涼風紅葉   作:唯我独尊

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お久しぶりです。
社会人になって忙し過ぎて、少しずつ書き留めていたのがやっと投稿しても大丈夫かな?ってクオリティーになったので出します!ネタ的に古いのがあるけど気にすんな!(やけくそ)

ps.NEW GAMEが完結して嬉しいような悲しいような気持ちです。皆さん画集買いましょう!


5話

「お兄ちゃん朝だよー!」

 

「ぐへっ!」

 

とある休日――朝気持ちよく寝ている所を妹にダイブされ起こされる。

 

「朝っぱらから何すんだよ。ほらとっととどきやがれ、俺はまだ寝てたいの」

 

無理やり起こされたことに多少の苛立ちを感じつつも、睡魔の誘惑がすごく再び眠りにつくため毛布にくるまる。

しかし次は体を揺さぶられ妨害されてしまう。

 

「お兄ちゃんもう10時だぞ~!いい加減起きなよ~!」

 

「あー、もうわかった!起きるから、起きるから揺さぶるのやめろ」

 

二度の睡眠妨害により中途半端に意識が覚醒してしまい、この状態だと寝付けそうにない。何より目の前にいる駄妹が寝させてくれない。

上半身をお越しベットに座ったまま元凶の駄妹を見ると、何処かへ出かけるのかお洒落な恰好をしていた。

 

「ん?お前どっか出かけんの?」

 

「うん。ねねっちと映画観に行くんだ!会うの久しぶりだし元気にしてるかな?」

 

「さあ?あいつのことだし周りから『中学生』とか言われてからかわれてるんじゃないの」

 

「あははは。そう言えば電話で周りの人から『中学生』ってよくバカにされるって言ってたなー」

 

冗談混じりに口にした言葉だったが、どうやら本当にバカにされてるらしい。愚妹、もとい青葉の幼馴染み桜ねねは確かに見た目だけで言えば中学生にしか見えない。なので大学に入ったらからかって来る奴がもしかしたらいるかもとは思っていたが。

 

「それは災難なことで。……ところでお前は会社でからかわれたりしないの――青葉」

 

「え?会社で……?なんで?」

 

「いや、だってお前もねねと一緒で見た目完全に中学生じゃん」

 

そう、目の前にいるこの妹も幼馴染みと同じく見た目完全に中学生なのである。類は友を呼ぶというか何と言うか。

 

「はぁ~~~~~~~!?そんなこと無いよ!高校生ぐらいには見えるよ!お兄ちゃんのバカッ!」

 

青葉はそう言うと顔を真っ赤にしながら俺の部屋から出て行った。

 

「はいはいバカで結構ですよっと」

 

うるさい妹が部屋を出て行ったので俺は再び眠りにつくため毛布に包まり目を閉じる。

 

「……寝れない」

 

一度覚醒した状態から眠りにつくことは中々難しいみたいなので、寝ることを諦め朝食をとるため一階のリビングへと向かう。

 

 

リビングでは母さんがキッチンで洗い物をしており青葉の奴はいないようだ。もう出かけたのか?

 

「母さんおはよう。青葉は?」

 

「青葉ならさっき出かけたわよ。それより食器が片付かないから早くご飯たべちゃって」

 

「はいはーい」

 

それにしても青葉のやつ映画に行くっていってたっけ? 映画……。映画……?何故だろう……。”映画”という二文字が妙に心の何処かで引っかかる。

 

何故だろう……?

 

――ポキポキ♪

 

そんな思考に浸っているとスマホから一通の通知が鳴り響いた。

通知音からしておそらくLI〇Eだろう。

画面を開きトーク履歴を見るとどうやらひふみから送られて来たらしく、そこにはこう書かれていた。

 

『おはよう(^∇^)

 待ち合わせの時間より早く着いちゃったから近くのカフェで待ってるね(๑´ڤ`๑)テヘ♡

 近くまで来たら連絡して。遅刻厳禁だゾ(ρω< )』

 

「――やっべ。完全に忘れてた」

 

そうだった。今日はひふみと映画を観に行く約束をしていた日だ。どうする?今から家を出ても待ち合わせの時間には間に合わない。

仕方ない。言い訳は取り敢えず行きながら考えるとして、出掛ける支度をしよう。

 

