ワンパンマンにぬきたしの手嶋さんをぶち込んだものです。

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一年以上前に投稿した小説があまりにも酷い文章だったので書き直しました。
ぬきたしファンミも告知されましたし、それを記念してということにしておきます。
稚拙な文章ですがそれでも読んで頂けたら嬉しいです。


鋼鉄の逸物

B市の某所。

一人の男が周囲の視線を集めていた。

好奇、尊敬、憧憬、畏怖、嫉妬。そんな視線に晒されているにも関わらず、男は気にする素振りも見せず歩を進めていく。

しかし数秒後男がいきなり立ち止まり後ろに顔を向けたかと思うと次の瞬間、巨大な破壊音と衝撃、揺れが人々を襲った。

いきなりのことに恐怖でパニックになる者。状況を把握しようとする者。周囲の反応は様々だが、その男はただ一点を見つめたまま動かない。人々もそれに気付き男の視線の先を見る。するとそこには目を疑うような光景があった。

そこにあったのは巨大な体。高層ビルがミニチュアに見えてくるほどに大きな人型が佇んでいた。

 

「―――――――――――――――」

 

そして叫び声をあげたかと思うと途端に巨人は暴れだした。まるで自分の強さを見せつけるかのように。

人々が硬直している間巨人が止まってくれるわけもなく、破壊音や揺れが止まることはない。それどころか破壊された建物の残骸がこちらの方まで飛んでくるものだからここら一帯も安全とは言い難い。

自らの命の危機を感じた人々は次から次へと巨人に背を向け走り出す。もう先程の男に目を向けている者など誰一人としていなかった。

今まで動かなかった男が体を巨人に向ける。

遂に動くかと思ったその時、それは起こった。

巨人がバランスを崩してこちら側へと倒れて来ていたのだ。

あれだけの巨体。下が見えていない状態であれば何が原因で体勢を崩しても無理はない。それ以外の要因も疑いすらしないだろう。

普通ならば!

しかし男には見えていた。何者かが巨人の顔あたりまで跳んでいたのが。あの巨人は決してバランスを崩したわけではない。その何者かが巨人を尋常ではないパワーで殴り倒したのだ。

巨人の顔面付近まで跳ぶ跳躍力も然ることながら、あれ程の巨体をただ殴っただけで傾けるなど一体どれほどの力を込めればいいのか。

男は巨人がこちらに倒れてきているにも関わらずその思考は先程視界の端に捉えた人影の事にしかいっていなかった。

男は凡そ正義などという心は持ち合わせてはいない。

しかしこのまま倒れられても自分の住む住居どころか、B市ごと潰されてしまう。

それは男にとっても都合の悪いことであった。ならば答えは決まっている。

男は拳を握りしめ足に力を込める。

そして次の瞬間、男の立っていたアスファルトはクレーターができ残像すら残さずに上空へと跳躍した。

その行動を見ている者は居ない。例え見ていたとしても捉えられる者など居る筈もない。

コンクリートが砕けた音だけが周りに響く。

一瞬の内に巨人の眼前までたどり着いた男は巨人の顔面を殴りつける。その拳を受けた巨人は倒れる向きを既に更地となっていた場所へと変えた。

男は巨人を殴り飛ばしたであろう者を視界の端に捉えたが、一瞬だけ視線を向けるとすぐに逸らし地上へと降下していく。

そして着地するとすぐに携帯を取り出しどこかへと電話をかけ始めた。

 

「もしもし。いまさっきまで暴れてた巨人をなるべく被害の出ねぇように倒した。あとの処理はそっちで勝手にやってくれ」

 

そう言うと男は返事も待たずに電話を切る。

男が電話をかけた先はヒーロー協会本部。

何故男がそんな場所に電話をしたのかと言えば、彼もヒーロー協会に所属するヒーローだからだ。

男の名は手嶋俊英。S級3位ヒーロー"インテリヤクザ"。

そんな男の顔には不気味な笑みが浮かんでいた。




ご拝読頂きありがとうございました。
書いていて楽しかったので、これからもちょくちょく執筆していこうと思います。もうすぐ白刃きらめく恋しらべが発売されるし、めくいろで書くのもいいかなとか思ったりしてます。物語の構想自体はもうあるんですけど矛盾点がないように練らないといけないので少し時間はかかるかもしれません。
話は変わりますがぬきたし2の「行くぞ、エンゲージ」までの流れと「テーマパーク~」はとても胸アツでした。


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