それを"何と"名付けるかはきっと貴方達次第   作:ハマグリボンバー

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それが"何で"あるかは結局のところ自分次第

 

────ずっと、失敗だらけの人生だったから。

 

 

 

 

 

 

 『ヒーローの心得はなんですか?』

 

 それは、星也が高校生になる前の話。

 それは、星也が中学生でなくなった後の話。

 

 ニコニコと笑うお茶子が、テレビのリモコンをマイクに見立て、星也にそんな事を聞いた。

 バタバタと荷物をスーツケースに詰め込みながら、呆れたように彼は言う。

 

 『いや、まだ雄英に受かっただけだから。入学式すらしてないから』

 

 心得とか言われてもわからん、と。その時星也は苦笑した。

 それは期待していた反応と違ったのだろう。お茶子は唇を尖らせ、えー!!と非難の声をあげた。

 

 

 『もうヒーローになったようなもんなんやろ!?』

 

 ドタドタと足を鳴らす姿は、昔からずっと変わらない。成長しないなぁと、星也はしみじみ思う。

 いつまで経っても、お茶子は子どものままだ。

 

 『いや違うだろ。まだスタートラインにも立ってねーわ。……まぁ、お子様なお茶子にはわからないか』

 『もうそんなに子どもじゃないもん!!』

 

 むきー!と少女は歯を剥いて兄を威嚇する。

 歳の離れた兄妹だったから、星也はいつもこうしてお茶子をからかっていた。

 

 

 『じゃあ!じゃあ!本当のヒーローになったら答え合わせしようよ!』

 

 先程の怒りはどこへやら。一転して表情を輝かせるお茶子が、名案だとばかりに跳ねた。

 

 

 『それちょっと恥ずかしいな。これから言う言葉が、いつか雑誌に載ったりするんだろ?"No.1ヒーローの原点"とか言って』

 『なに言っとん?』

 『おい真顔やめろ、真顔』

 

 星也の渾身のジョークは、きょとんとしたお茶子には通用しない。いつだって、彼は面白いことを言おうとするとダメなのだ。

 

 

 『いいからやるの!!やーるーのーー!!!』

 『うっさ!!わかったよ!やるやる!やりたいです!!』

 

 癇癪のように声を張り上げたお茶子に星也が負けずと叫べば、床下をドンと叩く音がした。

 明日の早朝から始まる仕事に備え、早々に『寝る』と言って寝室に籠った父親が、眼を覚ましてしまったのかも知れない。

 

 二人は一気にクールダウン。バランスを取るように両手を広げ、目を合わせてはニシシと笑った。

 

 お茶子がリモコンを握った手を星也の口元に伸ばす。何がそんなに楽しいのか、お茶子はニコニコと笑っていた。

 その口から発せられたのは、先程と同じ問いだ。

 

 

 『───お兄ちゃんにとって、ヒーローの心得はなんですか?』

 

 

 

 

 

 

 

 走る。走って、走った。

 

 

 そこは届出すらされていない地下通路。整地されていない土の地面は、到底走るのに適しているとは言えない。

 ドタドタと鳴らす足音は、合計で三十程度。その主は正規のヒーローだけでない、ヒーローの他にも雄英高校のインターン生や警察官が同様に肩を並べている。

 狭い通路故に、大人数にも感じるその一団は、その実、当初の人数の3割程度でしかない。

 重傷であった『イレイザーヘッド』や天喰環、緑谷出久、切島鋭児郎などは病院に搬送中。『リューキュウ』と波動ねじれは、上空から先回りをしている。その他にも、捕縛したヴィランの搬送にも人手を必要とするのだから、これだけの人数が集まれただけでも幸運なのかも知れない。

 

 当然、彼等とて無傷ではない。戦闘において常に矢面立たされるプロヒーローは当然としても、それ以外の警察官等も、突発的な戦闘やプロヒーローの戦いの余波で少なからず手傷を負っている。

 

 その中でもとびきりなのは、やはり先頭を走るその男だろう。

 

 血と吐瀉に汚れた服と、フラフラと左右に揺れる身体。荒い息と共に何度も血を吐き出し、眼は半分も開いていない。

 

 他でもない、麗日星也だ。

 

 

 ヒーロー『シューティングスター』の成れの果て。ヴィラン『メテオレイン』の搾りカス。

 

 

 満身創痍だった。限界だった。許容量の限界まで個性を行使し、幾度となく象徴の一撃を受けたその身体は、到底動かし得るものではない。

 

 それでも、まだやり残した事があったから。

 

 

 いつだってそうだ。彼の人生は、意地と虚勢で出来ていた。

 

 

───もうやめろと、立ち止まれと、自分の背後で誰かが言う。でも違う。違うのだ。自分はもっとやれる筈で、この世界は、こんな悲劇を許容したりしない筈だ。

 

 誰も手を伸ばせないなら、それはきっと自分の仕事だ。その為に、麗日星也はここにいる。

 

 

 今にも倒れてしまいそうなその男は、前に進むことを決して止めない。

 

 

 

 

 

 

 

 それは、星也が高校生になった後の話。

 それは、星也が佐々波夢見の彼氏になる前の話。

 

 

 『わー!!綺麗!!……ねね、見て見て!私の瞳と一緒の色!!』

 

 そこは一面のラベンダー畑。

 その瞳を宝石のようにキラキラと輝かせながら、佐々波夢見は、嬉しそうに声をあげた。

 

 

 この時はそう、少し前に開かれた体育祭で、夢見との賭けに負けた星也が、彼女を連れて出掛けていたのだ。

 

 共に地方から出てきた一人暮らし。学校での座席が近いこともあって、二人の仲は良好だった。

 

 

 『バカ言うなよ佐々波。そもそも自分の眼を"瞳"って言う所から恐れ多いわ。是非反省しろ』

 『え?なに?今犬の鳴き声がしたんだけどもしかして麗日?賭けに負けた麗日が犬みたいな鳴き声を出したの?ちょっと勘弁してよね。私、犬の散歩に来たわけじゃないんだから』

 『……アンタの性根はどうなってんだよ』

 

 貴方が萎えること言うからでしょ、と。夢見は肩にかかった黒髪を後ろに払った。

 それでも、その薄い唇は僅かに弧を描いている。

 

 『そもそも、予選で私に負けただけで根に持ち過ぎだから。総合一位が負け惜しみとか、なんかおかしいでしょ』

 『あれだけ完膚なきまでにやられて、気にするなとか無理だろ』

 『そんなもん?』

 『そんなもん』

 『そっか』

 

 半歩分だけ前を歩いていた夢見が、踊るように星也に向き直った。非常に稀有な紫の瞳と、凡庸な黒い目が交錯する。

 

 背後には鮮やかな花畑を背負い、その髪を風に拐われぬように撫で付けるその女性を。

 

 綺麗だ、と。素直にそう思った。 

 

 

 『次は星を見に行こっか』

 

 

