※11/20、日刊一位ッ・・・・!!ガタガタ
何が起こったと言うのだ(白目)
例のごとく、深く考えてはだめです。
――――サイレンが響いている。
腹の底に響くような、不快な音。
その中を闊歩するのは、人類共通の敵『ノイズ』。
逃げ惑う人々を、次々炭に変えて前進していく。
やがて自壊するまでの間、一人でも多くを殺さんと彷徨い続けていた。
と。
「――――」
彼らの目の前、立ちはだかる人影。
フードを目深くかぶったパーカー姿の、恐らく少女。
ノイズの群れをにらみつけた彼女は、徐にポケットをまさぐった。
取り出したのは、音楽プレイヤー。
延びたコードが、フード下のヘッドホンと繋がっている。
なお睨む目をやめないまま、再生ボタンを押した。
途端に流れ出す軽快な音楽。
まるでゲームのように愉快な中、今度は赤と白が半々のボールを
「いけっ、ゴウカザルッ!」
掛け声と共に、放り投げる。
するとボールが二つに割れて、中から光が零れる。
零れた光は地面に落ちると、どんどん形を作っていき。
「ウーッ!エゥッ!」
爆ぜると同時に、異形の生き物が出現した。
体形や顔つきから猿らしいことは分かるが、色や体の模様が既存のどれにも当てはまらない。
一際目を引くのは、頭。
そいつの猛々しさを象徴するように、真っ赤な炎が燃え盛っていた。
一方のノイズ達は、だからなんだと結論付けて突撃。
立ちはだかるというのなら、もろとも炭に変えるのみ。
相手は一人、負ける気など毛頭なく。
「――――『マッハパンチ』ッ!」
「キキーッ!」
だからこそ、その攻撃をモロにくらった。
「『マッハパンチ』で速さを維持したまま、『ほのおのうず』ッ!」
「キャキャキャッ!」
少女の指示を受けた『猿』は、風のような速さを維持したまま、頭の炎を燃え盛らせる。
すると、まるで意思を持っているように動いた炎は渦を巻き始めて。
ノイズの群れに襲い掛かった。
「もういっちょ『ほのおのうず』!からの、そこのデカブツに『インファイト』ッ!!」
「エゥー!」
同じ渦をもう一度生み出し叩きつけてから、小型を次々吐き出している大型へ接近。
懐に潜り込んだと思うと、怒涛の連撃を突き刺していく。
反撃の暇もなく、徐々に仰け反った大型は。
抵抗むなしく崩壊するしかなかった。
「・・・・ッ」
厄介なものを討ち取った隙をついて、少女の背後から強襲するノイズ。
頼みの綱の『猿』が離れている今、彼女は無防備――――
「ッムクホーク!『でんこうせっか』ッ!」
「キイィーッ!!」
――――ではなかった。
にやっと笑った少女が号令をかければ、甲高い鳥の声。
風を超えてやってきた、猛禽類のような『鳥』が。
主人を襲う不届き者を貫いた。
「続けて『きりばらい』!」
「キィ!」
ノイズの残骸が視界の邪魔をし始めたので、『鳥』に命じて振り払わせる。
戻ってきた『猿』と一緒に見渡せば、まだまだ多くのノイズが残っていた。
上等だと鼻っ柱を親指でかすめ、少女は前のめりになっていた背筋を正す。
「いけッ!」
「ウキャーッ!!」
「キイィーッ!!」
号令と共に、二匹は再び飛び出した。
「ムクホーク『はがねのつばさ』ッ、ゴウカザルは『フレアドライブ』ッ!」
『鳥』は翼を鋼鉄のように煌かせて、『猿』は全身に炎を滾らせて。
それぞれの前方へ攻撃。
「ゴウカザル『インファイト』で千切って投げろッ、ムクホーク『でんこうせっか』で次々やれッ!」
「キィアー!」
「ゥキャァー!」
かと思えばあっという間に合流して、阿吽のコンビネーション。
拳に、炎に、翼に、風に。
ノイズ達は成すすべなく、蹂躙されていく。
