気が付いたら原作アニメが3期やって劇場版新作が決定してたのででで、実質初投稿です。
リア友に久々に更新すると言ったら「もう忘れられてる」と言ってくれました。
逆に考えるんだ。もうなにしちゃってもいいさと。つまり脈絡もなくしれっと更新しても許されるってわけ。
政狩との模擬戦の翌日、興奮冷めやらぬ中朝の日課をこなして早めに登校し、授業の準備を済ませた。
時間が経つにつれて教室にクラスメイトが集まりだした。挨拶もそこそこにしていると教室の中は少しずつ賑やかになっていく。
やはり国の未来を担う人材を育成する魔法科高校の生徒といえど、入学したばかりで浮ついたままでいるのは一般の高校生とそう変わらないのだろう。
そんな自身を棚上げした考え事をしていると、女生徒二人組が教室へ入ってきた。
「おはよう二人とも」
「おはよう森崎君」
「おはよう。今朝も早いね」
向かってきた光井、北山と挨拶を交わす。
校門前のあの騒動から、彼女たちと行動を一緒にする機会が増えた。授業合間の休憩時間なんかはお互いに授業の疑問点を話し合ったりして、かなり打ち解けている。
逆に、あの日対立したクラスメイトとは軋轢が生じていた。
表面上は彼らが司波さんに謝罪した事で解決したが、僕個人に向けての遺恨は残ったままのようだ。
まだ直接ぶつかるような事は無いが、彼らが刺すような視線を集めることがだんだんと増えてきている。それを理解してはいたが、非は全面的に向こうにあることを疑っていない。
そんな僕が光井たちや二科生の達也たちと交流していると言う事実が、さらにクラスメイトとの溝を深めている。
(なんとかしないとなぁ)
これから長く時間を共にするのだから、現状はよろしくないと理解はしているが。どうしたものか。
「あ、おはよう深雪!」
遅れて教室にやってきた司波さんの姿を見つけ、光井が教室中に響く声で呼び掛ける。周りの視線で恥ずかしくなったのか、すぐに顔を赤くして萎んでしまった。
そんな様を困ったように笑う司波さんを見て、恥ずかしくも僕も光井と似たように顔を赤くして見惚れていた。
「おはようほのか。朝から元気なのね」
「おはよう深雪。そこがほのかのいいところ」
「お、おはようございますっ!司波さん!」
「ええ、おはよう雫。森崎君もおはようございます」
しまった、変に固まってしまっている。
こんなところをあいつに見られたら絶対に余計なことを言ってくるだろう。表情を変えずにぼそりと、心の奥にずしんと来る一言をくれるに違いないと、自身に活を入れる。
(やはりとても綺麗な人だ。まともに目も合わせられそうにない…)
しかし、彼女を前にするとどうしても緊張が前に出てしまう。自分のような者が、天女とも思える程に優れた容姿である彼女と話してしまってもいいのだろうかと、頭が考えることを止めてしまうのだ。
「森崎君、少しよろしいですか?」
「は、はい!なんでしょうかっ!」
そんな挙動不審な自分に対しても、優しく微笑みながら話かけてくれるのだからなんてできた人なんだろう。同じクラスになれて本当に良かった。面識を持つきっかけをくれたクラスメイトには感謝しなければ。
「森崎君、わたしたちにはもう砕けた感じなのに、深雪対してしてはまだ緊張してるよね」
「うん。でもお兄さんといる時のほのかも似たようなもの」
「うそ!?わたし達也さんにそんなに変だったりする!?」
「そこ!余計なことを言うんじゃない」
前言撤回。そこまで感謝する必要はないかもしれない。
「それで司波さん、どうしたんですか」
「ええと、その…昨日の放課後のことで」
「昨日の放課後…?」
「ええ。違うクラスの方と模擬戦をされていましたよね?」
政狩との模擬戦のことを言っているのだろうか?
