なろうに投稿しようとしていたやつのアレンジ版。キャラが思いつかなかったのでプロット代わりに書きました。ただこの後の展開がまったく思いつかないので止まってます。
「……なさい……おき……い……」
……なんだ? 目は開かないし、身体は動かない。まるで死にかけの状態だ。……それはおかしい。俺は、奉仕部の部室で……何をしてたんだっけか。というかこの声、聞き覚えがある気がする。
「起きなさい……起きなさい……いい加減起きなさいっ!」
「ふげぇっ……!」
脇腹に鈍い衝撃が走り、我ながら気持ち悪い声が出た。そして痛みの余り目が開いた。
「……雪ノ下? 何やってんだ?」
そこにいたのは、濡羽色の長い髪、整った容姿、ぺったんな胸の三拍子そろった奉仕部部長、雪ノ下雪乃だった。ていうか濡羽色ってエロい響きだな。……駄目だ、どうやら俺の脳は調子が悪いみたいだ。
しかし、いつもと違うこともある。それは、制服ではなく白いワンピースを着ていて、俺が寝転がっているといことだ。クソッ、見えねえか。
「何か、いやらしい視線を感じたのだけど。もう一度蹴った方が良いのかしら」
「気のせいだ。……いや、蹴ったのかお前! で、ここどこ? なんか砂浜なんだけど。近くに海が見えるんだけど。どういうことだ雪ノ下」
背中と手の感触を信用するならばここは砂浜で、俺の耳と腐った眼を信用するならば波の音が聞こえ近くに海が見える。とりあえず、眼は信用するに値しない気もする。だって腐っているし。
「さっきから雪ノ下雪ノ下って……誰の事を言っているのよ」
「……は? だってお前は――」
「私はユキノ。そしてここに流れ着いていたあなたを助けてあげたのよ。感謝してほしいわ」
「……は?」
俺がここに流れ着いていた? つまり、俺は溺れていた。だから死にかけの状態だったという訳か。という事は……力を振り絞って立ち上がり、こいつから距離を取る。
「お、お前、人工呼吸……」
「そっ、そんなことしてないわ! わ、私はただ、そ、そう! 胸骨圧迫をしただけよ!」
なんか焦っているが、こいつの主張を信じる方が俺の心臓には良さそうなのでそうしておく。こんな状態で動悸が起きたら死にかねない。
「まあいいや。助けてくれたのは感謝するよ、ゆ……ユキノ」
こいつが自分の苗字を認めないのなら、名前で呼んでやる。だが、けっこう恥ずかしいな。これ。小学生の時、仲良くなったと思った女子を名前で呼んだ時以来だ。……カラオケの時はノーカン。あれは苗字を途中で切っただけだから。
「や、やけに素直なのね。で、あなたは誰? 軍に引き渡すまでの間だけど、私が面倒を見てあげるわ。……いや、私の僕にしてあげるわ」
「なんで言い直したんだ……って、軍!? なんで俺を軍に!?」
というか、日本に軍は無いよな。ここ、マジでどこだ? さっき聞いたんだけど無視されたぞ。
「何でって……出自がわからない人を軍に引き渡すのは当然でしょ? 他国のスパイとかだったらどうするのよ」
「俺は他国のスパイじゃねえよ!」
「じゃあどこの出身? トベタウン? オオーカビレッジ? それともヤマトシティ?」
なんか聞き覚えのある名前だなぁ……じゃあこの国はハヤマキングダムなのだろうか。それなら一刻も早く脱出したいんだけど。
「俺は、そうだな……チバタウン、いやタウンってほどでもねえな……そう、チバビレッジのハチマンだ。チバビレッジは外れの方だから知らないかもしれないが……」
「そう、ならスパイじゃないわね」
「……どうしてそうなるんだ?」
「あなたの村……チバビレッジ、だったかしら。それがどこにあるかは知らないけど、あなたがスパイだったなら私が言ったトベタウンやオオーカビレッジを選ぶ。私がこのあたりに住んでいて、あなたが地理に詳しくない以上、相手が出してくれた町の名前を言った方が賢明よ」
「まあ、確かに知らない町の名前を言われるよりは知っている町の名前を言われた方が信用しやすいな」
そんな名前の町に住みたくねえよ! なんて思ってチバビレッジと言ったのだが、少し後悔している。知らない名前の町に住んでいるやつの言葉なんて信用できない。
「だけど、今回ばかりは違う。私が言った町はね……無いの」
「……嘘を吐いていたのか?」
「ブラフよ。私は嘘を吐かないわ」
はは、確かにこいつは雪ノ下雪乃だ。頭が回り、嘘を吐かない。だが……なぜこいつは「雪ノ下」ではないんだ……?
