提督をみつけたら   作:源治

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喪女、合コン連敗などといじられやすいひと。
でもよく見ると足柄さんは多分とてもいい女。
 


『絵描き』と『重巡:足柄』

 

 空気が冷たく澄んで、晴れていても何処か暗いような季節の空の下。

 一組の母子が墓石の前で手を合わせていた。

 

 母親のほうは妙齢の美しい婦人で、ウェーブのかかった長い黒髪が風に揺れていた。

 見るものが見れば、重巡洋艦の艦娘『足柄』だと気が付くかもしれない。

 

 目を閉じて亡き父の墓石に向かって拝む母の姿を、先に手を合わせ終えた少年はじっと見つめていた。

 

 少年は正直ここに来るのが好きではなかった。

 物心が付いた時には父は既に他界していたので、悲しいという気持ちはあまりなく、それよりもここに来るといつもはとても明るく元気な母がとても悲しそうな顔をするからだ。

 

 つまらなそうに母が手をあわせ終えるのを待っていると、やがて目を開けた母が少年を見て、少し困ったような顔で注意する。

 

「こら、ちゃんと手を合わせなさい」

「もう終わった」

「もう、ちゃんとお父さんに色々話してあげなさい。学校のこととかあるでしょ」

「うん……」

 

 渋々といった風に、もう一度手を合わせ目を閉じる少年。

 少年がしばらくして目を開けると、母親がこちらを見てにっこり微笑んだ。

 

「そういえば宿題で両親についての作文を書かなきゃいけないんだけど、母さんと父さんってどうやって知り合ったの?」

「あら、そんな宿題出てたのね。うーん、そうねえ……。そろそろ話してもいいかしら」

 

 母親が息子である少年の手を引き歩き出す。

 

「そうね、お父さんは絵描きで、あまり身体の丈夫な人じゃなかったんだけど……とっても素敵な人だったの」

 

 何処か遠くを見るように立ち止まって、空を見上げる母親。

 

「お母さんとお父さんが出会ったのはね……」

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 ××年前 某国某所

 

 

 

「あちゃー、参ったわね。こりゃ完全に姉さんたちとはぐれちゃったわ」

 

 山岳越え用の服装と装備に身を包んだ足柄が、地図を見ながら川と森しかない場所で、あたりを見回していた。

 数時間前、山岳越えの最中に足場が崩れて谷底を流れる川にまっさかさま。

 そこから何時間も流されて、なんとか岸にたどり着いたものの随分と流されてしまったせいか、姉妹たちとの合流が絶望的となってしまった。

 

「はぁ、我ながらやっちゃったわね。まぁ私が居なくても姉さんたちなら問題なく仕事をこなすでしょうから、ひとまず作戦完了後の集合地点に先に向かうとしますか」

 

 足柄は地図をしまい、ひとまず川に沿って川下へ移動を開始する。

 何時間か歩いていると、目の前に大きな湖があらわれた。

 

「いい場所ね、ここで一泊しようかしら」

 

 何処か手ごろなキャンプの場所がないかと、湖の水辺に沿ってゆっくり足柄が歩いていると、ふと景色と同化していた緑色のテントがあるのが見えた。

 一瞬、敵の兵士が居るのかと身構えた足柄だったが、そのテントの前にあるイーゼル、そこにのせられた湖の風景が描かれたキャンバスを見て構えを解く。

 

 あたりを警戒しながらキャンバスを覗き込むと、描きかけではあるが湖の風景が丁寧に描かれている。

 しかし穏やかな風景画のはずなのだが、何処か描く人間の感情、焦燥にも似た足掻くようなもが伝わってもきた。

 穏やかな世界と、若い情熱のようなものが入り交じるアンバランスでありながら、それだからこそ魅力的に見えて引き寄せられる、そんな絵だった。

 

「ボケた絵でしょ」

 

 その声に魅入ってしまっていた足柄がはっとなって振り返ると、焚き火用の枯れ枝を抱えた青年がそこに居た。

 長身でありながら痩せていて生気が薄く感じられるが、眼だけがぎらついていて全体的にとがったナイフのような印象を人に与える青年だ。

 

 だが、それよりも問題なのが……

 

「ていと……く?」

 

 まさかのその青年が足柄の提督だったということだった。

 肌寒い季節の湖のそばで、傭兵の艦娘と若い絵描きが出会う。

 

 湖の前で見詰め合う二人の姿が、湖面に反射し何処か絵画的に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絵描き』と『重巡:足柄』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 提督を見つけた衝撃で動けない足柄を気にせず、青年は黙々と焚き火の準備をして火を起こし、湖の水を汲んでポットに入れて沸かし始める。

 その様子を提督を見つけてしまったショックでなにも言えず、じっと見続ける足柄。

 