 次、"次"か。星也は思わず苦笑した。

 社交辞令だろうか。本気なのだろうか。星也には、佐々波夢見という人間は未だに良くわからない。

 

 それでも、"次"があったら良いなと、そう思う。

 

 

 『───栃木県に、良い所があるんだ』

 

 

 

 

 

────うるさい。黙ってくれ。

 

 

 昔の事ばかりを思い出す自分の脳に、精一杯の叱咤をする。

 

 そんな場合ではないのだ。過去に浸っていられる状況ではない。

 一歩でも前へ。この足を少しでも先に。

 限界を超えて、死力を尽くして、麗日星也はその一歩を刻んでいく。

 

 きっとこの道は、麗日星也の人生だ。

 決して平坦ではなくて、決して楽な道ではなくて。その道を走り抜けるだけで精一杯。

 それでもいつだって、足を止めることが出来ない理由がある。

 

 

 

 

 「間に合うのか?」

 

 誰かがそんな事を問うた。

 

 

 ヒーローが"死穢八斎會"の襲撃から星也を撃破するまでに要したのが約30分程度。『オーバーホール』が地上に上がると予測されるポイントは、"死穢八斎會"の本拠地から約七キロ離れた廃工場跡地だ。幼い少女を連れて歩けば、多少無理したとしても一時間はかかるだろう。

 

 タイムリミットは半刻。

 

 

 無理のある距離じゃない。可能な筈だ。

 

 

────可能な、筈だ。

 

 

 カツッ、と。上がり切らなかった星也の足が、凹凸とも呼べない地面の隆起に引っ掛かった。

 

 受け身をとることは出来なかった。いや、自分が転んだことすら認識出来ていないのではないだろうか。

 

 フラりと流れる身体。地に伸ばされた手には僅かにも力が入っていない。

 

 強く打った頭が、地面から一度だけ跳ねた。

 

 

 

 

 

 

 それは、星也が佐々波夢見の彼氏になった後の話。

 それは、星也が『シューティングスター』になる前の話。

 

 

 

 

 雄英高校ヒーロー科である1年B組。星也や夢見の所属するクラスで行われた"ヒーロー名"の考案。

 廊下側の端の列に縦並びで座る二人は、仮にも授業中であるにも関わらず相談をしていた。

 もっとも、通常の授業とは大きく異なる今回においては、クラス全体がガヤガヤとした喧騒に包まれている。

 

 

 『は?シューティングスター?』

 『そそ、良い名前じゃない?』

 

 

 後ろから身体を乗り出すようにして星也の手元を覗き込んだ夢見がそんなことを言った。

 "メテオレイン"と書かれた手元のフリップを見ながら、星也は眉をひそめた。

 

 

 『これじゃダメなのか?』

 『ダメじゃないけど、ヒーローっぽくないよ。なんで隕石なの?』

 

 うーん、と唸りながら夢見が問う。

 

 『なんか強そうだろ?星すら終わらせる一撃だ。例えどんな障害があろうともこの身が貫いてみせるっていう誓いを込めて。俺にとって隕石は力の象徴だから』

 『なにそれ、臭すぎて鼻が曲がりそうなんだけど。そもそも隕石って災害でしょ?流星は皆に喜ばれるものだし、そっちの方が良いじゃない』

 『それはキラキラしててキャラじゃないなぁ。それに流れ星ってすぐ燃え尽きちゃうだろ』 

 『星也にはおあつらえ向きじゃん』

 『喧嘩売ってんのか』

 

 そう言って、星也は短く嘆息した。

 フリップを机の上に放り出し、教室の壁に体重を預ける。

 教室全体を仰ぐようにしつつも、目線は夢見にのみ向けられていた。

 

 『それにしてもそのセンスはどうなんだ?長音が2つも入ると呼び辛いだろ』

 『なに?このセンスの良さが分からないわけ?これだから田舎者は』

 『おい、和歌山出身おい』

 

 『生まれは埼玉だから』と良い募る少女を手で払う。幼稚園に上がる時に引っ越したのだから、彼女の地元はなんと言おうと和歌山だ。

 いや、和歌山県が悪いわけではない。夢見がお土産にくれた柚子のマーマレードは、それはもう絶品だった。

 だがそれとは別に夢見も立派な田舎者だろう。良くわからないセンスまで出身地のせいにされては我慢ならない。

 

 星也は一度頭を掻き、手元のフリップをひっくり返した。そして新しいフリップを取り出す。

 その姿に夢見は眉を上げた。

 

 『良いの?』

 『まぁ良いよ。別にこだわりがある訳じゃない。夢見が名付けてくれるんなら、それも良いだろ』

 『そう?嫌なら他にもコメットマンとか候補があるけど』

 『いや、シューティングスターで良いよ。それがいい』

 

 やや太い黒ペンのキャップを外せば、ポン、とマヌケな音が響いた。

 迷うことなく、星也はその筆を走らせる。

 

 

 『今日から、俺はシューティングスターだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少しだけ、気を失っていたらしい。

 

 夢見の個性によって強制的に覚醒させられるそれは、目が覚めたというよりも、限界ギリギリまで息を止め続けた後に水面から顔を出した時のような、言い様のない不快感がある。

 

 星也の額に当てられた誰かのひんやりとした手が、彼の覚醒と同時に離される。

 名残惜しむような情けない声が、意図せず自分の口からこぼれた。

 

 「星也、聴こえる?視界は?」

 

 目の前の女性──佐々波夢見は、こんな状況にも関わらず星也を気遣うようにその眼を覗き込んだ。

 

 霞み、歪んだ視界はどこか赤い。それが星也の肉体に問題があるのか、夢見の身体が血に染まっているからかは、星也には判断がつかないことだ。加えて、夢見の声も汚れたフィルターを通したように聞き取り辛かった。

 感覚のない手足も、酷く痺れている。

 

 それでも、まだ指先は動いた。

 

 

 「───大丈夫だ。ありがとう、夢見」

 「……感謝はしないで。感謝されるようなこと、私はしてない」

 

 

 知っている。

 夢見の個性では、誰かを治療することは出来ない。個性の応用で、"肉体に異常がないかのように勘違いさせる事が出来る"だけだ。それがどれだけ危険なことか、わからない星也ではない。

 そしてそれは、星也よりも夢見の方がわかっている筈だ。

 

 

 元々は大規模災害時のターミナルケアに携わることを希望していた女性だ。きっと、内心は穏やかではない。

 

 無事であるならもう用はないとばかりに顔を反らす夢見に、星也は少しだけ呆れた。

 

 

 自分の本心を覆い隠す癖は、前から変わらない。

 

 その強さに、或いはその弱さに、麗日星也は憧れたのだ。

 星也にとって理想のヒーローとは、きっと佐々波夢見のことなのだと思う。

 

 

 人は弱くて、きっと誰もがヒーロー足り得ない。

 それでも理想に近づくには、そこにはどうしても嘘が混ざる。

 

 きっとヒーローは、誰よりも嘘をつく。

 

 

 少なからず誰もがそうで、それは星也も変わらない。

 

