魔王の妖精聖母は迷宮の奥底へ   作:迷走中

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第17話

 

 

今日は神会。

 

 アウラさん達も発表される二つ名が気になっているらしく、少し早めにダンジョンを後にした。

 ま、俺はベルさんのランクアップのお祝いをする為なんだけれど。

 リリと共に『豊穣の女主人』へ移動する。

 

「あ、アルディスさん。いらっしゃい」

「シルさん、こんにちは」

 

 シルさんに案内されて、俺とリリは先に席に着く。

 しばらくすると疲れた表情のベルさんが来た。ああ、やっぱり神々に追い回されたか。

 助けに行こうかと思ったけれど、下手に神々にちょっかいをかけると目をつけられる可能性がある。

 なので、今回はベルさんには助け舟を出さなかった。

 

「はい、ではベルさんのランクアップを祝して、カンパーイ」

「「「カンパーイ」」」

「か、カンパーイ」

 

 それから、色々と話をして、ベルさんが買い物に行く話になり、シルさんが女将さんに怒られ、ベルさんが一人で買い物に行くことが決まった。

 

「装備を整えた後、どうするつもりなのか、そう聞いています」

 

 そこからリューさんの説明が入り、あれやこれや話が始まる。

 簡単に言えば、パーティを増やそうという話なのだが。

 

「でも、アルディス様がいるので大丈夫」

「いえ、わたしはしばらく、中層へは行けませんよ」

「「え?」」

 

 リリは俺がパーティに入り、中層へ行くと思っていたようだ。

 だが、原作のことを考えて、中層へ行くのはゴライアス戦の後。

 

「な、何故ですか?」

「わたしにも付き合いがあります。帰りが遅くなる中層は、しばらく無理ですね。それに本当に中層へ行くつもりなら、もう一人欲しいですね。浅いところでもアウラさん達の話を聞いてしまうと」

「そうですね。万全を期すべきです。貴方達は後一人仲間を見つけるべきだ」

 

 うん、ベルさん明日頑張ってヴェルフを見つけてきて下さいね! 駄目なら、俺が紹介するから。

 

「はっはっ、パーティでお困りかぁっ、【リトル・ルーキー】!?」

 

 とか思っていると、煩い声が聞こえてきた。ああ、モルドだったか。

 

とりあえず、俺は無視。

 

モルドがひとしきり騒いで、リューさんが怒って、原作通りクロエさんとアーニャさんがモルドの仲間を椅子でぶん殴って気絶させ。最後はミア母さんがブチ切れて、モルド達を追い出して終了。

 

 あーあ、カウンターが壊れた。

 ま、騒ぎの原因だし、金もあるからお詫びの意味も込めて注文を増やすか。

 

「ミア母さん! 本日のお勧め五人前、それと騒ぎを起こしたベルさんにエールをサイズは特大で」

「あいよっ!!!」

 

 怒りの形相から、即座に営業スマイルになったミア母さん。

 

 ベルさんが「アルディス!?」と驚いていたが、俺はジト目で「ベルさんがあの人達をどうにかするべきでしたよ。男なんですから」と叱っておいた。

 男なんですから、と言われてベルさんが落ち込んでいたので、シルさんとリリに慰めるように目配せをしたら、二人は即座にベルさんを慰め始めた。

 

「ところで」

「はい?」

 

 ベルさん達三人を眺めながら、本日のお勧めをパクついていると、リューさんが俺に小声で話かけてきた。

 

「何故、あまりクラネルさんとパーティを組まないのですか?」

「理由はいくつかありますが、ベルさんの成長の為ですね」

「成長」

「ミノタウロスを単独撃破、この事を考えればベルさんが特殊だと分かるのでは?」

「…………」

 

 俺はそれ以降何も言わなかった。

 リューさんも何も言わなかった。ただ、少しだけ、俺を非難する様な視線を感じた。

 

 これはリューさんの好感度を下げたかもしれない。

 

けど、俺が参加すると経験値効率が下がる。

 

ベルさんの為には必要なことだ。

 

「ベルさん」

「何? アルディス」

「何度でも立ち上がって下さいね。これから、大変ですよ。レコードホルダーになったのですから」

「え? あ、うん」

 

さて、ヘルメスを捕まえる為の道具と賠償の内容を考えておこうかな。

 

 


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