 やがてカップを一つ用意し、インスタントコーヒーを作ると、青年はそれを足柄に渡した。

 呆然としながらも、驚くくらいあっさりとそれを受け取ってしまう足柄。

 

 カップを渡すと青年はキャンバスに向かって、絵を描き始める。

 そこでようやく、足柄はカップが一つしかないので青年がコーヒーを飲めないということに気がついた。

 

 慌ててカップのコーヒーを飲み干そうとした足柄だが

 

「あ、あつッ!!」

 

 と、熱さに驚いてカップを落としそうになる。

 驚きと恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、提督の邪魔にならなかっただろうかと青年の方を足柄が見るが、そんなベタなコントのような光景になんら興味を示すことなく、黙々と絵を描き続ける青年。

 

 邪魔をしてしまったなら申し訳ないとは思ったが、一切興味を示してくれないのもそれはそれでと思いながら、足柄はゆっくりとコーヒーを飲み干す。

 そして背負っていたリュックを下ろすと、自分のカップを取り出し、そのカップにコーヒーを入れて青年に手渡した。

 

「はい、どうぞ」

「どうも」

 

 一口飲んで、カップを足柄に返す青年。

 不味かったというわけではなく、カップを置く場所が無く、持ちながら絵を描くことができないからだ。

 何故かそれがわかった足柄は、カップを持って一歩下がった場所で絵を描き続ける青年の様子を見つめる。

 

 静かな時が流れる、足柄が空を見上げると渡り鳥が群れを成してはるか上空を飛ぶのが見えた。

 視線を青年に戻し、今更かと思いながらも口を開く足柄。

 

「見ててもいいかしら?」

「どうぞ」

 

 まるで瑣末なことだと、振り向きもせず返事をする青年。

 足柄は了承をもらい、下ろしたリュックに腰を掛け、再びじっとその様子を見つめる。

 

(誰かを見つめているだけで、見ているだけでこんな幸せな気持ちになるなんて)

 

 足柄は自分の中に湧き出る初めての感情に戸惑いながらも、何処か楽しむようにそれを転がしてみる。

 転がすたびに温かいものが湧き出して、胸を満たすその気持ち。

 

 ひとしきりそれを楽しんだ後、しかしこれからどうしたものかとも思う。

 姉妹たちとの合流はどうするか、そもそもこれからどうするか。

 闘争こそが艦娘の本質ではないのかと思い、姉妹で始めた傭兵家業。

 それをこれからも続けるべきなのか?

 

 答えを探して思考を落とし込んでいると、唐突に『グ~』と、間の抜けた音が響く。

 その音が自分の腹から聞こえてきた音だと気が付いて、足柄は顔を真っ赤にしながら慌てて口を開く。

 

「ご、ご飯を作るわね」

「……どうぞ」

 

 今まで無表情で足柄に興味を示すことすらなかった青年が、微妙に気を使うような間を空けて返した返事を聞いて、足柄は泣きたくなった。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

「あら、画家じゃなかったの?」

「学生ですよ、まだね」

 

 すっかり夜の帳が下り、辺りを暗闇が包む中、焚き火を囲むように向かい合いながら二人は座ってカレーを食べていた。

 いつでもカレーを作れるように、足柄の装備には米とカレーと飯ごうセットが常備されている。

 表情や感情の動きが乏しいように見える青年も、足柄のカレーを一口食べると、素直に「おいしいですね」と賛辞を述べ、先ほどの腹を鳴らす失態を挽回でき、足柄の乙女のプライドは無事回復していた。

 

 なんてことはなく、それはそれで別にまだ少し引きずっていた。

 

「それでどうしてわざわざ外国、こんな山奥まで来て絵を描いてるの?」

「……自分の見てるこのボケた世界が、なにか変わるかと思いまして。まぁ、今のところなにも変わりはしていませんが」

 

 苦虫をかみつぶした様な表情を浮かべる青年。

 足柄はそんな表情もできるんだな、と、感じた。

 

「それでその……貴方は……」

 

 何処か聞きにくそうに、言葉を濁す青年。

 その様子を見て今まで自分に一切興味を示さなかったことから、自分になど興味が無いと思っていた足柄は、悪戯を思いついたような子供の笑みを浮かべる。

 

「あら? 興味が無いんだと思ってたけど、そんなに私のことが気になるの?」

「……こんなところに貴方の様な綺麗な女性が居るのはおかしいと思っただけですよ」

 

 少し顔を赤くしながら、すねたような返事を返す青年。

 青年の『綺麗な』という部分をしっかり耳にした足柄は、立ち上がって青年の隣に座り肩をくっつけるように引っ付く。

 

「そう、心配してくれてるのね」

「……まぁ、そうとれるかもしれませんが」

 

 密着してくる足柄に、青年は一人分隙間を空けるように引く。

 直ぐに足柄がその隙間を詰める。

 