確か、使わせてもらった演習場には、生徒会の方たちと一緒に司波さんや達也と一緒にいたことを思い出した。
あの時は目の前の戦いにだけ集中していたし、模擬戦を終えて先輩方と話しているときには既に見かけなかったから、周りの目はあまり意識していなかった。
だけどあの負けっぷりを憧れの人に見られたと思うと、途端に自分が情けなく思えてくる。
「あぁ政狩との。その、情けないところを見せてしましました」
「え?…いいえ、そんなことはありません。一進一退のとても素晴らしい試合でした。情けないなんてとても」
「そう言って貰えると頑張った甲斐があります。
けど、結局あいつは本気を出していませんでした。道のりはまだまだ遠そうです」
まだまだ何もかもが足りていない。果てしなく遠い道だが、諦める気は毛頭ない。
「政狩君とはここに入学する前から知り合いだったのですか」
「はい。中一の時から魔法科進学コースで一緒のクラスになって、まあ腐れ縁です」
「そう、ですか。あれを受けて…」
親友でライバルだとも思っているが、それを司波さんにそのまま伝えるのは気恥ずかしくて。でも一番的確では無いだろうか、腐れ縁というのは。
「模擬戦も慣れた様子でしたけど、中学ではよく一緒に過ごされたのですか?」
「ええまあ、一緒にいたというか振り回されたというか」
「それは、どういう?」
「あいつ、トラブルメーカーというか悪目立ちしやすくて。クラス委員とかしていると自然と巻き込まれることも多くて…」
「そうなんですか?そういうお方には見えませんでしたけど」
「いや、それは」
うん?この会話、既視感があるぞ。
思い出した。確か去年の春、新学期からしばらくたった頃だ。
政狩はどこの国かは知らないがハーフらしく、顔立ちはシャープで整っている。普段の物憂げな表情()と併せて、何も知らない女子、特に後輩からの受けは相当に良かったのだ。
さらには、一般生徒がほとんどの中で、魔法科高校へ進学する特進クラスというのが神秘性に拍車をかけた。一時期は体育祭での活躍から下級生を中心に密かにファンがいたらしい。
これは後から大山から聞いた情報で、何も知らなかった僕は後輩たちから相談を多く受けていたのだ。あのときは「ついに僕にもこういうときが来たか」と浮かれていたが
『森崎先輩は政狩先輩の親友だとお聞きしました!』
内容は政狩に関することばかり。最後の中学体育祭だからと、無理矢理政狩を活躍させた事を心底後悔したことは記憶に刻み付けられている。
(……まさか司波さんも!?)
それは良くない。非常に良くない。
いや、きっと勘違いというか早合点だとは思うが。うん、一応、念のためだ。しっかりと真実を伝えなければいけないだろう。
これは政狩に対する色眼鏡をなくすための行為であって、決してあいつを貶めようとしているのではない。
そう、これは正義のため。あのときの俺のときめきを奪いやがってとかあろうことか司波さんの心まで手中にしようというのかとか、そんな私怨に満ちた考えも……全く、いやちょっぴり、うん。ないったらない。
「見た目に騙されないで下さい。確かに政狩は一見おとなしそうに見えますけど、その生粋のトラブルメーカーなんです。僕はずっとあいつの隣でそれを見てきました」
「は、はぁ」
「いいですか、あいつはあまりに周りに無頓着で人の話基本聞きません。なのに余計な一言が多いから悪目立ちして、我がつよいからトラブルを起こすんです。あいつがらみの事件で何度僕や大山、クラスメイトが走り回ったことか。
それで味を占めたのか、何かあっても周りに丸投げしとけばいいって思ってるんですよ。遂には自分への話を僕に通せとか言い出して、僕は政狩のマネージャーじゃ無いっていうのに。この前なんて……」
普段ため込んでいる反動か、どんどん口から愚痴があふれ出てくる。
上級生との抗争や変態教師の告発、そういえば他校と問題になりかけたこともあったな。政狩に関するエピソードは尽きることが無い。まあ、あんなめちゃくちゃな奴と二年あまりもいれば当然……
──この人は、わたしが知らない「彼」をたくさん知っている──
急に、全身が中から氷に変えられたのかと思えるほどの寒気に襲われた。
「森崎くん、どうかしたの?」
「え……あれ?」
北山の声に我を取り戻す。時間にしては、たぶん一秒にも満たないだろう。
ただの錯覚だったのか、悪寒はもう感じなかった。
話も授業中まで持ち込む勢いだったが、三人の目が自分に向いていることに気づき、寸のところで思いとどまる。
「す、すみません長々と!」
「……ふふっ。気にしないで下さい。聞いたのはわたしなんですから」
優しく笑って流してくれたことに、ほっと一息をつく。
ただ、ほんの一瞬。司波さんの表情に暗い陰が刺していた様に見えた。
(それもそうだろう。知らない奴の愚痴を聞かされていたら誰だって良い気分はしない)
心の中で自制する僕を見て、横で聞いていた北山が呟いた。
「ツンデレだね、森崎くん」
「ツ、ツンデレ?何だそれは」
「あ、それ聞いたことあるよ。昔流行ってたサブカルチャーで一部に人気だったって」
この二人が言いたいことがわからない。俺がそのツンデレとやらに当てはまると言いたいのか?
