二人の銀翼   作:アレクシア少佐

67 / 67
67

「私が先に突撃します、第一中隊は掩護を頼みましたよ!」

 

叫んで、最大速度で突撃します。

...きっと大丈夫、頼りになる仲間の援護もありますから。

 

手に持つ小銃の先端に魔導刃を展開し、風を切り裂く。

 

敵まで数百...

 

「ここで、決着をつけなければ、いけないのです!」

 

爆裂術式を射撃、敵を数人巻き込みつつ、目くらましに使います...が。

 

Shoot(撃て)kill(殺せ)There's only one of them(相手はたったの一人だぞ)!」

 

当然、目くらましの範囲から外れていた敵が撃って来ます。敵も案山子ではありません。

 

幻影が敵を騙して何発か無駄に、乱数回避で可能な限り避け続け、どうしようもない弾は防殻に弾かれて。

 

隊長格と思しき敵に肉薄する―――

瞬間、身体を捻り衝突は避けると同時に、魔導刃を展開した小銃を思い切り振って―――

敵の左腕を、切断する。

 

...首を狙ったつもりでしたが、ターニャのように上手くいきませんね。

私もまだまだです。

 

乱れる敵集団に突撃しながら、貫通術式を至近の敵に対して射撃します。

――これで、また何人か墜ちましたね。

 

そして敵に囲まれるのを避けるため、上に...空に向かって一気に上昇。

 

「あははっ!ターニャの功績のため、私たちのために死んでくださいねっ!」

 

交戦空域である高度4000付近から、高度12000まで上がり。

 

亀のようにのろのろと追いすがる敵集団に対して、オープン回線で煽ることも忘れずに。

 

「ああ、ターニャ...愛するお姉様のためなら、何だってします!」

 

演算宝珠が壊れるギリギリの魔力で、全力射撃する――

 

「友軍に告ぐ、対閃光防御をお願いしますね!」

 

全力の爆裂術式を敵集団に向けて射撃、着弾。

 

爆炎と閃光、そして不完全燃焼したのであろう黒い煙の塊に包まれ。

 

十数人の敵を黒焦げに。

数十人と少しを血塗れに。

さらに数十人は外見は軽傷ですが、不完全燃焼の煙に包まれてしまったのでしょう、苦悶の表情で墜ちて。

何人かは爆炎と閃光を直視したらしく、目を押さえて何事か叫んでいます。

 

いつかのターニャのように、敵を全滅させる...には至りませんでしたが。

 

『アレクシア!無理をするなと言っただろう!...だが、よくやった!そのまま戦域管制を頼む!』

 

「はい、了解しました!」

 

私の全力射撃の余韻が残る中、第一中隊も合流したターニャ率いる第203航空魔導大隊が、敵を囲むようにして突撃を開始。

 

隊長格だけでなく、何人も死傷し混乱の渦中にある敵魔導連隊は、数で劣る私たちに成すすべなく狩られていきます。

 

「少し無理をしてしまいましたが...ターニャに褒めてもらえました。」

 

戦いの余韻、興奮しているときに、私にとって最上級の褒章――ターニャに褒められてしまっては...。

 

ぶるっ、と全身を電流のような快感が突き抜けますが...今はまだ、戦場です。

...帰ってから、楽しむことにしましょう、ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はターニャに命令してもらえた通り、空の安全圏から周辺警戒と戦域把握に努めています。

 

敵がターニャに気づかないように...仲間の後ろに回り込もうとすれば、それをさせまいと他の仲間に指示を飛ばし。

 

敵が下がり、突出して深追いしすぎている仲間を窘めたり。

 

そんなことをしているうちに――

 

「うん?敵の通信ですか、流石に平文ではないですが...っと。」

 

最後方に下がった敵の1人が、何か通信をし始めたと思い傍受しますが。

――通信先を解析してみれば、モスコー市内にある廃屋の地下。

 

外見はいかにもただの、崩れ落ちそうな廃屋――ですが、そんな場所の地下と通信なんて、ね?

 

「サラマンダー02からサラマンダー01へ、敵の通信を傍受、通信経路を解析しました。モスコー市内廃屋の地下のようです。」

 

「サラマンダー01了解した、我々と合流しろ。フェアリー大隊各位へ、敵は負傷者を抱えて敗走しているが、深追いするな。負傷者と残弾を確認しろ、急げ!」

 

ターニャに報告し、残弾確認をしながら合流します。

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、ターニャ。負傷者はいましたか?」

 

「ああ、戦死はいないが6人負傷、そのうち1人は継戦不可と判断した。第二中隊に護衛を命じて下がらせ、戦える者はそのままモスコー包囲部隊と合流し戦闘支援の予定だ。」

 

流石に、帝国精鋭部隊である第203航空魔導大隊といえど、連隊相手の戦闘は困難でしたか...。

致し方ありませんね。

 

「了解しました。それで、私たちはどうしますか?このまま継戦できるのであれば、先ほどお話した廃屋を襲撃しますか?」

 

「その予定で、司令部には報告済みだ。廃屋周辺には伏兵、抵抗が予想されるが...まるごと更地にしてもよい、とロメール閣下は仰せだぞ?」

 

と言うターニャは、悪い笑みを浮かべて嬉しそうです。

はぁあ、悪巧みしているターニャも可愛いのです...。

 