「仕上げッ!ムクホーク『かぜおこし』ッ、ゴウカザルは『ほのおのうず』を風に乗せろッ!」
「キイィー!!」
「ウー!エゥッ!」
残り少なくなった敵を一掃すべく、仕上げにかかる。
『鳥』が巻き起こした風に、『猿』の炎を乗せる。
すると、風で巻き上げられた炎が勢い良く燃え上がり。
その猛威を増大させた。
『鳥』の制御下に置かれた風は、狙い通り最後の群れに直撃。
宙に巻き上げ、文字通り塵も残さず焼き尽くした。
警戒を解かない『鳥』と『猿』の後ろで、熱気から己を庇っていた少女もまた、険しい顔を続ける。
そうして神経を尖らせていた彼らは、やがて『鳥』と『猿』が緊張を解いたのを皮切りに。
少女が一息ついたことで、完全に緊張が霧散した。
「二人とも、お疲れ様。今日もよくやったね」
「キュイー」
「ウキキッ」
先ほどまでの勇ましさはどこへやら。
労いの言葉を欠ける少女へ、二匹は頭や頬を摺り寄せている。
少女もまた、そんな彼らの頭を撫でて、慈しんでいた。
しかし、そんな微笑ましい光景も束の間。
何かに気付いた『猿』が、突然唸り声を上げる。
続けて『鳥』も周囲を睨み始めた。
二匹の異変を感じ取った少女もまた、一緒になって視線をめぐらせると。
「あー、悪い。そう睨まないでくれ」
物陰から、人。
ここのところよく会う、同い年くらいの少女。
その後ろには、彼女の相棒である剣士の少女が控えていた。
「今の見てたよ、やっぱりすげえなアンタ」
「・・・・どうも」
立派な突撃槍を担いだ彼女は、快活な笑みを向けてくる。
褒められたので、一応頭を下げておいた。
突撃槍の彼女は笑い返した後、どこかさみしそうな顔になる。
「・・・・やっぱり、あんたとも仲間になりたいな。『そいつら』ももちろんだけど」
ちら、と『動物』二匹を見やってから、少女を見据える。
いやな気配を微塵も感じさせない、どこまでもまっすぐな目。
「あんたのアドバイスがあったら、もっとよくなれると思う」
いった後で、『いや、違うな』と頭をかく。
ひとしきり唸ってから、ふとまた笑って。
「そういうのどうでもいいや。あたしはあんたと、あんたの『相棒達』とも、仲良くなりたいんだ」
少女たちの警戒をあおらないように、数歩近づいてから。
手を差し出した。
先ほどから黙している剣士の少女は、相棒に判断に任せているらしい。
しかし表情が控えめなその顔は、やはり同じことを願っているように見えた。
一方の少女は『猿』と『鳥』に守られたまま、差し出された手と突撃槍の彼女を何度も見比べる。
フードから垣間見える表情からして、戸惑っているようだ。
だが、その沈黙もやがて終わる。
「・・・・二人とも、戻って」
おもむろに紅白のボールを取り出し、『猿』と『鳥』を収める。
その行為に突撃槍の彼女は、『おっ?』と期待のこもった眼を向けたが。
「・・・・ケーシィ」
再び新たな『動物』をだしたことで、がっくり肩を落とした。
全体的に黄色っぽい色合いをしたそいつは、起きているのか寝ているのか判断がしづらい。
「・・・・人を襲うつもりはこれっぽっちもないし、悪巧みとか疲れるだけ。だから、あなたたちが危惧している行動は起こさない」
残念そうに笑う突撃槍へ、淡々と口を開く少女。
「だけど、あなた達が『組織』である限り、そちらにつくこともない・・・・この子達は、あなた達の想像以上に、『強すぎる』」
どこか、痛みをこらえるような声で言いきって、一区切り。
「・・・・ケーシィ、『テレポート』」
「ケー」
少女の支持を受けた『動物』は、閉じているまぶたの間を光らせる。
すると二者を赤い光が包み込み、次の瞬間には消えてしまった。
