってくるわ」
「おお、そうしてこい。朝ごはんは並べておこう」
シンプルな青いエプロンを着た青少年がそう微笑んで料理の続きへと戻る。
日向は諦めたような顔をして洗面所へと向かっていった。
何故か丁寧に畳んで置いてあった制服に袖を通して、台所へと戻る。
机の上にはコーンスープと野菜サラダ、茹でたウインナーと焼いた食パンが置いてあった。栄養や彩りを考えたメニューであった。
「うむ、さっぱりしたな創。可愛いし男前だぞ」
「なぁ、さっきも聞いたけどなんで家にいるんだ千秋」
「簡単だ、お前の合鍵を入手した」
「そもそも俺、お前に住所とか教えてないんだけど」
「調べて突きとめた。婚約者の家を調べるぐらい造作もないことだ」
「またそれか……」
ドヤ顔をする飛鳥と対照的にはぁ、と溜息をついて呆れたような表情をする日向。
「創、溜息をつくと幸せが逃げるぞ」
「溜息の原因はお前だ」
「ならば逃げた幸せの倍、俺はお前を幸福にすると誓おう」
日向がジトリと睨むが、飛鳥はどこ吹く風で食事を続けた。
日向も何を言っても無駄だと思い食事を再開する。
あ、このスープ美味しい。
現実逃避である。
日向と飛鳥は幼少期からの知り合い、いわゆる幼馴染なのである。
* * * * *
二人の家は近所であり、親同士も仲が良くて同世代ということもあってすぐに仲良くなった。
当時泣き虫だった飛鳥は正義感が強かった日向の後ろをついて回っていた。
それは幼少期によくあると可愛らしい光景であった。
ある日幼い飛鳥はこう言った。
「あすか、おおきくなったらはじめとけっこんする!」
可愛らしい幼児の宣言に大人は可愛らしいとくすくす笑った。
「飛鳥、男の子同士だと結婚はできないんだよ」
大人たちは幼気な子供に真実を教えた。
だが、この発言に飛鳥はひどく傷ついた。
そして傷ついた幼稚園児は子供ながらにありとあらゆる本を調べた。そして気がついた。
『けっこん』には、『ほうりつ』が関係しているのだ。
そして更に考えた『ほうりつ』が飛鳥と日向の結婚を邪魔をするなら変えてしまえば良い。
そうして幼稚園児は決意した『法律変えること』を、そして『
そしてそれから彼は猛勉強し、超高校級の政治家と言われるようになり、将来が約束されたといっても過言ではない私立希望ヶ峰学園へと入学した。
* * * * *
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした。ふむ、残さず食べてくれて嬉しいぞ」
「そりゃ食べ物残しちゃ悪いからな」
「そういった真面目なところも愛してるぞ創」
「はいはい」
「ヨーグルトやリンゴがあるが、デザートにあるがどうする」
「あー、いらん。もうそろそろ出る時間だし」
「わかった。すまないが食器を下げてくれないか。洗濯は俺がやっておこう」
「いや、帰れよ」
台所へと食器をさげて、学校へと行こうとカバンを取った。
いざ出ようとすると玄関で日向が止まる。
ひょっこりと顔を飛鳥が出す。
「どうした、創。忘れ物か?いや、行ってきますの……」
「それは違うぞ!!そうじゃなくて鍵、絶対ポストに入れとけよ」
「仕方ない、入れておこう」
バタンとドアを閉じて日向が出て行った。
さて、洗濯や掃除をしておくか。日向も喜ぶだろう。
* * * * *
希望ヶ峰学園は授業に対する出席義務がなく、定期試験をパスすれば良いだけなのである。そのためほとんど俺は授業に出ておらず、学校の空き教室もしくは雇われている事務所へ行き仕事をしている。
日向の部屋の掃除と洗濯を終えて学校へと向かう。
今日は学校で仕事でいいか。
適当な空き教室を見つけてカバンを開けてパソコン3台と資料を取り出して机の上に広げる。
