これはきっと、もしもの話。
これはきっと、不毛な会話。
これはきっと、少女たちの恋が終わってしまう物語。

この話は、カオスとぶっ飛んだ内容と、少しの暴走でできています。

キャラ崩壊がひどいので、それらが苦手な人は注意してください。

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全体的に、混沌としていますし、自分でも何をやりたかったのかよくわかりません。
原作の時期はよくわからない。とりあえず冬頃とでもしておきます。


超短編 一夏と千冬の不毛な会話

 これは、ある意味で有意義であり、ある意味では無意味で、ある意味では大切だが、確実に不毛なとある姉弟の会話である。

 

◇◇◇

 

 それは、とある昼下がりのIS学園。織斑千冬の部屋でそれは起こった!

 

「腕をあげたな、この煮物」

「あはは、そう言って貰えると嬉しいよ千冬姉」

 

 

 

 ただ単に、一夏の料理のうでが上がっただけです。

 そんな会話のなか、千冬は前々から気になっていたことを聴きたくなってしまった。それが、IS学園を混沌と阿鼻叫喚と絶望の渦に叩き落とすとも知らずに。

 

「しかし、これではお前の嫁になるものは大変だな……ハードルがどんどん上がっていくぞ」

「別に俺は気にしないんだけどなぁ……千冬姉だって気にしていないだろ」

「私は少なくともこの味には到達していて欲しい」

「いや、自分で作るって発想は」

「無い」

「ですよねー」

「まあ、それはおいておいて、お前はどうなんだ? 選り取りみどりだろうに、いまだに彼女が出来たと言う話と言うか、気配すらないのはどういうことだ?」

「いや、人のこと言えないから」

 

 だがしかし、さすがに一夏もわかってはいるのだ。姉が自分に彼女が出来ないのを疑問視していることを。

 何せ、自分以外はほぼ女性しかいないIS学園にいるのだ。むしろ半年以上もここにいて、友達はできてこそ、男女の仲に発展している人がいないというのは流石に怪しまれる。

 

「なんだ、まさか女に興味がないというのか?」

「流石にそれはないから」

 

 心外すぎる。鈴辺りにも以前疑われブルーになったのに、実の姉にまで疑われるとか悲しすぎる。

 

「なら身近な女子で誰が好みか今ここで言えば良いだろうが」

「なんでそうなるんだよ……って酒クサッ」

 

 すっかり酔っている世界最強。家族以外の誰かに見られたらアウトである。

 

「いいからだまって答えんかい。誰となら結婚するんだ。興味がない訳ではないのだろう」

「話が飛躍しすぎ。まあ、俺の立場的にもそこまで視野にいれないと不味いよなぁ」

「む、自分の立場?」

「いや、遺伝情報は大事だし、ハニートラップとかに引っ掛かると不味いし、彼女が出来たとして、人質にするヤツいそうだし、そもそも俺の立場的に見合いとかありそうだし。というか俺って恋愛出来るの?」

「……あー、まあ、そこは、あれだアレ」

「いや、どういうことだよ」

 

 千冬もここまで弟が考えているとは思わなかった。というか、鈍感な弟が立場を理解してますますフラグブレイカーになってしまった。

 とりあえず、束をシメル。

 

「でもまあ、結婚かぁ……」

「なんだ? 気になるヤツでもいるのか?」

「うーん、将来はするんだろうけど実感がなぁ」

「まあ、そんなものだろうな。私も実感があるわけではない。そのときがくるまではわからないものさ。なら、身近にいるヤツならどいつとなら結婚できるとかはどうだ?」

「身近かぁ」

 

 まあ、結局は誰の名前もあげずに終わるだろうな。千冬はそう考えた。考えてしまった。

 

「うーん、セシリアとシャル…………」

「は」

 

 答え、た、だと!?