 そんなことを繰り返し、やがてこれ以上詰める隙間が無くなり、青年が追い詰められた。

 

「あの」

「なにかしら?」

 

「近いのですが……貴方のような人にあまり近くに来られるとその……」

「足柄よ」

 

 唐突な自己紹介、さらにぐぐっと顔を寄せて耳元で囁かれる声に、青年の心拍数が上がる。

 

「え? ああ、はい。よろしくお願いします足柄さん」

「ふふ、よろしくね」

 

「それで、その、近いのですが」

「この飢えた狼と呼ばれた足柄、この狼のような身のこなし……」

 

 ああもう辛抱たまらないわといわんばかりに、決めぜりふ的な自己紹介をしながら青年に身を寄せて、がばっとやっちゃいそうな勢いの足柄。

 だったが、青年は足柄が言ったとある部分の言葉に反応する。

 

「……もしかしてまだお腹が減ってるのですか?」

「……え?」

 

 青年は立ち上がり、荷物の中から携帯食を取りだし足柄に手渡した。

 

「どうぞ、夕食のお礼です。それでは私は寝ますので」

「あっ、ちょ!?」

 

 青年はそう言うと、さっさと自分のテントの中に入ってしまった。

 

「出会いも戦いも、最初が肝心なんだから……」

 

 唖然とする足柄、完全に色々機を逃してしまったと遅れて気がつく。

 足柄はちょっと泣きそうな声でそう呟いた。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

「おはよう! いい朝ね!!」

 

 青年が朝目覚めて、外に出ると既に起きていた足柄が、いい笑顔で挨拶をする。

 青年は思わずドキリとして、心拍数が上昇した。

 

 何故ならそれほどまでに湖畔の水辺で、笑みを浮かべる足柄のその姿は……

 

「……おはようございます。ところでなぜ朝からイノシシを解体しているのですか?」

 

 ほっぺに血を付けながらそう言って笑う足柄の姿は、割とスプラッターだったからだ。

 あとイノシシの血を湖の水で洗い流しながら、毛皮をはぐその光景はとても怖かった。

 

 朝からとんでもない物を見てしまったなぁと、青年はちょっと吐きたくなった。

 

「昨日せっかくカレーを作ったのに、カツを乗せられなかったでしょ? ふふふ、今晩の夕食は楽しみにしててね!」(ハート)

 

 女子力の強さを見せつけようと、足柄は早朝から森を走り回ってナイフ一本でイノシシをゲットしてきたのだった。

 

 だが見せつけたのは女子力じゃ無くて戦闘力では?(ボブは訝しんだ)

 

 しかし足柄さんは気がつかない、駄目だ、傭兵暮らしが長すぎたんだ……

 ぷらぷらとナイフを逆手に持ちながら、かわいらしさをアピールしつつウィンクするその様子に、青年は昨夜この女性に対して感じた感情は生存本能の警告的な物では?

 

 そう感じた。

 

「そうですか」

 

 でも怖かったので、無難に返事をする。

 青年の表情はこわばっていたかもしれないが、元々の無表情のおかげで特に足柄は疑問に思わなかったようだ。

 

 青年は取りあえず足柄のことは忘れ、ポットに湖の水を入れてストーブ(携帯コンロのような物)で沸かしはじめる。

 枝を集めて、火を起こしじっくり湯を沸かしてもよかったのだが、なにとなく早く沸かした方がいいかなと判断した。

 

 朝はいい、こうして湯を沸かし入れて飲むコーヒーは、濁った自分の感情をほんの少し薄めてくれる。

 そう思いながら湯が沸くのを待ちつつ足柄の方をちらりと見ると、楽しそうに解体していて少し薄まっていた濁った感情がなんだかよく解らない物になる。

 

 なんなんだろうこの人は……

 

 青年の率直な今の気持ちである、混じりっけなしの本音の。

 でも自分に振る舞うために努力してくれてるというのなら、まぁ、うん、まぁ。

 ありがたいかありがたくないかは置いておき、害は無いと判断してもいいのかもしれない。

 

 二つあるカップ、両方に湯を注ぎコーヒーを作る。

 

 解体作業中の足柄に声をかけるのには勇気が必要だったが、青年はカップをもって側に行き、コーヒーを手渡そうとする。

 

「……どうぞ」

「あら? ありがとう」

 

 足柄はなんのためらいも無く、青年の持ち物であるカップを手に取った。

 そして青年が止める間もなく、いたずらを思いついた子供のような顔で、熱いコーヒーを口に含む。

 

「あっつ!?」

 

 でもコーヒーの熱さに負けて、いい女を演出するのに失敗するのであった。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 数日が過ぎた。

 

