零余子日記   作:須達龍也

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鬼滅の映画見ました!
久しぶりに鬼滅世界の妄想を形にしたくて、思いついたことを書きました。


おまけ1

 それは、新しい蝶屋敷の整備が一段落したところだった。

「…少し、いいだろうか」

「冨岡さん」

 珍しい客だと言わざるを得なかった。

 基本的にこちらから訪ねなければ、会うことがない人物だ。

「中にどうぞ、お茶くらい出しますよ」

 いろいろと思うところがある人だけど、お客さんには違いない。

 

 

 

「…粗茶ですが」

「…いただきます」

 客間にて、相対する。妙な緊張感がある。…まあ、気のせいでしょう。

「…それで、なんでしょうか?」

 

「……最終選別試験をやめる…と聞いた」

 

 おや? 富岡さんにしては、耳の早いことだ。

 確かに、みんなの反応を探りたくて、噂として隊士達の間に流れるようにはした。

 もっとも、少々反応が悪くても、彼女との話し合い…要求にて、決まった以上、決定事項ではある。

 ただ、友達のいな…少ない冨岡さんがその話を耳にするのは、私が直接言う時だと思っていたので、かなり意外ではある。

 

「差し支えなければ、誰から聞いたか伺ってもいいですか? いえ、特に深い意味はないんですけど、冨岡さんの耳に入るのは、もっとずーっと後だと思っていたので、びっくりしてしまいまして、あっ、誰かが話しているのを物陰からこっそり聞いたとかですか? だったら、その会話に混ざればいいのに…大丈夫ですよ、柱なんですから、嫌われてても無視なんてされませんって…」

 

「…そんなことはいいから、本当なのか?」

 

 ちょっと興が乗ってしまい、からかいが混じってしまったのですが、冨岡さんにあっさりとぶった切られた。

 まあ、話を逸らすのが目的ではないし、そこはいいか。

「…そうですね。まあ、とりあえず試しに一旦やめてみましょう…というレベルではありますが」

 彼女の強い希望がある以上、無碍にはできないし、最終選別試験に功罪あるのも事実だ。

「最終選別試験をやめることで…それを経ていない隊士が加わることで、どんな問題が起こり、果たしてそれは対処が可能なのか、それともやはりやった方がいいのかどうか、とりあえず様子を見てみましょうというのが、正直なところです」

「……そうか」

「私達にとっては、昔からやっていた…あって当たり前みたいに思っていたところもありますから、やめてみようという発想はなかったと言いますか」

「…そうだな」

「言われてみれば確かに、最終選別試験の合格率はともかく、死亡率は問題あるなと思いましたし、総合力を見ていると言えば聞こえはいいですが、これまでも実力通りの結果が出ていたかと言えば、微妙なところもありますし…」

「………」

「柱との立ち会い試合にて、実力を見極め、合否を柱にゆだねた方が、順当に実力通りに選べるのではないか。…それに、不合格者も再び挑戦できるようにすべきというのも、頷くしかなかったですしね」

 

「…それでも、歴代のお館様が決められたことだ。また、先代のお館様も踏襲したことでもある」

 

「確かに、その通りです」

 これまで私達が最終選別試験について、やめようと思わなかった理由、当たり前に受け取っていた理由こそ、冨岡さんの今言ったことが大きい。

「冨岡さんは、最終選別試験をやめることに反対ですか」

 それは質問というよりは、確認だった。

 

 

「………わからない」

 

 

 普段の無表情とは違い、珍しく苦悩が顔に出ていた。

「…ただ、居ても立ってもいられなくなり、どうしたいかもわからないままここに来てしまった」

「最終選別試験を合格した、そのことが隊士達の自信の源になっている部分はあると思います。厳しすぎる面は確かにありますが、故にこそ、あれを勝ち抜いたという自信が、支えている部分もあるでしょう」

 ここまで最終選別試験の負の面ばかりを言ってきたが、正の面ももちろん存在する。

 合格率の低い、狭き門であったからこそ、そこを突破したという自信、それは生きるか死ぬかの瀬戸際での力となるだろう。

 

