この経緯があってテスタメント実装って妄想です。
じゃあ今回もこんなんどうっすか?
彼は今にも消え行く少女の前に立っていた。
「求められた通り、完璧を成す魔法少女がいるのなら、誰がその苦しみを分かるのかしら……」
勝負は既に決し、世界に昇華していく彼女は誰に言うでもなく、世界を呪うが如く言葉を発する。
「誰がその子を救うのかしら」
この世界の理不尽を、不条理を嘆く彼女は、
「誰が魔法少女に魔法をみせてくれるというの……」
ただ誰にとっても理想で万能な魔法少女になりたいだけだった。
少年にはそれが感じられた。
感じられたからこそ、虚ろな彼女の手を取った。
「俺が見せるよ」
「え…?」
少女には彼の言葉の意図は分からない。
消え行くその身体では、きっと彼の言葉すらハッキリと聞き取れていないだろう。
「俺は魔法なんか使えないし、カルデアからのバックアップがなかったら、皆のサポートすら満足にできないけれど…」
しかし、彼女の心は彼の言葉で響き、じんわりと溶けていく。
「俺でも君の隣で、君の苦しみを聞くぐらいのことはできると思う。だから…」
最後の言葉を聞くより先に彼女は世界に混ざる。
消えた彼女の手を取り続けたまま、悲しげな顔をする彼にサーヴァントが声をかける。
「先輩……、テスタメントさん最後に笑ってましたね」
「そうだね…、またいつか、どこかで会えればいいね」
最後の言葉は彼女に伝わったのだろうか。
彼の想いは通じたのだろうか。
彼女とは分かり合うことができたのだろうか。
ただ一つ、ただ一つ確かなことは、
……今ここで二人の縁は交わったということ。
邪の刻。
邪が、魔が、悪が彼を襲う。
「ハァ…ハァ……ハァ…」
彼の周りには護衛するサーヴァントはいない。
彼を支援する通信機器も機能しない。
生身の肉体で襲撃を避け続ける彼を疲労が蝕む。
「うわぁっ!!」
疲労が足を止めさせたのか、
焦りにより足元が疎かになったのか、
敵の攻撃が肩を掠めたのか、
彼は前のめりに倒れ、その背後から敵意が彼を包もうとする。逃れることのできない命の終わりを感じた彼は、恐怖のあまり目を瞑る。
……痛みはない。苦しみもない。代わりに目を瞑っていても感じ取れる閃光が彼を包んでいた。
ゆっくりと目を開く彼の目の前には、
「ごきげんよう。久しぶりに会えたと思ったら敵に襲われているなんて、不幸体質もいいとこなんじゃないの?」
あの時消えたはずの彼女が少年を守るようにバリアを張り、攻撃を防いでいた。敵は狂ったようにバリアを叩き続けるもヒビ一つ入らない。
「……まあなんて醜い。あなたみたいなのはいかにも悪役って顔していても、日曜の朝に見れたもんじゃないわ。いいとこ月に一回の深夜帯ってところかしらね」
彼女が手にする杖を一振りすると、バリアはその形状を変えて、槍となり敵の腹部を貫いて吹き飛ばす。
「あの時の約定を守りにきたわ。まさか忘れたなんていわないわね?」
彼が魔を滅したいのであれば、彼女は魔法の杖となるだろう。
邪が彼を襲うというのなら、彼女は魔法の呪文となるだろう。
「まさか、忘れるわけないじゃないか。頼むよ、テスタメント」
彼の手の令呪が光り輝く。
それは彼と彼女が契りを交わした証そのもの。
「いいでしょう。それなら約定通り……」
私はあなただけの理想で万能な魔法少女となりましょう。
お読みいただきありがとうございました。