青春学園中等部の立役者   作:O.K.O

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見る人おるんかなあ|д゚)




第25話

伊武さんの新技ファニーアーム、一定時間腕を麻痺させるなんて反則も反則だろ。

原作とは違うって前回で学んだはずだったけど……えげつないな。

相手はあの伊武さんと神尾さん、それも不二先輩が戦闘不能で実質2対1、状況は誰が見ても圧倒的に不利、どう考えても絶望的だ……けど。

 

「これを跳ね除けてこそ、だよなぁ!」

 

こんな所で立ち止まってなんかいられない!まだまだ全国優勝への道は始まったばかり、絶望してる暇なんてない。

 

「立川、あとはお前だけだ」

 

「そうですか、じゃあギアチェンジってことでっ!」

 

俺はそうしてトスを上げ、今まで見せなかった渾身のサーブを放った。

 

「何を言って……っ!?」

 

その瞬間、伊武さんは俺のサーブに反応できず、その場で立ち尽くした。

 

「一球入魂」

 

「ふぃ、15ー0」

 

「うぉぉぉぉー!きたきたぁ、立川の必殺サーブ!!」

 

「そうだよ、サービスゲームはあいつのサーブがあった!!」

 

スカッドサーブに青学側が沸き立つ。一方、不動峰陣営は唖然としていた。

 

「おい、今のサーブなんだよ……全く見えなかったぞ!」

 

「それにあの深司が全く反応できてなかった……」

 

よし、度肝は抜けた。まだまだいこう!

 

「神尾さんいきますよ……一球入魂っ!」

 

「30ー0!!」

 

「と、取れねぇ……」

 

神尾さんも額に冷や汗を浮かべている。

 

「ナイスサーブ、悠!」

 

「な、なんで速さなの……。あんなサーブが打てる一年生って……」

 

既にスカッドサーブを見たことがある冥と、初めて見た杏の反応は対照的だ。

 

「た、橘さん!何かあいつのこと知ってたりしないですか?!」

 

「いや完全にノーマークだった……。青学1年立川悠、これほどの奴がいたとは……。だが、テニスはサーブで決まるゲームじゃない」

 

そうして俺はスカッドサーブによってこのゲームをキープする。

 

「ゲーム、青春学園!ゲームカウント5ー3」

 

「よっしゃぁ!ナイスサーブ立川!!」

 

「よし、これは行けるぞ!!次も取って試合終了だ!」

 

(次も取って、か……)

 

湧き上がる青学サイドであるが、青学レギュラー陣は後々のことを危惧していた。

 

「次のゲームは不二のレシーブがある。腕の硬直が溶けない間は左で打つことになるだろう」

 

「しかもその次のゲームは不二のサーブだ。このゲームで取り切りたいところだが……」

 

乾と大石は、冷静に現状を分析する。

 

(そう、問題はこのゲーム。そんなこと百も承知ですよ)

 

悠自身もこの第9ゲームの重要性を再度実感していた。そしてそれは不動峰も同様だ。

サーブは神尾、ボールを地につく。

 

(認めたくねぇが、確かに良いサーブだ……。だがそのサーブを打つ機会はもうない。悪いがこの試合、もらうぜ)

 

「リズムに乗るぜ!」

 

神尾は右腕が以前不自由な不二にクイックサーブを放つと、前になった重心に従ってネットに詰める。

 

「はやい!サービス&ダッシュ!」

 

神尾のクイックサーブが不二に襲いかかる。

その不二に対し、悠が声を張った。

 

「不二先輩、前に!」

 

「っ!分かった、任せるよ」

 

悠の声を聞き、不二はサーブに合わせてうまくラケットを当てる。

そしてそのまま、ネットに詰めた。

 

「不二が前に詰めた!チャンスだ深司!」

 

「うるさいなぁ、そんなこと分かってるよ。というか、これを狙ってたんだし当然だよね。まあこっからあの一年には苦しんで……ボソボソ」

 

それから、右ストレートにて悠と伊武の激しいラリーが始まる。

もちろん、通常であれば悠の方がラリー力は上であるが、今回に限っては観客者からは互角のように見えていた。

 

「だぁー!立川のやつ何やってんだよ!不二先輩との試合のラリーはもっとこう、迫力あったってのに!本調子じゃないのか?」

 

「確かに堀尾くんの言う通りだよね……」

 

「うんうん、立川くんはもっとすごいよね」

 

堀尾、カチロー、カツオがそれぞれ思ったことを口にする。

 

「あはは……確かに一見そう見えるかもしれないね。でも、互角に見えてるのが立川のすごいところだよ」

 

「え?どういうことですか河村先輩?」

 

3人トリオが首を捻る中、河村が答える。

 

「たとえば、ハーフコート対オールコートで試合をしたらオールコートが有利なのは分かるよね?」

 

「もっちろんすよ!ていうかそんなの当たり前じゃないですか!」

 

「じゃあ、今の立川と不動峰のラリー範囲を見てごらん」

 

「え?」

 

3人はコートに視線を向けると、悠は伊武に対して狭いアレーにのみボールを返しているが、伊武はその2倍の範囲に打ち返している様子が映った。

 

「あ、ボールを返してる範囲が全然違う……でもなんで」

 

「それは単純に、前衛の守備範囲が違うからだ。今、立川は右ストレートでラリーをしていて、不二は左手でラケットを持ってる。しかもモーションを見ても相手の神尾の方が守備範囲は広そうだよね」

 

「っ!!そういうことか!」

 

そう、河村の言うように不二は今利き腕が使えずラリー位置から遠い左腕でラケットを持っていた。

加えて神尾の守備範囲を考えると、悠のラリーコースが限定され伊武のコースが広くなるのは必然だった。

 