「あーあ、またフラれちまった」
彼女達がいた場所を見つめていた突撃槍は、大きくため息。
「落ち込むことはないと思う、取りつく島もなかった前に比べたら、十分な進歩だよ」
そんな彼女へ、剣士の少女が歩み寄りフォローする。
「まあ、地道に口説いていくしかないかぁ」
相棒へ笑顔を向けた突撃槍は、何の気なしに天井の月を見上げた。
◆ ◆ ◆
突然だけど。
わたしこと『
ノイズなんて危険生物もいないふつーの人間世界にいたはずなんだけど、気が付いたら平行世界とやらに来てしまっていた。
金もない戸籍もないの、ないないづくしで正直困っていたけれど。
一つだけわたしに与えられた、異世界トリップなんかでよくある『特典』ってやつがあった。
それが、『ポケモントレーナー』である。
前の世界でプレイしたことのある、『ダイヤモンド・パール・プラチナ』『ルビー・サファイヤ・エメラルド』『金・銀・クリスタル』の三世代のポケモンを中心に使役できるという能力だ。
備え付けられていた音楽プレイヤーでバトルBGMなんかを流せば、ノイズ達にも対抗できる親切(?)使用。
さすがに伝説や幻レベルになると、ポケモンを所有できる数に制限がかかっちゃうけど。
どこにも頼るとこがなかったわたしにとって、非常に頼もしいことこの上ない。
・・・・・ただ、だからこそ気がかりもできるというか、なんというか。
ここのところちょくちょく『仲間になろうぜ!』と勧誘してきている二人組。
表では歌手活動をやっているみたいで、テレビでもよく顔を見かけるんだけど。
正直言って、お誘いはうれしいし、出来ることならお仲間にもなれたらと思ってたりする。
だけど、と。
スマホ型の端末で、ポケモンボックスを開く。
閲覧するのは、伝説・幻のポケモン達。
・・・・・・こいつらのこと知られたら、最悪悪用なんかされてしまったら。
罪悪感やらなんやらで、押しつぶされてしまいそうなんよなぁ。
アルセウスあたりとか、よそに渡したらぜってーやべぇ(確信)
だから、大変、ひじょーに、とてつもなく、申しわけないのだけれど。
お誘いを断っている日々である。
いや、なまじいい人達なのが分かっている分、胸がきりきりして・・・・・。
あれ?結局こっちもこっちでメンタルやばい感じ・・・・?
い、いやいや、でもやっぱり悪用されちゃたまったもんじゃないし!うん!
ここは、もうしばらく様子見ってことで!
「んー・・・・」
セーフハウスとなっているアパートで、伸びひとつ。
いやぁ、DPtで掘りまくった鉱石やらが売れてよかった・・・・。
今日も今日とて晴天なり。
ベランダから街を見渡して、耳を澄ませば。
色んな年代の、色んな人の、笑い声。
・・・・ポケモンでノイズ退治なんて始めたのは、結局のところ、青臭い正義感からだ。
学校教育やらなんやらで刷り込まれてきた『道徳感』が、『見捨てられない』と無謀な決意を抱いて。
だけど、助けるたびに言ってもらえる『ありがとう』はうれしいことに変わりはなく・・・・。
結局いつも通りの、『ま、いっか』の精神で、日々生きている次第でございます。
「さぁーて、今日は何しようかな」
吹いてきた風に気持ちよさを覚えながら、また伸びをした。
ぶっちゃけ、こんな感じのポケモンクロスは見たことないなと思ったので。
シーンを思いついてしまったのが運のつきでございます。
ほかにも、『女の子ってかわいいもの好きだよね』と、各種かわいいポケモンでクリスちゃんやらF.I.S.やら口説くシーンもイメージしたのですが、収集つかなくなりそうなのでこの辺にしておきます。
・・・・・・・誰か書いてもいいのよ?チラッチラッ