めちゃくちゃコツコツ書いておりました。
気づけば幼女戦記の2期が間近となってますね!
最早何年越しだよとも思いますが、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!
▲ 帝国 オペラ座本部 講堂
「少尉、ちょっと良いかしら」
地下牢で一悶着あってから少したった時の事である。地下牢フロアから上がってきたロフスキ少佐からシルサルスキ少尉にお呼びが掛かる。側には地下牢に囚われていた少年兵が拘束されている。
「はっ!何でしょうか?」(嫌な予感……)
シルサルスキ少尉の脳内に警告音が鳴るのは、成長した証だろうか。そんなシルサルスキに構わず、ロフスキ少佐は隣で守衛に捕らえられている少年兵に軽蔑の目を向けながら命令を端的に発する。
「ちょっと
(リリース……リリース?……つまり?)
シルサルスキは命令を脳内に浸透させるべく、意味を反芻する。現実時間では瞬き程の時間だが、命ぜられたシルサルスキ少尉の脳内では数分にも及ぶ思考がされていた。
「えっと……それは……つまり……捕虜の処刑命令でしょうか?」
ぐるぐると目が回る感覚に成りながらも己の中で導き出された命令の解釈を発令者へと確認する。
「貴方ねぇ……まぁいいわ。釈放よ。釈放。子供には恐怖を植え付けて、教育してやっただけで十分。自由にしてやりなさい」
シルサルスキ少尉に辿々しく返答されたロフスキは小さく溜息を溢して、呆れながら命令の意図を端的に簡潔に伝える。
此処に来てリリースと言う本来の意味である事を呑み込んだシルサルスキ少尉は捕虜に目を向け、僅か思案すると
「例の保安将校殿には?確認せずとも?」
提携先、
これは勝手には動けないな、とロフスキ少佐に顔を向けて返答を待つと返ってきた返事は、何とも対応に困る。実にあっけらかんな、それだった。
「ご自由に」
目を伏せ、肩を竦めてどうとでも、とサラッと言われるが、言われた側であるシルサルスキ少尉は何度目かにもなる思考を巡らせる羽目になる。
(……うーん、一応、ホウレンソウかなぁ〜)
別室でロベルト大尉と協議して居られるヒルシュ大尉への報告を上げるか否かを迷っていると、講堂の大扉が開き、マートン准尉と見覚えのある人物が義足の音を立てて入室してくる。ガチャ
「少佐、来客です。グスタルボ軍曹と……」
お知り合いで?とマートン准尉が後に続くグスタルポ軍曹を示す。
「ありがとう、リーナ。戦友、待ってたわ。ようこそ」
「少佐殿、厄介を掛けますが……」
ロフスキはマートン准尉に案内の礼を伝え、待ち望んでいた人物の登場に気分が高揚する。そこで、良い気分に水を差す存在を思い出し、改めてシルサルスキ少尉へ指示を行う。
「少尉、例の釈放組 早めに出して頂戴。こんなめでたい日に生ゴミはさっさと捨てておきたいもの」
「は、はい!」
命ぜられたシルサルスキ少尉は幾人かの下士官を率いて、足早に地下牢へと向う。ロフスキは任務遂行に走る少尉を見届け、改めてグスタルボ軍曹に向き合う。
「歓迎するわ。軍曹、取り敢えずロベルト大尉の下について頂戴。期待しても?」
ロフスキは懐から煙草ケースを取り出し、煙草を1本グスタルボ軍曹へと期待の眼差しと共に手渡し、
「働きで証明できれば」
グスタルボ軍曹は渡される煙草を受け取るとロフスキの瞳を真っ直ぐと見つめ返し、手短に返答する。返された返答はロフスキをして満足に足る以上のモノで、柔らかい笑みが溢れてしまう。
「ふふ、塹壕貴族はこれだから素敵。一先ずは馴染むように」