「母さん、急用出来たから朝ごはんいらない!」

 

俺は母さんにそう伝え勢いよくリビングから飛び出した。

後方から聞こえてくる”はぁ!?ちょっと待ちなさい!”と言う声を華麗にスルーしいそいそと出掛ける支度を始めるのであった。

 

 

 

 

――

 

 

 

 

「ごっめ~んひふみちゃん! いやー、LI〇Eでも伝えたけど電車が遅延しててさ~。もう本当に困っちゃうよね」

 

待ち合わせ場所には彼女の姿が既にあり、遠目からでも判るくらい不機嫌そうなオーラを放っていた。具体的にはナンパ男が一瞬だけ声を掛けるが、オーラにあてられて一目散に撤退する程だ。

そんな彼女に俺は出来るだけ申し訳なさそうな雰囲気で声を掛ける。

 

「いや、ひふみちゃん本当ごめんね。間に合うように家を出たはずなんだけどさ、ちょっと遅延しててさ」

 

「――うそ」

 

「へ……?」

 

「……うそ……だよね」

 

彼女は冷ややかな視線を一度こちらに向けると、スマホを人差し指で操作しながら此方に画面を見せつける。

 

「くれは君の……乗ってきた路線が遅れてるなんて情報……何処にも……無かった」

 

ひふみからそう言われても俺は驚きはしなかった。そりゃそうだ。だって遅延なんてしていないんだから。ここに来る途中、電車の中で思いついた言い訳なのだから。実際は遅延なんて一分一秒たりともしていない。

もう嘘ついたってバレてるし今日の約束忘れてたこともろもろ素直に謝るしかないか……。

 

憂鬱な気持ちを抑え込み意を決して謝罪の言葉を発しようとしたその時、ワンテンポ早く彼女の口が開いた。

 

 

「――寝坊して……遅れたんだよね……?」

 

彼女の言葉に一筋の光を見つけた俺は全力で肯定する。

 

「う、うん……! そうそう! 寝坊して遅れたの! 本当ごめん!」

 

「ううん……。素直に謝ってくれたから……別に気にしてない」

 

なんて寛大な彼女なんだろう。大幅に遅刻した俺を怒らない処か謝ってくれたから無条件で許すと。あまつさえ遅刻理由まで推察してくれて、真実を誤魔化すようにセルフ誘導までしてくれるなんて。

忘れてたなんて真実は墓場まで持って行こうと心に誓おう。

 

「ホントごめん! 次から気を付けるから!」

 

「それ……もう何回も聞いた。くれは君が……時間にルーズなの……知ってるから。遅れてきても……何とも思わない」

 

俺の謝罪に対してひふみはプイッと顔を背けてそう言ってくる。

 

「あ、あれ? ひふみちゃん? やっぱり怒ってる?」

 

「別に……怒ってない」

 

以前としてプイッと顔を背け、俺と目を合わせようとしない。

これ絶対怒ってるじゃん。遅刻、もとい約束を忘れていた俺が悪いのだが。

にしても一回不機嫌になると中々どうして機嫌が良くならないで有名なひふみだからな……。これは困った。こんな雰囲気でデートととかしたくないんだけど!デートするなら楽しくしたいじゃん!……まあ、原因を作った俺が言える立場では無いのだけど。

 

「あっ、そう言えば映画の時間大丈夫? まさかもう始まってたりとか……?」

 

「大丈夫……。くれは君のことだから……どうせ遅れてくるだろうと思って……早めに待ち合わせしてた……」

 

「な、なるほどな」

 

さ、流石ひふみ。俺の事をよくご存じで。

 

「な、ならさ! まだ時間あるならタピオカでも飲みに行こう! ほら、ひふみも飲んでみたいって言ってたじゃん!」

 

「べ、別にいらない。飲みたいなんて……言ってない」

 

おっ、ツーンってしてた表情が一瞬揺らいだぞ。てかこの間一緒に飲みに行こうって誘ってきただろ。

 

「ほら、強がってないでタピオカ飲みに往くぞ」

 

