美食の白兎   作:ドラ民具

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BBコーン捕獲・実食

ゴブリンプラントとの戦闘を乗り切った【ロキ・ファミリア】を連れてウール火山側まで辿り着くと、戦闘の疲れをとるために休息を取ることにした。

 

「ふぅ、つくづくこの世界の常識には驚かされるな」

 

「全くじゃ、儂もこんな所に酒の成る木があるとは思わんだぞ。リヴェリア、解っておるからそんな目で見るな!!」

 

「にしてもだ、この世界の生物や植物は興味深いと同時に私達の世界にやって来た場合のことを考えると恐ろしくもある」

 

リヴェリアの言いたいことは以前のようにダンジョンに出現すれば一般人の被害は防げるが、外で出現されればそれは不可避だ。

 

疲弊していたとは言え捕獲レベル21のデビル大蛇と捕獲レベル30のヘビークリフに苦戦し、地の利が向こうにあったとは言え攻めきれなかった捕獲レベル33のゴブリンプラントとの戦闘を経て全員の実力向上が必須だと突きつけられた気がしていた。

 

「「だね/だな」」

 

リヴェリアの言葉にフィンとガレスが同意する。

 

「皆さーん、グレイスが持ってきてくれた食材で食事にしましょう」

 

ベルの声が響く。

 

「そのためにも、一層ベルの知識が必要になってくるね」

 

「あぁ、我々が彼の負担になってはいけない」

 

「冒険者としての意地もあるしのう」

 

そう話しながら三首脳陣は煙とともに香ばしい香りのする食卓に向かうのだった。

 

「美味しい!!」

 

「それは良かった」

 

「この魚がすっごく美味しい!!」

 

「ストライプサーモンですね、油が乗ってて美味しいよね」

 

全員がゴブリンプラントとの戦闘で疲弊していたため、どんどん食べ進めていく。

 

「さて、全員聞いてくれ」

 

食事を終えて食休みをしている中でフィンさんが話を切り出してくる。

 

「今回の依頼食材であるBBコーンにつてベルに聞いておきたいことがあるんだ」

 

「良いですよ、場所とかは言えませんけどね」

 

「なるほど、あくまで探して見つけて捕獲することが僕達の仕事という訳か」

 

「そういう事ですね、少し意地悪かもですけど」

 

「いや、そんなことはないさ。僕達も冒険者としての意地もあるからね」

 

そうして、【ロキ・ファミリア】のBBコーン捜索が始まるのだった。

 

 

 

五時間後、辺りは完全に暗くなり一同は野営拠点(ベースキャンプ)へと戻ってきていた。

 

「もー、見つかんないよー!!」

 

そう言いながら脚をばたつかせるティオナ。

 

「大人しくしろ!!」

 

そんなティオナにキレるティオネ。

 

「チッ、周囲にもそれらしい臭いはしねぇ」

 

狼の獣人の嗅覚を持ってしてもそれらしい臭いが嗅ぎ取れずにいた。

 

「うん、それに食獣植物も襲ってくるから時間が取られちゃう」

 

「はい、ベルさんの助言(アドバイス)で魔法を使えるようにもなって戦闘は楽になったんですが、待ち伏せ型の食獣植物がいるので、道が塞がっているところもあります⋯」

 

ゴブリンプラントを退けたとは言え、ここにはまだ無数の食獣植物が存在しているため深煎りをすれば頭から食われる可能性だってある。

 

「問題はそれだけじゃなくて、事前にベルさんに言われて十全に持ってきていた回復薬(ポーション)も残り少ないっす」

 

「それに私達には時間がありません、そろそろオラリオに帰還しないといけませんし⋯」

 

そう、フィン達冒険者はオラリオにいる事になっている。

 

それがいないと判明すれば管理機関(ギルド)からもといロイマンからの追及は免れない。

 

「⋯⋯⋯」

 

フィンは長考の姿勢を崩さず団員の報告を聞いていた。

 

「どうする、フィン?」

 

「アキの言う通り、管理機関(ギルド)に嗅ぎつけられると面倒じゃぞ」

 

リヴェリアとガレスがフィンに問いかける。

 

「よし、明日最後の探索を行い発見できなければ継続という形で不満はあるが⋯一度オラリオに帰還しよう」

 

そう言ったフィンの判断に全員が納得をする。

 

