黒鉄と綾辻先輩の選抜戦があった次の日。俺達4人は綾辻先輩の案内で綾辻剣道場へ向かっていた。その剣道場を現在占拠しているのは、以前ファミレスで出会ったサングラスの男子生徒とその一派だ。その中でも注意すべき人間は1人だけでその人物の情報を現在ステラがデバイスで調べている。
「貪狼学園3年倉敷蔵人。こいつは碌な男じゃないわね。非公式に他校へ殴り込みをかけるわ街の武術道場を潰して回るわ」
情報で出てきたのは非道の数々。それらの情報を共有した俺達はこの男の狂犬っぷりに眉を顰める。
「改めて聞くと凄い好き放題やってるな」
「ここまでやってるとは思わなかったね」
しかし倉敷蔵人に襲われた道場を確認してみるとある共通点があることに俺と黒鉄は気づく。
「というか今気づいたんだが襲われた道場の名前を見てくれないか?」
「僕もわかったよ。襲われた道場主は全員が主要な剣術大会で好成績残しているね」
「あぁ、だから倉敷蔵人の目的は道場の看板とかではなく道場主が持つ剣の技術、もしくは経験だな」
倉敷蔵人が道場を襲った理由について考察しそれを話し合っていると横からステラが話に割り込んできた。
「ちょっとイッキ!ハチマン!今はそんなことどうだっていいのよ!それよりもクラウドってやつの伐刀者情報を調べたからそっちの方が大事でしょうがっ」
「それもそうだね。それじゃあ僕が昨日調べた情報から話すけどいいかな?」
「かまわん」
「ボクはもう詳しく知ってるからいいよ」
「いいわ。イッキから話しなさい」
全員から許可を得た黒鉄は倉敷蔵人のことについて話し始めた。
「倉敷蔵人。彼は昨年の七星剣武祭のベスト8にして剣士タイプへの圧倒的な強さから
「・・・剣士殺し・・・」
黒鉄から告げられた情報を呟くステラ。それを聞きながら黒鉄は話を続ける。
「そして彼の
接近戦では攻撃の手数で相手を押し切り遠距離戦では伸ばした剣で斬り払ったり突きを放ったりなど自由に間合いを変化させられると剣士からすればかなり戦いづらい。
そして最後に俺が調べたことを黒鉄達に話して情報を共有することになった。
「俺はあいつが使う剣技について調べていたんだが強力な技があったから教えておくわ。それは蛇骨刃という技で刀身を伸ばして遠くにいる敵を攻撃する技だ。そしてこの技は伸ばすだけでなく短剣くらいの長さまで縮めることで攻撃の手数で押すこともできるからそこに注意が必要だ」
ここまでは調べれば出てくる情報だったが次に話したのは倉敷蔵人の攻撃を実際に止めようとした俺が自分で掴んだ情報だ。それを俺はここで話すことにした。
「そして最後に一つだけ言っておかなければならないことがあるんだが、前にファミレスで黒鉄が倉敷蔵人に頭を殴打されたことがあっただろう?その時俺は黒鉄と倉敷蔵人の間に割って入って攻撃を止めようとしたんだが直前で俺の腕を避けて黒鉄を殴っていた。理屈はわからないが恐らくそれが綾辻先輩の父親を倒した要因だ。だから黒鉄は倉敷蔵人と戦う時はそこに注意してほしい。いいな?」
「わかったよ」
「とにかくイッキやハチマンの話だとそのクラウドってやつは全国に名を知られているほど有名な実力者ってことでいいわけね」
「そういうことだ。ヴァーミリオン」
倉敷蔵人について話しながら歩いていると目の前に階段が姿を現した。その階段が続く先を見ると頂上に大きな門があるのが見える。
「ここが昔、ボクの実家だった場所だよ」
そして綾辻先輩の案内で目の前の階段を登っていく。その途中にある門や屋敷にはペンキで色々と落書きがされており道場とは思えないほど酷い状態となっていた。そして門を潜ると以前見かけた不良の生徒達が地面にしゃがんで駄弁っていた。
「君達、倉敷くん達のところへ案内してくれないか」
黒鉄が声をかけたことでこちらを向いた不良達はこちらに顔を向けてガンを飛ばす。
「なんだテメェ!?」
「おい、こいつ前に絢瀬ちゃんとファミレスにいた弱虫野郎じゃねぇか」
すると不良達の一人が黒鉄のことを覚えていたようですぐに仲間に伝えた。
「はぁ?そんなヤツがここに何の用だってんだよ」
「倉敷くんに用があってね。彼に決闘を申し込みに来たんだ」
「「「は?・・・プッハッハッハッハッハッハ」」」
道場破りに来たことを知った不良達が一瞬何言っているんだとばかりに一瞬目を丸くするがすぐに一斉に吹き出し爆笑した。そして不良の一人が黒鉄を馬鹿にしながら自身の霊装を手元に呼び出す。
「お前みたいなチキン野郎が決闘だって?お前決闘の意味わかってんのか?そんなにクラウドと決闘したいならその前に俺がクラウドと戦う資格がオマエにあるのか確かめてやるよ!」
そう言って黒鉄に接近すると顔に向けて短剣型の霊装を振るって来た。すると黒鉄は突然の奇襲にもまるで動揺せず冷静に不良の攻撃を避けると振り切った腕の手首を掴む。
「そうか、なら話が早くて助かるよ」
そして手首を外側に捻ってナイフを手から離させると合気で地面に倒した。
「やったなこの野郎!!」
不良の一人が簡単に無力化されると残った者達は同じように霊装を展開すると一斉に飛び掛ってきたのだった。
そしてその数分後黒鉄の周りには攻撃を仕掛けてきた不良達が何十人と床に倒れている。その光景を作り出した当の黒鉄は一切の発汗もなく呼吸も乱れていなかった。それは襲ってきた者達では黒鉄の準備運動にしかならなかったということを存分に教えてくれていた。
「ぐぅっ・・・全員が・・・一人で全滅かよっ・・・このバケモノめっ・・・」
辛うじて意識のあった一人が呟く。そして黒鉄がその不良に倉敷蔵人の居場所を尋ねる。
「それで倉敷君はどこにいるんだい?」
「道場の・・・中・・・だっ」
「ありがとう。教えてくれて」
不良はそのひと言を最後に意識を失った。そして俺達は黒鉄が倒した不良達の生徒手帳を全て回収すると倉敷蔵人が待つ道場の奥へと歩き出した。
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