 

 

 「……どれぐらい経った?後どれぐらいだ」

 「1分も経ってない。後3キロぐらいで、あと15分無い」

 

 掠れた声。主語のない会話。言葉少なく、二人は必要な情報のみを交換する。

 

 「もう無駄にできる余裕はない。早く立ちなさい、星也」

 「……わかってるよ。急がなきゃな」

 

 

 ゴツゴツとした壁で身体を削りながら、星也はなんとか立ち上がる。

 痛みはない。ただどうしようもない程の不快感が喉の奥を押し上げた。

 

 

 「待て。待ってくれ!アンタ達おかしいよ」

 

 

 星也の耳に、聞き覚えのない声が届く。

 声のする方へ顔を向ければ、そこには名も知らぬ一人の警察官がいる。

 拳銃で貫かれたのだろうか、肩にはキツく締めるように包帯が巻かれ、その肩口は赤く染まっていた。

 

 星也が何も言わずに男が続けるのを待てば、男は困惑したように夢見と星也を交互に見た。

 ややあって、男は口を開く。

 

 

 「その男はもう無理だ。これ以上は死ぬぞ」

 

 その言葉に反応するのは夢見だ。どこか苛立ったように夢見は告げる。

 

 「無理なのは星也だけじゃない。貴方だって、肩のそれはかすり傷じゃないでしょ」

 「そういう問題じゃない!そいつが治崎の所まで生きてたどり着いたとして、その立つことがやっとの男が何の役に立つ!戦うことなんて出来やしないだろ」

 

 激情に身を任せるように被っていた帽子を脱ぎ去り、手の中でグシャグシャに丸める。

 制止するように肩に手を置いた同僚を振り払い、男は一歩前に出た。

 

 星也は歪む視界で、のっぺりとしたその顔を見る。顔を識別するには、ここは少し暗い。

 

 ともあれ、星也はその言い分に頷くことは出来ない。

 押し黙った夢見の代わりに、星也は口を開いた。

 

 

 「……それでも、やらなくちゃいけないことだ。俺の選択がこの状況を作ってるなら、俺はその責任を取らなくちゃいけない」

 「そもそも責任の取り方が違うだろ!!お前は狭い鉄格子の中で、自分の無力さを呪うべきだ!」

 

 

 あぁ、そうだ。

 道理を考えるのであれば、目の前の男の言葉は全くもって正しい。

 

 

 星也は疑いようもなく犯罪者なのだから。

 

 この三年間、ヴィラン同士の抗争に参加することが多かったとはいえ、罪の無い人間を一度も殺さなかった訳ではない。

 彼とて必要と感じれば、躊躇なくその命を奪ってきたのだ。

 結果として、全国で指名手配がなされ、一度どこかで存在が確認されれば、すぐに討伐隊が組まれるまでになっている。

 警察としても、ヒーロー組織としても、『メテオレイン』の確保は、1つの宿願とも言えた。

 

 全体を見れば、組織で見れば、或いは正義が見れば、佐々波夢見や緑谷出久、麗日お茶子が麗日星也を撃破したあの瞬間に、彼を速やかに捕縛し、然るべき措置を行う事こそが最善であった。

 

 それが出来なかったのは、決して同情ではない。

 

 

 それは一重に、想定を超えたヒーロー側の損害が原因だ。

 当初の予定では、『メテオレイン』の対処は『イレイザーヘッド』の存在をブラフとした上で、『麗日ヒーロー事務所』及び麗日お茶子、緑谷出久の計四名であたる筈であった。

 

 だが結果はどうだ。"ヴィラン連合"の予期せぬ参入により、ヒーロー側は"死穢八斎會"の中枢を取り逃したまま総力戦に持ち込まれた。

 『メテオレイン』という主戦力の無力化には成功したものの、その時には戦闘の継続が可能なヒーローは当初の半分程度であり、その全員が無傷とは程遠い。また、それはその他の協力者も同様で、その場にいる人間で無傷の者など、ただの一人も存在しなかった。

 

 

 故にこそ、佐々波夢見は麗日星也の力を欲し、周囲はそれを黙認した。

 その選択が、例え法令上問題のある行為であるとわかっていても、小さな一人の少女を救うためならば、その程度の汚名は被ってみせると。

 

 

 

 だがもしも、星也が戦力として機能しないなら話は別だ。

 

 

 「お前はヴィランだ!信用だってある訳じゃない!今更誰かを救いたいなんて、勝手にも程がある!」

 「……わかってる。わかってるよ。でも───」

 「人を救うのは俺達の仕事だ!!お前の言う子どものことは、俺達が救ってみせるから──!」

 

 

 だからこそ星也は、目の前の警察が自分をここで捕縛してしまいたいのだろう、とそう思った。

 

 それは、星也にしてみれば誰に言われようと受け入れられないことだ。

 だってこれが最後だ。この戦いが終われば、星也はその後の人生を牢屋の中で過ごすことになるだろう。

 もはや星也が捕まらず、壊理や夢見と共に暮らしていく未来など存在しない。

 

 ここが最後。星也が壊理に何かを与えられるとしたら、ここが最後なのだ。

 

 

 諦める訳にはいかない、と。星也はその拳を強く握った。血と汗でベタつくそれは、振り上げる為のものではない。折れそうになる両足を奮い立たせるためのものだ。

 

 

 悪い癖だった。いつも星也はそうやって、相手の在り方を決め付けてしまう。

 

 

 冷静に考えれば、彼等警察官に今ここで星也を引き返らせるメリットなど何もない。

 法令上の問題、倫理上の問題は、彼等がここまで黙認している以上議題には上がらない。

 ここでのタイムロスも、そもそも足場の悪い道を7キロ連続で走破し、"死穢八斎會"と戦闘を行うことなど出来る筈もなく、必ずどこかで休憩を入れる必要はあったのだから理由にならない。

 

 ならば、それは付き添いの為の人員を削るだけの行為だ。

 

 であれば、戦力外であっても星也をナビゲーターとして同行させ、全てが終わった後にまとめて回収した方が効率的だ。

 

 

 

 だから、目の前の男が言いたいのは、そんな事ではなくて───。

 

 

 「……だからお前は、今までの行いを悔いながら───もう、休んでいてくれよ」

 

 

 その言葉に。

 男の懇願する様な言葉に、拳に入った力が少しだけ緩んだ。

 

 

 「───は?」

 

 思わず、間抜けな声が漏れた。

 隣に立つ夢見が、瞑目したまま口を開く。

 

 「………星也、この人は六年前にあった、空港にヴィランが立て籠った事件で貴方が助けた子供の親……だと思う。覚えてない?」

 

 

 正直に言えば、星也は覚えていない。

 

 空回りする思考は何かを思い出すには厄介であったし、助けた人間を特別に思わないぐらいの人数の人を救ってきたから。

 

 

 「違う。関係ない。確かに俺の息子はお前達に救われた。でも、そういうことじゃないんだ。俺の個人的な貸し借りの話じゃない。人としての在り方の話をしてる。……お前は、もう充分だろう。お前は決して燃え尽きない流星なんだろう?なら、どんなに惨めでも……生きててくれよ」

