「Charaはさ、将来何になりたいの?」
「んー、そうだね」
獣耳が特徴の、きょうだいのような関係の彼――Asrielに問われ、考え込む。
確かに、私は────で、ここに辿り着いた。確かにそれは────から逃げるためであって、ましてやここでどうしようかなんて考えたことも無かった。
「私は君達と一緒に過ごしてるだけで満足だよ」
「ホント!嬉しいよ!」
取り敢えず繕った言葉をAsrielに放つと、大げさなリアクションを取りながら彼は喜ぶ。
ああ、なんて居心地の悪い事か。
今私が住んでいる家──Homeには、三人の家族が住んでいる。さっきのAsrielと、父親のAsgore、母親のToriel。
私が何故ここに住んでいるのかと聞かれると、それは私自身の不幸な出来事がきっかけだ。
ひょんな事から山に登っていた私が、足を滑らせ、ここ──アンダーワールドに迷い込んでしまった。全く、下に花なんてなければ良かったんだけどね。
そうして地下世界をさまよっていた私をAsgore夫婦が見つけて、養子として彼らの家族の一員となっているのが現状だ。
庭に咲いている黄色い花を花かんむりにして、隣でお尻を付けて座っているAsrielに被せてやる。
「それじゃ、これでも付けとけば?未来の王様さん」
「わわっ!?……まったくもう、僕の夢は確かにそうだけど……」
いきなり予備動作もなしに被せられた勢いでAsrielは不服そうだ。
はは、私の夢……まあ、この世界に未練も無いし、強いて言うなら……
「壊しちゃうか」
「ん?Chara、何か言った?」
「何も?」
しゃがみ込んでいた所を立ち上がり、聞いてくるAsrielをごまかしながら家への道を歩いて行く。
まあ、出来たらの話なんだけどね。
気がつくと、目の前には黄色い光があった。それは何もないはずの其処に存在していて、私自身の思いを体現している。
振り向き、目の前に伸びる廊下を歩く。進むなという声もあった。今は聞こえない。
少しの時を刻むと、其処にはまた、彼が居た。
「よう、また会ったな。これで何回目だ?」
素晴らしい一日だ。鳥はさえずり、花は咲き誇る――こんな一日に二人きりとは……お前さんを地獄に送りたくなるな」
どれ程の時が経ったことだろう。何時間?何回?もはや15を超えてからは数えていない。しかし、この戦いが始まる直前の決意は記憶に消えることはなかった。
飛んでくる骨を半身で避けつつ、手に持つナイフを彼に向けるが、その刃は彼に届くことはない。
当たる直前で避ける彼の名はSans(サンズ)。ATK1、DEF1の、文字通り最弱の的(テキ)。しかし、これまでの私の業(カルマ)によって、その力は止まること無く私に牙を剥く。
「いい加減、諦めてくれよ……俺だって、無限に体力があるわけじゃないんだぜ?」
「ははは、決意を抱き続ける……その覚悟を決めた私だよ?諦めるわけ……無いじゃないか!!」
彼の骨撃をナイフで受け止め、話しながら切りつけるが、彼はまた身軽に避け続ける。
こうげきをつづけろ。それが私の抱く決意。モンスターが手にしてはいけない決意を、にんげんである私は常に感じる事が出来る。それが果たして最善に至るものなのかどうかは、今は考えてはいない。
また一歩離れた場所に転移したと思ったら彼の武器――Gasterblasterがブレスを吐く。ブレスと言うか、ビームと言った方が適切に見えるが、今はそんな事はどうでもいい。くだらない事を考えている暇があるなら、こうげきをつづけろ――
「はは、お前さん、本当にそれを振り回すのが好きなんだな……」
彼はどこから出しているのかわからない汗を袖で拭いながら呟く。
先程までの勢いを弱めていく。どうやら動くのをとめたらしい。これはチャンスだ。しかし、疲れたにしては早い。罠か……?