...おっと、ターニャに見惚れてしまいました。

 

やはり閣下は話が早くて助かりますね、無駄な損耗を出さずに済みそうです。

 

「私は先ほどの戦闘で全力射撃して、少し消耗していますから...ターニャ、お願いできますか?」

 

「うむ、了解した。ヴィーシャ、ヴァイス大尉、例の廃屋周辺は私が吹き飛ばす。その後の地下制圧は貴官らの中隊に一任する。」

 

「「はい!了解しました!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵の司令部...が地下に存在すると思われる、廃屋の上空。

 

「第一中隊!爆裂術式準備!私が先に撃つ、その後射撃せよ!」

 

ターニャが小銃を構え、廃屋に狙いを付け、高濃度魔力の奔流を演算宝珠に注ぎ始める。

 

魔力の淡い輝きがターニャを包み、その後ろ...モスコー市街外縁部では友軍と連邦軍の戦闘で発生している煙、砲撃音。

 

ああ...ターニャはやっぱり、戦場こそ映えます。

格好良くて、美しくて。

でもやっぱり、真剣な眼差しで、敵を屠ることに悪い笑みを浮かべているターニャは可愛い...。

 

...いけません、ターニャに見惚れてしまって。私も射撃準備をしないと、

 

「各員、対閃光対衝撃に備えつつ、射撃準備を継続!」

 

そして。

 

「我らが祖国に仇成すアカ共め...これで決着だッ!」

 

ターニャが怪しく笑い、射撃。

 

 

一瞬の静寂―――

 

 

閃光、次いで耳をつんざく衝撃音。

もうもうと煙が上がりますが――その隙間から見える光景は。

 

廃屋どころか周辺の家屋丸ごと、跡形も無く消え去りました。

 

「爆裂術式!廃屋跡に対し、撃て!」

 

ターニャが指示を飛ばすと同時、射撃します。

 

敵の生存者が何事かと、混乱しているところを鴨撃ちです。

 

あ、私の撃った分、真っ直ぐに廃屋地下に入っていきましたね。

 

「さて、ヴァイス大尉。急いで確認作業だ。もしここが司令部でなければ、我々はすぐに敵に包囲される可能性がある。残りの者は私たちと周辺警戒だ、いいな?」

 

 

まだそこまで継続していませんが、感想など。

  • 良い
  • まあまあ
  • イマイチ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

少女×幼女戦記【完結】(作者:ふぃれ)(原作:幼女戦記)

ティナ・アルベルトは少女であり、転生者であり、ターニャ・デグレチャフの幼なじみであり、ターニャ・デグレチャフの大ファンである。▼そんなティナの帝国奮闘物語。▼【挿絵表示】▼


総合評価:6915/評価:8.53/完結:36話/更新日時:2018年01月22日(月) 00:11 小説情報

皇女戦記(作者:山本 奛)(原作:幼女戦記)

幼女戦記の世界は、存在Xの目論見通り、悲劇的結末がちらついている。▼如何に強大な帝国とて、このままいけばかのドイツ帝国と同じ末路をたどるであろう。▼では、ここで問題。▼そんな「史実」を知っている人間がターニャ以外に存在していて。▼かつ、帝国の意思決定に関与できる立場にいたならば?▼そんな妄想からできた仮想戦記です。▼◇本作において、核兵器は登場いたしません▼…


総合評価:34649/評価:9.07/連載:143話/更新日時:2025年08月09日(土) 14:30 小説情報

キッテル回想記『空の王冠』(作者:c.m.)(原作:幼女戦記)

 帝国軍人としての日々と、最愛の妻、ターニャへの惜しみない愛を綴る。▼ 全ての帝国国民と、執筆にご協力頂いた多くの友人ならび国家に感謝を。▼ 統一歴一九六二年。ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテル。▼表紙 ▼【挿絵表示】▼中央大陸 各国勢力図 1923年6月 ▼【挿絵表示】▼中央大陸 各国勢力図 1925年11月20日(ネタバレ有) ▼【挿絵表示】▼中央…


総合評価:9809/評価:9.04/完結:80話/更新日時:2020年03月28日(土) 19:00 小説情報

幼女ルーデル戦記(作者:com211)(原作:幼女戦記)

ハンス・ウルリッヒ・ルーデルin幼女。▼スツーカ大佐は強くてニューゲームで転生されたようです。▼ハンス=ウルリッヒ・ルーデルは実在した人物です。▼彼をご存じない方はアンサイクロペディア等の彼の項目を一度読まれてから▼この二次創作を読むとより一層楽しめるはずです▼


総合評価:10439/評価:8.53/連載:21話/更新日時:2025年01月26日(日) 23:10 小説情報

幼女戦記 〜旗を高く掲げよ〜(作者:猫敷)(原作:幼女戦記)

二者択一。▼ 人生というものは、しばしば「AかBか」という単純な構造に落とし込まれる。▼ 誰かがそう言っていた。選択は慎重に、決断は迅速に――これが人生のコツだと。▼ では、問おう。▼ その二択が、どちらも崖に続いているとしたら?▼ 喜ぶか?▼ 怒るか?▼ 絶望するか?▼ それとも、笑うか?▼ ああ、できることなら笑いながらこう呟いてやりたい。▼ 「このクソ…


総合評価:1904/評価:8.56/連載:107話/更新日時:2026年05月12日(火) 22:25 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>