 

 

 

 自分の命と同じ様に大切な子を救ってくれた恩人が、目前で死に逝くのを黙って見ていることは出来なかったのだろう。

 血を吐く様に告げる男に、星也は少しだけ目を細めた。

 

 

 ありがたい話だと思う。ここに来て尚、自分に生きろと言ってくれるなんて。その言葉だけで、恥と失敗で彩られた自分の人生に価値があると思える。

 

 

 

───少しだけ、身体が軽くなった気がした。

 

 

 

 「アンタの息子。元気にしてるのか」

 「───元気だよ。今年、中学生になった。誰に助けられたか覚えてないんだ、あの恩知らず。いつかヒーローになってお前を捕まえるんだって、そう言ってる」

 「なら、まだ死ねないな」

 「……あぁ。そうだろ?」

 

 

 男が少しだけ笑う。星也も、僅かに頬が緩んだ。

 大きく息を吸って、正面を見据える。

 

 男と目が合った気がした。

 

 

 「それでも、俺は行くよ。壊理を救うとちか──あぁいや、そうじゃないな」

 

 

 きっともうこの理由は違うのだ、と。星也は首を横に振った。

 

 これは『メテオレイン』の理由だ。

 大切なものを失わない為に、全てを投げ出した男の理由。

 冬の寒さに凍える少女に過去の自分を重ね、少女を助けることで自分を救おうとした、浅ましく愚かな男の誓い。

 

 

 最強であることができなかった今の星也は、もう『メテオレイン』ではいられない。

 

 

 

 では、星也が戦う理由はどこにあるのだろうか。

 

 

 何度も自分で言っていた事だ。ここで壊理を連れ出したところで、それは救いではないのだと。

 なら、もう壊理を救うことが出来ない星也は何故戦うのか。

 

 

 『シューティングスター』だった頃なら、迷うことはしなかっただろう。

 

 "自分がヒーローだから"。

 

 そんな不確かな理由だけで、星也はどこまでも行けたのだ。

 

 

 あぁでも、それも全て過去の話。

 

 

 正しくあることが出来なかった星也は、もう『シューティングスター』足り得ない。

 

 

 ヒーローにもヴィランにも成れない中途半端な犯罪者が、今更何故戦おうと思うのか。

 

 その問いに、答えを出すことは出来ないけれど。

 

 

───ならきっと、そういうことなのだと思う。

 

 

 きっとそれが、麗日星也という男なのだ。

  

 

 「壊理を救いたいんだ。どんなに傲慢でも、この俺が」

 

 

 バラバラだった心と身体は、今はもう一つだ。

 

 

 星也は男に一歩だけ歩み寄る。

 トンと、相手の胸を中心に拳をぶつけた。

 

 「今日の昼飯は、取って置きのカツ丼だな」

 

 

 その言葉に男は諦めたように笑う。

 

 

 「……お前の取り調べは後日だ。ばかたれが」

 

 

 

 

 

 

 

 それは、星也が『シューティングスター』になった後の話。

 それは、星也が高校生でなくなる前の話。

 

 

 

 

 

 

 それは、星也が高校生でなくなった後の話。

 それは、星也が『メテオレイン』になる前の話。

 

 

 

 

 

 

 

 それは、星也が『メテオレイン』になった後の話。

 それは、星也が─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは最初からずっと、麗日星也の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「動くな。『オーバーホール』」

 

 「……思ったよりも早かったな。『シューティングスター』」

 

 

 

 どれくらい走っただろうか。

 七キロである筈の道のりが長かったのか、短かったのか。それは永遠の様でもあったし、一瞬の出来事の様でもあった。

 だがそれは全て過去の事。そこにはもう、間に合ったという事実以上の意味はない。

 

 開かれた空間。所々におかれたライトのみが光源となるその場所は、まるで星也達を待ち受けていたかのように広い。

 

 星也の背後に立つ警察官に銃口を向けられて尚、微塵も取り乱さず『オーバーホール』は応じた。

 その自信の根拠は傍らに立つ天蓋壁慈か、玄野針が抱える壊理の存在か。

 

 

 「……病人には何をしても駄目ということか。今更、お前がヒーローごっこに興じるとは。やはり、個性というのは度しがたい」

 「……その割には落ち着いてるんだな。俺がここにいるのも全くの想定外って訳ではないんだろ」

 

 

 壊理が、星也と『オーバーホール』を困惑したように見比べた。彼女にすれば、二人の仲は悪くとも紛れもなく同じ組織の一員だったが故に、今の状況は理解が及ばなかったのだ。

 混乱する壊理を置いて、二人は言葉を交わす。

 

 

 「理想はお前とヒーローの共倒れだったが、やはりそう上手くはいかないな」

 「……投降の意思はないんだな」

 「愚問だな。死にかけのヒーロー気取り相手に恐れるなんて有り得ない。諦めるべきはお前達だ。……まぁ奇襲でもしていれば、話は違ったんだろうが」

 

 そう言って、『オーバーホール』は見せるつける様に薄手の手袋を外した。

 双方の距離は20メートル程度。

 今の星也が一息で詰めるには、余りにも遠い。

 

 

 「いずれにせよ、お前の三年間は無駄だった訳だ。もうお前に壊理を救うことは出来ない。短絡的だったな」

 「それでもここにいるよりはマシだ。お前の野望はここで潰える」

 「……今のお前に出来ると?」

 

 

 その言葉に、麗日星也の姿をした人間が薄く笑う。

 薄暗い闇の先で、紫色の瞳が鈍く光った。

 

 それは特徴的な、佐々波夢見の瞳。

 

 

 「─────っ!!」

 「……いいえ───」

 

 

 

 

 「────俺がやる」

 「────天蓋!!!」

 

 

 現夢は剥がれ落ち、濃霧を払う様に姿を現したのは麗日星也と麗日お茶子。

 既にその距離を3メートルに詰め、両の手は合わされている。

 

 

 軸はぶれ、力強さは感じずとも、その目は真っ直ぐと『オーバーホール』を貫いた。

 

 

 二人の間に天蓋が割り込む。

 壊理を玄野が抱えている以上、星也は全方位への個性の行使は出来ない。なら、星也が狙うとしたら『オーバーホール』の他にないだろう。

 

 

 展開される不可視の壁。守りを得意とする天蓋が、薬物により己の個性を一時的に強化させた絶対の盾。

 

 穿つは研ぎ澄まされた重力の斧だ。周囲の全てを破壊するほどのエネルギーを一線にまで圧縮した、全てを両断する絶対の矛。

 

 

 それは大きな唸り声をあげてぶつかる。一瞬の拮抗。一拍遅れて、地面の土が舞い上がった。

 

 

 果たして、星也は打ち勝った。天蓋の障壁は完全に破壊された。

 だがそれだけ。その先にいる天蓋本人や『オーバーホール』には僅かなダメージもない。

 