「それに、あったのよ。二年前までは、ね」
「なんだ? 合併でもされたか?」
「違うわ。……滅ぼされたのよ、魔王様に」
…………え? 魔王、様?
「おいお前、まさか魔王の手先――」
「なにバカなことを言っているのかしら。魔王様は、この国をハヤマ王と共にこの国を治めているのよ? ある意味全員魔王様の手先よ」
??? 駄目だ、思考が追い付かない。これはいったいどういう事だ?
「……っ! 下がって、スライムよ!」
「は? スライム?」
こいつの視線に従って、同じ方向を見る。
「……なんだ、こいつ……!」
確かにスライムだが、俺の予想していたスライムでは無かった。某RPGに登場するぷるぷるとした可愛らしいのを想像していたのだが、こいつは……
「気持ち悪ぃ……」
ぬちょぬちょ音をたて近づいて来る、高さが腰あたりまである透明な化け物。目も口もないが、五、六本ほど触手のようなものが伸びている。ゼリーのようだが、通り道にあった砂は濡れていない。どうやら何か薄い膜で覆われているようだ。
「逃げてッ!」
「へ? ……がッ!」
触手が一瞬で伸び俺の腹を殴った。ゼリーのような見た目なのに、鈍く、重かった。
「ぃだッ!」
背中を打ち付けたが、砂浜だったためすぐに立ち上がれた。こんな化け物の前で倒れたままなのはマズい。直観的にそう思った。
「ハァァ!」
さっきは気づかなかったが、背中に剣を携えていたようだ。雪ノ下の剣は見事にスライムを斬り裂く。だが――
「身体がくっついた!?」
綺麗に両断されたはずのスライムの残骸がきれいに復元した。しかし完全に再生されるわけでもなく、すこし砂が濡れていた。
「核を狙わなきゃダメなの! 核にダメージを与えないとすぐに再生する!」
「じゃあ、さっさと核を斬ればいいんじゃ――」
「駄目なの! ……この個体はこの地域では大型。そして核は身体の中で自由自在に動き回る!」
「マジかよ、じゃあ……斬りまくって核に剣をぶち当てるしかねえのか!」
「そういうこと! ……ハァァ!」
俺に武器は無い。だから全くこの戦いに貢献できないのだが……俺は、なぜかそれを昔から知っている気がする。
そして、このスライムの弱点も。
「ユキノ! 俺に考えがある、剣を貸せ!」
「嫌よ! 剣を他人に渡せなど、騎士の矜持が……!」
「お前はくっころ系女騎士か! オラァ! 寄越せ!」
「そんな……騎士の矜持が……」
悪いな。これだけじゃ終わんねえんだ。
「取ってこい!」
『ぽいっ』(剣を投げる音)
『ひゅっ』(剣が弧を描いて飛ぶ音)
『ぼちゃん』(剣が海に落ちる音)
「な……何やってるのよぉぉぉぉ!!」
「取ってこい」
「取ってくるわよ! 錆びちゃうもの!」
近くに投げたからか、すぐに戻ってきた。視覚があるのかは知らんが、スライムは少し下がっていて、俺が見ると、体がビクンと跳ねた。……俺、化け物に恐怖されているのだろうか。少し傷つく。
「何やってるのよ!」
「それはこっちの台詞だ。早くスライムを斬れ」
「いや、剣が濡れているのよ」
「だからこそ、だ。お前が信じる俺を信じろ!」
「別にあなたのことを信じていない!」
……さいですか。
「だけど、あなたを助けた私の直観は信じているわ! ハァァァ!」
三度、スライムは両断される。そして三度再生……しなかった。
「……再生しない?」
「ほら、今がチャンスだろ」
「え……ええ。ハァァ!」
どうやら核を捉えたようで、スライムの残骸は弾けて消えた。とても気持ち悪かった。
「……なんで海水に弱いってわかったの?」
「あのスライムは薄くて硬い膜と、その中の水、そしてさらにその水に覆われている核の三つで構成される。そして膜は斬っても水を包みながら再生する。そのため、少し水が漏れる。その水は、砂を濡らす普通の水だった」
「……それが何よ」
「そして恐らく、きれいな水じゃないと体内に取り込めないんだろう。海水は塩含めミネラル……スライム基準では不純物が混じりまくった汚い水だ。当然取り込みたくない。だから再生できなかったんだ」
仮に俺の推測が間違っていても、「青菜に塩」ということわざにがあるようにある程度水分を奪えるとも思っていた。だが、ここまで推測があっているなら、ここは……
「あなた、一体……」
苗字を持たない女騎士、村を滅ぼした魔王、そして核に当たる攻撃――クリティカルでしか倒せない強すぎるスライム。間違いない、ここはRPGの世界、しかも――
俺が三年前に作った黒歴史クソゲーの世界だ。
続き思いつかない。思いついたら書く。