「そう。好きなのに素直になれない人。つまり森崎くん」
「い、いや待て北山!どうしてそうなる!?」
「その人の話をする森崎くんって、なんだか楽しそうだから。ほのかもそう見えるでしょ?」
「うん。なんだかかんだ言って森崎くんも楽しんでたんだよきっと」
「いや、それはだな……」
楽しんでいなかったのかと聞かれれば、まあ確かに、ほんの少しくらいは楽しんでいたけども。まるで見透かしたように言われると納得がいかない。
おい、子供を見るような目で僕を見るな。なんだ、その言わなくてもわかるよ的な顔は。
「つまりですね司波さん、僕が言いたいのは」
「あ、もうすぐ予鈴じゃない?一限ってなんだっけ、雫?」
「基礎理論だったはず」
「おい、話を無視するんじゃない!」
二人とも、だんだんと僕への扱いが雑になってきていないか?
「席に戻りましょう森崎くん。話の続きまた今度聞かせてください」
「あ、はい。司波さんがそう言うなら」
「お二人がとても仲が良いことは伝わりましたから」
「司波さんまで…」
この人にまで雑に扱われてしまったらきっと僕の心は持たない。これも全部政狩のせいだ。よしそういうことにしておこう。強ち間違いでもない。
絶対にいつか僕の前で膝をつかせてやると、あいつの知らぬところで決意をまた固める。
「えぇ、本当──」
──うらやましいくらいに。
最後、予鈴でかき消された司波さんの声は、なんて言っていたんだろう。
そんな疑問は、放課後を迎えて政狩を迎えに行く頃には既に忘れ去っていた。
―――――――――
「失礼します」
「来たか、二人とも席につけ」
紆余曲折ありながら、俺は森崎に連れられて風紀委員本部の扉をくぐる。どうやら既に他の面子は揃っているようで俺たちが最後のようだ。
部屋の中央に置かれた長机に座るのはザ・体育会系というような大男たちがほとんどだ。それなりに癖がありそうな人たちと付き合うのはさぞ骨が折れることだろう。いっそ他人事にしてしまいたいという気持ちが残っているが、吐いた唾は飲み込めないのだから覚悟を決めるしかないだろう。仕事を受けた以上は。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
その中で一人、誰にも悟らせないように静かな敵意を秘めた視線を俺に向ける奴がいる。だが当の向けられている本人にはバレバレだからあまり意味はない。てか見すぎだろ司波兄、最早ガン飛ばしてるじゃねえかやんのかコラ。嘘です別に何もしないんで、もうこっち見んなや下さい。
(やっぱり司波から色々聞いてるのか…?嫌われてんのかなぁ)
勧められた席はよりにもよって司波兄の正面の二席だった。諦めてなるべく司波を意識の外に置くようにして着席する。
渡辺先輩がここにいる面子を一度見回した後、堂々と話し始めた。
「さて、今年もまた、あのバカ騒ぎの一週間がやってきた。有力な部員の獲得は、各部の勢力図に直接影響をもたらす重要課題であり、その争奪合戦は熾烈を極める。殴り合いや、魔法の打ち合いになることも、残念ながら珍しくない」
聞く限りは物騒極まりない。勢力図とか争奪とか、この学校の治安は本当にここにいる人間によって保たれているらしい。
「今年は幸い卒業生分の補充が間に合った。紹介しよう、立て」
示し合わせたかのように森崎と司波兄が立ち上がる。俺も遅れて一緒に立つべきかと考えたが止めておいた。俺は正式なメンバーではないし、どうせそのことを含めて後で紹介されるだろう。
「1-Aの森崎俊と1-Eの司波達也だ。先日から正式にここの正式メンバーとなった」
二人の紹介を聞いて上級生たちにざわめきが生じる。こいつらもう上級生に知られるくらい有名になったのか?
「役に立つんですかい?」
「ああ、心配するな。二人の実力はこの目で確認している。使えるやつだ。今年は豊作だぞ」
怪訝そうに投げられた質問に渡辺先輩は不敵な笑みを浮かべて答えた。こういった顔をできる女性を姉貴肌と呼ぶのだろうか。それを聞いた上級生たちがそれ以上不満を浮かべていない様子を見るにこの人は相当慕われているらしい。
「豊作ついでにもう一人紹介しよう。立て」
内心ほら来たと呟きながら立ち上がる。
「1-Bの政狩刀弥だ。彼は
森崎と司波を紹介したとき以上のざわめきが部屋を襲った。
えっなに?そんな驚くところがさっきの紹介の中にあったのか。ていうか渡辺先輩、やけにまだって言葉を強調してたけど、俺は入るつもりは無いってしっかり伝えたよな?なんでそんなもったいぶった言い方をするんですか?
