鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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最終話になりました。


結婚式(完結)

 ~蝶屋敷~

 

「あ、鱗滝さん!こちらです!」

 

 蝶屋敷の門前で、炭治郎が鱗滝に「お久しぶりです!」と右手を挙げて振る。

 そして、鱗滝はそれに応えるように右手を挙げた。

 

「式の前に、楓さんたちに挨拶しますか?」

 

「そうだな。式に差し支えなければな」

 

 鱗滝が蝶屋敷に門を潜ると、屋敷の周囲ではきよたちが忙しなく動き、蝶屋敷の主人であるしのぶ、居候の義勇や善逸、伊之助が式の準備を進めていた。

 ちなみに伊之助なのだが、アオイに「今日だけは着て下さい!式が終わるまででいいですから!」と言われ、正装を無理矢理着せられ、伊之助は「こんなもん着るのかよ!拷問じゃねぇか!」と言う一幕があったのだが。

 

「楓たちは大丈夫か?緊張していないか?」

 

「全くしてませんでした。楓さんたちは、こういう舞台に慣れてるでしょうか?」

 

「そんなことはないと思うが、楓たちには支えてくれる人たちが居るからじゃないか」

 

 炭治郎は「そうかも知れませんね」と言って頷く。

 鱗滝の言う通り、楓、真菰、カナエが集まれば、大抵のことは平静に卒なくこなしそうだ。

 炭治郎もカナヲと一緒ならば、大抵のことはこなせるような気もする。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「楓さん!鱗滝さんがお見えになりました!」

 

 炭治郎が襖を開けると、そこには袴を身に纏い、式の準備を待つ楓が椅子に座っていた。

 

「遠路遥々ありがとうございます、義父さん」

 

 炭治郎は、楓の「義父」呼びを聞いて目を丸くする。

 でもそうか。義娘の真菰は楓の嫁なので、鱗滝が義父なのは納得だ。そして間接的に見れば、カナエも鱗滝の義娘だ。

 

「よい。義息子と義娘たちの晴れ舞台、儂が参列するのは当たり前だ。しかし、楓たちは既に子を成しているから、不思議な感覚でもあるがな」

 

 鱗滝はそう言ってから、楓の対面に鎮座している椅子に座る。

 

「そうですね。真菰とカナエが身籠り出産したのは、大分前ですからね」

 

 そう言ってから苦笑する楓。

 てか、式が終わったら真菰とカナエが楓に何か報告があるらしいのだが、何のことだろうか?

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~一方女性側~

 

「わあ、綺麗ですね。カナエさんと真菰さんの白無垢姿」

 

「うん、とっても綺麗。姉さんたちをお嫁にもらった兄さんは、幸せ者だね」

 

 着付けを手伝っていた、禰豆子とカナヲが呟く。

 でも確かに、真菰とカナエの白無垢姿は白く儚い一輪の花のようだ。

 

「ふふ、ありがとう。禰豆子とカナヲもすぐに袖を通すことになるわよ」

 

「そうそう。既成事実を作ってしまえばすぐだよ」

 

 まあ確かに。真菰の言う通り、付き合うまでが停滞していても既成事実を作ってしまえば、結婚まではそう遠くないだろう。……まあ、式を挙げずに結婚。という例外もあるが。

 

「……真菰ちゃん。二人には刺激が強過ぎる言葉、かな」

 

 その証拠に、顔を赤く染める禰豆子とカナヲ。

 初恋、と言った初々しい表情である。

 ともあれ、程なくして蝶屋敷内の広間で式が始まった。

 楓の袴姿の隣に立つのは息子である海斗。カナエの隣には義妹であるカナヲ。真菰の隣には娘の夏帆だ。

 そして、祭壇の前でカナヲたちは楓たちの隣を離れ、呼んだ神主の祝詞を述べ、三三九度を経て、結婚式を挙げる。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 式が終了し、蝶屋敷の居間では宴の準備が始まる。とまあ、式が終わった直後伊之助は「やっと脱げるぜ!やっほ――!」と騒ぎ、アオイが「皆さんが居る場所で脱がないで下さいっ!」という一幕があった。まあ伊之助は、日常でほぼ常に上半身裸なので、屋敷の皆が特段驚くことはなかったが。

 きよたち、夏帆や海斗が忙しなく宴の準備に取り掛かってる中、楓、真菰、カナエはとある一室に身を置いていた。

 

「着物の方が落ち着くわ」

 

 袴から軽装の着物に着替えた楓は、はあ。と息を吐く。

 式の間、袖を通していた袴は全体的に重かったので肩が凝る。

 

「私も白無垢は重かったかも、とっても素敵な正装なんだけどね」

 

「そうね。でも、念願の白無垢に袖を通すことができて満足かしら」

 

 花、蝶の柄の着物に着替え、化粧を落とした真菰とカナエがそう呟く。

 ともあれ、楓が口を開く。

 

「ところで、何か重要な話があったんだよな?」

 

「うん。楓、私たち――――妊娠したんだ」

 

「しのぶが言うには――――約二週間、らしいわよ」

 

「…………………………マジか」

 

 楓は、かなりの間を置いてから口を開くのだった。

 楓が逆算をした所、久しぶりに抱いたあの日に種子を残したのだろう。

 

「マジだよ~。私たち七人家族になるんだよ、お父さん」

 

「ふふ。まだ増えそうな気もするけど、気のせいかしら?」

 

「……あー、どうだろうな?先のことが決まり次第じゃないか?」

 

 でも楓たちの予想では、まだ増えそうな気もするが。

 このことを鱗滝に報告した所「本当かッ!」と泣いて喜んでくれ、蝶屋敷の皆も「おめでとうございます!」と祝いの言葉を頂いた。

 ――まだ鬼は全て消し去っていないが、小さな幸せは確かにここにある。




鬼滅の刃~花と桜~。無事完結です。
ここまで読んで下さった読者様、本当にありがとうございました!

追記。
結婚式は、蝶屋敷主催で行われました。
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