【安価?】掲示板の集合知で来世をエンジョイする【何それ美味しいの?】   作:ちみっコぐらし335号@断捨離中

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 取り急ぎ本編の加筆修正しました。時間が無さ過ぎるんじゃ……。


一方その頃 十三(後書き追加)

 ◆

 

 

 

 事件の翌日、コナンは阿笠邸を訪れていた。同行した子供たち三人はダーツゲームをして、一喜一憂している。

 以前目撃したダブルブルの再現を目指しているのか――――彼らは女性(キュラソー)の死を知らない。

 

 テレビに映る報道番組では昨夜の東都水族館の被害について、ニュースキャスターが真剣な表情で読み上げている。負傷者の人数などの被害状況については詳細な情報が上がっていたが、犯人の目的は不明。組織が犯行声明を出すわけもなく、何故リニューアルオープンしたばかりの水族館が狙われたのか、恐らく永遠に明らかになることはないだろう。

 

 

 灰原はあの時、子供たちを助けるために観覧車に侵入し、キュラソーと遭遇していたのだという。

 灰原をシェリーと呼んだことから見て、キュラソーが記憶を取り戻していたのは疑いようがない。しかし、彼女は記憶を取り戻した上で組織からの離反を試みていたらしい。

 そして、子供たちを助けるために彼女は観覧車に押し潰されて――――やはり、あの時重機を運転していたのは彼女だったのか。コナンは得心がいった。

 

 灰原は爆発の瞬間を間近で目撃していた。例の重機の不自然な爆発痕の謎について、何かわかるかもしれない。彼女に聞き取りをする。

 

 灰原曰わく、ハンドルを握っていたキュラソーと、ゴンドラから外を見た際に眼が合った。しかし、キュラソーは最期にどこかを見ていたというのだ。

 その後、強風が灰原たちの乗っていたゴンドラを激しく揺らし、一瞬目を離した。次の瞬間、運転席は観覧車の下敷きになったという。

 

 黒い光の柱を見たか、とコナンが問うと灰原は首を横に振った。

 しかし、爆発の中に不自然に途切れて見える箇所があったという。恐らくそれがコナンの位置からは黒い光の柱に見えたのだ。

 

 死体のないキュラソーが生きているのではないか。コナンはそう疑ったが、灰原から状況を伝え聞く限り、生存は絶望的だ。重機の周囲に人影は見えなかったというし、キュラソーが脱出できる可能性は皆無。

 

 またおかしなことに首を突っ込んでいないか、と灰原は訝しげな視線を送ってきたが、コナンは力なく否定するだけだった。これも『おかしなこと』には違いないが……彼女が危惧するようなことではないはずだ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ベルモットは素知らぬ顔で警察や公安がひしめき合う水族館を出てきた。

 キュラソーを回収するはずが抹殺する羽目になり、NOCリストも手に入らず。蓋を開けてみれば、今回始末できたスパイは三人だけだった。

 得るものの少ない任務であったが…………まあ、組織の情報(不都合な事実)が漏れる可能性を潰せただけでも良しとしよう。

 

 湾岸に立ち並ぶ倉庫街。その内の一つに放置してきたキールを回収し、ラムに連絡――――これで今回の仕事は全て終わりだ。

 

 ベルモットはラムから命令された通りに車を走らせる。

 

 運転中、脳裏を過るのは有戸のことだった。

 ベルモットの『穏便な交渉』によって動きを妨害され、事態の推移を真横で見守っていた彼女。やけに食欲旺盛でベルモットが予想した量の五倍は優に平らげていた。メニューを制覇するつもりかと思ったのは記憶に新しい。

 銃撃によってボロボロになっていく観覧車を眺めていると不意に彼女は立ち上がった。

 一体、どこへ行くつもりなのか。ベルモットが問い掛けると、有戸は煩わしそうに振り向いた。

 

「観覧車――――助けに行かなければ」

「わざわざ見ず知らずの相手のために動く必要があるのかしら?」

「少なくともコナン少年たちは見ず知らずの相手ではない」

「なっ――――!?」

 

 彼女はそれだけ吐き捨てると脇目も振らずに飛び出していった。

 先ほどの言い方だと、まるで観覧車に(クールガイ)が乗っているかのようだが――――。

 