すると今度は別の上級生が律義に挙手して疑問を投げかける。
「正規じゃないってことはCAD持てないっすよね。危険じゃないですか?」
「あくまでサポートだ。よって政狩だけは常に誰かと共に行動することになる。いざという時の戦力や自衛も政狩なら問題ない。そいつは魔法を抜きにしても十分な実力がある。期待していろ」
「へえ‥‥」
毅然とした態度を崩さない渡辺先輩の言葉を聞き、全員の視線が一気に俺に集まる。
なんだこいつら。誰もかれも俺を値踏みするようにいぶかしげな眼をしてきやがって。はっきり言って超不愉快。すっげえムカついてきた。後で八雲の奴の禿げ頭にこのストレスをぶつけてやるとしよう。
「他に云いたいことがある奴はいないか?いないなら各自打ち合わせ通りに動け。
一年はこの後説明があるから残るように。では、出動!」
掛け声とともに先輩方は変なポーズをとってから本部を出て自分の持ち場へと向かう。えっもしかしてあれ俺もやるのか?
指示通り残された俺たち一年の三人は渡辺先輩の前に集まる。
正規の二人に向けて備品が渡され、説明をひとしきり受けた。
「必要事項は以上だ。くどいようだがCADの扱いには十分に気を付けろよ。一昨年はそれで退学になったやつもいた」
「質問があります」
「許可する」
「CADは委員会の備品をお借りしてもよろしいでしょうか?」
司波兄がよくわからないことをしている。こいつやっぱり何かと目立つ行動してるよな。どっかで知らぬ間に敵を作っているタイプ。苦労するだろうが、周りを巻き込むのだけはやめてくれ。
「‥‥なぜ足を踏むモブ崎」
「森崎だ。余計な事考える暇あるなら話を聞け」
解せぬ。
なんだか最近森崎が俺のことわかってますよ感出してきて腹が立つ。俺そんなわかりやすいキャラしてたっけ?
「最後に政狩。お前はこの一週間の間、この仮腕章をつけて正規メンバーと同行する形で警備にあたってもらう。
緊急時に通信機から要請があれば直ぐに応援に向かってくれ。生徒に何かアクションを起こすならメンバーからの指示を受けてから行うように」
「勝手なことはするな、と」
「そうだ。お前の正式な立場は他一般生徒と変わらない。
もし許可なく制圧や拘束をした場合は処罰の対象となるから心しておけ」
「…了解です」
基本的に風紀委員会の腰巾着でいろってことか。積極的に何かしろってことじゃないのは助かる。
あ、そういえば最後に念押しだけはしとかないと。
「質問はあるか?」
「言っておきたいことが」
「ほう、なんだ」
「俺は風紀委員になるつもりはありません」
「ああ、知っているとも。だからまだ違うと言ったじゃないか」
「…」
この女、涼しい顔でいけしゃあしゃあと…!
「まぁ、そう不満そうにするな。もしかしたらこれを機に考えが変わるかもしれないじゃないか。まだまだ時間はあるのだから、選択肢を残しておくことは悪いことじゃないだろう?」
はああ?俺がそう易々と吐いた唾を飲むとでも?んなわけあるかい。
まあ、この場所でそんなこと言っても無駄か。
「他には?」
「…もういいです」
「そうか、なら仕事に取り掛かれ。出動!」
号令と共に司波と森崎がさっき先輩方がやっていた変なポーズをとる。森崎につつかれながら遅れて自分もそれに倣う。後で知ったけどこれ敬礼だったのか。
私の心に読者はいます。あなたの心に私はいますか?
いたらいいな、まだいるかな、新しく生まれたのなら、それはなんて素敵なことでしょう。
リアルが不安定になってきたので、二次創作で心の安定を保とうとしている男、益荒男です。
何かを犠牲にしている時間こそ、一番筆が進むのです。終わってる。
思えば魔法科ってすごいコンテンツですよね。ラノベ発からアニメ3期やって劇場版二作目いくものなんてそうそうありません。やっぱお兄様しか勝たんよ。さすおに。
あと深雪のビジュがやっぱすげえいい。キャラも好き。Appendix1は是非一度読んでみて下さい。かわいいお兄様とツンな深雪が見れたりします。
こんな亀もびっくりクマムシ更新の拙文を読んでいただきありがとうございます。
シルバーウィーク、頑張ります。