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七夕前夜、彼女の誘い
7月6日 20:00頃
プルルルルプルルルル
八幡「うげっ。雪ノ下さんからの電話だよ...。無視一択だな。」トオイメ
You get a mail you get a mail
八幡「今度はメール...。さて、俺は何も見ていないっと。」
ドンドン
ガチャ
小町「おい、ごみいちゃん。」
八幡「どうしたの、小町ちゃん。なんだか怖いわよ。」
小町「電話、メール、陽乃さん。わかるよね?」ニコッ
八幡「はい。次は出ます。」
小町「ん。じゃあお兄ちゃん、明日頑張ってね~!」
ガチャン
八幡「何だったんだ...?」
プルルr
八幡「(来たよ)はい、もしもし。比企谷です。」
陽乃『ひゃっはろ~比企谷君。おねえさんの連絡を無視するとはいい度胸だねぇ。』
八幡「申し訳ございませんでした。正直な話、少し怖くって。」
陽乃『まぁ、こうして出てくれたから今回は許してあげよう』
八幡「そりゃどうも。ところでわざわざ電話をよこすなんてどうしたんですか?」
陽乃『比企谷君。明日って暇?』
八幡「いえ、明日は学校と部活があるので。」
陽乃『うーん。そしたらさ、雪乃ちゃんには私から言うからさ。明日、わたしと放課後デートをしよう!』
八幡「(雪ノ下さんさんが突拍子がないのはいつもだが、なぜ明日なんだ...。)え、普通に嫌です。」
陽乃『え?比企谷君。拒否権なんてないよ?』
八幡「(雪ノ下さんさんが明日にこだわる理由はなんだ...。)マジすか。俺、財布そんなに暖かくないんですけど...。」
陽乃『お金のことは気にしなくていいし、わたしが誘ったんだから貸しってことにも殊にもしないから。お願い!明日の七夕は君と過ごしたいんだよ。』
八幡「(そういえば、雪ノ下さんの誕生日は7月7日。)あー、そういうことか。」ボソッ
陽乃『ん?何がそう言うことなの?』
八幡「あー、いえ。こちらの話です。(あぶねー、声に出てた。)」
陽乃『フーン。でさ、明日は大体19:00くらいに駅に来てほしいんだけど。』
八幡「はぁ。わかりましたよ。どうせ俺に拒否権なんてないんでしょ?」
陽乃『じゃあ、お願いね~。』
八幡「(まったく。)誕生日を祝ってほしいんならそう言ってくれればいいんですけどね。」ボソッ
陽乃『ふぇ?ひ、比企谷君?』
八幡「なんですか、雪ノ下さん。もう切りますからね。」
陽乃『あ、うん。おやすみ...。 』
ツーツーツー
八幡「明日、なんか買ってから行くか。」
§
陽乃side
八幡『(まったく。)誕生日を祝ってほしいんならそう言ってくれればいいんですけどね。』ボソッ
陽乃「ふぇ?ひ、比企谷君?」
八幡『なんですか、雪ノ下さん。もう切りますからね。』
陽乃「あ、うん。おやすみ...。」
ツーツーツー
陽乃「比企谷君、もしかして私が誕生日に一緒にいたいってことわかったってこと...?」
「もー、いっつもはニブチンなくせにこういうとこだけは鋭いんだから~!」カオマッカ
「...でも、楽しみだな~♪」フンフーン
ママノン「陽乃さん、大丈夫かしら...?」
陽乃「明日はどんな服着ていこうかな~。ちょっとくらい攻めてみてもいいかな~。」
かくして、雪ノ下陽乃は、ろくに寝れないまま次の日を迎えるのであった。
§
七夕当日彼女の思い
八幡side
八幡「今日は雪ノ下さんと出かける日か...。一応家に帰って服を着替える時間はあるだろうが...。でも、プレゼントをそのあと買うことを考えるとな...。よし、とりあえずはプレゼント優先だな。」
<数時間後>
キヲツケーレー
アリガトウゴザイマシター
八幡「(放課後か。時間も惜しいしな。)悪い、由比ヶ浜。俺今日部活出れないわ。雪ノ下にも伝えといてくれ。」
結衣「あ、うん。じゃあねー。」
八幡「ん。」
八幡「さて、じゃあ行きますかね。」
<十数分後>
八幡「(さて、駅前のショッピングモールに来たわけだが...。)とりあえず適当に回ってよさげなものを探すか。とりあえず集合時間まで一時間半はあるからな。」
<少年、散策中>
八幡「まずいな、あと30分。そろそろ決めないと...。」
「おっ。あの人に似あいそうだな。ギリ予算内だしこれにしよう。」
「あと25分か。何とか大丈夫だろ。」
§
陽乃side
陽乃「はぁ、私ってば楽しみにしすぎでしょ。まだ30分も前じゃない...。服だって普段は着ないようなちょっとカワイイ系のやつだし...。」