続いてケータイを7台取り出して同様に並べた。
ポッケからメガネをとりだしてかける。
さて仕事を始めようか。
「ええ、近藤さん、その件は相手から了承を得ています」
「その資料は先日整理しましたので、神田さんの机に置いてあります。」
「いえ、そういったことは河合さんよりも高橋さんのほうが適任かと」
「私の記憶が確かならばあなたに一任したと思いますが。言い訳は良いので14時までにお願いします」
「はい、スケジュールの調整はしましたので、後日会談をよろしくお願いします」
「ありがとうございます。これで藤島も喜ぶと思います」
「いいですね、2度は言いません。私はやれと言いました、ならばあなたはただそれをすれば良いのです」
「本当ですか?おめでとうございます!もうそんなに大きくなられるとは子供の成長とは早いものですね」
「嘘ですね。その件は確実に対処しました。証拠を提出するので、もう少々お待ちください」
電話をかけては切り、短い会話を断続的に繰り返す。
話はしていても3台のパソコンを動かす腕は止まらず、ひたすらキーボードを押し続ける。
喉を乾き水を一口含み、メモを取り指示を飛ばす。
そのようにして2時間ほど過ごして、ようやく休憩を取る。
「ふぅ、流石に疲れたな、昼飯にしようか」
そういって弁当を広げて食べ始める。
なかなかに今日は忙しい。
しかし弱音を言ってもいられないのだ。将来政治家となるのだ、コネを作り、恩を売るのは損ではない。
疲れたな、仕方ないあれを出そう。
そういって取り出したのは今朝入手した日向のTシャツである。
朝洗濯ついでに脱ぎたての物を拝借してきたのだ。
Tシャツを握りしめて匂いを嗅ぐ。
「ハァハァ日向の匂い。ぁあ」
体力や気力が回復するのを感じる。
……ふぅ、これでもう大丈夫だ。
少し時間が余ってしまったな、教室にでも行くか。
* * * * *
「やぁみんな、おはよう」
そう挨拶をして教室のドアを開ける。
教室を見回すと、今日いるのは4人であった。
「おはようございます、与瀬山さん」
そう言ってこちらに微笑むのは超高校級の王女ソニア・ネヴァーマインド。本物の王女様である。
彼女とは外交的にも仲良しておいて損はないだろう。
「与瀬山、もうこんにちはの時間だと思うんだけど」
「与瀬山おにぃ、仕事のしすぎで頭壊れたんじゃないの?」
苦笑気味に声をかけたのは超高校級の写真家、小泉真昼。一方どこか小馬鹿にしたように言ってきたのは超高校級の日本舞踏家西園寺日寄子である。
「そうだな確かに西園寺の言う通り、はたらき過ぎかもしれないな。最近どうもまた仕事が増えてな」
「だ、大丈夫ですかぁ、与瀬山さん〜、栄養剤とか出しましょうかぁ?」
心配げに話しかけてきたのは超高校級の保健委員の罪木蜜柑。気弱な雰囲気ではあるが腕は超高校級の称号に恥じず、確かである。
「あぁ、心配してくれてありがとう、罪木。だが大丈夫だ」
「な、ならいいですけど、無理しちゃダメですからねぇ」
「あぁ」
態度は弱気だが意外と強かな彼女だ。まずい事態になったら素直に頼らせてもらおう。
「そういえば左右田と花村を知らないか?用があるのだが?」
「花村さんなら食堂だと思いますけど」
「えっと、たしか左右田さんは校庭の方で機械を弄っていると思いますぅ」
「そうか、助かった。ありがとう、罪木、ソニア」
礼を述べて教室をあとにする。
さてどちらに行くかと悩むが手早く済む用事を優先しようと校庭へ向かった。
* * * * *
校庭へ着くと巨大なオブジェが並んでいた。
……なんというか超高校級とはいえ、ここまで自由に過ごしているのもすごいな。
いや、芸術系創作系の人物はみなこんな感じなのかもしれない。