あの後、フィンは一人ベルから貰った情報を整理する。

 

ウージャングルの全体が得る栄養を吸収して育っている

 

成熟したBBコーンはとにかくデカい

 

「栄養を吸い取っている⋯大きい⋯」

 

そう言いながらフィンはウージャングルの方へ視線を向けると、ある考えがよぎる。

 

「まさか⋯、いや、確かめる必要があるな」

 

フィンの考えは的中する。

 

 

翌朝、朝食を済ませた僕達にフィンさんがこう行ってくる。

 

「今日はひとまずこのジャングルの木に登ってみようか」

 

その言葉に僕以外の全員が首を傾げるのだった。

 

そうして、フィンさんの提案通り木を登っていく。

 

何百mもの木を登り、木の天辺まで着くと其処に広がっていた景色は天を突くように聳え立つBBコーンの姿があった。

 

「おっき〜い!!」

 

「いや、デカすぎでしょ!?」

 

「なるほどな、見つからねぇわけだ」

 

「凄く大きいね」

 

「これはまた立派だのう⋯」

 

「あぁ、まるで巨大な建造物のようだ」

 

「ほぇ〜〜っ⋯」

 

「まさかとは思っていたけど⋯此処まで大きいとは思わなかったよ」

 

【ロキ・ファミリア】が思い思いの言葉を言っていると、僕はこう声をかける。

 

「それじゃあ、皆さんBBコーンの捕獲お願いします」

 

その言葉に全員が動き始めるが⋯。

 

「うぎぎぎ⋯かった〜〜い!!」

 

「なんで切れねぇんだよ!!」

 

「刃が通らない⋯!!」

 

全員がナイフを手に手頃な大きさ(それでもデカい)のBBコーンの茎を切ろうとするも複雑に絡み合った繊維のせいで収穫ができないでいる。

 

「発見できたのは良いが、収穫も一苦労だな⋯」

 

リヴェリアさんの言葉通り、全員が捕獲に苦労している。

 

何度も斬りつけてなんとか全員BBコーンの捕獲を成功させる。

 

「疲れたっす⋯、なんでこんなに硬いんすか⋯?」

 

「皆さん、ご苦労さまです。それじゃあ、僕からの報酬を払いますね」

 

二十階ビル並みのBBコーンの茎に蹴りによって衝撃波を放ち、茎を両断し捕獲する。

 

『!?』

 

【ロキ・ファミリア】の全員は眼の前の光景に目を見開く。

 

「今からウール火山に向かいます、BBコーンのポップコーンをごちそうしますよ」

 

肩でBBコーンを担ぎながらウール火山に向かって歩き出す。

 

「いずれは皆さんにもこのくらいのことはできるようになってもらいます」

 

その言葉に全員がやる気に満ちる。

 

「上等だ」

 

「やるぞー!!」

 

「えぇ、やってやるわ」

 

「うん」

 

「突き放してくれるね」

 

「世界は広いことを痛感させられるな」

 

「そうじゃのう、儂も滾ってきたわ」

 

「が、頑張ります!!」

 

「自分もやれるだけのことをやってみるっす」

 

「私も⋯!!」

 

全員にやる気と覚悟が満ちている様子を見てベルは笑みを浮かべる。

 

そして、BBコーン調理のために灼熱の溶岩地帯「ウール火山」に足を踏み入れるのだった。

 

そのまま持っていくのは大変なため、念のために失敗も考慮して十粒だけを抜き取ってからウール火山の中へと進む。

 

裸足のティオネとティオナはフィンとアイズが背負うことでウール火山の中を進むのだった。

 

「ここ、ウール火山の地面は温度1200℃なため積み重なった岩の上を跳躍しながら移動するんです。それでも、一番上の岩でも50℃はあるので熱いです」

 

「いや、熱すぎじゃないっすか!?」

 

「BBコーンはウール火山並みの火力じゃないと調理が出来ないんで、諦めてください」

 

「マジっすか⋯」

 

全員で奥に行くにつれて更に熱気に包まれていく。

 

「あつーい!!」

 

「うるせぇぞ、バカゾネス!!」

 

「なにをー!!」

 

「静かにせんか、お主ら」

 

その熱気に耐えかねてティオナが大声を出してベートが噛みつき、ガレスさんが嗜めるも効果なし。

 

「あっ、丁度いい。マグマラットの死骸だ、こいつの皮を敷いてここで調理を始めましょう」

 

