いつもと何処か違うと感じた日に、土居球子は親友の伊予島杏と共に危機に陥っていた。
絶体絶命の危機にそれでも勇者たちに会った大切な人の未来を守りたいと思う心、それが最大級の奇跡を読んだ。
奇跡の名前は黄金の鎧をまとう吸血鬼の王、仮面ライダーキバ。

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今日のわゆ読み直してたら「勇者たち助けてえ~!バーテックスぶっ倒してえ~!」という制御不能の熱い炎が心の中で唐突に吹き上がったので投稿します。

ドッガハンマー引きずりや連続膝蹴り、投げザンバットとかのking of vampire特有の殺意の高さホント好き



衝撃度、最大のクロスが奇跡を生む

――――――その日は何処かいつもの日常とは違うと、本当になんとな~くだが土居球子は思っていた。

 

球子は自分の中のある第六感とかそういう感覚に、まるで奥歯にものが挟まったかのような、そんな違和感を感じていたのだ。

 

「むむむむ…なんか変だぞ…変な気がするぞ」

「どうしたのたまっち先輩?」

 

球子に話しかけたのは妹分の伊予島杏だ。杏は猫を思わせるいかにも活発な球子と対照的にふわふわした髪のいかにもおとなしそうな子だ。一見まるで馬が合わなそうな二人はその実初めて会った時から仲が良く今では本当の姉妹の様ですらあった。

 

「ああ杏…なんというか朝から変な感じがしないか?何というかうーんと変な感じの」

「えっしないけど…ひょっとして地震とか来るのかな?ほら、たまっち先輩って猫っぽいし予兆が何か分かったのかも」

「う~んそうかもしれないな。部屋にある防災器具とか出しておいた方がいいかもしれないぞ」

 

球子は考え込む。成程確かに球子は仲間の中でも一番野性的だ。野生のカンで何か異常事態の発生を感じたのかもしれない。尤も数年前から続いている今の四国しかない世界はそれその物が異常事態であり、そこに生きる人々にとって日常とは何ぞやという疑問はあるのだが。

 

「よし!今日は訓練もないし災害用の非常食とか探し行くぞ!準備さえしておけば大丈夫だ杏、タマに任せたまえ!」

「わわわ!待ってよたまっち先輩~!」

 

球子は杏の手を取り駆け出していく。この世の人間の99パーセントが死に絶え、唯一の生存領域には化け物が襲来する。こんな世界でも楽しいことはあり大切な人もいる。今日もそんな一日になるはずであった。

 

だが球子や杏のある種穏やかな違和感への予想は裏切られた。その日現れたのはいつも以上の敵だったのだ。

 

球子達『勇者』と呼称される少女が戦う敵はバーテックスという。死体のような毒々しさすらある白い体をしたグロテスクな彼らは2015年に世界中に現れて人類のほとんどを虐殺した。球子や杏の住む四国では人々を守る為『神樹』が立ち上がり、その力の恩恵を受けた球子達5人の勇者がバーテックスから人類を守っている。

 

乃木若葉、高嶋友奈、郡千景、土居球子、伊予島杏、この5人は幾多の幾多の戦いを潜り抜けて強くなった。だが、今日来たバーテックスは一味違った。数が多いのもそうだがリーダー格となる巨大な融合進化体――――何処か蠍を思わせる太く禍禍しい尾をしたスコーピオンバーテックスは強すぎた。

 

「球子!杏!」

 

リーダーの若葉が切迫した様子で叫ぶ。スコーピオンバーテックスの長い尾が球子と杏をまとめて打ち据え、さらには返す刀で差し貫こうとしたのだ。血相を変えた若葉が血路を開こうとするも敵の数が多すぎて迎えない。友奈と千景も同様だ。

 

「このぉ…私の友達を……!」

「杏ちゃん!球ちゃぁん!」

 

悲痛な声を上げるがこの場で二人を助けられるものは誰もいない。杏は毒で、球子は衝撃で足を痛め動けない。最早この二人は互いにかばいあうしかなかった。

 

それでも二人はお互いをかばい、スコーピオンバーテックスに抗うのを辞めない。自分の半身のように思える大切な友達を失いたくない。強い思いを胸に二人は孤立無援で抗い続けていた。

 

 

 

 

 

 

神樹によって展開された樹海には今日この日この時間、驚嘆すべきことに一人の青年がいた。彼は樹海の生み出す幻想的な風景に、異形の怪物と戦う少女たちに驚いたようであった。そして次に感じたのは背筋を貫くような悪寒だ。

 

巨大な毒針をつけた拷問椅子のような怪物は動けない少女と、彼女を守り続ける盾を構えた少女に病的な執拗さで毒針を叩きつけていく。盾を構える少女の抵抗と守られる少女の援護射撃も少女の仲間もその蛮行を止めることは出来ない。その果てに待ち受ける無残な光景、恐らくあと数発の攻撃で何処か姉妹を思わせる二人の少女がまとめて貫かれる光景が青年には幻視出来た。

 

ここで重要なのは青年が何者なのか、またどこから来たのかではない。その光景を見て、彼が何を思ったかである。

 