「おーい、左右田いるか?」
「んぁ?おー、与瀬山。久しぶりだな、どうした?」
機械の山の中から現れるピンク頭にツナギを着た青少年が現れる。超高校級のメカニック、左右田和一である。
「頼んでいたものを受け取りに来た。もちろん代金も用意してある」
「あぁ、あれか!別に金なんか取らねぇぞ、あんな簡単なもの」
「いや、これは俺の誠意として受け取ってほしい。といっても相場より少し上乗せした程度なんだがな」
「へぇへぇ、お堅いことで。ちょっと待ってろ」
ゴソゴソと機械の山に戻り、探し始める左右田。
どうやら見つけたようで小さなカバンに入れて持ってくる。
「ほい、これ盗聴器と盗撮機。市販のよりは圧倒的に感度もいいし、長持ちするはずだぞ」
「おぉ、流石は超高校級のメカニックだな、かなり小型だし」
「おうよ。……なぁそれ誰に使うんだ?まさかソニアさんじゃねぇだろうな?」
「そんな訳がなかろう。俺の婚約者の部屋に仕掛けるだけだ」
「またそれか」
手渡された袋を受け取り、代金を渡した。
左右田は呆れたような表情とともにため息をつく。
何故そんな表情をするのだ?愛しい人のことなら全て知りたいと思うのは当然だろう。
「そういうお前はソニアにこういったものを仕掛けないのか?」
「アホか!相手は王女様だぞ!!バレてみろ、殺されるわ!」
なるほど、そういった考えがあるのか。
相手が王女様とは身分違いで左右田の恋は大変だろう。だからこそ燃えるのかもしれんが。
「まぁ、良い。ありがとうな左右田」
「おう、お安い御用だ。また何か作ってほしいものがあるなら言えよ」
「あぁ、頼りにしている」
左右田と別れて続いて食堂へと向かった。
* * * * *
食堂に着いてから、真っ先に厨房へとむかう。
そこで小柄な人影を探す。
「花村いるか?相談があって来たのだが」
「やぁやぁ、与瀬山くん。ぼくに何か用かな?」
「おぉ、花村、実はメニューに対する相談があってだな」
小柄な体格な三枚目の少年、花村輝々に声をかける。
発言と性癖はど変態だが、料理の腕前はたしかな超高校級の料理人である。
彼に一枚の紙を見せる。
「これは何だい?」
「今日俺が協力してる事務所で会合があったんだが、都合が合わなくてというか、店をおさえるのに失敗した人がいたせいで、急遽うちが料理を準備する必要になってしまったんだ。場所は取れたんだが、お前に料理を作ってほしいんだ。そしてこれは相手の好みや苦手なものをリストアップした表なんだがお願いできないか?」
「もちろん、任せてくれよ!」
「ありがとう、感謝する。材料費などの経費はこっちが受け持つので心配しないでほしい。報酬ももちろん弾もう。お前の名前を来客と事務所には紹介しておく」
「オッケー、うふふふ。舌が肥えた政界の人々を唸らせるような料理をつくって見せるよ」
「頼もしいな。17時までに作ってくれ。なにかあったら俺に連絡を」
「了解」
よーし、と早速花村が張り切り冷蔵庫へと向かおうとする。
そういえば、もう一つ用事があるのだった。
どちらかといえば、俺にとってはこちらの方が重要な案件だ。
「ちょっと待ってくれ。花村」
「ん?どうしたんだい与瀬山くん。まだ何かあるのかい?」
「あ、あぁ、ダメなら別に断ってくれても構わないのだが、最近一人暮らしを始めた友人が居てだな。その友人はどうやら食生活が乱れているようだったので、バランスの良い食事をとれる簡単なレシピを教えてほしいんだ」
料理人にレシピをくれと頼むのは無理だと思うが駄目元でいいので頼んでみる。
「なんだい、そんなことかい。そんなものなら後でまとめて渡すよ」
「な!いいのか?超高校級の料理人からそんな簡単にレシピを貰ってしまって」
