十数年後...
新生木の葉隠れの里は、予定通りカカシが火影となり、目覚ましい発展を遂げた。
その背景には、光の里で開発された科学忍具が大きく貢献していた。
現在は、すでにカカシは引退し、日向ネジがナルトとの約束を果たし二代目火影として新生した木の葉を率いている。
ネジは同じ班のテンテンと結婚した。
ちなみに、その結婚式に出席したナルトは、号泣していた。
その理由が、前世で死んでしまい結婚することが出来なかったネジの幸せな姿を見た為か、はたまた前世で唯一...同期の中で独り身だったテンテンの晴れ姿に涙した為か...
それはナルトの中の秘密である。
他の里との友好関係も続いており、砂を除き影の世代交代があった他の里でも、それは変わらない。
光の里では、未だナルトが長をやっている。
ナルトは、前世と同じように二人の子宝に恵まれた。
かつての木の葉のように、発展著しい光の里もまた、繁栄とともにナルトの仕事量は加速度的に増えていったが、家族優先のナルトは、次代を育てると言う名目のもと、自分の仕事を次代の里長候補に割り振ることで、かつての過ちを回避していた。
子供や妻...そして自分の誕生日には必ず帰るし、家族サービスの為に仕事を休むこともしばしば見られた。
そして、今日は家族でピクニックに出掛けていた。
「ほら、ボルト早く準備しないと...置いてくよ?」
「待ってくれよ。ヒマワリ姉ちゃん...」
あの後、ヒナタと、結婚したナルト。
しかし、最初に生まれたのは女の子だった。
その時、ボルトが生まれてくるものと思い込んでいたナルトとヒナタは、大いに焦った。
もう、この世界でボルトに会うことは出来ないのではないか...そう考えた二人だったが、悲しむ二人にハゴロモが無理して現れて、説明してくれた。
前世のヒマワリの魂は、ヒナタの中で眠っていた...
その魂の影響を受け、先にヒマワリが生まれたのだと。
物心着く頃には、ヒマワリも前世の記憶を取り戻した。
この世界のこと...前世のこと...そしてボルトのこと...
ナルトとヒナタは、ヒマワリに全てを話した。
お兄ちゃん子だったヒマワリは、二度とボルトに会えない事を悲しんだ。
しかし、ボルトが憎しみにも負けず、前世の世界を生き抜き、それどころか、世界を越えてナルトとヒナタの危機を救ったと聞き、悲しそうにしながらも、どこか誇らしげに、ボルトを応援することにした。
そして、数年後...ナルトとヒナタの間に二人目の子供が生まれる。
今度は男の子だった。
三人はこの子がボルトであると確信した。
その後、ヒマワリは弟のボルトをとても可愛がった。
前世で、自分をとても大切にしてくれていたボルト。
自分の為にナルトに怒ってくれたこともあった。
ならば、今度は自分がこの弟を守る。
ヒマワリは使命感に燃えていた。
そして現在...
目的地の野原に到着したナルト一家。
「うわぁ。キレイ。お母さん、ボルト早く行こう。」
辺り一面花で咲き乱れた野原に感動したヒマワリは、荷物を下ろしているナルトを尻目に、ヒナタとボルトを伴って駆け出した。
その様子を苦笑して、見送るナルト。
しかし、内心は幸せで一杯だった。
家族が、笑顔で過ごしていける...
それこそ、ナルトが求めた世界だからだ。
「なあ...九喇嘛。」
ふいにナルトは九喇嘛に話しかけた。
『なんだ』
「ありがとな...俺をこの世界に連れてきてくれて...」
『へっ...なんだ...藪から棒に...』
「正直、初めはこの世界に連れてこられた事を恨んでた...なんであのまま死なせてくれなかったのかってな...」
『.........。』
「でも、この世界のヒナタに励まされて...新しい目標も出来た...あの世界では救えなかった人達を救うことも出来た...逆に犠牲になっちまった人達もいたけれど...今はこうしてまた...家族を得る事が出来た...俺は今幸せだと実感してるんだってばよ...それも、お前があの時、俺をこの世界に連れてきてくれたおかげだ...だから...ありがとう...」
ナルトは素直な気持ちを口にする。
『止めろ止めろ。気色悪い...ワシはただあんな結末に納得がいかなかっただけだ。』
しかし九喇嘛は、照れ隠しからか憎まれ口を叩いて、それを制した。
「それでも...ありがとう...」
『けっ...』
尚も礼を告げるナルトに、九喇嘛はそう言って寝てしまった。
苦笑するナルト。
爽やかな風が吹き抜ける。
自分の目の前では、ヒナタ、ヒマワリ、ボルトの三人が楽しそうに遊んでいる。
その姿を眺めながら、ナルトはあの世界のボルトに想いを馳せる。
あの戦いの後、ボルトがこの世界に姿を表す事は無かった。
「アイツは今も、あの世界で戦い続けてるのかな...」
ナルトは独り言のように呟いた。
「なあ...ボルト...お前の事だ...どんなに苦しい状況でも歯を食いしばって、耐えてるのかも知れねぇな...」
「でも、何でかな...心配はしてねぇんだってばよ...。あの時...お前に助けられたとき...お前の強さを実感したからかな...」
「お前は、俺なんかよりずっと強い...だから安心してられるんだ...」
「そう言やぁ、いつだったか...サスケのヤツが言ってたっけな...お前は俺やサスケを超える存在になるって。俺の息子を自分が鍛えるんだからなって...自信満々に言ってやがったっけ...」
「ボルト...俺はこの世界で、生きて行く。母さんやヒマワリ...それにこの世界のボルトと手を携えて...」
「だから、お前はそっちで頑張れ。例え世界が変わっても...父ちゃんはお前の幸せをいつまでも願ってるからな。」
ナルトは最後にそう言うと、天に拳を突き出した。
遠い...かの世界で...ボルトが拳を合わせてくれる...そんな気がした。
(父ちゃん...俺は頑張ってるってばさ...)
「!?」
ふと、声が聞こえた。
ナルトの拳に何かが触れた気がした...
しかし、誰もいない...
だが、ナルトは笑みを浮かべた。
きっとボルトに届いている...そう感じた。
「お父さん...いつまで荷解きしてるの...お父さんも早く来てよ。」
「父ちゃん...早く来てくれってばさ。」
「あなた...子供達が待ってるよ?」
三人の言葉を聞いたナルトは、急いで作業を終わらせると、
「ああ...今、行くってばよ!」
笑顔で愛する家族の元へと向かうのだった。
完
これにて完結です。
最後までお付き合いありがとうございました。
また、高評価して下さった方、誤字報告、修正にご協力して下さった皆さん...本当にありがとうございました。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない