葉隠さんがクラスメートに全裸を見られるお話(端的)

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葉隠がヒロインのオリ主物(仮)

 

 目の前の彼女に、僕は目を逸らすことも忘れて見入ってしまっていた。

 つい先日知り合ったばかりの、快活という言葉が似合う可愛らしい女の子。

 これから始まるヒーロー基礎学の初めての実習が楽しみなのだろう。グローブとブーツに包まれた手足を活発に動かしながら、周りの女子達と談笑している様は見るものに微笑ましさを与えた。

 しかし、それら全てが消し飛ぶほどの光景。

 

 彼女は――葉隠透は、全裸だった。

 

 ◇

 

 

 個性『透視』。それが僕、深見徹の個性。

 透視と聞いて、おおよその人間は何らかの悪用を思いつくのではないだろうか。カンニングと覗き。その二つの疑惑が思春期の頃からついて回るようになったとき、僕は自分の個性を嫌いになりかけたこともある。

 しかし、それでも。それだからこそ、僕は両親から正しい行いをして、胸を張って生きなさいと教わって育てられてきた。

 いくら周囲に誤解されようが、僕はこの個性を悪用したことなど生まれてから一度たりとも無い。それだけは、僕にとって誇らしい事実だったのだ。

 今日、この日までは。

 

「葉隠さん、ちょっと良いかな」

「ん? どしたの深見くん。私に用事?」

 

 戦闘訓練後、放課後に親睦会を兼ねた反省会が開かれた。そこで各々の個性についての情報交換が行われ、僕の個性についても周知のこととなったのだがーー流石は雄英、当然あると思っていた偏見の眼差しが全然無かった。

 いや、厳密には峰田には死ぬほど邪推されまくり、ものすごい剣幕で詰め寄られたのだが。「なんだその素敵個性! ヤオヨロッパイも芦戸のケツもうららかボディも見放題だなんて許せねぇ……! なぁ、実はもうこっそり覗いてんだろ? 誰だってそうする、オイラだってそうする! なぁ、おい。こっそりオイラにだけ教えてみろ、どんなだった⁉」とは彼の弁だ。

 しかし、毅然としてそれを否定したことと、あまりにも歯に絹着せぬ彼の物言いがかえって同情を誘ったのか、僕の個性についてはひとまず周囲に受け入れられたようだ。

 葉隠さんに話しかけたのは、そんな反省会が終わってすぐのことだった。

 

「少し話があって……。この後、時間あるかな?」

「うん、良いよー。えっと……場所移す?」

「出来れば二人だけの方がありがたいかな。もちろん、無理にとは言わないけど」

「おっけおっけ。なんか真面目な話っぽいし、どっかでお茶でもしながら話そっか!」

 

 僕の様子から何かを察したのか、彼女は快諾してくれた。

 女性陣の中でも、とりわけ葉隠さんは僕の個性に対してあまり気に留めていないようだ。受け入れられたとは言っても多少警戒されても仕方がないと思っていたのだが、彼女にはそれがまるでない。

 まるで自分がそういう対象に見られるとは毛ほども思っていないような態度に、何となく違和感を覚える。

 それはさておいて。

 彼女への話とは、先ほどの戦闘訓練のことに他ならない。僕自身、何が起きているのか分からず困惑していたが、時間をおくことである程度の考えはまとまってきた。

 戦闘訓練の際、突然の全裸に動揺し、慌てて周囲を見回したのだが、僕以外誰も彼女が肌を晒していることに疑問を抱いておらず、まるで当たり前であるかのように接していた。おかしいと感じているのは僕だけ。

 故に僕は一つの結論を導き出した。

 

 ーー個性の暴走。

 

 今は通常通り、葉隠さんは制服に身を包んでいるように見えている。しかし、先ほどはどういう訳か彼女の胴体のコスチュームのみを無意識的に透視してしまっていたに違いない。

 こんなことは生まれて初めてのことだった。自分で自分が信じられない。先ほどの峰田の言葉を否定した時、声が震えていなかったのが奇跡だ。

 戦闘訓練の最中も、動揺していてろくに実力を発揮できなかった。何せ幼い頃から慣れ親しんできた個性の突然の反逆だ。盤石だと信じ切っていた足下ががらがらと音を立てて崩れ落ちたようだった。