「別に構わないさ。友達だろう」
な、なんと、駄目元でもいいから頼んでみるものだな。持つべきものは友か。
「恩に着る。花村」
「いーって、また後でね」
「あぁ、料理とレシピよろしく頼む」
これで抱えてた仕事も一つ片付いたし、創の健康も改善されるだろう。
食堂から出て学校を出てと雇われた事務所へと俺は行った。
* * * * *
飛鳥は仕事を終えて家へと向かい、鍵を出してドアを開ける。
「ただいま、創」
「なんでた!!」
「どうした?あ、お帰りなさいの……」
「それは違うぞ!どうして入れたんだ飛鳥!?合鍵ならポストにちゃんと入っていたぞ」
「スペアがあるからな」
「…………」
絶句といったような表情を浮かべる日向。
そんな日向の顔を可愛いと思いつつ飛鳥は玄関から家へと上がる。
「今日も学校で疲れただろう?創、先にお風呂入っててくれ、食事はつくっておこう」
「………おう」
どこか元気がない様子で日向が風呂場へと向かっていく。その様子を見てそんなに疲れたのかと飛鳥は勘違いしつつ料理をつくる。
買ってきた食材を調理して料理をつくる。朝のうちに下準備は終えていたので簡単に作業をして完成した。
時計をちらりと見て、まだおそらく日向が風呂から出てくるまで時間はあると見積もる。
飛鳥は左右田からもらったものを部屋の各所にこっそりと仕込む。
仕込み終わると同時に風呂場のドアが開いて日向が出てくる。
「何してんだ?」
「いや、部屋の隅々まで掃除しようとしただけだ。それより食事ができているぞ。食べよう」
「ん、おう」
並べられた皿をみながら、こんな皿前からあったか?とういか買った覚えがないんだが……と思いつつ深く考えると怖いので夕飯を食べ始める。
「創、今日はわりと上手くできたと思うのだがどうだ」
「あぁ美味しいよ」
二人で会話をしつつ料理を食べる。
突然飛鳥が真面目な顔をする。
「創、大事な話があるんだ」
「な、なんだよ、急に改まって」
「俺たちが希望ヶ峰学園に通い始めて一ヶ月になる」
「あぁ、そうだな。といってもお前は本科、俺は予備学科だけどな」
日向はそういって自嘲気味に笑う。
「そうだ。だけどそれが俺が疑問に思っていることだ」
「何だよ、俺にはお前と違って超高校級の才能なんて……」
「違う、そうじゃない。
そう飛鳥が問うと日向は顔を青くする。
「な、何言ってんだよ飛鳥。完全にスカウトの本科と違って予備学科なら入学金を払えば入れるんだぞ」
「そう、その入学金が問題なんだ。言っちゃ悪いがお前の家はそこまで裕福じゃないだろ。どうやって払ったんだ?」
「そ、それはだな」
日向がしどろもどろと答えを言わないでいると、飛鳥が椅子から勢いよく立ち上がる。
「ま、まさか、日向!」
あまりの勢いにびくりと日向は体を震わせる。
「借金や体を売るというようなことをしているんじゃないだろうな!!!」
「誰がそんなことをするか!!」
飛鳥と同様に日向が立ち上がり怒号を飛ばす。
「な、何だ、違うのか、安心したぞ」
「どうしてそうなったんだ……」
二人して息を吐きながら席に着く。
「いや、なんだ、その、そういうことがないならそれで良い。もしもそんなことが起きているならどうしようか」
「大丈夫だって、お前が思っているよりは裕福だって」
「そうか。それなら安心した。何か困ったことがあるならいつでも相談しろ。お前は俺にとってもっとも大事なんだ」
「そ、そうか」
「そういえば、明後日から出張でしばらく北海道に行く。お土産は魚介類買ってくる、期待していてくれ」
「もう家に来んなよ」
賑やかに夜は更けていった。
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