「はっ!」
タバコを加え、歴戦の軍曹らしくビシッとした威勢良い敬礼をする漢は少し前まで物乞いだったとは思えない程に凛々しい。
「リーナ、軍曹に案内を」
「了解です」
グスタルボ軍曹に対して返礼し、オペラ座の案内をマートン准尉に任せる。意を汲んだ
ロフスキも煙草を咥え、肩掛けのコートを翻して歩みを始める。
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▲ 帝国 オペラ座本部 酒保*1
「あと行ってないのは車両庫ですね。こっちです」
「准尉殿、手間を掛けます」
申し訳ないと頭を下げ様とするグスタルボ軍曹を制して、この程度は何でもないと肩を竦め、気怠げに歩む。
「これくらい手間でも無いですからお気になさらず。……代わりと言ってはなんですが、少し寄っても?」
「構いません」
一通りオペラ座を案内して周り、最後に車両庫へと歩く中、マートン准尉は己の胸ポケットを確認すると軍曹に一言断りを入れて酒保での買い物へと洒落込む。
「
「あぁ、軍人の必需品ですからね。……おや、先客が居られますな」
「先客?あれは……」
煙草の重要性を語らいながら、酒保のカウンターへと向かっていると今では見知った顔となった人物が酒保の店主と何やら楽しげに話している所に出くわす。
「此処はホントに品揃えが凄いですね!特にコーヒーが何種類も置いてあるのは個人的には助かります!」
「はは、中尉殿は中々見る目がお有りだ。最近の市井では余り出回らない物もありますからよろしければ」
ピュッアピュアな瞳をキラキラと潤ませて熱心に商品を吟味して居られるのは最早馴染みに馴染んだセレブリャコーフ中尉殿であった。
「ありがとうございます!では、お言葉に甘えて……コレとソレ、アレと、あとコレもお願いします!」
「承知しました。今お包みしますのでお待ちを」
見ていて此方が気持ち良くなるほどの明るいショッピングに店主も小気味良い返事を残し、多数の商品を梱包し始める。
「ふふ〜♪ 少佐、喜んでくれるかなぁ〜」
それと同時にマートン准尉と新顔のグスタルボ軍曹に気が付いたセレブリャコーフ中尉が敬礼もそこそこに挨拶を交わす。
「あ!マートン准尉!お疲れ様です!それと……初めて会う方ですね」
「お疲れ様です。
「ホルスト・グスタルボ軍曹です。よろしくお願い致します」
「ロフスキ少佐殿が御招集された方なのですね。私はヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ魔導中尉です!此方こそよろしくお願いしますね。買い物は〜えーと……コーヒーと甘味を少し……」
「……そうでしたか」
(少し?……その袋の数が……少し……?)
「はは、……結構買われましたね」
相変わらずの人当たりで一瞬で打ち解けたセレブリャコーフ中尉は梱包された商品を店主から受け取り満足気な表情を浮かべている。
「最前線勤務ばかりで給料を使うタイミングが無くて、酒保の物が良い物ばかりだったのでつい〜」テレテレ
参謀本部所有の遊撃部隊の1人として駆けずり回った彼女は私生活で給与が使えるタイミングが余り無く、この様な非番ないし買付の際に一気に買い込むのが常となっていた。
マートン准尉はその買い物の量に驚き、思わず買い過ぎでは?と超えに出そうになるのを抑える。軍曹は苦笑い気味に口に出してしまっていた。
マートン准尉は直ぐに思考を切り替えて酒保に赴いた目的を果すべく店主に声を掛ける。
「……店主、煙草を」