青年の脳裏にフラッシュバックする光景があった。それは盾を構えた少女のように、かつて命を燃やし大切なものを守った彼の父親の姿であり、それはボウガンで僅かでも盾の少女を助けようとする何処か華奢な少女がこれから辿る未来のように、腕の中で最愛の女性が砕けていなくなった光景である。それはいずれも彼の魂に深く刻まれた光景であり、おそらくいつ終わるかもわからぬ彼の長き生において彼を突き動かし続ける。そんな心よりあふれ出す衝動が彼にこう思わせた。

 

―――――あの子たちを守らねばと。

 

故に彼は腕を突き出す。そして腕に噛みつくのは彼の相棒。コウモリを象ったような姿の相棒は魔皇力という特殊な力を注ぎ込み、青年を目覚めさせる。そして青年は纏う。黄金の王の力を。

 

「ぐう…!杏はやらせないぞ……絶対にやらせるもんか!」

 

心の何処かで死を感じる予感を振り払い感覚のない手に力を籠める球子は自分が見た光景を脳内で反芻する。確かに彼女は見た。不意に横殴りに放たれた紫の光弾がスコーピオンバーテックスを殴り飛ばしたのを。最低でも数十メートルの巨体が横転するかのように吹っ飛びこれまでの蹂躙が嘘のように転がったのだ。そこで杏が球子の裾を引っ張る。

 

「た、たまっちこれ……」

 

球子同様驚嘆する杏の顔色は先程よりも随分と良い。何故なら杏の身体からは毒々しい紫色のオーラのような物が出て掃除機で吸い込まれるかのようにして出ていくのだから。

 

杏の示した先には一人の男、否黄金の鎧に身を包んだ「仮面の騎士」がいた。

 

その姿は球子の語彙ではうまく表現できなかったが――――この上なく絢爛であり、そして堂々としただった。深紅の長い外套に覆われた鎧はこの世に存在するどんな宝石よりも輝かしい黄金と赤で彩られており、羽ばたくコウモリを象った仮面は鋭角的で王冠を思わせる。そしてその右手には拳を思わせる槌頭の紫色のハンマー。さらに左腕には杏より出たオーラが球状に集まっている。

 

がりがりとハンマーを引きずりながら歩み寄る騎士はぐしゃりとかけらも残さず左腕の球塊を握りつぶす。その偉容に対して急激に起き上がったスコーピオンバーテックスは騎士を踏みつけようとする。凄まじい迫力で繰り出された踏みつけに対して騎士は一片の動揺も見せず逆に鉄槌でスコーピオンバーテックスの脚を殴りつける。

 

1撃、2撃、3撃、太い足が叩き折られ不安定なスコーピオンバーテックスの身体が傾ぐ。そこで騎士は鉄槌を掲げる。鉄槌の目が開くと共に現れるのは巨大な拳状のエネルギー。空気をも砕く勢いで振り下ろされた一撃がスコーピオンバーテックスを圧縮した。

 

「あとは――――――――僕がやる。君たちの命を神に渡す必要はない」

 

そう、敵はまだ死んでいない。結界の外より緊急的に飛来した計測不能の星屑が迫りその半数がスコーピオンバーテックスと合体していく。ススコーピオンバーテックスは最早数十メートルの巨体ではない。騎士と同サイズまで圧縮され、星屑と似た顔面と長い尾を持つ人型の姿は酷く悍ましく、得体のしれない力を感じさせる。

 

しかし青年に、この黄金の騎士にとってそれがどうだというのか。

 

「僕は紅渡。仮面ライダーキバ。お前を倒させてもらう」

 

仮面ライダーキバエンペラ―フォームは黄金の剣を構えた。彼が10年以上前のあの日あの時から続けてている、大切な命を守る為の戦いが今日も始まった。

 

 

 

 

 

 

幻想的な樹海内部をグロテスクな大口を開けて星屑が乱舞する。迎え撃つのは5人の少女達。

 

「いい加減に堕ちろっ!これで3体!」

「勇者パ―――――ンチ!!」

 

前方では攻撃力に優れた前衛の若葉と友奈が、融合しつつある大型になりかけの敵を優先的に始末していく。刃が拳が白い巨体を切り裂き砕き屠る。

 

「たまっち先輩、そっちに2体行ったよ!」

「任せとけ!とりゃあ!」

「二人共無理はしないで……私ならちょっとぐらい噛まれても平気だから」

 

後方では体力の消耗や不詳の影響が大きい杏と球子は後方で千景が『7人ミサキ』の精霊を利用して盾となりながらも懸命に自分のできる範囲の星屑を処理する。

 

「千景もそっちこそ無茶すんな!精霊は体力を使うんだか――――て、ぬおおお……!」

 

其処まで言いかけた所で球子は彼女特有のやや間抜けな可愛らしい声を上げる。球子の視線の先では先程のキバという騎士が剣と爪を振りかざし激しく戦っていたはずだ。

 

「あのキバってやつ……結構バイオレンスだぞ……」

 

