「先輩!雪乃先輩と結衣先輩ばっかりずるいです!」
最近奉仕部へ居座っている一色が雪ノ下と由比ヶ浜が手首につけていたシュシュについて比企谷からのプレゼントということを知ってしまい、抗議の声を上げる。
「なんでかわいい後輩である私にくれないんですかー?おかしくないですか?」
「おかしいのはお前の頭だろう、何故お前にくれてやらにゃいかんのだ?大体お前は俺からもらってもうれしくないだろう、葉山んとこ行って来いよ」
「えーいいじゃないですかー、雪乃先輩と結衣先輩に上げてるんだから2つでも3つでも大して変わらないじゃないですかー、私にもくださいよー」
そう言いつつ一色は比企谷の腕に抱き着いて駄々をこねる
結局色々揉めた末一色用に同じデザインのオレンジ色のシュシュを買い与えることになった。
次の日の部活の時間何故かまたプロット程度の物を持ち込んでコテンパにされた材木座が全員がシュシュを手首につけているところを見て、比企谷へこっそり耳打ちする
「八幡、あの女子共がつけてるアレななんかこう三人がそれつけてると戦隊物っぽくないか?」
「うーん、実は俺もちょっとだけそう思ってしまうことがあるな、雪ノ下はピンクだけどレッドっぽくてリーダーって感じだし由比ヶ浜は2番手でブルー、一色はイエローでしっくりくるしな」
「やっぱりあの会長殿はカレー好きか?」
「ブフっ笑わせるな」
つい吹き出す比企谷だがそれに気が付かぬ女子たちではなかった
「さっきからごそごそと気持ち悪いわ、それにその声の大きさでひそひそ話は無理があるのではなくて?、さて比企谷くん戦隊物とは何かしら?」
雪ノ下が見る物すべてを凍らせるような視線で比企谷に詰め寄る
「あー我は用事があるのでな!では八幡!生きてたらまた会おうぞ!」
「あ!中二!」
由比ヶ浜の制止も聞かずに材木座は一目散に逃げ出す、残ったのは3人の女子に囲まれた比企谷だけとなった。
「あー何とか戦隊何レンジャーっていうやつですか?女の子になんか失礼ですよ先輩」
ちょっと知っていた一色は不満そうに比企谷に言うが
「ま、まーそれだけ似合っているということだ、プレゼントした俺も鼻が高い!うむ!これにて一件落着だな!さて俺は今からアレがアレして何だから帰るな、それじゃまた明日!」
と比企谷も帰ろうとするが
「待ちなさい比企谷くん、ごまかされないわよ?きちんと説明を要求するわ、時間はたっぷりるからね?」
「俺には俺の帰りを待つ小町がいるんだ!命だけ「小町ちゃんに連絡しといたから」そんなご無体な・・・」
結局3人に囲まれてサイゼリヤでおごらされる比企谷だった。
そして今日、比企谷は遅れて奉仕部へ行った、今日は海老名が力作?の感想を聞きたいと同人誌を持ち込むことになっていたからだ。
内容が簡単に想像ができるため本当は休みたかったが雪ノ下が怖い為適当に用事を作って遅れていくことにしたのだった。
「海老名さんの奴ってあれだろ、葉山とからむアレ、あんなの雪ノ下が見たら卒倒するんじゃないか?」
そうブツブツいいつつ部室へ顔をだすと誰もいなかった。
「あるぇ?」
まあいいかといつもの場所に座っていると材木座からメールが来る
『超凄いプロットを考えた、戸塚殿へ話したら感激していたぞ!一緒にストーリーを考えてくれるそうだから今からそっちに行く』
比企谷は速効で材木座へ電話をする
『今すぐダッシュでこい!あ、戸塚には絶対無理はさせないように必ず連れてくること、無理させたらお前を蒸発させてやるからな』
『おぬし矛盾しすぎだろう』
しばらくするとノックの音が聞こえる
「戸塚!来てくれてたか!」
そう言って扉を開けると葉山が立っていた
「ちょっと失礼するよ、戸塚君も来るのかい?」
「今すぐ帰れ」
会いたくない顔が出たので扉を閉めようとするが
「つれないね、まあ俺も来たくは無かったんだけど雪ノ下さんに用があってね、メールしても無視されるからこうやって来たんだよ、用が済んだら帰るから」
そう葉山は言うと強引に部室に入ってくる
「あれ?いないね?」