 

 3年前とは異なる結末。薬物による個性の増強を考慮しても、常時の星也であればその先の二人の事も両断できた筈だ。

 

 

───麗日星也の限界は近い。

 

 

 その事実に、『オーバーホール』はマスクの下で僅かに嗤った。

 

 

 それでも、どれだけ星也の肉体が限界であろうと、今この状況が変わるわけではない。

 

 星也達と『オーバーホール』達を隔てていた障壁は既になく、先んじて走り出したお茶子は既に懐まで入り込んでいる。

 その先にいるのは玄野針。いや、彼が抱える白髪の少女だ。

 

 お茶子が壊理に向け手を伸ばす。その左右には重力の刃が走り、迎え撃とうとする『オーバーホール』や乱波を牽制する。

 

 

 完全な一対一。加えて、玄野は壊理を抱える為に片腕が塞がっている。

 行ける、と。その時お茶子は確信した。

 

 その瞬間、玄野の空いた片腕が、懐から拳銃を引き抜いた。

 

 二人の距離はあと二歩分。お茶子が何かをするよりも、玄野が引き金を引く方が早い。

 

 

 

 「───手を掴め!!壊理!!」

 

 

 星也の怒号。

 きっとその言葉に壊理が反応出来たのは、彼と彼女が家族のように過ごした3年間あったからだろう。

 

 乾いた発砲音と同時、壊理は玄野の手を突き飛ばす。お茶子を捉えていた銃口は大きく外れ、その顔を僅かに掠めるに留まった。

 

 

 

 「壊理ちゃん!!」

 

 

 伸ばされたお茶子の手に、壊理も身体を乗り出す。

 体勢を崩した玄野に強引に身体を引き寄せられる痛みに歯を食い縛りながら、その腕を少しでも前へと。

 

 

───正直に言えば、その少女は状況を呑み込めていない。

 

 ただ星也が言うのなら、それはきっと正しいのだというどこか思考停止にも似た絶対的な信頼だけが、今の彼女を突き動かす。

 

 きっとそれは間違ってる。そんな無垢な信頼がまかり通るほど、この世界は綺麗ではない。

 

 

 あぁ、でもそのお陰で。二人の手は繋がった。

 

 

 

 「お兄ちゃん!!」

 「────あぁ!!」

 

 

 お茶子の声と共に行使されるは星也の個性、『オーバーグラビディ』。

 爆炎の伴わない爆発。全方位に放たれる力の波動。ただ一人、彼の妹とその加護を受けた者以外を認めない破壊の波。

 

 

 今の星也に、一撃で全てを鎮圧するほどの出力は望めない。それでも、周囲の敵を吹き飛ばし、強制的に距離を取らせることが出来ればこの瞬間は問題がなかった。

 

 

 

 爆心地の中心から程近く。壊理を抱え込む様に蹲ったお茶子が、腕の中の少女に声をかける。

 

 

 「……大丈夫?」

 「うん。……でも、どうして?」

 

 

 どうしてこんなことをするのか、と。壊理はお茶子に問う。

 だって、目の前の女性も、背後に立つ星也も、その顔色は酷く悪い。服も血で汚れ、とても無事には見えなかった。

 

 それなのに、苦しそうに何度も唾を飲む目の前の女性は、歯を見せて笑って見せた。

 

 

 「───助けに来たよ。壊理ちゃん」

 「───え?」

 

 その言葉の意味がよくわからなくて、壊理は星也に顔を向ける。

 星也はチラリと壊理を見て、すぐに視線を前へ戻した。

 

 

 「……引っ越しだよ。持っていくものはないな?」

 「───うん。ない。……なにもないよ、レインさん」

 

 

 壊理の口元がヘニャリと歪む。大きな瞳がじわりじわりと滲んいく。

 

 その姿に、星也は僅かに眉を寄せる。

 それは壊理の涙に対してではなく、彼女の右のこめかみにある小さなコブに対してだ。

 

 

 それは彼女が個性を使用する上で必要となるエネルギーを溜める器官だ。『巻き戻し』という特異な個性を保有する壊理は、こめかみのコブに溜めたエネルギーを使用することでその個性を行使できる。

 星也が最後に壊理を見たときは、まるで角のように大きく隆起をしていた。

 だが今はどうだ。もはや角は見る影もない。

 

 では壊理が個性を使用し、エネルギーを使い切ったのか?考えるまでもない。その答えはNOだ。

 壊理は自分の個性の制御を行えない。彼女では使用することもままならない筈だ。なら……。

 

 

 

 「壊理を一度殺したのか。『オーバーホール』」 

 

 

 少し離れた場所で、頬の汚れを拭う『オーバーホール』に星也が告げる。

 その言葉に『オーバーホール』は不愉快そうに表情を歪めた。

 

 「壊理を返せ」

 「答えろ」

 「壊理を返せ!『シューティングスター』!!」

 

 

 叫ぶようにそう言って、『オーバーホール』はその手で地面を触れる。

 

 

 それだけで、周囲一体の地面が砂塵に分解された。

 

 それは『オーバーホール』の攻撃の合図だ。

 砂塵と化したそれは、形を変えて修復。それはまるで巨大な茨の棘となり人体を貫く牙となる。その範囲は周辺全域。高速での退避ができる星也はともかくとしても、お茶子や壊理にそれを避ける手立てはない。

 何をすることも出来ず、隆起した地に貫かれる他にないだろう。

 

 

 「───チッ」

 

 だがその全てを、星也の個性は押し潰した。

 隆起した牙を粉砕し、粉砕した砂塵を吹き飛ばす。

 暴風が吹き荒れた。だがそれは、『オーバーホール』に届く頃にはそよ風に変わる。

 

 

 「──もう一度だ」

 

 

 『オーバーホール』の声。

 間髪入れずに地面が砕け、再び茨の棘が形を成す。

 

 だがそれも、『オーバーグラビディ』が押し潰した。 

 

 

 「──もう一度だ」

 

 

 『オーバーホール』の声。

 

 

 「──もう一度だ」

 

 

 『オーバーホール』の声。

 

 

 

 

 

 「──っうぐ……ぐ」

 

 星也の傍らで蹲るお茶子が、口元と喉元を手で覆った。

 涙と共に、指の隙間から黄色がかった粘性の液体が垂れる。

 

 

 無理のないことだ。お茶子とて、限界などとっくの昔に超えているのだ。そしてここに来て星也の個性を至近距離で二人分だ、未だに個性を解除させない彼女を褒めることすれ、責めることなど誰にも出来ない。

 

 それに、限界なのは彼女だけではない。

 

 

 「壊理!!他の連中は何してる!?」

 

 

 血走った目で、血を吐くように麗日星也は問いを投げる。

 彼にももう、周囲を見渡すほどの余力はない。

 少しでも頭を振れば、少しでも視線を揺らせば、それだけで立てなくなる自覚がある。

 

 それはきっと、肉体の限界や個性の過剰使用によるものだけではない。

 

 

