迷宮都市オラリオ
ここで今、一人の英雄の人生が幕を閉じようとしていた。
英雄の名はベル・クラネル
迷宮都市オラリオに数々の英雄の物語を紡いだ冒険者だ。
ダンジョンを最下層まで攻略した英雄
黒龍を打ち倒した英雄
モンスターと融和を結んだ英雄
神聖浴場を覗いた英雄《バカ》
オラリオで唯一レベル9という高みに登った英雄
神々の神意すら飛び越えた兎
そんな英雄も寿命という壁には勝てない。
彼のかつての仲間達も皆が先にあの世に旅立った。
遂に自分の番が来たのだとベルは悟る
そんな中、彼の最初の家族でもあり彼が最も神愛を抱いた女神が今にも泣きそうな顔で俯いている。
「・・・そんな顔しないで下さい・・神様・・・僕は貴方の家族になれたことを誇りに思います」
「ベル君・・・僕も君と家族であることを誇りに思うよ」
「なぁ、ベル君・・僕は君と出会った時のことが昨日のように思い出せるよ・・・色々あったね・・怪物祭でシルバーバックに追いかけられたり・・戦争遊戯でアポロンのところと戦ったり・・・ウィーネ君達をダンジョンに帰す為にロキのところの冒険者を敵に回したこともあった・・・・まるで全てが昨日の事のようだ・・・」
「はい・・・本当に色々ありました・・」
そこまで言うと彼は目を閉じる、今までの冒険が走馬燈のように蘇る。
本当に色々な事があった、様々な出会いもした。
フィン・ディムナと並びパルゥムの英雄と讃えられた少女
至高の剣を打つことに全てを捧げ後に神の領域にまで至った鍛冶師
とある武神と想いを添い遂げた極東の少女
かつては娼婦であったが英雄と出会い数々の冒険をした狐人の少女
自身の正義を貫き通したエルフの少女
他にも様々な出会いと別れを繰り返し様々な冒険をした。
「神様・・・僕は・・もう逝きます」
「・・・ベル君少し天界で待ってておくれよ・・必ず僕と君はもう一度出会う・・・そして、もう一度言うんだ・・僕の眷属にならないかってね・・それまで少しお別れだ・・・」
彼は少し微笑んだ
その瞬間、迷宮都市オラリオにに鐘の音が鳴り響いた。
それはまるで、オラリオがダンジョンが彼の死を悲しみ彼の偉業を讃えているようだった。
彼が目を開けるとそこは真っ白な空間だった。
「ベル様!お待ちしていました!リリはベル様と何処までも共に歩んで行きます!」
「ホント待ちくたびれたぞベル!」
「ベル殿、お久しぶりです。お待ちしていました。」
「ベル様!春姫はまたベル様と一緒に冒険がしたいてます!」
「ベル、お疲れ様でした。やはり貴方は尊敬に値するヒューマンだ」
そこには、かつて共に冒険をした仲間達がいた。
そして、今度は彼の後ろから声をかけられる彼が後ろを振り向くとそこには
「ベル・・・・今度は一緒に行こう」
かつての憧憬がいた
「はい!一緒に行きましょう!みんな!アイズさん!果てなき冒険に!」
fin