ベルが見つけたのはウール火山に住むマグマラットという生物の死骸。それも、十匹以上もいる。

 

マグマラットは耐熱に優れた皮を持ち、その皮を加工して耐熱装備が製作されている。

 

「悪いけど、皮を有効利用させてもらうよ」

 

そう言ってベルはマグマラットの皮を剥ぎ取り、岩の上に敷いて座り自身の捕獲したバスケットボール以上の大きさのBBコーンの一粒の調理を始める。

 

このマグマラットの皮に座ることに対して強い抵抗を見せたのはリヴェリアさんとレフィーヤさん。

 

妖精(エルフ)的に忌避感があるらしい。

 

「死んでいるとはいえ、抵抗がありますね⋯」

 

「でも、立ちっ放しはきついですよ」

 

BBコーンを焦がさないようにひっくり返すのを繰り返しながらそういった。

 

「それに、冒険者だってモンスターの皮だって怪物素材(ドロップアイテム)として利用してるんですから今更では?」

 

「それはそうかも知れませんけど⋯」

 

しばらくして、調理をしながらマグマラットの皮を利用してティオネとティオナの靴⋯草履(サンダル)を制作する。

 

「ずいぶんと器用なんだね、ベル」

 

「まぁ、こういうのは覚えておいて損はないですね。いざって時にこういう事ができる出来ないで違ってきますし」

 

ベルの言葉にフィンさんとリヴェリアさんは納得をする。

 

「あと、皆さん水分はしっかり取ってください。ここからは忍耐の時間なんで」

 

そうして、一晩をウール火山の中で過ごした。

 

水分がなくなっても事前に大量に用意していたキンキンに冷えたエアアクアと食材ををグレイスに持ってきてもらってそれで食事を簡単に済ませる。

 

段階的に下の更に高温の岩へと移動して、BBコーンに火を通していく。

 

そして、早朝⋯ついにその時が来た。長い時間じっくりと火を通し続けて、BBコーンが弾けた。

 

まるで爆音とともに弾けたその粒は巨大なポップコーンに姿を変え、雨のように四方八方に降り注ぐ。

 

「出来たぁ!!」

 

「これは驚いたなぁ⋯」

 

「たったひと粒でこれほどの量を生み出すとは⋯!?」

 

「壮観じゃのう」

 

「すごい」

 

「いっぱいだぁ!!」

 

「ほんと凄まじい量ね」

 

「こんだけの量どうすんだよ⋯」

 

「どうしましょう⋯」

 

「あはは⋯」

 

「笑えないわよ、ラウル」

 

およそ一万人分あるポップコーンの量を見て【ロキ・ファミリア】の皆さんは唖然とする。

 

「それじゃあ、いただきましょう」

 

『いただきます』

 

全員が一口ポップコーンを食べると、そこからはBBコーンの食欲増進効果によってどんどん食べ進める。

 

「じゃが丸くんみたいに大きいのにすごく食べれる!!」

 

「あげたての揚げ物みたいに香ばしい香りもいいです!!」

 

「おいしいおいしい!!」

 

「ほんと美味しいわね」

 

「うめぇな」

 

「美味いっす!!」

 

「美味しい⋯!!」

 

「軽い食感なのにこんなにも食欲を刺激してくるなんてね」

 

「他の飯も食いたくなってくるのう」

 

「あぁ、たしかに美味い」

 

全員が食べ進める中、ウール火山が噴火する。

 

「火山が噴火しましたよ!?」

 

「早く逃げないと!?」

 

「大丈夫ですよ、あの火山の場所だと被害は出ませんよ。それにこの噴火は丁度いいタイミングですしね」

 

火山の噴火に慌てるレフィーヤさんとラウルさんに説明する。

 

「どういうことだい?」

 

「ウール火山の火山灰には天然のミネルがたっぷり含まれているんです。それがBBコーンのポップコーンに降りかかるとより美味しくしてくれるんです」

 

「ホントだ!!」

 

そうして、【ロキ・ファミリア】は初めての美食世界での冒険を終えるのだった。

 

ちなみにだが、持って帰る分以外のポップコーンはほとんどベルが完食するのだった。

 

『ごちそうさまでした』

 

そうして、ベルと【ロキ・ファミリア】は節乃食堂に帰っていくのだった。

 

 

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