球子の驚きの声を聴き、千景と杏もそちらをちらりと見て、うなづいた。成程確かに結構バイオレンスだ。

 

スコーピオンバーテックス人型形態と殴り合っていたキバは剣の肘打ちで怯ませたスコーピオンバーテックスの頭を両腕でがっしりとつかむと、頭部へ容赦のない膝蹴りを叩き込んでいく。ゴッゴッと鈍い音を響かせながら1発2発3発4発5発――――まるで先程の球子達への蛮行の報復にしても、騎士然とした恰好からは考えられない程の殺意にあふれていた。

 

「ハァァッ!!」

 

トドメと言わんばかりに回し蹴りを叩き込むキバ。吹っ飛んでいくスコーピオンバーテックスに見向きもせず赤いマントを翻すと両腕に握られているのは武器。左腕で保持する緑色の銃で星屑たちを砲撃しながら右腕の青い剣を弧を描くように投擲して切り裂いていく。実に手慣れた戦い方だった。

 

爆散する星屑たちをよそにスコーピオンバーテックスは接近戦では埒が明かないと判断。その禍禍しい毒尾を伸ばしキバを貫こうとする。が、キバの黄金の鎧に弾かれた。必殺の毒尾を何発撃ちこんでも少しばかり後ずさるだけ。貫くことなど到底できそうにない馬鹿げた強度にスコーピオンバーテックスは動揺する。

 

仮面ライダーキバエンペラ―フォームの鎧は一説には至近距離からの核爆発からも変身者を守り抜くという最早理不尽なまでの高度を誇るという。そして変身者の渡は吸血鬼の王を称するにふさわしい超人的な力を有している。確かにバーテックスは通常兵器の一切を無力化しその力は何物をも砕く。だがそんな神にすら立ち向かうのがこの吸血鬼の王たる英雄戦士だ。

 

そして何よりも――――――かばいあう少女達を殺すことしか出来ない異形の化け物(怪物)仮面ライダー(ヒーロー)が負けるわけがなかった。

 

「タツロット」

「ドラマチックに行きましょう!wake up fever!」

 

腕を掲げ発生した紋章の力でスコーピオンバーテックスの毒尾を弾き飛ばすと、キバは装着されたドラゴン型の仲間に声を掛ける。すると陽気な掛け声とともにキバは腰を落とし構える。その両脚にはコウモリの羽の如き紅いエネルギーが集中していた。スコーピオンバーテックスが毒尾と残りの融合体を盾にするがもう遅い。

 

「ハアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

竜巻めいた勢いで放たれたキバの回し蹴りに沿って紅い刃が解き放たれる。死神の鎌の如き一閃は毒尾を、無数の融合体や星屑を切り裂きスコーピオンバーテックスを深く傷つけた。

 

「ッ!浅かったか!」

 

スコーピオンバーテックスの身体は人間ならば即死のレベルで切り裂かれている。だがそれでもバーテックスの再生能力を駆使し傷をふさぐと樹海の外へと逃走を図ろうとする。全ては彼の主たる神に事の次第を謎の敵の存在を伝える為。だが。

 

「ここは―――――逃がさないよ!てやあああ!!!」

 

其処に真っ先に立ちふさがったのは友奈だ。心優しい友奈からしても友達を傷つけたスコーピオンバーテックスは許せない。絶対に逃がすわけにはいかなかった。

 

友奈の拳を受けノックバックするスコーピオンバーテックス。動揺と共に感じたのは特大の悪寒。背後ではキバが血のように紅いエネルギーを込めた剣を振りかぶっていた。

 

「―――――――――――――――!」

 

スコーピオンバーテックスは向き直りキバより与しやすい友奈を排除しようとする。だがその前に紅い剣が胸に突き刺さった。

 

スコーピオンバーテックスの白い体はキバにより投擲され、突き刺さった紅い剣の膨大なエネルギーによりガラスめいてひび割れ紅く輝く。そこへ歩み寄るのは威風堂々たるキバ。悠然と近づくと勢いよく胸から剣を引き抜き、同時にスコーピオンバーテックスは砕け散った。

 

スコーピオンバーテックスの残骸が桜のように流れる中キバは友奈を見据える。仮面ライダーキバエンペラ―フォームの仮面は圧が強い。友奈はさすがに驚いたようであったがすぐに握手する為の手を笑顔で差し出す。そしてこちらも手を差し出したキバとしっかり握手しながら後ろに手を振る。

 

後ろから歩いていくのはそれぞれ千景と若葉に肩を借りた杏と球子。まだ戦闘で受けた傷の後遺症か足取りは不確かだが確かに笑顔を見せている。

 

その光景を見てキバは、いや紅渡は自分がこの世界に来た理由や経緯は分からない。でもこの世界に来た意味は確かにあったと感じた。

 

彼は無垢な少女たちの死という運命の、鎖を解き放ったのだから。

 




短い話でしたが楽しんでいただけたならば幸いです。

多分この世界には某村の住人見て顔がチベスナに固定される医者やうどんをフーフーしている男、元フリーターの神など平成ライダーと各地の勇者が次々溢れてくると思います。


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