 ヒーローを志して雄英に入った。戦闘向きの個性ではないが、その分それ以外で補えるように死ぬ気で努力を重ねてきた。それが、あのザマ。

 彼女を責めるつもりは毛頭ない。これは、自分の未熟さと、心のどこかで息を潜めていたに違いない疚しい感情が引き起こしてしまった失態だ。

 

 だからこそ――けじめを、つけなければならない。

 

 

 ◇

 

 鬱屈とした気持ちのまま、学校のすぐ近くにある小洒落たカフェにやってきた。カランと音を立てて店内に入ると、コーヒーを淹れた時の深みのある独特の芳香がふわりと鼻腔をくすぐる。店員に頼み、店内の奥まった席に案内してもらった。

 

「ここ、前から気になってたんだよねー。深見くんは来たことあるの?」

「あ、うん。受験の日と、あと入学してから一度だけ。結構雄英生も来るみたいだよ。コーヒーも美味しいけど、パンケーキが人気なんだって」

「おお、イイねイイねっ! 今日の戦闘訓練メチャ疲れたし、甘いもの食べたくなるよね!」

「ま、瞬殺だったけどね」

「それは禁句ー!」

 

 他愛ない軽口にからからと笑う葉隠さん。実を言うと気まずさのあまりモニター越しでさえ彼女を見ることが出来ず、結果は周りの反応から察したのだが。

 

「まー今日はお互い残念賞ってことで、美味しいもの食べて明日からまた頑張ろ!」

「……そうだね」

「そーそー! あ、店員さーん。注文良いですか?」

 

 店員を呼び止め、彼女は生クリームとフルーツがたっぷり乗ったパンケーキとカプチーノを注文。僕は食事が喉を通る気がしなかったので、ブレンドコーヒーだけにしておいた。

 

「けど、びっくりしちゃった」

「え、何が?」

「だって入学間もないのにクラスメートの男の子にお茶に誘われるなんて思わなかったもん。意外と手が早いんだね、深見くんって」

「いやいやそんなつもりは、っていうかそもそも話がしたかっただけでお茶に誘ったのは葉隠さんだけど⁉」

 

 わざとらしく頬を赤らめてみせる彼女に慌てて否定する。覗き野郎というだけでも致命的なのに、手の早い軟派男という醜聞まで追加されてはたまらない。

 

「冗談冗談。でも、他の人達は誤解してると思うよ?」

「他の人達?」

「ほら、深見くんフツーに教室で誘ってきたから、みんな凄い顔で見てたし」

「あ」

 

 しまった。思いつめていて周囲のことまで気が回らなかった。

 頭を抱える。明日、クラスメートにどんな顔で見られるか分かったものではない。少なくとも峰田や上鳴の詰問は免れないだろう。

 

「まあ私相手じゃ大して話題にもなんないし、気にしなくて良いんじゃない?」

「いやいや、葉隠さんみたいな可愛い子とデートしたなんて話題にならないわけないでしょ」

「え?」

「え?」

 

 謙遜に軽口で返したつもりが、さらに疑問で返されてしまった。

 なんだろう。まるでそんなことを言われたのは初めてとでも言わんばかりの反応に、再び違和感を覚える。葉隠さんくらいの可愛い子なら、褒め言葉なんて聞き飽きているだろうと思うのだが。

 彼女はぽかんとした表情のまま放心した様子だったが、しばらくしてから得心したように頷き、にひひと含み笑いをひとつ。

 

「ほほう、深見くんはお目が高いね! じゃあ私のどんなところが可愛いのか、言ってもらいましょーか!」

「どんなところって言われても……」

 

 いたずらめいた表情で、どーだどーだ?と頬杖をつきながら上目遣いに覗きこんでくる。僕がどんな答えを返してくるのか楽しみにしているようだ。

 何故唐突に異性の可愛い点を挙げよ、なんて恥ずかしいことを強要されているのか分からないが、このままやり込められるのもしゃくだ。ここは、堂々と思いつくまま答えてやろう。