(まあ、不二が完全に立川に任せてるってのもあるけどね)

 

河村はコート上に立つ2人に対し、苦笑いを浮かべた。

 

「おいおい、あの一年互角に打ち合ってるぞ!!」

 

「すげぇ、さっきのサーブといい、一年でもやっぱり青学だな」

 

(違う、この状況で深司と互角になっているあの一年の技術がすごいんだ。立川悠……青学一年か……)

 

橘は立川を注意深く観察する。

 

「底が見えないな……だが、利き腕が使えなくなれば一緒だ」

 

橘の視線の先には、恐らく自分と同じことを考えているであろうボヤく伊武の姿があった。

 

「これで互角のラリーとかなんだよこの一年可愛くないなぁでもそこの前衛みたいに利き腕が使えなくなれば一緒だよ。ほんと嫌になるなぁ打てなくなったところでぶっ潰そ……ボソボソ」

 

そうして伊武がスポットを発動させるため、トップスピンとスライス回転を交互に打とうとしたとき、悠は静かにその口角を上げたのだった。

 

➖➖➖➖➖

 

悠はこの試合前、不二と話し合ったことを思い返していた。

 

『不二先輩、提案って何ですか??』

 

『立川のベータドライブのことなんだけど、普通のスライス回転のボールに対して使えたりする?』

 

『んー……やっぱり完全には厳しいですね』

 

不二の質問に対し、悠の答えはノーである。

悠は自分の使える技に対しての限界を把握しているため、当然ベータドライブが使える限界も分かっている。

おさらいではあるが、ベータドライブは不二のツバメ返しのようなスライスの超回転に対してトップスピンを加えることで、後のリョーマのcoolドライブのようなボールが全く跳ねないというイレギュラーを発生させている。

逆に言えば、それ以外のボールに対しては回転量が単純に足りないのだ。

しかし、悠の回答に対して不二は新たな疑問を感じた。

 

『完全に、とは?』

 

『あー、単純に回転量が足りないんでバウンド後にボールが転がるくらいの変化は起きないんですよ。どう頑張っても地面から5cmほど浮いちゃいます』

 

『っ!なるほどね……。ということは、頑張ればそのくらいの変化にはできるわけだ』

 

不二は悠の答えに、いつもにこやかな表情から思わず真顔になる。

 

『え、不二先輩?』

 

『やはり君はもっと先のステージを見据えて……いやこの話は藪蛇だね。よし、提案の方だけど今回僕が前半ツバメ返しで攻めるから、警戒してスライス回転になった相手をベータドライブで追い詰めてほしいんだ』

 

『なるほど……。それは大丈夫ですが、取られちゃうかもですよ?』

 

『ははっ、十分すぎる変化だよ。自分で言うのもなんだけど、ツバメ返しを打たれて平然とはできない。そんな警戒してる相手に、もう1人から同じようなボールを打たれるんだ。精神的なダメージとしては十分だよ』

 

不二はそう言っていつものにこやかな表情になる。

 

『不二先輩、もしかして結構性格悪いです……?』

 

『ふふっ、それは立川が言えないよ。それに』

 

『??』

 

『まだあの技(シックスセレクション)は取っておきたいよね?』

 

➖➖➖➖➖

 

「不二先輩、やります!」

 

「っ!!……ふふっ、頼んだよ」

 

俺は不二先輩に言われたことを思い返しながら、トップスピンとスライス回転を交互に打ち始めた伊武さんを見据える。

予定とは若干違ったが、結果オーライだ。

 

「何を考えてるのか知らないけど、もう終わらせる」

 

「それはこっちのセリフです!」

 

俺は伊武さんのスライス回転のボールに対し、トップスピンの超回転をかけた。

そうして俺が放ったボールはバウンド後、地を這うような変化を遂げる。

 

「っ!これは!!」

 

「ベータドライブ……(仮)」

 

「ら、0ー15!」

 

「うぉぉぉぉ、あれは不二先輩との試合で見せてた」

 

「「「ベータドライブ!!!」」」

 

これは(仮)だけどね……。

俺は未完成の技に対して苦笑いを浮かべた。

そんな様子はつゆ知らず、青学陣は歓声を上げる。

 

「なるほど、転がるとまではいかないがこの重要な場面であれを打てるのか。やはり不二を倒したのは伊達じゃない。良いデータが取れそうだ」

 

「立川いいぞ!!ナイスボール!」

 

(良いボールだ)

 

手塚が目を閉じ、メガネをクイッと上げる。

 

「マジかよ……。なんだよ今のイレギュラーバウンドは」

 

「おいおい、あいつ1年だろ?!なんであんなのが紛れてんだよ!」

 

「やりぃ立川!やっぱりこうでなくちゃな!こうでなくちゃいけねぇよ!」

 

そして試合はその流れのまま決着する。

 

「ゲームセット!ゲーム、ウォンバイ青春学園、6―3!」

 

盛り上がる青学サイドとは対照的に不動峰サイドは静まり返る。

 

「してやられたか……。立川悠、その名前覚えたぞ」

 

橘はまるで獲物を見つけた獅子のごとく、その瞳に悠の姿をとらえていた。

 

「橘さん……」

 

「何そんな辛気臭い顔してるんだ。確かに誤算ではあったが、まだ負けてはいない」

 

橘はそう言ってラケットを手に持ち立ち上がる。

 

「青学に吠え面かかせるとしよう」

 

ダブルス2勝者不二・立川

青春学園 2勝

 

次回シングルス3 海堂vs橘

 

 

 

 

 

 

 

 




アイデアは駆け巡ってますが文字に起こすのが大変……。
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