「畏まりました。御幾つご入用で?」
「んー……7箱頼みます」
僅かな逡巡の後、マートン准尉は入り用の数を伝える。承った店主は轡を返して在庫を探しに店の奥に消える。3人だけになったタイミングでマートン准尉は溜め息を溢す。
「ハァ……それにしても、最近の給料が紙くずになって辛い……」
「あー、分かりみですね〜」「おや、准尉殿や中尉殿でも?」
戦争直後に物的インフレに見舞われた帝国では市井・軍人問わず生活面に大なり小なり苦を覚える者が多かった。それは今でも少なく無い。
「月31万に特技手当が7万、勤務手当と危険手当が別途合わせて7万で月収45万。出動手当は別といっても、この金額でどう過ごせと?」
兵舎や軍の保養所など住み所はあるにはあるが、家庭を持つものを中心に一般住居に住む者も多い。家賃・その他生活費も馬鹿にならず、
「私も似たり寄ったですけど、物価高もあって給料が相対的に低くなっちゃうんですよね。特に嗜好品が中々……」
「市場で普通に買えば煙草
代替え食品で誤魔化し誤魔化しでやっているレストランなども多かったのも記憶に新しい。小麦等の穀物は連邦からの輸入で戦争後期にはある程度安定していた。
それまでに軍・市井に出回ったタンポポコーヒー、牛乳やコーヒー・紅茶を希釈した希釈品、デデ肉(代用豚肉)、Kriegsbrot通称Kパン挙げればきりが無い。
初めて配給された時に味わったあの味は一生忘れないだろう。
「代用品の味は酷いものでしたからね……。配給品なので余りケチは付けたくなかったのですが……」
「ほんと、酒保が公定価格通りでよかった……フー……中尉殿も如何です?」スッ
心の底から沁み沁みの言葉と共に煙草を吹かし、自分の愛用品と言う事もあり、セレブリャコーフ中尉にも勧める。
「お気遣いありがとうございます。でも、航空魔導士が肺を焼くと空で溺れる事になってしまうので」
しかし、セレブリャコーフ中尉は申し訳無さそうな表情を浮かべてやんわりとお断りを入れる。航空魔道士にとって肺を焼く事は致命的だ。肺機能はそのまま高高度での戦闘継続力に直結する。
「すいません。配慮が足らず」
ダウナーな彼女にしては珍しく僅かに取り乱し、ペコリと頭を下げて煙草をしまう。そんなマートン准尉を制止し、眩しい笑顔で買い物袋からチョコバーと煙草を引っ張り出す。
「いえ、大丈夫ですよ!私はこのカロリーチョコバーを頂きますから!それに煙草は兵卒のお供とも言いますから!はい!軍曹さんもどうぞ!」ニカァ
セレブリャコーフ中尉はマートン准尉とグスタルボ軍曹それぞれに差し入れ様に買った煙草を手渡す。在り来りなモノであっても人から善意で貰ったモノに思わず気分が高揚する。
「これは、ありがとうございます。頂きます」ハフゥ−...
「助かります」フゥー...
其々、タバコを1本咥え火をつけてゆるりと燻らしニコチン接種に精を出していると、オペラ座にあって浮いた存在の2人組が何やら言い合いながら歩いてくるではないか。
「ですから、関係性の薄い子供を拘束し続ける理由が……」
「開放は結構、しかし、事後報告でよいと?共同調査であるのに?」
親愛なる情報将校殿と詰問されて困り顔の新人少尉殿だ。
先刻の
あー煩わしきは共同調査。マートン准尉は知らない振りを決め込み、グスタルボ軍曹とセレブリャコーフ中尉と共に小休止に耽る。
「小官は実行者です。判断を下す立場には……」
「ハァ……貴官を咎めてもしかたない、か。よろしい、了解した。ロフスキ少佐に改めて……」