───どこかで酒木泥泥に近寄られたか。

 

 星也とて、"周囲の人間を泥酔させる"という個性を持つ酒木にだけは近寄られまいとしていたが、『オーバーホール』によってこの場に縫い付けられている現状では避けることは出来はしない。

 

 彼の意識が眩むほどの前後不覚は、そうとでも仮定しなくては説明がつかなかった。

 

 

 「他の人は!みんなが!!」

 

 

 代名詞しかない壊理の言葉では、どっちがどっちかわからない。

 

 それでも、他の皆もきっと戦っているのだと思う。

 

 夢見が星也やお茶子を見捨てるとは思えなかったし、他の連中だって、皆が正しくヒーローであったから。

 

 

 皆が最善を尽くしてる。

 

 

 きっとこの状況は、一重に星也の力不足なのだろう。

 疲労や限界など、言い訳にもなりはしない。

 

 

───なら、それをどうにかするのはお前の仕事だ。麗日星也。

 

 

 「つっぐ…!!」

 

 

 遂に砕き切れなかった土の茨が、星也の脇腹を浅く抉る。

 本来は、自分の肉体を中心に球状に展開される星也の個性。にも関わらず一部を砕き漏らすということは、出力以前に個性の制御が行えなくなっていることに他ならない。

 

 

 

───きっともう、星也は『オーバーホール』に勝てない。

 

 

 それでも、ヒーローは勝たなくちゃいけないのだ。

 

 

 

 

 「……きこ…えるか?お茶子」

 

 

 傍らで必死に耐え続ける己の妹に、星也は声をかけた。

 

 視界の端で、妹の指先がピクリと動いた。

 聞こえていることを確信して、星也は言葉を紡ぐ。

 

 

 「合図をしたら、個性を解け。俺が…皆の方に吹き飛ばす」

 

 ぐぐぐと、お茶子は死力を尽くして顔をあげる。それでも完全には上がりきらず、横目で星也を睨み付けた。

 

 

 「それで……どうするの?」

 

 

 お茶子の代わりに壊理が問う。

 

 

 「……祈れ。きっと誰かが受け止めてくれる」

 「ちがくて、レインさんは?」

 「天井に穴を開けて……、『リューキュウ』が来てくれるのを祈る。いいな、お茶子」

 

 

 今の星也に、いくつもの作業を並行して行う能力はない。お茶子達を吹き飛ばすなら、或いは天井を穿つなら、土の茨から身を守ることは諦めなければならなかった。

 それを理解しているからこそ、お茶子は首を横に振った。

 

 「……理解してくれ。このままじゃ皆巻き添えだ」

 「……いやや」

 「お茶子」

 「いやや!!」

 

 うぐっ、と。お茶子が一際大きくえずいた。

 

 俯いていた壊理が、それを聞いて顔をあげる。

 星也の横顔を真っ直ぐ見つめ、漸く口を開いた。

 

 

 「──もういいよ。レインさん」

 「は?」

 「私がむこうにいくから、いい」

 「なんも良くねぇよ!ふざけんな!!」

 

 苛立ちを隠さず、星也が怒鳴り付ける。

 再び撃ち漏らした茨が、星也の左足を貫いた。

 その膝から力が抜け、地面に強く打ち付ける。

 

 「っつ……」

 「レインさんにも、皆にも、もう充分助けてもらったから」

 「助けてない!まだ!誰も救えてない!!」

 「レインさん。私ね、皆のおかげで───」

 

 

 壊理が一歩前へ踏み出す。そして星也の顔を覗き込むように反転した。

 

 

 「───レインさんのおかげで、ちゃんと咲いたよ」

 

 

 それは、笑顔と呼ぶにはあまりにも歪な表情だった。

 

 

 

 

 

 「お茶子ぉぉぉ!!!!!!!」

 

 「ぅぅぅぅぁぁぁああ!!!!」

 

 

 星也の咆哮とお茶子の叫びが響いた。

 

 星也は壊理を引き倒し、誰よりも前に立つ。

 指先を地面に付けたまま、じっとこちらを窺う『オーバーホール』と目が合った。

 

 もはや、お茶子の意思を確認することはしない。

 

 

───壊理の言葉を聞いて動かないなら、それはもう嘘だろう。

 

 

 地面が砂塵へと分解される。

 

 それは、『オーバーホール』の攻撃の合図。

 

 

 

 

 その兄妹が両手を合わせたのは、奇しくも同じタイミングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───麗日星也の物語はここで終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ねぇ、ちょっと聞いてるの?』

 

 

 小さなアパートの一室。

 安物のソファー寝そべっていた星也は、頭上から降ってきた佐々波夢見の声で意識を覚醒させた。

 

 

 『ん?あーごめん、ぼーっとしてたわ』

 『なにそれ、大丈夫?疲れてる?』

 『いや、大丈夫だよ』

 

 

 そう言って辺りを見渡す。

 二人の趣味を競うようにごちゃごちゃと小物が置かれたその部屋に、星也は見覚えがない。

 それでも、不思議とここにいることに違和感はなかった。

 

 

 なにか、大切なことを忘れている気がする。

 

 

 

 『壊理はどうした?』

 『ん?壊理なら学校に行ってるよ。今日は平日でしょ』

 『……学校?』

 『そ。だから私達はお金を稼がなきゃ。早く起きて』

 

 不法者は足下見られるんだから、と。ブツブツ言いながら夢見はベランダに向かう。

 

 

 言い様のない違和感に星也は首を傾げる。そもそも、自分はどうしてここにいるんだったか。

 

 あぁ、そうだ。変質した夢見を救った星也は、"彼女と一緒にいたい"なんていう下らない理由で、夢見を連れて"死穢八斎會"へと下ったのだった。

 そこで壊理の境遇を知った夢見が勝手に暴走。なんやかんや"死穢八斎會"を潰すことになった。星也の極道人生はものの数ヵ月で終わった事になる。その後は壊理と三人、自警団擬きのような事をしながら日銭を稼いで暮らしている。

 

 我が事ながら頭の痛い話だ、と独り星也は思う。

 

 

 ともあれ、やってしまった事は仕方がないし、ここでボンヤリとしていもどうにもならない。

 

 戸籍がない壊理を学校に通わせるのには、相当のお金を要する。

 犯罪者である星也達が堂々と公共機関に行くわけにもいかず、怪しげな男を介しているのだから当然だ。

 

 星也達の目下の目標は、安定した収入源を見つける事だ。

 

 

 後輩の事務所でアルバイトは、流石にもう辞めたい。

 

 

 

───…………!……て!