 

 

 

 

「――は無いな」

「なにぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 否定!? しかも断言したぞコイツ。

 

「り、理由は?」

「いや、人質にならないような人ってことで専用機持ちが思い浮かんだんだけどさ、それでもヤッパリ、ちょっと見過ごせないっていうかさ」

「金髪が嫌いなのか?」

「いや、別に俺は見た目は気にしないから。そうじゃなくてさ、例えばセシリアと付き合うとするだろ、そしたらそのあとは?」

「そのあと?」

「うん、結婚することになったら、そのあとは色々不味くない? だってセシリアって嫁入りは出来ないだろ。立場的に」

「あ」

「かといって俺が婿入りもヤバくないか?」

「あーそれがあったか。そうかそうか、なるほどなぁ」

 

 どの国所属かもめているのに、婿入りしか選択肢がない相手は不味い。なるほど、たしかにセシリアはアウトだな。

 

「ならば、シャルロットはなぜだ?」

「いまでも立場微妙だから確実に人質に使われる。シャル自身の立場的にも不味い。正直ハニートラップ紛いの任務を強制させかねないし、シャル自身のためにも友達って距離がベスト」

「むしろ私はお前がそこまで考えているのに驚きだ」

 

 そもそも、一度ハニートラップまがいのことをしている奴なのだが……相手のことを思っての意見であるあたり自分の弟がいかに女殺しか思い知らされる。

 

「では、他の面々はどうだ?」

「他かぁ……うーん、見合い話が来そうだけど、セシリアと同じ理由で会長はアウトかなぁ」

「だが、日本人なのだし、国同士ではもめ事が出るとは……」

「ロシア代表」

「あー」

 

 むしろセシリアの時よりもトラブルがありそうである。

 

「では、妹の方はどうだ?」

「あー、まあ見合い話きそうだよなぁ……まあ、簪なら俺の方は問題ないよ。ただ、簪って男嫌いだと思うし、簪にその気がないならやめておいた方が良いと思うなぁ」

「いや、問題ないと思うぞ」

 

 意外と乗り気だった。まさかの事態に戦慄を覚え始める。

 これは、大変なことになる。この会話を外部に漏らしてはいけない。とくにあのウサギには。

 そこで、ウサギで思い出した。あの少女の話もしておかねばまずい。奴が監視している可能性も今更ながらに考え始めた。

 

「では箒は?」

「あー……うん、箒ね」

「ど、どうした?」

「いや、なんか束さんに無理やりくっつけられそうな気が最近していてさぁ……それってどうなんだよ、って思ったり」

「…………」

 

 まさかの束、自らの行いで妹の恋路がピンチである。

 ちなみに世界のどこかで天災ウサギは今現在、ファントム的な何かを生み出しそうである。もしくは、魔女への道を歩みそうだ。

 

「そ、そうか……だ、だが束抜きにかんがえるとどうだ?」

「うー…………ん、箒かぁぁぁぁ……よく考えたら、アイツは今までの行動をちゃんと反省しているんだろうか? 真剣と書いてマジじゃない方のアレとか、無人機で危ないときに生身で乗り込んだり、紅椿に初めて乗ったていうのに、あの戦闘……まあ、料理はうまいよな」

「結局いいところはそこだけなのか?」

「いや、幼馴染って言ってもさ、もう5年以上前に会ったキリで学園に入ってから再会したわけで、異性とか友達っていうより妹、みたいな」

 

 むしろ、同室でもまったく気にしていなかったのは心の距離がある意味近すぎるせいだったのだろうか。

 

「……布仏あたりを同室にするべきだったか」

「なんでだ?」

「お前には一生分からないだろうよ」

「む……でも、のほほんさんか…………まあ、マスコットだよな」

「だな」

 

 癒し系少女、のほほんさん。彼女に関しては姉弟の意見が一致した。

 

「あとは……ラウラはどうだ?」

「妹にしか見えないです」

「実はお前より年上のハズなんだがなぁ」

「え、マジで!?」

「仮にも軍人だぞ。詳しくは聞いていないが、あの生徒会長よりも年上かもしれん」

「あーなんか条約があったような……そうだよな、軍人ってことは年齢は…………よそう、この話をこれ以上考えるのは」

「そうだな、ラウラはラウラだ。で、真面目に考えるとどうだ?」

「まあ、無くはないのかな。ドイツ軍自体には俺もお世話になったわけだし、他に比べれば波風も立ちにくいと思う」

「む、なら大丈夫なのか?」

「簪の次ぐらいかなぁ……ただ、ラウラの社会常識スキルが上がらないと俺には何とも言えないのが」

「ああ、そちらは何とかしよう。放課後に希望者は補講を受けられるように上に掛け合ってみる」

「他にも、いるのか」

「ああ……去年は凄かったぞ」

「詳しくは聞かないでおくよ」

「…………あ、凰はどうなのだ?」

「鈴? いいんじゃね? 本人も納得するなら」

「そんなあっさりと!?」

「ど、どうしたんだ千冬姉!? いままで見たことない顔で驚いているぞ!?」

 