 いつまでここに居るんですかと、聞けない青年。

 楽しそうにニコニコしながら、青年が絵を描く姿を眺め続ける足柄。

 

 ここ数日の足柄は、食事の用意、野生の獣への警戒、さらにはどこかから持ってきたドラム缶で風呂を用意したり、果ては『寒いから温めてあげるわ!』と青年のテントに入ってくる(丁重に追い出した)有様。

 青年は軽く混乱していた。なんなんだろうこれは、この女性が自分に好意を抱いているというのはわかるが、さすがにこれはアグレッシブすぎでは無いだろうかと。

 

 そして気がつけば、いつの間にやらまるで売れない絵描きのために、働いてはかいがいしく世話をするようなそんな関係になってしまいつつあった。

 

「私は貴方のひもでは無いのですが……」

「自分が貴方の役に立てるこの瞬間が、私は一番好き!」

 

 そのたった一度のやりとりで青年は『ああ、これはなにを言っても無駄だな』と痛感した。

 というかぶっちゃけもうこの女性、なんでもありだなと思うようにもなっていた。

 

 昨夜など散歩に出ると言って出かけた後、十頭以上の狼を引き連れて戻ってきて。

 

「どう? 可愛いでしょう? 躾けてみたの!」

 

 などと、自慢げに言うものだから、さすがの青年も開いた口がふさがらず。

 

「貴方が……居てくれて安心です」

 

 と、少し皮肉交じりで言ってみたのだが。

 

「だって私、足柄がいるんだもの! 当然よね!」

 

 なんなんだこの女性は、という思いで一杯になったりもした。

 そして深いため息をつき、足柄という存在を受け入れてしまってる自分に気がついてしまう。

 

 そしてずっと気がつかないようにしていた、もう一つのことを認める。

 

 いつの間にか自分がこの生命力溢れる女性に当てられて、ボケていると自分でそう評した絵に、生命力のような力強さが備わりはじめたことに。

 この変化は、ここに来たからでは無く、この女性が居てくれたから起きたのだと……

 

 認めてしまったのだった。

 

 

 

 そんな日々が続いた、ある日の昼。

 

 昼食をとっていた足柄たち、ふと先日従えた狼たちの警戒を知らせる遠吠えを聞いて足柄が立ち上がる。

 

「この辺りに誰か来たみたいね……」

「現地の人間では無いのですか?」

「だといいんだけど、最悪山向こうの国境からゲリラが越えてきた可能性があるわ……」

「ゲリラですか?」

 

「この国は平和なんだけど、向こうの国はちょっとね。でも安心して、貴方は絶対私が守ってみせるわ」

「いえ、もし危険なら私を置いて……」

 

「実は私ね、艦娘なの」

「……」

 

 足柄の突然の告白、それを聞いて青年が固まった。

 

「そして貴方は私の提督、ごめんなさい。隠すつもりは無かったんだけど、言い出せなくて」

「……そうですか」

 

「驚かないの?」

「十分驚いていますよ。まぁあまり顔に出ないので。ですが、成る程、色々と合点がいきましたよ……」

 

 提督と艦娘、一見運命に導かれた恋人が出会うような物語的な部分もあるが、いざ自分がそうなってみると戸惑ってしまう部分もあるのは致し方ない。

 

 だけど、それでもと、それだけでは無いのだと。

 

 初めて出会って、こうして短い間ではあったが日々を一緒に過ごして育んだ物は、きっかけがなんだったとしても、足柄にとってかけがえの無いもの。

 だから、それだけでは無いんだという部分もわかって貰いたいと、足柄がその想いを自分の提督に伝えたい、そう思って口を開こうとした、ところで

 

「足柄さんさえよければ、国に戻ったらちゃんとしたカツカレーを、食べさせてください」

「え?」

 

 足柄が口を開くより先にぼそりと、青年がそうこぼす。

 

「油が無いので揚げられずに焼くしか無かったでしょう。ですから、ちゃんと貴方の得意なカツカレー、食べさせてください」

 

 どこか、少し照れたようにそう足柄に言う青年の姿様子を見て、足柄は先ほどまで自分のなかにあった恐れや、脅えが綺麗さっぱりと消えてしまったことに気がつく。

 

「……それは、命令?」

 

 足柄がどこか嬉しそうに、そう、問う。

 

「お願いですと言いたいところですが……そうですね。命令です」

 

 比較的艦娘に対して理解のあった青年は、足柄の言ったことの意味をある程度正しく受け取ることができた。

 なので微笑を浮かべながら、その確認に対して肯定を伝える。

 

「うふふっ♪わかったわ。任せておいて提督。足柄、出撃します! 戦果と勝利の報告を期待してて大丈夫よ!」

 

 お茶目な笑顔でピースサインを決めた足柄。

 その様子は年不相応なかわいらしさで溢れていた。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 体が軽い……こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて……

 もうなにも恐くない!!