「いや、な。先程変なしゃべる花を拾ってな?直ぐに逃げたんだがやけに怯えてるソイツが言うには……お前さん、Chara、とかいう名前なんだと?」
彼は話をする。スキだらけだ。これならこうげきをつづけられる――駆け出し、ナイフを突き刺そうとするが、また直前に横にずれ、当たることはなかった。
「おいおい、落ち着けよ……それで、その反応を見る限り、これは今迄起こらなかったってことだな?それなら、俺もこの間、新たな発見があってな……お前、最初会ったときには気が付かなかったが、人間何だろ?それなら……」
彼は急に今迄に無い、赤いGasterblasterを呼び出し、インターバルもなしにこちらに放ってきた。急にやって来た予備知識の無いブレスに私は対抗できず、その赤い何かをモロに受け止めてしまった。しかし、何故かダメージは無い。
「決意ってもんはモンスターには合わないってのは知ってるか?その身に受けた途端、モンスターは溶け出し、Amalgamになってしまう……カノジョは暫く保ったそうだが。まあ普通はヤバイもんだ。しかしお前さんは人間。それなら……更に決意を入れてやったらどうなるんだ?」
「なっ……にをっ……?」
Sansの言葉と共に、私の意識が薄れていく。いや、薄まるとは相反し――更に濃くなるようにも感じられる。
Chara!決意を抱き――ケツイをチカラに――続けるんだ――かえるんだ――
「おお、どうやら効果はあったようだな。これでお前さんの悪行も此処までだ。もう次会うことはないだろうよ。まあ、お前さんの後ろにいるお前も、な」
強く、濃くなっていく決意とは裏腹に、目の前のSansが見えなくなっていく。ああ――私の決意は――此処までだというのか――
遠のき、薄らいでいく意識の中、アナウンスが響いてくる。何処の言語なのかも分からないけども、何故か意味を理解できるもので、今私が居る場所が何処なのかを知らせてくれた。
どうやら私は座という場所に居るらしい。此処は時間も空間も無い、ただ英雄を記録しておく場にすぎないらしい。
全てらしい、で伝えている理由としては、私自身に実感が無いからだ。
英雄、ねぇ。どうやら英雄の定義は多く、殺人鬼や、単なる征服者等もこの座には記録されているようだけど――どうしてそんな所に私が記録されてしまっているのか。
座に居る英雄や反英雄達は、どうやら聖杯戦争とやらに召喚されるのが大体のセオリーらしい。
尤も座にいる本体ではなく、分かれた分霊であるサーヴァントが召喚されるため、座に居る本体とはあまり関係が無いらしいが。
しかし、なぜだか私は特別らしく本体が召喚に応じる形になるらしい。全く、彼も厄介な事しでかしたものだよ。
「ああ、誰か召喚してくれないかなー。気が滅入っちゃいそうだよ」
いつの間にか青から変わっていた緑色のシャツを眺めつつ、ぼやく。どうやら、死んだ私とは違って本来の私自身になっているようで、肌の色も黄色人種のような黄色い肌から日を浴びていないような白い肌に変わっている。
「他にこの場所に誰もいないし……退屈だなぁ――ん?」
突然、この場所に来た時と同じアナウンスがかかる。どうやら召喚されるらしい。
初めての召喚だし、自己紹介は程々にしとかなきゃ。
「はいはい、召喚ありがとねー。クラスはアヴェンジャー。真名は明かせないけど、まあ、よろしくねー」
無気力に想定していた答えを返す。流石に真名を教えても誰のことだかわからないだろうし、そこは秘密にしておこう。地下の世界でのことが外に残ってる訳無いと思うし。
目の前を見ると、どうやら召喚したマスターらしき男性と、その傍らには別のサーヴァントらしき女性が立っていた。どうやら特別な召喚らしく、彼と繋がっている感覚は有るが、魔力は他の場所から来ているように感じられる。
どうやら座からの知識によると、今回の召喚は聖杯戦争ではなく特異点修正に動く……ああ、なんて言ったら良いのか。取り敢えずは、今回の召喚は通常のものとは異なるということだけ、わかっていればいいと思う。
「ああ、よろしく。俺の名前は藤丸立香。こっちは――」
「シールダー、マシュ・キリエライトです。今後とも、よろしくお願いします」
「うん、よろしくね!」
満面の笑みで答える。どうやら、この世界は私にとって悪い場所じゃ無さそうだ。にしても――
何と息苦しかった事か。
真名:Chara
クラス名:アヴェンジャー
属性:人
混沌・悪
筋力:E-
耐久;EX
敏捷:EX
魔力:E-
幸運:E-
宝具:D
ジェノサイド・デターミネーション
「残酷なる決意」
発動した地点でSaveがされ、ResetやCountinue等により発動した時点に巻き戻る宝具。強いて言うなら死に戻り。
しかし、巻き戻るのは後述の陣地作成前までなので、戦闘中にSaveをするということは出来ない。
スキル
陣地作成:EX
自身に最適な陣地……この場合は戦闘時の行動に伴うもので、アヴェンジャー自身の特殊な陣地を作成するもの。本来の意味である陣地とは違うため、EXである。
復讐者:EX
復讐者が持つスキル。EXの理由としては復讐の対象が曖昧で、完全な復讐者ではないため。
とある地下世界で一つの最悪な目に遭うルートに至った人間。彼だか彼女だか分からないが、まあ、些細なことなので突っ込まないであげよう。
真名はChara。地下世界ではとある王の義理の子。一時病気にかかり、その時に命を落とす。