 妙な劇画調の顔である。とんでもないものを見たような、そんな感じの。

 

「い、いや中国との関係もいいとは言えないんだが……」

「ああ、前にそれとなく、結婚するなら祖国を選ぶか相手の国に行くかってのを専用機持ちの中で、自然に聞ける機会があってな、他の海外組は悩んでいたんだけど、鈴のやつさ――」

 

『え? そんなの決まっているじゃない。専用機を返還してでも相手の国に行くわよ。いや、日本暮らしも長かったし、別に中国が故郷なのかって聞かれると微妙なところだしねぇ……ああ、日本以外はちょっと考えるわよ』

 

「みたいなこと言ってたよ、迷いもせずに」

(そういえば、アイツは束の悪趣味なバーチャルリアリティで中国で暮らしている自分じゃなくて、中学時代の自分を見たんだったな……本当に日本の方に愛着があるのか)

「どうしたんだ?」

「いや、なんでもない……まあ、アイツのことだから普通に専用機は返還するとして、料理は……出来たな。他の家事も……出来たな。殺傷能力……ISが無ければそこまでじゃないか」

「あれ……?」

「む……」

「なんでここまでいい感じなのに、今の今まで忘れていたんだ」

「……アイツ、運は無いからなぁ」

「あー」

「だが、もう直接聞いたらどうだ」

「……うん、そうするよ」

「………………え」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 そのあとはもう、大変だった。

 いきなり一夏がいきなり鈴に対して、「将来、俺と結婚するか?」なんてストレートに聞くものだから、鈴は気絶し、それを聞いていた箒が真剣でマジに切り付ける事件が発生。だが、ジャストタイミングで束が抱き着いて事なきを得る。

 束はその後数時間、ごめんねごめんね叫びながら抱き着いていた。

 噂は学園中を駆け抜けて、第三次世界大戦ならぬ、第一次正妻戦争が巻き起こる。マスコットのはずののほほんさんは場をかき回して、教師陣にも対応できないくらいだった。

 そんな中、セシリアは目からブルーティアーズ。シャルロットはトリガーハッピーに一夏に対して「浮気は許さないんだからぁああああ」ととちくるい、メンヘラを開化させた。

 そして、ラウラは「これが修羅場というやつなのかクラリッサ!?」と聞いていた。「隊長、のりおくれます。さあ、飛び込むのです!」

 なぜいるクラリッサ。とりあえず事後処理のために千冬は深淵の闇(書類の山という名の修羅場)へと連れ去った。

 ついに力関係が逆転した会長とその妹。いま、最大の姉妹喧嘩が幕を開ける!

 

 

 

 そして、数年の時が過ぎた……

 

 

 

◇◇◇

 

 

 教会のベルがなる、ただただ、そこには二人を祝う祝福の声が……

 

「何故だ、私も幼馴染なのに何が足りなかったんだ」

「ヒック、グスッ、ヒッグ」

「いちかのばかいちかのばかいちかのばかいちかのばかいちかのばかいちかのばか」

「嫁よ、幸せになるのだぞ!」

「うふふ、きっと、せかいは、かたなちゃんが、だいきらいなの、うふふ」

「結局、ヒーローとヒロインは結ばれないのよ、だから、これで、これで、……ふぇぇぇん」

「なんで私の名前は出なかったんですか一夏さん……おにぃもさっさと結婚しやがって」

「妹よ、俺に当たらないでくれ……まあ、愚痴には付き合うから今は一夏と鈴を祝おうぜ」

 

 

 

 なんてことはない、みんなが混沌としている中、一夏は気絶した鈴の看病をしていて、普通に鈴ルートがそのまま確定しただけである。

 すでに、プロポーズみたいなセリフを言っている時点で、あと一押しだった。

 一夏が暴走して鈍感スキルが発動しなかったという、近年まれにみるほどに鈴の運が高まった瞬間である。

 

 

「まあ、幸せそうだし、これでいいか」

 

 そんなことを呟く千冬の手の中には、ブーケがしっかりと握られていた。

 




いかがでしたでしょうか。

とりあえず、続かない。
結婚式までのすったもんだも書きたいけど、続かないったら続かないんだ!
……たぶん。


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