 

「出撃よ! 戦場が、勝利が私を呼んでいるわ!」

 

 そんな感じで足柄は駆けていた、かなりまずいフラグである。 

 狼たちの遠吠えの内容から察するに、相手は恐らく三人。

 

(どちらにせよ私と提督の蜜月の邪魔をするようならお引き取り願わないとね!)

 

 が、ある程度相手の痕跡に迫ったところで、その気配がピタリと消える。

 

 まさか、私が誘い込まれた?

 

 この段階で足柄は自分が相手にしているのが、生半可な相手ではないと察する。

 すぐさま近くの木に身をかがめて、獲物を取り出した。

 

 ただの自動拳銃、その先に愛用のナイフが取り付けられただけの簡単だが頑丈な獲物。

 艦娘の防御力に胡座をかくわけではないが、彼女には、彼女たち姉妹にはこれで十分だった。

 

 気配を探る、前に一人、残りは後ろ?

 いや……まさか提督を!?

 

 足柄は普段なら絶対しない新兵のような焦りからの行動で、思わず身を乗り出す、その瞬間。

 

 死角である真上からの強襲、完全な不意を打たれた足柄は一瞬にして拘束される。

 だが艦娘の力を侮るなと、足柄は笑いながらも立ち上がろうとして……

 

 自分の体がピクリとも動かないことに驚愕した。

 

(これは、出力の強化により重量を増した艦娘の拘束術!?)

 

「油断大敵よ、足柄」

「妙高姉さん……」

 

 なんと足柄を拘束していたのは、姉妹であり、傭兵チームのリーダーでもある妙高。

 足柄と同じような山岳装備を身につけ、どこか似ているその顔や雰囲気はとても落ち着いた様子で、足柄よりもあらゆる意味で実力が上と感じさせる風格だ。

 

 まさか身内が相手だったとはと、しかも妙高姉さんが相手とかそりゃ無理よ、なんて思い知らされ、がくりと力が抜ける足柄。

 

 そして前方の囮である気配の主だった、妹である羽黒がおっかなびっくりと姿を現した。

 

「もう、心配したんですよ足柄姉さん。合流地点にいつまでたっても現れないから」

「あっ…、忘れてたわ」

 

 自分の提督をみつけ、側に居てその役に立てているという甘美な状況に、自分がどうしてこの場所にいるのかを完全に忘れてしまっていた足柄。

 

「はぁ? 忘れてたってあなた……どうしましょう」(真顔)

「あー! あー! あー! ごめんなさい妙高姉さんお願いだから折らないで!! 話せば長いようで短いんだけどこれには深い事情がね……」

 

 どう上手く説明したものかと足柄が頭を悩ませていると、湖の方から縄で拘束された誰かを抱え、こちらにやってくる最後の姉妹、那智の姿。

 

「妙高姉さん、この辺をうろついていた怪しい男が居たので、少し乱暴かと思ったが念のため拘束しておいた。足柄よ、この男と……」

 

 抱えられていたのは、漫画みたいに縄でぐるぐる巻きにされた、足柄の提督である青年。

 

「私の提督から手を離せぇえええ!!」

 

 足柄は一瞬で頭が沸騰し、妙高の拘束を振りほどいて那智に飛びかかりその手から自らの提督を奪い返す。

 

「足柄、貴方……」

 

 あまりの足柄の豹変ぶりに、唖然とする姉妹たち。

 

「………………そう、そうよ。私は提督をみつけてしまったの。ごめんなさい妙高姉さん、みんな。私は……チームを抜けるわ」

 

 決意を以て告げられた足柄の言葉に姉妹たちは呆然とする。

 が、いち早く立ち直った妙高が、足柄に銃を向ける。

 

「許しません。今ならまだ間に合います、その男をおいて私たちと来なさい」

 

 流石に銃は向けなかったが、那智と羽黒も同じ気持ちだといわんばかりの表情をしている。

 

「ごめんなさい、だめ、だめなのよ……」

 

 悲痛な表情をしながら、ゆっくりと後ずさる足柄。

 その様子に、嫌な予感を隠せない姉妹たち。

 

「足柄?」

 

「だって……だってこんな気持ち味わっちゃったらもう戻れないからぁ!! ごめんなさい妙高姉さん! 皆! 私幸せになります!!」

 

 そう叫びながら、悲痛だった足柄の表情は、ハネムーンにこれから向かうわ! といわんばかりの幸せそうな表情に切り替わる。

 

「「「ま、待ちなさいいい!!」」」

 

 男というか、提督を見つけて幸せ一杯の足柄は、背を向けて湖に向かって駆け出す。

 そんな豹変した足柄を追いかける姉妹たち。

 

 こうして、一抜けなんて許さんぞワレェ!! 姉さんたちはそこで乾いてユキナサァイ!!