そう言ってひふみの手を取り強引に目的地まで引っ張って行く。

 

"まだ行くって言ってない”と抵抗してくるが、満更でも無さそうな声色なのでそのまま無視して連れていくことにする。その証拠に先程よりも幾分か頬が緩んでいるような気がする。

 

 

 

行き行く人々とすれ違いながら歩くこと十数分、俺たちはタピオカ屋さんに無事たどり着き購入していた。

 

「タピオカミルクティーを二つ」

 

店員から二つのタピオカを受け取り、その内の一つをひふみに手渡す。

 

「はいこれひふみの分」

 

「ん……ありがと」

 

ひふみは俺からタピオカを受け取るとストローに口を付けて飲みだした。

つい十数分前まで"飲みたいなんて言ってない"なんて言ってたのに今じゃ嬉しそうな顔して飲んでる。

 

「ひふみ?美味しい?」

 

「うん……美味しい」

 

ストローから口を離し俺の質問にそう答えると、再びストローに口を付け幸せそうに飲み始める。そんな上機嫌になったひふみの姿を見て連れてきて良かったと思う俺であった。

 

 

 

――

 

 

 

 

「そういえばさ、何の映画観るの?」

 

タピオカで餌付けし見事上機嫌になったひふみと無事映画館まで来たのだが……何の映画を観るのか決めていない。否、教えられていない。そもそも今日ここに来たのはひふみが”観たい映画があるから一緒に観に行こう……!”と熱い眼差しで誘って来たからだ。俺が”何観に行くの?”と聞いても”くれは君も好きそうなの”としか答えてくれなっかた。なので絶賛俺は何を観るのか知らされていない。

まあ、たが予想は凡そ付いている。ヒントは俺も好きそうなもの!そして今絶賛公開中の大人気映画「鬼〇の――」

 

「――ムーンレンジャー」

 

「……へ?」

 

ひふみは今なんと言った?俺の聞き間違いか?ムーンレンジャー……?あ、あれか!鬼〇の刃、無限列車編→ムゲンレッシャ→ムゲーンレッシャー→ムーンレンジャー!的な奴か。まあひふみ変に文字る所あるからな。

 

「よし!じゃあムーンレンジャー観るか!」

 

「うん……!やっぱり、くれは君も好きだったんだねムーンレンジャー……!」

 

俺の反応を見て瞳を輝かせてチケット売り場まで早く行こうと言わんばかりに手を引っ張てくる。

 

「うん……俺も好きだよ。ムゲーンレンジャー」

 

「ムゲーンレンジャー……?」

 

楽しみだなームゲーンレッシャ―(遠い目)

 

 

 

「大人一枚、大学生一枚で」

 

「はい、では確認しますね。魔法少女ムーンレンジャー(・・・・・・・・・・・・)大人一名、大学生一名様ですね。」

 

「……はい」

チケットを受け取り、店員さんの”ありがとうございました”と言う声を背にその場を後にし、チケットに書かれているスクリーン二番へと入り指定の席に座る。

 

……はい。何となく予想は付いていました。鬼〇の刃で無いことは予想付いてました。だけどまさか……低年層向けの魔法少女アニメだったとは。と言うか俺はこのアニメをまともに観たことが無いのだが、何故ひふみは俺が好きそうな映画と言ったのだ?

 

「ひふみちゃん、俺別の奴と勘違いしててこのアニメあんまり観たこと無いんだよね。ちなみに何だけど、何で俺がこれ好きそうって思ったの?」

 

「えっ……!?そ、そうなんだ……」

 

俺の言葉に上映間近で待ち遠しそうな表情が少ししょんぼりと残念そうな表情へと変化する。

 

「な、何でって……、だって……くれは君が前家に泊まりに来た時……一緒にDVD観てくれてたからてっきり……こういうアニメ好きなのかなって思って……」

 

「なるほど……」

 

うん。多分それ、徹夜明けでウトウトしてただ隣に座ってただけだ。全然記憶にない

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

「あれ?今の後ろ姿?ーー紅葉くん?」

 

 

 

 




久しぶりに投稿したけど楽曲とか付けれるようになってる?!

次の投稿予定は未定です。。。。

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