何でもない日々。退屈なようで、その実どんな日々よりも尊くて愛すべき日常のさなかにおいて、俺はあいつと出会った。

 いや、正確には出会ったというよりも知ったというのがいいだろうか。
 たまたまクラスが同じで、たまたま隣の席なだけ。俺も彼女もお互いに交わるような生き方はしていなかった。
 教室の窓側隅っこが彼女の席。そしてその隣で俺はただひたすらに本を読む。
 他人だ。どこまで行っても俺と彼女は他人であり、関わり合うことなんて一生ないだろうと考えていた。
 人並み外れて整ったその容貌に何も思わないといえば嘘ではあるが、俺自身はそこまで彼女に興味はなかった。


 ただその日。俺とあいつが本当の意味で出会った日。
 俺は彼女のことを、態度がキツくて口も強いおよそ可愛らしい部分は顔面ぐらいのあの女のことを心の底から美しいとそう思ったのだ。