 と、テロップが流れそうな追撃戦にも似た壮絶な鬼ごっこが今始まったのだった!!

 

「私、あまり体は丈夫では無いのですが……」

 

 ぐるぐるにロープに巻かれ足柄に抱えられたまま為す術の無い青年は、深い溜息を吐いたあとそう呟き、無の心で成り行きに身を任せることに決めたのだった。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 そんな足柄たちが鬼ごっこを開始した場所から10キロ位離れた、山岳地帯。

 

「リーダー、準備整いました。いつでもいけます!」

「よし、その場で待機だ」

「ハッ!!」

 

 格好いいベレー帽や、自動小銃や、色んな武器を持った百戦錬磨っぽい雰囲気の男たち。

 彼等はその筋では超有名な、超強いとある傭兵部隊。

 

 金次第でなんでも、どんな仕事でも請け負うイカレタ奴等だ。

 

 ゴツイ葉巻を吸いながら、ナイフを研いだり、銃の整備をしたり、爆薬の準備をしたりと、プロなんだか素人なんだかよく解らないところもあるけど、とにかく超強くて有名でクールな傭兵部隊なのだ。

 

 これから彼等はとある国の首都に潜入して破壊工作を行い混乱を引き起こすため、山岳部から国境を越えようと準備をしているところだった。

 

「楽な仕事ですね、好き勝手暴れるだけでかなりの金が手に入るんですから」

「さて、それはどうかな。どうにも嫌な予感がする」

「ははは、リーダーの何時もの直感ってやつですか。成る程……それやばくないですか?」

 

 運はないが悪運は強いリーダー、ひとゆえにその勘のよさで生き延びてきたことを知る副官はたらりと汗を流す。

 

 その直後。

 

 彼等から数キロ離れた山の山頂付近に着弾する、砲撃。

 驚いて着弾した山の方向を見ると山の形が少し変わっていた。

 

 部隊は騒然とした、が、百戦錬磨の彼らはすかさずリーダーの指示によりその場に伏せる。

 

「り、リーダーあれは!? 帝国との小競り合いの戦闘に参加した時に近くに落ちた重野砲の着弾音に似てる気がしますが……いや、それよりももっとデカイ!? 生半可な口径じゃないですよあれ!?」

 

 地べたに伏せ、混乱が隠せないようにまくし立てる副官には目も向けず、リーダーは冷静に双眼鏡で弾が飛んで来たと思われる湖の方向を見る。

 

 確認できるのは湖の水面の上を走る四つの人影と、その後に続く航跡波。先ほどの砲撃はそのうちの一人から発射されたように思えた。

 

「撤退だ」

「は?」

 

 冷静にそう告げるリーダー、思わず聞き返す副官。

 

「クソ、どこかから情報が漏れたんだ。撤退だ、やってられるか。あれは艦娘、しかも重巡洋艦クラスだ。しかも、演習と呼ばれる艦娘同士で行う訓練。弾も油も潤沢にないとできない艦娘の専門訓練だ。あきらかに艦連がバックにいる艦娘だ、そんなもん相手にできるか。オマケにあの着弾音には覚えがある、20.3cmの2号砲だ、相手が悪すぎる、悪すぎだ。(大事なことなので二回言った)他に艦娘が何人あの湖の周りにいるか知らんが絶対憲兵軍も居るぞ、あの訓練と砲撃は示威行動の一環だ。あと大事なこと、これ大事なこと。あの四つの人影見覚えがある、あれ妙高姉妹だ、あの妙高四姉妹があの湖にいる。(歴戦のリーダーのトラウマ過去フラッシュバック)つまりあの湖には最低でも四隻の重巡洋艦クラスの軍艦が浮いてるのと同じことだぞ、当然艦娘だから陸にも上がってくるゾ、むしろそっちのがやばい、そんなのが警戒してる地域なんぞ通れるか、戦車とかないし、航空支援とかないし、あっても無理だし。撤退だ撤退、ハイ撤退」

 

 至極冷静に淡々と分析して判断した内容を告げるリーダー。

 

 でも先ほどの超長いセリフをほぼ息継ぎ無しで一気に言い切ったあたり、リーダーもとてもとても焦っているように思えた。

 

「えーっと、つまりその」

「終了! 撤収! 帰っていいよ! てか逃げるんだヨォおおおお!!」

 

 リーダーの悲鳴に近い叫びが辺りに響く。

 慌てて命令の復唱を叫びながら撤収を始める傭兵たち。

 

 彼らは、金がすべての世の中にばっちり順応してる、頼りになる神出鬼没の傭兵チーム!

 

 金次第でどんな仕事でも引き受けるイカレタ奴等!

 助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ!(金額次第)

 

 でも、艦娘だけは勘弁な!!

