この世界には矛盾が満ちている。
それでも見守ると決めた。
だからここを立ち去った。
ニンゲンに、いや時の流れに任せようと。
異変が起こるその時までは。
しかし……
「よもやこのようなことが起きていたとは……」
だが、私が動けば騒ぎになる。どうすれば……「まぁたなんか悩んでんのか?祖龍さんよ?」……ニールか。
「俺たちが世界を語るには早すぎるかもだけどな?この世界はなるようになるさ。それに
確かにそうだ。彼女ならやってくれると思う。
「ならいいじゃねぇか。こっちのことは俺たち人間に任せろよ」
そう、本来ならそうするべきだ。なのだが……正規の手段ではない形で産み落とされた彼奴は計り知れない力を秘めている。こちらのニンゲンが敵うのだろうか。力だけで見れば
「強大な個の力なだけだろ?俺たちは個じゃなくて数で戦う生き物だ。本能レベルでの連携じゃなくて、より効率化を求めて個の質をも上げていく」
それが育つのはいつになるというのだ。
「お前が召喚したあの娘なら少なくとも10年くらいじゃねぇか?」
……遅い。
「勝手に召喚しといてそりゃないだろ……」
急を要する問題なのだぞ?焦らなくてどうする。
「だから人間が足掻くんだよ。生き延びるために進化するんだ」
……ならばやはり見守らせてもらう。彼女のこともニンゲンに託した。
「そんで?祖龍さんはいつまでここにいるんだ?」
ニンゲンのカタチにはなれないから、時が来るまではここにいる。彼女がここを訪れるその時までは。
「なるほどねぇ…」
それに、ここにいればそれだけで他の古龍を牽制できる。直接手は下さないがな。
「お前はそのくらいの距離感保ってた方がいいんだよ。うじうじ悩むくらいだったら他に丸投げしとけ」
そのようだな……。
祖龍は咆えた。今はまだ駆け出しのハンターであろう人を思い。
付き人は耳を塞ぎながらも彼女に祈りを捧げた。
その日、各地で謎の落雷を観測した。どの雷も人里に落ちることはなく、森に火をつけることもなかった。落雷地点に観測員が確認したところ、そこには何か禍々しい物体が焼き尽くされたような跡になっていたと報告された。
今日も祖龍はこの世界を見守る。従者と共に。
この矛盾多き世界に幸あれ。そして──―
「待っているぞ、お主の成長を」
──―白き輝きに幸あれ。