 

「まず、目がぱっちりしてるところかな」

「ふむふむ」

「睫毛も長いし、鼻筋もシュッと整ってて綺麗だし」

「ほ、ほほう?」

「あと髪もサラサラだよね。編み込みもお洒落だなって思うよ」

「待って。え、なんで知ってるの?」

「なんでって、何が?」

 

 彼女が何に驚いているのかが分からず、再びお互いの表情に困惑の色が浮かぶ。さっきから何かが噛み合っていない。

 おずおずと彼女が確認をしてきた。

 

 もしかして見えるの?と。

 

 それからいくつかの問答を重ねて、彼女の個性が透明化であること、僕の個性が透視ではないかもしれないこと、そして何より、僕が彼女の全裸をばっちり目撃してしまったことが明らかになって。

 僕の目の前には、恥ずかしさのあまりテーブルに突っ伏してしまった葉隠さんの姿があった。

 

「……あの、不幸な事故っていうか。僕もまさかクラスメートがいきなり全裸で現れるとは思ってなくて」

「こ、殺せー! いっそ殺せー!」

 

 僕の下手なフォローが追い討ちとなったのか、葉隠さんは両手で顔を覆いながら羞恥にまみれた悲鳴をあげた。

 

「だいたい何⁉ 透視の個性なのになんで最初から透けてる私が見えてんの⁉ 意味分かんないんだけど!」

「いや、それは僕もよく分からないんだ。そもそも僕の個性は発動型だから、個性を使用してない状態で葉隠さんの姿が見えるのも不思議だし……」

「ヒーロー科なら自分の個性ぐらい把握しとけー!」

 

 ごもっともである。とは言え、個性診断を受けたのは中1の一斉診断が最後であり、それから個性に何らかの変異が起きたのかも知れないし、そもそも医者の診断が最初から間違っていた可能性もある。

 

「とりあえず、一度個性について調べてもらうことにするよ。()()()()()()()()()()()、自分の個性を把握しておかないと」

「……それ、どういう意味?」

「今回の件は、そもそも僕の個性について学校側が正しく把握していれば起こらなかったことだと思う。クラス分けは入試の成績だけじゃなくて、生徒間の個性の相性なんかも考慮されるって聞いたことがあるから」

 

 怪訝そうに問いかけてくる彼女に、努めて平静を装いつつ答える。

 少々誤解はあったものの、僕が彼女の裸を見たことに変わりはない。で、あるならば。僕がけじめをつけるべきだという結論もまた、変わりはないはずだ。

 

「学校側に相談してみないと分からないけど、今後二度と同じようなことが起こらないようにするつもりだから、その辺は安心してくれて良いよ」

「二度とって、どうやって? 深見くん、もしかして……」

「B組への移籍……だと、クラス間の合同実習だとか、体育祭なんかでも顔を合わせることになるだろうからね。ヒーロー科のある他の学校に編入することになるかな。今の時期から可能かは分からないけど、最悪一浪してでもなんとかするよ」

「そんなのダメだよ! せっかく頑張って合格したんでしょ⁉ なんでそんなこと簡単に言えるの⁉」

「簡単に言ってる訳じゃない。それでも、このままでいることは僕の矜持に反する。自分の個性の制御もろくに出来ないまま君に迷惑をかけるわけにはいかない」

 

 もし仮に学校側にこの事実が露呈した場合、おそらく道徳的観点から葉隠さんのヒーローコスチュームに変更が加えられるだろう。

 より露出の少ない、彼女にとっては隠密性という長所を潰しかねない形へと。それは、駄目だ。

 僕のせいで、一人のヒーローの卵に枷をはめてしまうことが。同じヒーローを志す者として、何より一人の男として、許せないのだ。

 

「とにかく、今回の件は本当に申し訳ないと思ってる。信じてもらえないかもしれないけど、個性を悪用したことはこれまで一度も無かったんだ。だからこそ、故意でないにせよ僕に責任をとらせて欲しいんだ。葉隠さんが気に病むことは何もない。これは僕の問題だからね」

 