 

 補足すると、生き延びてこの情報を持ち帰ったということで、契約違反どころか当初の目的だった仕事の倍の報酬を貰って、彼らの名声は地味に高まった。

 

 でも、もう一個補足すると、この後の人生でも艦娘となにかと縁のある人生になることを(既に縁がある人生なことを)彼らはまだ知らない。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

「はぁはぁ、まさか警告とはいえ主砲を撃ってくるなんて、なに考えてるんですか」

 

 ようやく足柄と、青年を追い詰めた妙高、那智、羽黒。

 足柄はそれでも青年をかばうようにして抱きしめている。

 

「はぁはぁ、しつこい、これだからこじらせた艦娘ってやつは……」

 

「「「いや、数日前までは同じ立場だったでしょ!?」」」

 

 と、どったんばったんな追いかけっこをしていた姉妹だが、ふっと妙高がまじめな顔になり仕切り直す。

 

「ふーーーーーーーー。ともかく、もう一度言います。帰ってきなさい足柄。提督という枷に縛られない生き方を模索する。そう誓ったでしょう? 出会ってから間もない男と、共にずっと過ごしてきた私たち姉妹、どちらが大切? あの誓いを忘れたの?」

 

「忘れてない、忘れてないわ……でも、でも無理なの」

 

 姉妹たちが足柄に銃を向ける、まるでこれが最後だといわんばかり。

 だが、追いかけっこの最中に気絶してしまった青年を足柄は抱きしめる。

 

 確かに初めて出会ってからそう日にちはたっていない。

 だが、男女が恋に落ちるのには時間が関係ないように。

 提督と艦娘としてお互いを想い合えるようになるのも時間は関係ないはずだ。

 

 大切な姉妹たち、一緒に戦場を駆け巡り日々を過ごした思い出が蘇る。

 それは確かになにものにも代えがたい大切なものだ。

 

 だけど、それでも、そうだったとしても……

 

 足柄は気絶して目を閉じる、青年の顔を見つめる。

 無愛想で、足柄のことなんて大して気にしてないようなつれないそぶりで、でも、キャンバスと向き合うその姿はとても格好よくて。

 

 なにより、足柄のことを自分の艦娘だと認めてくれた人。

 

 足柄は顔をあげ、自然にいつの間にか流れていた涙をぬぐおうともせず、姉妹たちを見つめながら絞り出すように叫ぶ。

 

「見て! 私の提督よ、この人が私の提督なの!! この人に私の全てをあげるの……私はもう戦えない、この人のためにしか戦えない……ごめんなさい妙高姉さん、ごめんなさい皆、ごめんなさい……」

 

 悲しみと喜び、嬉しさ、色んなものが混じった涙を流しながら、自分たちを見つめ、そして提督を抱きしめる足柄の姿を見て、姉妹たちはなにも言えなかった。

 

 様々な思いや気持ち、それらが渦巻き暴れ出しそうだった。

 いっそ今すぐ足柄を、彼女の提督から引きはがしてやろうかとさえ思った。

 

 だが、彼女たちの前にいる足柄の姿はまるで聖母の様だ。

 優しさと悲しさと美しさ、そして幸せに満ちていた。

 

 妙高が銃を下ろし、静かに告げる。

 

「………………チームを解散します、各々自らの提督を探しなさい」

 

 だから、願ってしまった、望んでしまった。

 そして気がついてしまったのだ。

 

『私たちも、提督をみつけなければ……』

 

 それが今の自分たちにはなによりも大切なことだと。

 

 長女の諦めにも似た寂しい宣言を、残りの姉妹たちは静かに受け入れる。

 こうしてこの日静かに、戦場を渡り歩く伝説の傭兵姉妹である妙高たちの傭兵チームは解散した。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 翌日、目を覚ました青年と共に足柄は山を降り始める。

 

「よかったのですか、あのまま別れてしまって。大切な姉妹なのでしょう?」

「いいの、だって私は貴方の艦娘なんだから」

 

 山道を腕を組みながら歩いているので、お世辞にも歩きやすいとはいえないのだが、提督の青年は足柄のしたいようにさせていた。

 明るく振舞っている足柄が、どこか大事なものをなくし、寂しそうにしているように感じたからだ。

 

「私についてきたところで……」

「いいの、貴方のことをずっと見て居たいから。提督は提督で好きに生きてくれたらいいわ」

 

 青年の言葉をさえぎり、力強く断言する足柄。

 それを聞いて青年は、軽くため息を一つ吐く。

 

「難しいことを言いますね……まぁ、言われなくても生きたいように生きますよ、私は」

 

 湧き出る不安を我慢するためか、青年の腕をぎゅっと足柄が握り締める。

 

「だから……見ててください。ずっと、私の傍で……」

 

