それは、生暖かい風が吹く、月の赤い夜だった。
 仕事の帰りにふと遠回りをしてみようかと思ったのは、偶然。
 見上げたビルの屋上に一頭の大きな白虎がいたのは、必然。
 白虎は何かを見ていた。
 じっと一点のみを見つめていた。
 俺には何を見ているのか見当もつかなかったが、その目には獲物を見定めるような、おぞましい何かがあったように思えた。


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  悲憐咆哮()
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