 その言葉に、彼女は俯いて。

 そしてぶち切れた。

 

「うおー!! なーにが僕の問題だオラー! そんな真似されたら気に病むわ! トラウマもんだわ!」

「うわ、ちょ! 落ち着いて葉隠さん!」

 

 テーブルに身を乗りだし、ボカボカと割と容赦なく殴られる。店内の客から何事かと視線が突き刺さってくるが、これも他人からは宙に浮いた制服がわちゃわちゃと動いているようにしか見えないのだろうか。

 

「自分のせいでクラスメートが転校して気にしないわけないでしょ! そんなことも分かんないの⁉」

「いや、でもそれじゃ葉隠さんに迷惑がかかるし……」

「これから三年間一緒にやってく仲間でしょ⁉ ちょっとぐらいの迷惑がなんだよ!」

 

 顔をゆでダコのように真っ赤にしながら、彼女はそう言った。それは怒りのためか、それとも恥ずかしさのためか。ちょっと裸を見られるぐらいどうしたと、そう言ったに等しいのだ。

 あまりにも豪気な発言に、しばし呆然とする。その固まった空気を見計らってかどうか、店員が注文したパンケーキとコーヒーを運んできた。店内ではお静かにお願いします、との一言を添えて。

 それに毒気を抜かれたのか、葉隠さんは縮こまるようにして店員に謝り、それからこほんと咳払いをひとつ。

 

「とにかく! 転校とかそういうのはナシで!」

「……良いの?」

「そりゃ恥ずかしいけど! けど、どっちみちお互いヒーローとしてやってくんだったら、プロになってからマッチアップしないとも限らないし。それなら転校したって一緒でしょ」

「男前すぎる……」

「女は度胸ってばっちゃが言ってた!」

 

 そう胸を張る彼女は、この話は終わりだと言わんばかりに運ばれてきたパンケーキに目を輝かせ、たっぷりのフルーツとクリームを夢中で攻略しにかかっていた。

 流石は雄英、何もかもスケールが大きい。生徒でさえも。

 僕は苦笑と感嘆とともにそうひとりごち、コーヒーが冷めないうちにとカップに口をつけた。

 

「あ、でもあんまりじろじろ見ちゃだめだからね!」

「分かってるってば」

 

 頬を染めながらそう言う葉隠さんに、僕はこの子の羞恥心は一体どうなっているんだろうと首をかしげた。

 

 

 

 個性『看破』。

 それが、明らかになった僕の本当の個性だ。

 探し物を見つけ出す父の個性「探査」と、対象を見透かす母の個性「透視」が組み合わさって生まれた個性。

 その中身は、隠れている物事を見破る個性だ。透視はむしろ、その個性の副産物とでもいうべき能力であるらしい。

 葉隠さんの姿が見えるのも、彼女の個性『透明化』が、彼女の身体を『隠している』と言えるからだ。どうやら、僕の『看破』の個性と彼女の『透明化』の個性は相性がとてつもなく良いらしい。個性因子の相互作用がどうとか医者には説明されたが、詳しいことはよく分からない。

 とにかく重要なのは、僕の意思に関わらず、葉隠さんの姿が見えてしまう、ということにあるのだ。

 つまり。

 

「結局ヒーローコスチューム着てると裸が見えちゃうことに変わりはないらしいです」

「期待はしてなかったけどね!」

 

 医者の診断結果をありのまま葉隠さんに伝えたところ、顔を赤くしてぷんすかと怒っていらした。覚悟は決めたものの乙女心的に一縷の望みに託していたらしい。

 

「もうその辺は諦めたよ。元々見えないとは言え素っ裸だったことに変わりはないしさ。裸が恥ずかしくてヒーローが務まるか!」

「やだ男前……。でも顔赤いよ?」

「この件に関してこれ以上掘り返すなら出るとこ出ます」

「ごめんなさい」

 

 法的に言えば個性で見えないからと言って公然の場で全裸になっても良いのかという疑問はあるものの、この件が公になって困るのは僕であることに違いはない。

 