「…俺は、違う」

 

「えっ…」

 ただ、一言で否定された。

「…俺は最終選別を突破してない。…ただ、生き残っただけだ」

 初耳だった。

 そもそも、冨岡さんは自分語りをあまりしない。というか、そもそも話自体をしない。柱の中で一番会話をしているだろう私でさえも、彼自身のことをあまり聞いたことが無かった。

 

「…だから、俺は水柱なんて大層なものじゃない」

 

 おそらく、これまで誰にも言わずに抱えて来た想いだったんだろう。

 

 冨岡さんは、いつも一人でいる。

 同じ柱である私達とも、明確に一線を引いている。

 風柱の不死川さんなどが、いつもすかしていていけ好かない…と言う、冨岡さんの悪癖、それはそこから来ていたんだと、今わかった。

 

 自分が柱として足りない。…それは私にもあった。

 鬼の頸が斬れない。毒に頼らざるを得ない。…柱として、自分が一番弱い。その劣等感は常にあった。

 

 

 

「…そんなことを、今更言わないで下さい!」

 

 

 

 …でも、それがなんだ! 足りないなら、努力するしかないじゃないかっ!!

 

 

 

「ただでさえ、柱が減っているんです! ぐだぐだ言って、やめようと思っているのなら、やめさせませんよ!!」

 

「…いや、そんなつもりはないが…」

 私の啖呵に、目に見えて動揺している。

「最終選別を突破してない? ただ生き残っただけ?

 何言っているんです? 突破してるじゃないですか!

 合格条件は生き残ることだって、一緒に最終選別試験の立ち合いをした時にも言いましたよね? 寝てたんですか?」

「それは…」

 

「突破の仕方に不服や不満があるのは構いませんけど、それで、そんなことだけで、水柱じゃないなんて、二度と言わないで下さい!」

 

「……」

 

「なんですか、不服そうですね? 蟲柱をやめた私に言われたくないとでも、言いたげですね?」

「…そうは言ってないが」

「自分は柱に相応しくないんじゃないか…なんて、大体みんな思ったことがありますよ! …他の人は知りませんけど、私なんていつも思ってましたよ! 思ってたし、みんなにもそう思われてるとも思ってましたよ!」

「…そんなことは」

「うるさいですね! 冨岡さんの意見なんて聞いてないんですよ!! 私はそう思っていたという話ですよ!」

 冨岡さんの意見をピシャリと切り捨てる。

 

「だからこそ、私は頑張りました。冨岡さんだって、そうでしょう。だからこそ、水柱にまで成れた!」

 

「………」

 私の言葉にも、なんとなく不服そうな感じが腹が立つ。

 不死川さんの言うように、自信満々な人間だとは思ってなかったが、こんなに自己肯定感が低いとは思わなかった。

「冨岡さんは、ご自身の評価はどういう風に聞いてましたか?」

 腹が立ったので、少し切り口を変える。

「…気にしたことはなかった」

 

 はあ? これですよ!

 

 

「新しい水の型を作り出した、歴代最強格の水柱。…ただ、性格には大いに難あり!」

 

 

 悔しかったので、後半をつけ足します。

 

「…そう、なのか」

「…だから、性格はなおしてくださいね」

 

「…努力、する」

 

 なんとも煮え切らない返事に、にっこりと笑って返す。

 

 

 

「はい。じゃんじゃん指摘しますので、気を付けて下さいね」




零余子日記のおまけのくせして、零余子ちゃんは全然出ません。
映画には1ミリも出てないので、ちかたない(爆)

映画からインスパイアを受けたなら、猗窩座様か、あるいは獪岳あたりが主人公になるはずなんですがね。
インスパイアを受けたのは、映画ではなく実は、その前に一気見した柱稽古編のアニメでしたw

炭治郎にだけ打ち明けた義勇の想い、しのぶさんに打ち明けたらと妄想し、書きました。
本編ではもうありえなくなった二人の未来。きっと尻にしかれるんでしょうね。
作者精一杯のぎゆしのSSなんですが、おかしいな、砂糖入れ忘れてるぞw
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