異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

145 / 145
今回は解説回だな


114皿目 ネバトロ丼

 

 

 

午前中のお客も捌けて、店長と明久はお昼の賄い作りに入ろうとしていた。

 

「さて、何にするかな……」

 

「店長、良いのありますよ」

 

店長が腕組みしていると、明久が店長にある物を見せた。

それを見た店長は、明久の意図を察して

 

「なるほど。今の時期には良いな」

 

と頷いた。そして、十数分後。

 

「お待たせ」

 

「今日はネバトロ丼だ」

 

店長と明久はゴンドラで持ってきた皿を、全員の前に置いた。

 

「ネバトロ丼?」

 

「ああ。トロロ芋、オクラ、納豆を一緒にご飯に乗せた料理だ。滋養強壮に良いぞ」

 

アレッタが首を傾げると、店長が簡単に説明した。

全体的に白い料理で、所々に茶色と緑色が見える。

 

「今朝、何時もの八百屋さんが良いとろろ芋が入ったってくれたんだよ。そこに、納豆とオクラを合わせたんだ」

 

因みにだが、本来とろろ芋を始めとした山芋は春と秋に採取可能だが、そこから長期保存が簡単。故に、一年を通して野菜売り場や八百屋に並んでいる事が多いのだ。

 

「出汁醤油と温泉卵、出汁つゆと用意したから、好きに使って味付けしてくれな」

 

「こっちは、ネバトロにあやかってナメコの味噌汁だよ」

 

明久はそう言って、ゴンドラで一緒に運んできたお鍋から味噌汁をよそい、手渡していく。

そうして、全員に行き渡ったのを確認し

 

「いただきます」

 

『いただきます』

 

何時もの挨拶をしてから、食べ始めた。

 

「このとろろ、確かに良いですね。味が濃いのに、さっぱりしてます」

 

「だろ? 磨ってる時から、良いとろろ芋って分かったからな」

 

沙希の言葉に、店長が反応した。

よく言われる山芋だが、実は四種類ある。

最も流通しているのが、長芋。

長芋はサクサクしていて、細切りにしてサラダ等に使われる事が多い。

次に、大和芋(関東呼称。関西ではつくね芋とも呼ばれる)。

非常に粘り気が強くコクが強い為にとろろや揚げ物に使われる。

3つ目が、今回使っているいちょう芋。

主に関東でとろろ芋として流通しており、長芋より粘り気があり、とろろとして適している。

最後に、自然薯。

その名前の由来となった、日本古来の国有種であり、天然物は香りと粘り気が強く、高級食材としてよく使われる。

 

「これも、お芋なんですね……」

 

「自然の神秘ね。芋って一言で言っても、色んな種類があって、用途別に使われるんだから」

 

アレッタの言葉に、霊夢が頷いた。

アレッタが知っているのは、ダンシャクと呼ばれるジャガイモと、よくデザートで使われるサツマイモの二種類だったが、新たにとろろ芋が出てきた事になる。

しかし、霊夢からしたらとろろ芋も慣れ親しんだ種類だ。

幻想卿では、よく八百屋に並んでいる。

 

〈このなめこの味噌汁というのも、面白い。ヌルヌルしてるのに、固さもある。不思議な食感〉

 

「それも、自然の神秘だね」

 

クロの言葉に、明久が答えた。

因みに、なめこは胃腸に良い事が分かっており、ダイエットにも良い。

 

「これなら、幻想卿でも作れそうです」

 

「頑張りなさい、妖夢」

 

妖夢は妖夢で、幻想卿でも買える食材なので、再現する気らしい。

 

「やっぱり、とろろ芋ってお腹に貯まりますね」

 

「さて、午後も頑張りますか」

 

店長のその言葉で、ねこやは午後の営業に戻っていく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

幻想郷食堂(作者:storyblade)(原作:東方Project)

初めましての方は初めまして。前作をお読みくださった方はお久しぶりです、storybladeです。▼今作「幻想郷食堂」は「東方project」と「異世界食堂」のコラボ作品になります。東方の幻想郷にもあの食堂の扉が現れたらどんな感じになるか、という作品です。▼ただ自分は原作の東方projectをそのゲームを通して本格的に知りましたので、本作品に出てくる東方キャラ…


総合評価:2249/評価:8.13/連載:50話/更新日時:2026年03月08日(日) 17:00 小説情報

異世界食堂 二軒目!(作者:電動ガン)(原作:異世界食堂)

7日に1度、世界に現れる洋食のねこやの扉・・・▼だが!世界にはまだあった!!!▼ねこやの扉が現れるドヨウの日とは別に、スイヨウの日に現れた扉▼その扉は定食屋ふたばの扉であった。


総合評価:4514/評価:8.42/連載:58話/更新日時:2026年07月01日(水) 11:57 小説情報

魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】(作者:月乃杜)(原作:魔法少女リリカルなのは)

.▼ 緒方優斗は転生者。▼ 二度に亘る転生を以て、様々な世界を転移して関わってきた。▼ そして遂に来るべき時が来てしまう。▼ 上司である【純白の天魔王】と原典を同じくする、【魔法少女リリカルなのは】の世界への移動……▼ 『嫌だな〜』とか思ったけど、時空管理局に地球へと好き勝手に関わらせて、ゲートを発見されるのは余りに拙い。▼ 優斗は管理局が地球に関わらない様…


総合評価:1948/評価:4.9/連載:100話/更新日時:2026年03月28日(土) 00:00 小説情報

メティー&ベルのアトリエ ーオラリオの錬金術士ー(作者:斎藤 晃)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

彼女は親子の形を知らぬまま死ぬはずだった。▼彼は母親を知らずして成長するはずだった。▼運命のいたずらにより、不治の病を克服した彼女は、子供たちとともにオラリオでお菓子屋を開いている。▼これは、そんな彼女と子供たちの物語である。▼タイトルロゴをGeminiで作りました。(上部のキャラの影絵は適当です)▼【挿絵表示】▼主人公の1人、メーテリア・クラネルの姿をGe…


総合評価:825/評価:8.33/連載:30話/更新日時:2026年07月06日(月) 09:09 小説情報

ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか(作者:ダーク・シリウス)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

気がづけば異世界にいた。どこ、ここ?と放心していると朱色に糸目の女性に声を掛けられた。▼「自分、うちの眷族にならん?」▼その一言で俺の異世界人生が始まって、後に直ぐ自分の身を顧みず強さを異常にまで求める金髪幼女、雨の中で同じ境遇の異邦人でありながら復讐を臨む銀髪の幼女と出会う―――。▼


総合評価:3211/評価:6.66/連載:136話/更新日時:2026年05月27日(水) 09:45 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>