………ヤバい。
俺は暗い顔をして俯く浩介を見て内心で頭を抱えていた。
いや、本当にヤバいって、コレ。浩介ってば対魔忍の酷すぎる脳筋っぷりを知って絶望している。
その気持ちは痛いほど分かる。痛すぎるほど分かるけど今はヤバすぎるって。
確か対魔忍アサギ3って、浩介が高校生になってからスタートしていたから、多分フュルストは今から一年以上の時間をかけて浩介の信用を得て駒にしていったのだろう。だけど今の浩介だったら、一年なんて時間をかけなくても少し優しい言葉をかけたら駒にできるんじゃねぇの?
それは困る。フュルストを何とかするにしても、逃げるにしても、まだ何の準備もできていないのに浩介がフュルストの駒にされるのは本当に困る。
こうなったら……。
「対魔忍なんて全員死ねばいいのに、か……。それって、校長先生やさくらさん、それに俺も死んだ方が良いってことか?」
俺がわざと惚けた風に言うと、俯いていた浩介は驚いた顔となってこちらを見てきた。
「えっ!? い、いや! 俺はそんなつもりじゃ……!」
「ああ、分かっている。浩介君はちょっと疲れているだけなんだよな」
慌てる浩介に俺は一つ頷いてから話しかける。
「でもその大変さが分かったなら、浩介君は尚更頑張らないといけない。考えてみろよ? 校長先生はずっと前から他にも色んな仕事をやって大変なんだぞ?」
そう、その事実が俺がアサギを見限れず、今だに対魔忍なんて世界屈指のブラック職業を続けている理由だ。
命の危険が高い対魔忍の実働任務に、色んな意味で頭が痛くなる事務仕事。それに加えて足を引っ張ることしかしない身内の面倒を見て、厄介事の宝庫である外部勢力との交渉。
これらをやっているアサギの努力は正直凄いと思っている。まあ、だからと言ってその後釜になるのは、全身全霊で断るが。
「っ!? それは……」
俺の言葉に浩介は、自分の隣であの小学生の作文レベルの報告書の清書(というかほとんど新しく作成)をしながら、他の事務仕事をしていたアサギを思い出す。
よし! 最初の負のオーラがだいぶ薄れてきたな。ここで一気にたたみかける!
「女性ってのは、自分が大変な時に助けてくれる男に好感を持つらしいぞ。校長先生のことが好きなんだろ? だったら校長先生のことを支えてやれ。春休みに俺に噛み付いてきた根性、見せてみろよ」
「五月女さん……! 俺、頑張ってみます!」
浩介は春休みに俺がアサギの家に行った時、アサギと子作りをするつもりだと勘違いして、一時は決闘するかの様な騒ぎを起こしていた。その時のことを言って励ますと、浩介は吹っ切れた様な表情となって元気良く返事をしてくれた。
ミッションコンプリート! 浩介の不満を取り除き、アサギの支えとなるよう前向きに頑張るように仕向けるのに成功! これで対魔忍アサギ3ルートに入るのは大幅に遅れるんじゃないか?
しかし対魔忍を辞めたいと思っていて、逃げ出す算段まで考えているのに、浩介には対魔忍の仕事を頑張れって……。俺ってば、一体どんな口をして言っているんだろうか?
~ちょっとオマケ。もし頼人が対魔忍RPGのキャラになったら~
【五月女頼人】
レアリティ:SR
属性:魔性
HP:1601(最大7093)
SP:160(最大360)
ATK:116(最大455)
DEF:118(最大524)
SPD:70
リーダースキル:「蜘蛛の対魔忍」
部隊全員の状態異常耐性値を超特大アップ(100固定)+部隊全員のSPをターン終了時に小回復する(10)
スキル1:「集雷獄」
敵全体を小威力(140%)で三回攻撃+部隊全員のSPを中回復(50)
スキル2:「左の邪眼・ライトイーター」
敵全体を中威力(250%)で攻撃+自身のHPを中回復(20%)
奥義:「右の邪眼・ラシュラ」
行動前に自身のATKを大アップ(60%)+行動前に自身のスキル威力を小アップ(20%)+敵一体に超特大威力(800%)で攻撃