「それで、一応学校側には検査結果を報告しておかなきゃいけないらしいんだ。ほら、この間の一件もあるから」

「あー。そりゃそうだよね。ヴィランの雄英襲撃なんて一大事件を未然に防いだ功労者だもんね」

「あれは本当にたまたまだったんだけどね」

 

 先日の全裸目撃事件、もとい戦闘訓練の翌日。

 突如として雄英のセキュリティが突破され、マスコミが学内に侵入してきた際、僕は透視によってその様子を目撃していた。そしてふと、意識を破壊された校門へと移し、本当になんとなく「どうやって壊したんだろうなー」と考えた。

 そして、()()()()。ヴィランがマスコミを囮にするために校門を破壊したこと、ヒーローが対応のため出払ってしまいもぬけの殻と化している職員室に、今まさに侵入していること、カリキュラムの入手を目的としていること。そして何より、オールマイトを殺そうとしていること。

 それら全てを唐突に悟った。

 勘や経験則によるものではない。()()()()()()()()()()()()()()という確信だけが僕にもたらされ、同時にそれこそが僕の個性であるという納得が胸中を満たしていた。

 そしてその事を相澤先生に報告した。結果として、USJに意気揚々と押し寄せてきたヴィラン連合は、万全の態勢で待ち構えていたヒーロー達によって、主犯格を除きあっさりと捕まった。

 

「正直見たかったよね」

「ねー。安全のために生徒は避難させられてたけど、雄英オールスターによるウルトラリンチならぬ雄英リンチだよ。絶対面白かったよね!」

「ねえどんな気持ち?ってヴィランに言いたいだけの人生だった」

「うわ……学級委員長深見くんに投票しないでよかった……引くわ……」

「急にはしご外すのやめよう? 傷つくよ?」

 

 どの道自分に入れたくせに、と()()獲得したものの同票だった八百万さんに副委員長の座をとられた彼女を見つめる。

 医者の説明によると、僕の個性は葉隠さんの個性因子との相互作用によって、今まで使われていなかった部分が活性化された結果覚醒したらしい。

 今まで物理的に作用し、隠れたものを透視するだけだったのが、より抽象的な概念に対しても作用するようになったのだ。

 これを使えば、今回のような個性犯罪に対応することもできるだろう。オールマイト曰く『真に賢しいヴィランは闇に潜む』。その闇をくまなく見通し悪事を見破るこの個性は、まごう事なくヒーローにうってつけの個性だ。

 

 ――アイツの個性って、ヴィラン向きだよなー。覗きとかやり放題じゃん――

 

 ――真面目くさってるフリしてるけど、どうせ裏では好き放題してんだろ? 何がヒーロー志望なんだか。お前がヒーローに取り締まられる側だろっての――

 

 幾度となく言われた言葉だ。くだらない凡百の、耳を傾けるに値しない雑音だ。所詮は人の才能を、血の滲むような努力を羨むだけの人間の悔し紛れの捨て台詞。

 けれど。僕は気にしなくても、両親は違った。

 正しい心を持ちなさい。誰に恥じることなく生きなさい。誇り高く生きなさい。そう語る両親の顔は、いつだって毅然としていたけれど、陰で申し訳ないと涙を流す母の姿を僕は知っている。

 だからこそ、僕はヒーローになると決めた。くだらない雑音など吹き飛ばしてやると。あなた達の息子は誰より誇り高いヒーローなのだと証明してやるために。

 そして。そんなヴィラン向きだった個性が、目を覚ました。生まれ変わった。他ならぬ、彼女と出会ったことで。

 

「葉隠さん」

「ん?」

「ありがとう」

「んん?」

 

 きょとんと首を傾げる葉隠さんに、僕は笑いかける。彼女からすれば、ただ裸が見られただけでたまったものではないのだろうけど。

 雄英に入って、彼女と出会えてよかったと、そう思うのだ。

 

「あ、ひょっとしてえっちな話? もー深見くんのむっつりスケベ」

「違う」

 

 ただ、女の子の裸を見てしまったことは両親にも絶対内緒にしておこう。ひっそりと心にそう付け加えた。




以前ふらっと思いついてちょろっと書いてたものを供養。続かない。

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