異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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今回は解説回だな


114皿目 ネバトロ丼

 

 

 

午前中のお客も捌けて、店長と明久はお昼の賄い作りに入ろうとしていた。

 

「さて、何にするかな……」

 

「店長、良いのありますよ」

 

店長が腕組みしていると、明久が店長にある物を見せた。

それを見た店長は、明久の意図を察して

 

「なるほど。今の時期には良いな」

 

と頷いた。そして、十数分後。

 

「お待たせ」

 

「今日はネバトロ丼だ」

 

店長と明久はゴンドラで持ってきた皿を、全員の前に置いた。

 

「ネバトロ丼?」

 

「ああ。トロロ芋、オクラ、納豆を一緒にご飯に乗せた料理だ。滋養強壮に良いぞ」

 

アレッタが首を傾げると、店長が簡単に説明した。

全体的に白い料理で、所々に茶色と緑色が見える。

 

「今朝、何時もの八百屋さんが良いとろろ芋が入ったってくれたんだよ。そこに、納豆とオクラを合わせたんだ」

 

因みにだが、本来とろろ芋を始めとした山芋は春と秋に採取可能だが、そこから長期保存が簡単。故に、一年を通して野菜売り場や八百屋に並んでいる事が多いのだ。

 

「出汁醤油と温泉卵、出汁つゆと用意したから、好きに使って味付けしてくれな」

 

「こっちは、ネバトロにあやかってナメコの味噌汁だよ」

 

明久はそう言って、ゴンドラで一緒に運んできたお鍋から味噌汁をよそい、手渡していく。

そうして、全員に行き渡ったのを確認し

 

「いただきます」

 

『いただきます』

 

何時もの挨拶をしてから、食べ始めた。

 

「このとろろ、確かに良いですね。味が濃いのに、さっぱりしてます」

 

「だろ? 磨ってる時から、良いとろろ芋って分かったからな」

 

沙希の言葉に、店長が反応した。

よく言われる山芋だが、実は四種類ある。

最も流通しているのが、長芋。

長芋はサクサクしていて、細切りにしてサラダ等に使われる事が多い。

次に、大和芋(関東呼称。関西ではつくね芋とも呼ばれる)。

非常に粘り気が強くコクが強い為にとろろや揚げ物に使われる。

3つ目が、今回使っているいちょう芋。

主に関東でとろろ芋として流通しており、長芋より粘り気があり、とろろとして適している。

最後に、自然薯。

その名前の由来となった、日本古来の国有種であり、天然物は香りと粘り気が強く、高級食材としてよく使われる。

 

「これも、お芋なんですね……」

 

「自然の神秘ね。芋って一言で言っても、色んな種類があって、用途別に使われるんだから」

 

アレッタの言葉に、霊夢が頷いた。

アレッタが知っているのは、ダンシャクと呼ばれるジャガイモと、よくデザートで使われるサツマイモの二種類だったが、新たにとろろ芋が出てきた事になる。

しかし、霊夢からしたらとろろ芋も慣れ親しんだ種類だ。

幻想卿では、よく八百屋に並んでいる。

 

〈このなめこの味噌汁というのも、面白い。ヌルヌルしてるのに、固さもある。不思議な食感〉

 

「それも、自然の神秘だね」

 

クロの言葉に、明久が答えた。

因みに、なめこは胃腸に良い事が分かっており、ダイエットにも良い。

 

「これなら、幻想卿でも作れそうです」

 

「頑張りなさい、妖夢」

 

妖夢は妖夢で、幻想卿でも買える食材なので、再現する気らしい。

 

「やっぱり、とろろ芋ってお腹に貯まりますね」

 

「さて、午後も頑張りますか」

 

店長のその言葉で、ねこやは午後の営業に戻っていく。

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