 まさか、とベルモットはスコープを覗き込み、彼の姿を探した。

 北側のゴンドラには子供が三人だけ。あとのゴンドラは空だ。反対側(サウスホイール)の中身は構造上見えないが…………有戸が嘘を吐いているとも思えなかった。彼女はブラフを言えるような人物ではないのだから。

 かと言って攻撃の中止を提言すれば、間違いなくジンに怪しまれるため、ベルモットは状況の推移を見守るしかなかった。

 

 結局、彼女は何者だったのか。

 キュラソーの周りを嗅ぎ回っているのかと思いきや、自ら危険な状況に飛び込んでいくとは。『助けに行く』と言っていたが――――もしあの時、本当に彼が観覧車にいたのだとしたら、彼女が彼を守るために遣わされたのだとしたら。

 

 ロクな()()()()も出来ず、素人を護衛として用いる。そんな滅茶苦茶なことをする人間の心当たりは一人しかいない。

 

 ――――あなたなの、有希子…………?

 

 ふと思い浮かんだかつての親友の名は、車窓の景色と共に流れていった。

 

 






 純黒の悪夢編、完結。
 ということで、区切りのいいところで長めの後書きというか、物語としての中書き的な何かを一つ。


 まず、およそ一ヶ月半、ここまでお付き合いいただきまして誠にありがとうございます。

 私は基本的に『自分が読みたい物』を書いています。
 そして自分の好みはかなりマイナーというか、マイノリティというか、とにかく『あまり一般には受け入れられないだろう』といった認識だったので、こちらの作品に関しても『例え最後までいったとしてもお気に入り数が千くらいの黄色バーで細々と終わるだろうなー』と思っていました。なので、現状受けている評価数は完全に予想外です。どうしてこうなった。

 ただ、自分でも『更新は無理だろう』と思ってた状況でも何とか続けられたのは、間違いなく大勢の読者の力があったからです。ありがとうございます。

 ここまでで起承転結の承まで終わったので、あと半分ぐらいで終わる……はずです。だいたい大きな話二つ分。目標は全話数合わせて百話以内。ただし合間に細々としたエピソードも複数挟む予定なので、その進み方によっては目標に収まらないかもしれないですが。


 本作は読みたい物を書くことと同時に、遅筆の自分がどこまで更新を続けられるのかという挑戦でもありました。

 更新速度をとれば、ある程度文章の情報量の低下は避けられないと覚悟はしていましたが、それでも私の中で全力の時の六割ほどのクオリティは確保したいなと思っていました。

 しかし、自粛期間も明け執筆時間の確保が難しくなってきたこともあり、六割どころか四割を切っている(主観)の文章が散見されること。
 また、(正直ここまで書ききれると思っていなかったので)この先のプロットがざっくりとしたものしかないこと。

 以上の点から一度連続更新を止め、次の段階に向けた準備をすることにしました。具体的には今後のプロットの作成と過去話の加筆修正です。
 加筆修正に関してはこだわりすぎると更新が止まると経験則でわかっていますので、クオリティを求めすぎず自分が読んで楽しめるレベルに抑え、なるべく早く更新に戻れるようにしたいと思います。
 ここで長期間止まるとなかなか戻れなくなるので(白目)。


 ということで最新話をお待ちの方には大変申し訳ないんですが、しばらく更新止まります。
 なるべく早く戻ってきます(二回目)。


 修正作業の進行具合に関しては目次で見られる各話の更新日時か、Twitterの方で報告していく予定です。気になる方は探してみてください。特に隠れていないので簡単に見つかります。




 あと、もし『暇で暇で仕方がないぜ!』という方がいらっしゃいましたら、過去に投稿した短編がいくつかありますので宜しければそちらをどうぞ暇潰しにお使いください(小声)。『335』で検索かければヒットします。
 個人的には、FGO筋肉モリモリマカリオスとか巨乳モーさんとかサーヴァントユニヴァース×鬼滅の刃辺りがそこそこ纏まっていて暇潰しに使いやすいかと思われます。
 …………つーかマジで変なものしか書いてないなコイツ。

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