そんな事言われましても……と眉を寄せるシルサルスキ少尉の内情を感じ取ったヒルシュ大尉は肩を揺らして大きな溜め息を溢して不承不承ながら納得する。
「(-。-)y-゜゜゜フー……」マートン准尉
「(´~`) モグモグ……」セレブリャコーフ中尉
「( ´ー`)y-」グスタルボ軍曹
ヒルシュ大尉は一連のやり取りを行いながら歩いていると優雅に休憩中の3人に自然と目が止まる。煙草を燻らせ、片や美味しそうに携帯食を貪る様に自然に何より自然と言葉が溢れる。
「……オペラ座というだけあって優雅な事だ」
「大尉殿?」
ヒルシュ大尉のボヤキにシルサルスキ少尉が反応すると、ヒルシュ大尉はもの悲しげな表情と煙草を吸うジェスチャーを交えて、己の懐事情を語る。
「いや、最近はどうにも口元が寂しくてな」
「あー、ヒルシュ大尉殿もヘビースモーカーですか」
「元はな。物価高には勝てん、今やちびちびとな」
兵隊にタバコはつき物。兵卒だろうが、士官だろうが、将官だろうがニコチンが無ければやっていられない場面が幾度とある。有限な物資の節約と浪費のバランスは軍人問わず、常にある悩みの種でもある。
「よろしいばスッ……」
「!准尉、気持ちは有り難いが……構わないのか?」
戦時から平時になったとは言え値段が高騰している貴重な1本でもあるのだ。貰うのにも側にも遠慮が生まれる
「えぇ、大丈夫です。そこの酒保が定価で売ってくれますから」
「……在る所には在るモノだな」
遠慮気味のヒルシュ大尉にマートン准尉は背にした酒保を指さしてお買い得ですと告げれば、呆れか、驚きか、自然とヒルシュ大尉はボヤいてしまう
「ところで准尉、その……なぜ、そんなに煙草を?」
モクモク
「チェーンスモーカーでして。吸えない時に備えて吸い溜めを」プカプカ モクモク
シルサルスキ少尉の疑問に対してマートン准尉はモクモクと煙草を燻らせ、煙を吹き出しながら、吸える時に吸っておかないとやっていけませんよ。と踊れけて見せる。
「どうです少尉、あなたも」スッ……
「では、お言葉に甘えて……」
マートン准尉から渡された1本を有り難く頂き、火をつけ吸った瞬間、喉を、肺を強烈なニコチンが一気に駆け巡りる
(……きっつッ!?)げほッ けほッ
「だ、大丈夫ですか!」
「ハハハ、モニカ少尉殿。それは味よりもニコチンの酷い奴でして、慣れてないとキツイでしょうな」
シルサルスキ少尉は煙を吹かすというより、半ば嘔吐く様な形で煙を吹き出す。そんな様子を見ていたセレブリャコーフ中尉とグスタルボ軍曹は片や心配で、片や面白げに声を掛ける。
「ゴホッ……そ、そうなんですね」コホッ
未だ涙目で咳き込んでいるシルサルスキ少尉を横目にヒルシュ大尉は煙草を消して馳走になったと伝え、それと同時に小言を一言吐く
「いや、ご馳走になった。ロフスキ少佐にいれる苦情は増えたがね」
「……」「……」「……」
「えぇと、何かご不満が?」
中尉・准尉・軍曹は煙草を吹かしたり、軽食を食したりして
「正直、思うところはある。パラノイヤに付き合う身となればな」
少尉殿が話し掛けてしまった手前、黙っていられなくなったマートン准尉とセレブリャコーフ中尉はお客様が問題視する要件を此方からも尋ねる
「例のモグラの件ですか?」
「大尉殿はモグラの存在に懐疑的なのですね」
先程の和やかな雰囲気は何処へやら、面々を見渡して告げる情報将校様は迷惑な話だと嫌な顔を隠そうともしない。
「オペラ座の様な対内防諜部門が騒ぎ立てるのは理解する。だが、痛くもない腹にメスを突っ込まれてはな。恨み言の1つもあるぞ」