 が、その言葉を聞いて、その意味をしっかりと理解してしまう。

 自分の中で燃えるような感情を感じ、足柄は青年の腕に真っ赤になってしまった顔をうずめたのだった。

 

 

 

 □□□□□

 

 

 

 現在 艦夢守市・南雲病院

 

 

 

 南雲病院のとある病室。

 

「あら、ようやくお目覚めかしら?」

「母さん……来ていたのですか」

「そりゃ可愛い息子が撃たれたなんて連絡が来たらね」

 

 老いることの無い艦娘。

 いつの間にか見た目だけなら母よりも老けてしまった息子は、複雑そうな表情を浮かべながらため息をついた。

 

「でも驚いたわ、高雄型の適性とはねえ」

「まだ高雄型と決まったわけではありませんよ……」

「高雄、愛宕、摩耶が適合したんでしょ? もう決まったようなものじゃ無い」

「個別適性であれば、駆逐艦の少女の可能性がまだ……」

「人の夢と書いて儚いとはよく言ったものねぇ」

「うぐっ!!」

 

 撃たれてないはずの胸を押さえる息子、その様子を見て楽しそうに笑う母。

 

「あんたまだ諦めてなかったのね、観念して高雄たちと結婚しなさいな」

「誰のせいでこんな性癖になったと思ってるんですか……」

 

 母は息子のじっとりとした視線を受けて「ははは、ちょっとかわいがり過ぎちゃったのは反省してるわ……」と、呟きながら気まずそうに目をそらす。

 

 しばらく気まずい沈黙があったあと、母は撃たれた息子の片足を見て心配そうに口を開く。

 

「もし後遺症があるようなら、私の管理してる下宿に移ってもいいのよ? とっても楽しい子たちも居て毎日飽きないと思うわ。それに毎日揚げたてのカツカレーも食べられるわよ?」

 

「揚げ物はカロリーの計算が難しいので遠慮しておきます。それに明日で退院予定ですから、もう大丈夫ですよ。伊達に母さんに鍛えられてませんので」

 

 新調されたよく光る眼鏡を上げながら、息子が淡々と答える。

 

「あらそう、まぁ思ったより元気そうでよかったわ」

 

 少し残念そうな表情を浮かべ、母は微笑を浮かべる。

 

「たまにはそっちから顔を出しなさい」

「当分、その予定はありません」

「こまった子ね、せめてあの人の命日くらいは帰ってくればいいのに」

「ええ、わかっています。ですがまぁ、色々予定がありますので今年も墓参りは母さん一人でお願いします、父にはよろしく伝えておいてください」

 

 はいはい、と生返事をしながら立ち上がり、病室を出ようとした母を息子が呼び止める。

 

「……そういえば、新しい提督は見つかりましたか?」

 

 提督適性者を亡くした艦娘は、新たな提督適性を持つものと出会った場合、再び適合する。

 

 もしかしたら自分に『足柄』の適性があるのではないか。

 

 幼い頃からやたら自分をかわいがってくる母。

 そして、偏執的とも呼べるほどのレベルで、自分が死なないようにと施される訓練。

 

 それ故に、息子の中でその疑問が消えずにあった。

 

 長年息子が聞けなかった思いを含んだ問いを投げかけられ、母が立ち止まる。

 少し、だが何故か長く感じられた間をおいて、母は振り返る。

 

 

「馬鹿ね、私の提督はあの人だけ。そしてあなたは私の息子よ」

 

 

 息子が本当はなにを聞きたいかなど、お見通しといわんばかりに言葉を付け加える。

 儚げな笑みを浮かべながらそう返事を残し、若い母は病室をあとにした。

 

 息子一人になった病室は、まるで台風が去ったあとのように静かになる。

 

「そういえば先輩を誘って、リベッチオさんの店に行こうと思ってたんでした」

 

 誰も居ない病室に息子の声がこだました。

 窓から差し込む朗らかな春の日差しを浴びて、息子が目を細める。

 

「……もう春ですね」

 

 しばし静寂を堪能していた息子だが、やがて廊下から賑やかな声が聞こえてくる。

 

 そして病室の扉が勢いよく開いた。

 

「前島主任、お加減はいかがですか?」

「前島くーん、差し入れ持ってきたわよー」

「まえしまー! おみまいにきてやったぜー!」

 

 扉を開いて現れたのは三人の艦娘。

 息子は複雑な顔で、三人の艦娘を見て深いため息をついた。

 

 その仕草は、どこかの売れない絵描きにとても似ていたらしい。

 

 

 




足柄さんが管理してる下宿は多分ボロイ。
またショウさんが住んでるところとは別。

※いまさらですが私の感想のお返しはとても遅いです、ごめんなさい。
 遅いけど、感想をいただけるのは、とても嬉しい。
 何時もありがとうございます。

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