 

 

 

 『……うん?』

 

 ふと、誰かに呼ばれた気がして星也は振り返る。

 その先には、洗濯物を干し終えた夢見がいた。

 

 

 『どうかした?』

 『いや、なんか呼ばれた気がして』

 『本当に大丈夫?病院行く?』

 『いや、あの人には迷惑かけたくないしなぁ』

 

 あの人とは、夢見が意識を失っていたときに主治医になっていた医師の事だ。

 星也達の件で責任を感じていたらしいあの男は、"死穢八斎會"を潰した星也達に接触を図ってきた。

 いつでも頼っていいとの事であったが、星也達は立派なヴィラン。不用意に接触すればあの医師にも迷惑をかけかねない。

 

 

 『……そう。続くようだったら行きましょ』

 『だな。そうするよ』

 

 

 

 

 

 『今日もよろしくでーす。先輩!』

 『よろしくね、ホークス』

 

 

 今日も今日とて後輩の脛齧り。

 サイドキックと言えば聞こえはいいが、その実はホークス独りでどうにかなることを一緒に行っているに過ぎない。

 

 非常に不甲斐ない先輩で申し訳ないが、星也達はこれが生命線だ。

 

 

 『悪いな、ホークス』

 『いやいや、先輩がニュースに出てきた時はビビりましたけど、これぐらいなんて事もないです。先輩がいれば、大きな作戦とか余裕ですしね』

 『期待に添えられるように頑張るよ』

 

 

───……どって!もどってよ!!

 

 

 悲痛な声が聞こえる。

 耳鳴りが酷い。

 

 

 『どうかしました?』

 『なんか朝から体調が良くないみたいなの』

 『……大丈夫だよ。今日もパトロールだろ?それぐらい余裕だ』

 『キツくなったら言ってくださいね。パトロールなんで先輩がいなくても余裕ですから』

 『あぁ、ありがとう』

 

 

 そう言って、肩を並べて事務所の外へ出た。

 

 

 

 

 

 

 夕暮れ。赤色の日差しが一面を燃やす。

 星也は夢見と二人、古びた小さなアパートにカンカンと音を立てて登っていく。

 

 

───耳鳴りは、結局止まなかった。

 

 

 『どうする?明日病院にいく?』

 

 

 一歩前を歩く夢見がそんなことを言った。

 その言葉に、星也は静かに首を横に振る。

 

 

 『……いや、大丈夫だ』

 『大丈夫って貴方ね。星也が体調悪くなって困るのは星也だけじゃないんだから』

 『わかってるよ。でも、大丈夫なんだ』

 

 

 本当は、少し前から気付いていた事だ。

 

 

 だってこれは夢だ。

 

 星也が取り零した可能性(しあわせ)の夢。

 

 

 

 ふと、立ち止まって、沈んでいく夕陽を見た。

 

 1日の終わり。幸せの終わり。

 徐々に闇に包まれていく街並みには、人の営みは感じられない。

 

 『どうかした?』

 

 夢見が心配そうに星也の顔を覗き込んだ。

 

 『……一日が終わるなぁって思って』

 『なにそれ、変なの』

 『楽しかったな』

 『……そうね。まぁ好きな人と一緒にいれば、何してても楽しいから』

 『良くもまぁ恥ずかし気もなく』

 『当然でしょ。好きなもの好きだし、欲しいものは欲しい。そうやって生きてきたから、私達は一緒にいれる』

 

 

 そうなのだろう。この可能性が、夢見を失いたくないが為に彼女を救い、夢見と共に居たいからこそ彼女を連れてヴィランに堕ちたという"もしも"ならば、随分好き勝手に生きてきたものだと思う。

 浅ましくも傲慢で、愚かでいて偉大だ。

 こんな風に生きられたなら、どんなに幸せだっただろうか。

 

 

 きっと星也は欲しいものを欲しいと言えずに生きてきた。

 

 自分のレッテルだとか、相手の立場とか、そんなことばかりを気にして、本質には目を向けて来なかったのだろう。

 

 

 

───だから、自分は駄目だった。

 

 

 簡単な事だ。それはとても簡単なことで、誰も教えてはくれないことで。星也は、それに気づくのが少し遅すぎた。

 

 

 『今日の夜ご飯どうしよっか?なんか食べたいのある?』

 『夢見の手料理なら、なんだって俺は幸せだよ』

 『……お惣菜を買いに行きましょ。あとレンジで温めるご飯』

 『この手の問答難しすぎだわ。カレーが食べたい』

 『最初っからそう言えばいいのに』

 

 口元に手を当てて、夢見は穏やかに笑った。

 

 『あっでも、ほうれん草がないからカレーは明日ね』

 『却下されるんかい。カレーにほうれん草は無くても良いだろ』

 『だーめ。こだわりだから』

 

 

  

 不意に、カンカンと誰かが階段を登ってくる音がした。

 

 

 『きっと壊理だよ』

 『あぁ、そうだな』

 

 

───きっと迎えだ。

 

 

 

 『なぁ、夢見』

 

 

 一つだけ、聞きたいことがあった。

 

 

 『ん?』

 

 星也を向き直った夢見と目が合う。

 宝石の様な輝きを持つその瞳が、きょとんと丸味を帯びた。

 

 『お前は今、幸せか?』

 

 

 麗日星也は正しかったのか。自分は正しかったのか。

 その答えの一端を、今ここで知ってしまいたかった。

 

 

 カン!と一際大きな足音がなった。

 最後の一段を両足で跳んだのだろう。

 

 角を曲がれば、もう顔が見える。

 

 

 変わらない、愛しい女性の顔を見た。

 

 

 『───当たり前でしょ』

 

 

 その言葉は、当然のように紡がれて。

 

 アパートの角から、白い頭が飛び出した。

 

 

 

 

 「…………えり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さな少女の悲痛な声が木霊する。

 

 

 「────もどって!もどって!もどってよ!!」

 

 

 それは1人の亡骸の前。右肩と心臓を貫かれた1人の青年の遺体の前。

 

 『巻き戻し』の個性を持つ筈の少女は、すがり付き、涙を流す事しか出来ない。

 

 

 

────戦いは、まだ終わっていない。

 

 

 「もどってよ!なんで!!なんで!!」

 

 

 頭痛がした。頭が割れるように痛かった。

 

 どうでも良い時には発動するくせに。望んでいないものまで無かった事にするくせに。

 

 この個性はちっとも少女を幸せにしない。

 

 

 「りんご貰ってない!!撫でてもらってない!!───まだ……咲いてないよ、レインさん」

 

 

 何を言おうとも、もう彼には届かない。

 彼の心臓は既にない。存命はあり得ない。

 

───その筈なのに、彼の指先が少しだけ跳ねた。

 

 

 「みんな、死んじゃう。助けて……、助けてよ」

 

 

 あぁ、だって彼は流星。

 人の願いを束ねて翔ぶ、最強無敵の流れ星。

 

 

 涙を流し叫ぶ少女の願いが、彼に届かない筈がない。

 

 

 「───助けて、レインさん」

 

 

 

 「…………え……り?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霞む視界では、泣いた少女の顔を見ることも出来ない。

 呆然と星也の顔を見つめる壊理の頭を右手でワシャワシャと乱した。

 

 身体が鉛のように重い。それでも、頭だけは冴えていた。

 

 

 「大丈夫……なの?」

 「……あぁ、壊理のおかげだ」

 