どうかね?と目配せされれば応えざるを得ない
しかし、
「フゥーー……それは、准尉風情には何とも。ですが、モグラが居るのであれば吊るす他ありません」
「万が一という事もあります。検診と思えば多少の痛みも飲み込めるのではと。何れにせよ小官は少佐殿を信じるのみです!」
マートン准尉は不敵な笑みを浮かべ呆れ混じりの煙を吐き出し、セレブリャコーフ中尉はうんうん、と頷き予防ですよ!と情報将校の揺さぶりをモノともしない
「参謀本部付きは元より准士官まで教育が徹底か。流儀と文化の違いを感じるな」
塹壕貴族は流石に鉄壁か、とヒルシュ大尉は肩を竦めざるを得ない
「えっと、どういう事でしょうか?」
「防諜部門と情報部門の違いですよ。少尉殿」
「
疑問符が頭の上についてる新任少尉にグスタルボ軍曹が核心を突き、それにヒルシュ大尉が追加の補足を入れる
「なるほど。性質が違うと……まだ不慣れだと実感します」
士官学校首席といえど畑が違えば分からない事も多い
まして諜報などまだまだ未知の領域だ
そんなシルサルスキ少尉の様子にヒルシュ大尉は透かさず助け舟を出して使いを頼む
「なに、卑下する事では無い。徐々に理解はしてくれればいい。さて、私は情報局に戻るとしよう」
「はっ!では、車を出しますので」
「うむ、頼む」
そそくさと駆け足で車に向かうシルサルスキ少尉を尻目にヒルシュ大尉は、残った3人に向かい社交辞令をたっぷり含めて感謝を伝え、互いに敬礼を交わす
「中尉等とも話せて、実に有意義な時間だった。オペラ座の文化と流儀がしれたのは大きい」
「いえ、此方としても親睦を深められて幸いです」
「共同戦線を張るのに互いを知るのはとても良いことですからね♪」
「今後ともよろしくお願い致します」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「シルサルスキ少尉、上手くやれてるみたいで良かったですね!」
「相手にボロを出させるにはアレくらい初々しいのが丁度いいですから、
新人少尉が順調に
「よろしければ小官が下に付きましょうか?まだ
「そうですね。ロフスキ少佐に上申しておきます。
若輩者への心配からかグスタルボ軍曹がシルサルスキ少尉のフォローに志願するが、マートン准尉は軍曹の上申に良いかもしれませんと反応し、後ほどロフスキ少佐に伝えようと考える
「……
先程までヒルシュ大尉が立っていた場所を鋭く、そして冷淡に見つめ、ボヤく様に溢れた言葉は誰の耳にも届かぬ程の小さな呟きだった
▲ 帝国 情報局本部 総局長執務室
我等がライヒ、建国以来変わらない帝国旗
先人達がこの旗の元に集い、この旗の為に戦った
情報局の最奥で掲げられた帝国旗
その旗の前で冷めた表情で机に肘をつき、片手で持った報告書に目を通し、比較的若い大尉に問いかけるは情報局のドン足る"ローエンシュタイン"准将その人である
「それで、彼奴らはどうであったかね?」
「正直、予想以上でした。拷問の濫用、金や装備の出所が不透明、
「ふむ、問題だな。それは」
片手に持つ書類を関心のない様子で無造作に机に放る
それと同時にヒルシュ大尉に目を向ければ、帰ってくるのは呆れる言葉の数々……
「なればこそ、疑問も湧きます。閣下、何故 我々は合同調査を求められ、挙げ句受け入れる羽目になっているのでしょうか?モグラの件……情報漏洩の可能性を真剣に検討するべきではありませんか?」
「……大尉、
情報将校ともあろうものが諜報将校の妄言に犯される
まったく何たる事だろうか!