「俺も知らん、用が済んだら帰れよ」
そう言いうと椅子に座るが、すぐ戸塚と材木座が現れて比企谷は主に戸塚のおかげで上機嫌になった。
「やっぱ戸塚は最高だなぁ、戸塚俺の嫁になってくれ、いや婿の方がいいな、俺は専業主婦で」
「んもう八幡は冗談ばっかり」
ハイテンションになっている比企谷を見てドン引きする材木座と葉山だったが唐突にバーンと扉が開く音が聞こえる。
「そんなことはさせないわ!」
4人がドアの方を向くとお面を被った雪ノ下由比ヶ浜一色らしい人たちが入ってきた。
「・・・お前ら何やってんの?」
呆れ顔の比企谷に
「私たちは総武高校の平和と比企谷くんの貞操を守るため結成された総武戦隊!奉仕レンジャー!」
雪ノ下らしき人物はそう言うとビシッとポーズをとる
「・・・は?貞操?おまえ雪ノ下だよな?そのお面どうしたの?っていうか何してんの?」
比企谷は呆れ顔になるが
「雪ノ下?違うわ!私はゆきのんレッド!」
「私はガハマブルーだよ!」
「いろはすイエローです!」
「「「三人そろって総武戦隊奉仕レンジャー!!!!」」」」
背後でドカーンと爆発がしそうな口上を述べるとまたもポーズをとる
比企谷は葉山の腕を取ると教室の隅っこに連れて行き
「おい、お前の幼馴染と友だちと部活のマネージャーがおかしいことになってんぞ!さっさと止めてこい!」
比企谷はそういって葉山をけしかけようとするが
「嫌だよ、だいたい彼女らぶっちゃけ君と友達以上の関係だろ!君が何とかしろよ」
そう言うと葉山はゆきのんレッドの前に比企谷を押そうとするが
「なにいきなりそんな恥ずかしいこと言ってるんだ?、大体関係性以前に貞操とか物騒なこと言ってる連中の前になんていきたくねぇ!」
「美少女3人に貞操守ってもらえるなんて君はとても幸せな奴だな!うわーすっごく羨ましー」
「葉山、おまえキャラぶっ壊れてんぞ!」
二人がワイワイ揉めていると
「やはりこの書物のとおりのようね・・・」
ゆきのんレッドと名乗った女子は一冊の薄い本を取り出す
「エビナヒナが書きしこの予言書によるとザイハチ、トツハチを経てハチハヤが完成するという、そしてその前触れとしてかならずパートナー同士で揉めると書いてあるわ」
「おい!なんか変なこと言ってるぞ!エビナヒナって海老名さんだろ!葉山!」
「俺知らない、なーんもしらない」
葉山は後ろを向いてしゃがみ込む
「愚腐腐腐腐腐腐腐、ヒキタニくん、ハチハヤはまだ早いよ、まずはザイハチでしょ?」
海老名がニヤニヤしながらいつの間にか登場する
「海老名さん、一体なにやったの?」
「んー?君が来る前に私の書いた同人誌読ませて君たち4人の関係を熱弁したらこうなっちゃった、ヒキタニくん愛されてるねー」
「誰にどう愛されてるんだよ・・・勘弁してくれ・・・」
「決まってるでしょ、そこの3人の男衆によ!突いて突かれて突かれて突いて!キマシタワー」
海老名は鼻から噴水のごとく鼻血を吹き出す。
「そんなことはさせないわ!ガハマブルー!出番よ!」
「ゆきのん!じゃなかったゆきのんレッド!まっかせて!」
そう言って手を上げると由比ヶ浜?がポケットから包み紙を取り出し材木座へと近づく
「はぇ?」
怪訝な顔をしている材木座にガハマブルーが近づき
「中二?これプレゼント、全部食べて?」
と何か石炭のような黒ずんだ物を材木座の口に押し付ける
「ム、むがー」
必死に抵抗する材木座だったが
「中二?誰にでもこういうことするわけじゃないんだよ?」
とガハマブルーはお面を外して耳元でささやくように言う
「どっきーん、食べる食べる食べるでごじゃる!!!」
メロメロになった材木座は石炭のようなものを全部平らげると
「こ、これは!」
と言い残してばったりと倒れる
「ざ、材木座ー!!」
「次はトツカサイカ!あなたよ!」
「え?僕?」
「戸塚に変なもん食わせんじゃねぇ!」
比企谷は戸塚の前に立ちふさがるが
「次はいろはすイエローあなたの出番よ」