 

 嘘だ。

 むしろ、なぜ意識があるのかも良く分からない。

 胸元を穿った穴も、肩を抉る傷も何一つ治っていないのだから。

 

 それでも、こんなことが出来るとしたら壊理しかいない。巻き戻すエネルギーは無い筈だが、それでも必死に絞り出してくれたのだろう。

 

 それは人の限界を超えた意思の力。

 人をそれは奇跡と呼ぶのだろう。

 

 

 「ありがとな」

 

 そう言って、星也は壊理を抱き締める。

 それは星也が、壊理は嫌がると思ってずっと避けてきた接触だ。

 それは壊理が、星也には迷惑だと思ってずっと避けてきた接触だ。

 

 

 「……よし。じゃあ、敵を倒してくる」

 「……かえって来てくれる?」

 

 壊理の問いに星也は困ったように笑う。

 

 「それはたぶん無理だ。今度こそ、俺は死ぬ」

 「……やだ」

 「そりゃそうだ。俺だって死にたくない。でも、ここで何もしなくても、やっぱり俺は死んじゃうんだと思う」

 「やだよ」

 「あぁ、やだ。でもどっちにしても死ぬなら、俺は誰かを守って死にたいと思う。未来の為に死ねるなら、きっと俺の人生は無駄じゃなかった。わかるな?」

 「……レインさん」

 「俺のために幸せになってくれ。ずっと遠くで、お前が咲くのを見てるから」

 

 

 最後に一度だけ、星也は壊理の頭を撫でた。少女の頬伝わる滴を、そっと拭う。

 

 

 「俺は壊理のヒーローだ。応援してくれるか?」

 「………うん。私を助けて、レインさん」

 

 

 よしっと、星也は立ち上がる。

 胸の穴からは信じられないほどの血が流れ落ち、全身を赤く染めていく。

 

 

 

───急がないといけない。

 

 

 だが、視界が悪くて状況が良く分からない。

 

 ふと、誰かが駆け寄ってくるのを感じた。

 

 

 「星也!!」

 

 息を切らして走ってきたのは佐々波夢見。星也が覚醒したのを見て、戦いから抜けて来たのだろう。

 星也の全身をゆっくりと見て、覚悟を決めたように星也の顔を見る。

 

 

 「酷い怪我ね」

 「致命傷だ。状況は?」

 「あの後、『リューキュウ』達と通形くんが合流した。そしたら、治崎が仲間と合体して巨大化。もうどうしようもなくて、警察にも個性を使ってもらいながら戦ってる」

 「ちょっと何言ってるか分かんないんだけど。必要な情報だけ拾って貰えるか」

 「あそこにいるデカイのを倒せば勝ちよ」

 「そりゃあいい」

 

 二人してクスクスと笑う。

 

 星也はすぐに表情を引き締め、天井の破れ目から見える大きな影を睨んだ。

 

 

 「……やるの?」

 「やる。ヒーローを遠ざけてくれ、巻き添えになったら困る」

 「本体の近くまで近寄れる人なんていないから大丈夫。遠距離からの牽制しか出来てないもの」

 「好都合だ。なら夢見、離れててくれ」

 

 

 

 星也はゆっくりと息を吐き出した。

 視界の中心に大きな影を合わせ、全身に力を入れていく。

 

 

───その視界が急に鮮明に色付いた。

 

 

 「離れてろよ。夢見」

 「ばか言わないで、近くにヒーローがいるかも見えてない人が、当てられる筈無いでしょう」

 

 

 夢見が星也を背後から抱き締めるように、その首に腕を回した。

 

 手足の先まで神経が通る。身体の痛みは消え、遥か遠くまで鮮明に見える。

 

 

 「死ぬぞ」

 「なら、これからはずっと一緒ね」

 「重いなぁ」

 「普通、女の子にそういうこと言う?」

 「そういう事じゃねーよ」

 「どっちにしてもだから。三年前置いてったんだから、今度はついて行かせて貰います」

 「つーか、俺は地獄行きだろうから、お前とは別じゃねぇかなぁ」

 「価値観の相違かな。……貴方がいれば、そこが天国だから」

 

 

 やっぱり重いわ、と。星也は笑った。

 

 

 ピシリと、周囲が歪む。

 星也の肉体の中で膨れ上がったエネルギーが、ただそこにあるだけで周囲の変形させる。

 立っている足場が、クモの巣状にひび割れた。

 

 

 「痛くないか?」

 「とっても痛い。でも平気」

 「本当に?」

 「えぇ、だって。ずっと痛かった傷は、もう痛くないから」

 「なんだそれ」

 「ねぇ星也」

 「ん?」

 「愛してる」

 「……そうか」

 「うん」

 「なぁ夢見」

 「ん?」

 「ずっと一緒にいたかった」

 

 

 

 「───そうね」

 

 

 

 

 それを最後に、二人はその名の通り閃光と化す。

 

 それは音速を超え、光速に届き、障害全てを貫いて。

 

 

 それは『シューティングスター』の代名詞。

 彼が生涯で一度だけ、本物の流星になれる技。

 

 

 この時、二人が何を思っていたのか。知っている者はこの二人だけだ。

 

 二人で分かち合えるのなら、それで充分なのだとそう思う。

 

 

 ただ一つ言えることがあるとすれば、それは。

 

 

 

 

─────この日、流れ星が駆けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「壊理ちゃん!早くしないと遅れちゃうよ」

 

 

 小さな事務所の一室に、女性の声が響く。

 壊理と呼ばれた少女は、その言葉に肩を大きく跳ねさせ、閉じてた瞳を開いた。

 

 

 少しだけ、眠ってしまっていたらしい。

 

 

 今日が楽しみで、昨日の夜は中々寝付けなかったのだ。

 白髪の髪を手櫛で整える。座ったまま眠っていたから、特に乱れてはいないのだが。

 

 

 「ほらっ、なにしとん!」

 「あっ、今行く!」

 「今日は入学式やろ。早く準備して」

 「待って、あいさつしてから」

 「今まで何やってたん!?」

 

 オーバーに驚く目の前の女性に、壊理はふんわりと笑う。目の前の女性は、壊理が緊張していると勘違いしているだろう。勘違いであっても、緊張をほぐそうとしてくれるのは嬉しかった。

 

 「ちょっと居眠り」

 「……先にご飯食べてるね」

 

 その女性はガックリと肩を落として、呆れたように言う。

 そしてクルリと背を向け、去り際に一言だけ口にした。

 

 

 「ここからが本番やから。入学初日で除籍とかホンマに止めてよね」

 

 そんなことあるのか、と。壊理の心臓が少しだけ跳ねる。

 後ろを振り向いても、その女性の姿はもう無かった。

 

 

 「……意地悪だ」

 

 そう呟いて、正面を向き直る。

 

 

 両手を合わせて、少しだけ祈った。

 

 

 

 

 

────桜が、咲く時期になりました。

 

 

 

 

 




これにて完結になります。
お付き合いいただきありがとうございました。
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