「お言葉ですが、塹壕貴族共の嗅覚までも侮るべきでしょうか?奴らは狂っていますが、その実、余りにも優秀です」
「連中の証言を全て信じて肯定するつもりかね?騒ぎ立てているのは連中だけだ。内部を無用に疑えば相互不信で情報部門延いては軍全体が壊れる」
オペラ座が優秀なのは認めよう、紛れもない事実なのだから。しかし、だからといって
情報部門が騒げば必然的に軍全体が少なからず揺れる。この時勢で?それが帝国軍、引いては帝国内にどの様な結果をもたらすか
「……」
「……」
ローエンシュタイン准将は"分からんのか"と怪訝な表情も交えて目配せするが、対するヒルシュ大尉も引かず真っ直ぐ眼を見返し上官へ不服を隠そうともしない
「……情報操作で権限拡大を図るのは特務機関の常套手段だ。真に受けすぎるな。大尉」
暫しの沈黙の後、ローエンシュタイン准将は一瞬だけ眉を顰め、惑わされるなと言い捨て、情報将校と自覚を持てと叱咤。
「で、ですが 閣下!彼らの「ともかく、引き続き連中の捜査とやらに同道してやれ。暴走するようなら牽制して抑え込め」
ヒルシュ大尉は堪らず反駁を試みるが、
「……了解、しました。……失礼します」
不承不承だろうが、軍人である以上、命令されれば黙る以外の選択はない。少なくともこの場での反駁は最早不可能だった。
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「ふん。モグラ、か。全く……煩く吠えることだ」
ヒルシュ大尉が退出したのを見届けローエンシュタイン准将は恨めしそうに溢し、手元の受話器に手を伸ばして受話器を取り、ダイヤルを回す
「……私だ。例のモグラの件だ。保安将校が煩い。誤魔化すのには多少苦労しそうだ。……ところで、オペラ座の監視はどうだ?」
全く面倒な事だよと愚痴交えてボヤ気味に数事話せば、優秀な部下は知りたい情報を齎してくれる
「……何?釈放された者がいる?奴等、子供の心の弱さを突くか。全く悪辣で卑怯な連中だ」
報告される情報の内容は卑劣そのもの、曰く【子供を囮に使う】らしい。その一文だけで冷酷さがしれるというもの。実に悪名轟くオペラ座の連中らしいやり方だ。呑気な文民連中に知られれば糾弾は必至ともいえる
〈如何されますか?
善良な帝国市民の1人としても
先の戦争で大勢が死んだ
大切な者、父を、息子を、恋人を失った者達がいる
決して掛け替えのない人々を
なのに、何だこれは?
少年達はあの戦争から何を学んだ?
「
〈承知しました。少年達の動向と引き続きオペラ座の監視を続けます〉
決められた事に異を唱える事もなく、サラリと次の報告に移る部下には流石と感心するばかりだ。そして、報告される内容は帝国にとって重大だ
〈……別件ですが、帝国・共和国国境での
帝国が苦渋を味わい、数多の苦難と悲痛を経験して辿り着いた戦争の一応の終着点。帝国と共和国の間で結ばれた講話条約、両国をして苦虫を噛み潰して余りある条約内容
国境の緊張・小競り合いのエスカレートを防ぐ目的で帝国・共和国国境の砲兵戦力の削減が条約項目の一つとして含まれている
「ほう。講話条約項目の履行が成されるのは良いことだな。……それで?何か問題があったと?」
戦場の女神とも称される砲兵が減れば、
〈はい。同条項にあったガス兵器の移送・搬送、その兆候が一切ありません。詳しく言えば
実情は、現実は、何時も非情である
共和国は恐れているのだろう
帝国を、帝国軍を、我が大陸軍を、ダキアを蹂躙し、北方を粉砕し、共和国を殴り返し押し返しつつあった我が中央軍を
「……フー……少佐。
〈⋯⋯全くで。奴等の腹の中は未だ見えませんが、引き続き観測・情報収集を続けさせます〉
葉巻を咥えて、呆れ口調で嘲笑うローエンシュタイン准将に電話先の相手も同感の意を表明し、未だ信用ならぬ共和国への探りを続ける旨を手短に伝える
「うむ、苦労を掛けるが頼む」
労いの一言と共にガチャリと受話器を下ろすローエンシュタイン准将は咥えている葉巻をカットしてマッチで火を付け、葉巻の煙をゆっくり嗜む。風味豊かな葉巻の煙を前に手を組み、椅子の背もたれに背中を寄せ顔を少し上向きにして煙をゆっくり吹き出して、ローエンシュタインは悪辣に嗤う
「……共和国に加えて、あの
ご覧になって頂き本当にありがとうございました!
御意見、御感想、お気に入り・評価、ここ好き、誤字脱字のご指摘、誤用等のご指摘など大変ありがたいです!
幼女戦記の2期必ず見ると楽しみにしてます!
我々は幼女戦記の2期を何年も待ったのだ!
売国戦記よ!私は帰ってきた!!〈2年半ぶり〉【震え声・小声】
また粛々と書き進めております……
ライヒに栄光を!帝国万歳!!
今後のオリジナル展開について
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構わん、やれ。
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は、早まるな!
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全て心の中だ。今はそれでいい。