「はーい、戸塚先輩、テニス部について生徒会から耳寄りな情報があるんですよー聞きたくないですかー?」
「・・・八幡、ごめん」
そう言うと戸塚は比企谷を押しのけいろはすイエローの元へ駆け寄る
「え?部費が~%アップ?練習場所も・・・?グラウンドの使用権が・・・」
「と、戸塚・・・」
比企谷は戸塚の近くに寄るが
「ごめん八幡、僕部活も大事だからさ・・・」
戸塚はそう言うと部室を出て行ってしまった
「と、戸塚ー!」
「残ったのはあなたよ!ハヤマハヤト!このゆきのんレッドがアイ・キドウでコテンパにしてやるから覚悟なさい!」
そういうとフンスと葉山の前に立つ雪ノ下
「なんでこんな目に・・・ちょっと用事があっただけなのに・・・」
しゃがみ込んで立ち上がろうとしない葉山に今更ながら比企谷が聞く
「おうそうだ、そう言えば雪ノ下に伝言があったんだろ?雪ノ下もメールぐらい見てやれよ」
「こんな男のメールなんて見たくも・・・ハッな、なんのことかしら?私はゆきのんレッドよ!」
「もういいから、葉山伝言をどうぞ」
「陽乃さんが・・・」
葉山がぼそぼそと話し始めるがよく聞こえない
「んぁ?なんだって?もっと大きい声で!」
「だから陽乃さんが暇だからって遊びに来るっていってたの!、君たちに前もって伝えておこうとしたの!もう言ったから俺は帰る!んじゃそういうことで!」
そういうと葉山は逃げるように扉を開けるが、すべては遅かった
「あれー隼人、どこに行くのかなー?」
「陽乃さん・・・」
「げぇ!おい葉山言うのがおせぇんだよ!」
「げぇってどういうことかなー未来の義姉ちゃんに失礼じゃないかな?んーそれとも私と一緒になって義妹ができた方がうれしいかな?」
そういうと陽乃は比企谷へと抱き着く
「ちょっとやめてくださいよ、みんなみてますよ」
「ふーん見てなかったらいいんだ?ねぇ雪乃ちゃ・・・って雪乃ちゃんもガハマちゃんもなにやってるの?」
お面をつけてる雪ノ下と由比ヶ浜を一色、傍から見ると異様な光景である
「雪乃?違うわ私はゆきのんレッド!」
「ガハマブルー」
「いろはすイエロー」
「「「三人そろって総武戦隊奉仕レンジャー」」」」
「・・・雪乃ちゃん大丈夫?」
「私たちは総武高校の平和と比企谷くんの貞操を守るため結成された総武戦隊奉仕レンジャー!魔王ハルノ!あなたに比企谷くんは渡さないわ!」
「・・・あ、そういうことか」
と何か納得したような陽乃
「ふふふふ、そう私は魔王陽乃!ゆきのんレッドの頭脳とガハマブルーのスタイル、いろはすイエローの計算高さを兼ね備え美貌においては3人以上、さぁ比企谷くん、私に貞操をささげなさい、そして私と逃避行しましょう」
陽乃はそう言うと比企谷の手を引っ張る
「ちょっちょっと陽乃さん?」
引っ張られるがままに比企谷はそのまま連れ出されてしまう
「魔王ハルノ!まちなさい!」
そういうと3人はどたどたと比企谷を連れた陽乃を追いかけていく
「一体何が何やら・・・」
海老名もいつのまにかいなくなっている為取り残される葉山
何気に窓の外を見るとハイエースが止まっている
なんとなくそのハイエースを見ていると、比企谷が簀巻きにされて担ぎ込まれるところだった。
「雪乃ちゃんと結衣といろはが比企谷を担ぎ込んでるのか?あ、運転席に陽乃さんが乗ったな・・・皆で結託したのか・・・」
そのままブーンと走り出すハイエースを見ながら
「まあみんな得してるからなにも問題ない!なにしろ俺はみんなの葉山隼人だからな!だから目下のところは彼を保健室に連れて行くこと!これはとても重要だ!比企谷はきっと大丈夫だろ!」
そう言うと口から泡を吹いて床に転がっている材木座を保健室につれていく
「今日のことは忘れた方がいいな!うん!俺は何も見なかった!そういうことだ!」
今日のことは葉山の中ではなかったことになったらしい
だから次の日から比企谷がものすごく憔悴しきった感じで毎日登校することになっていても、雪ノ下姉妹と由比ヶ浜と一色ががやけにつやつやした感じでいても彼の中では何も問題は無いのであった。