「まぁ、比企谷君が約束をすっぽかすとも思えないから待ってようかな...。」
「今日だけ、素直になってみてもいいよね?」ボソッ
???「雪ノ下さん、すいません。待たせてしまいましたか?」ハァハァ
§
八幡side
八幡「さて、駅前に来てみたが..って、雪ノ下さん、もう来てるし...。走るかな。」
タッタッタッ
八幡「雪ノ下さん、すいません。待たせてしまいましたか?」ハァハァ
陽乃「お~、比企谷君ひゃっはろ~。お姉さんを待たせるなんていい度胸してるじゃない。」ニヤニヤ
八幡「少し野暮用がありまして...。(言えねーよな。あなたへの)プレゼントを考えてましたなんて。」
陽乃「ふぇっ?ひ、比企谷君。それ、ほんと?」
八幡「それってなんのことですか?(てか昨日もそうだったけど)ふぇっ?ってなんだよ。普段どっちかというときれい系の雪ノ下さんがかわいく見えちまうじゃねーかよ。」
陽乃「きれっ!かわっ!」プシュー
八幡「ん?どうしましたか?」
陽乃「比企谷君。全部声に出てる...。」プシュー
八幡「全部声に?...ってあ――――――――――やっちまった――――――――――。ごめんなさい。怒らせてしまいましたよね?」
陽乃「ん“ん”。だ、大丈夫だよ、怒ってないから。」
八幡「そうですか。あ―、とりあえずばれてるみたいなんで先にこれ渡しますね。お誕生日おめでとうございます。」
陽乃「わ―、開けていい?」
八幡「どうぞ。気に入りませんでしたら捨ててください。」
陽乃「わ~すごくおしゃれなブレスレット!ありがとう比企谷君!早速つけてもいいかな?」ソワソワ
八幡「気に入ってくれてよかったです。それはもう雪ノ下さんのなんですから俺が決める権限ないっすよ。」プイッ
陽乃「ねね、どう?似合ってる?」
八幡「そりゃ、陽乃さんが付けてるところを考えながら選んだものなんですから似合ってないわけn...。」カオマッカ
「今の発言なかったことにしてください...。」プシュー
陽乃「う、うん。てか駅のそばでこんなことしてたら邪魔になっちゃうから、少し移動しない?私が比企谷君に見せたいところがあるんだ~。」
八幡「わかりました。行きましょうか。」
§
陽乃side
陽乃「(いやー、うれしいな~。比企谷君からのプレゼント。それに私のことを普段は綺麗で今日はかわいいって。すごくうれしい。もう好きが止まらないよ。雪乃ちゃん。ここまで待っても何もなかったんだから私が手を伸ばしてもいいんだよね?)ささ、比企谷君乗った乗った!」
八幡「驚いた。雪ノ下さんも運転できるんですね。てっきり築地さん?にまかせっきりなのかと。てか助手席強制ですか...。」
陽乃「わたしは取れる資格は取っておきたい人だからね~。あ、拒否権無いからね(でも、免許持ってて正解だったな。初めて助手席に座らせるのは比企谷君って決めてたけど、いざ実践となると緊張しちゃうな。)」
八幡「なんだか少し落ち着かねぇ...。ところで雪ノ下さんが連れていきたい場所ってここから近いんですか?」
陽乃「うん、そんなに離れてないよ。大体車で10分くらい。」
八幡「なるほど。楽しみにしてますね。」
<七分後>
陽乃「ささ、ついたよ~。(はぁ、緊張してあんまりお話できなかったな。)」
八幡「運転ありがとうございます。」
陽乃「ここが君に見せたかった場所!私のお気に入りの場所なんだ。比企谷君風に言うとベストプレイスってやつ。」
八幡「こんな空き地がお気に入りなんですね。」
陽乃「ここはうちの会社の持ってる土地だから私くらいしか出入りしてないところなの。」
八幡「なるほど。」
陽乃「ねね、空を見上げてみて!」
八幡「...。すごい...。自分の語彙力をフル動員してもすごいとしか言えないです。」
陽乃「わたしはね、昔から何か嫌なことや悲しいことがあったらここで空を見上げてるの。でも来年にはここにも家を建設し始めるみたいでさ。その前に君とこの日にこの夜空を見たかったんだ~。あっ、別に家が建つことに反対してるわけじゃないの。会社の土地だしね。だからこそ君にだけは知っててほしかったの。ここで“二人で見た”この夜空のことを。(今夜のことは私の一生の思い出だな。さて、そろそろ私も覚悟を決めようかな)」
八幡「すごくきれいだ...。」
陽乃「ほんとにきれいでしょ~。わたしも毎回驚くもん。(びっくりしたー。少し自意識過剰かもしれないけど、私に言ってるのかって思っちゃった。)」
§
八幡side
八幡「(雪ノ下さんのその顔が)すごくきれいだ...。」
陽乃「ほんとにきれいでしょ~。わたしも毎回驚くもん。」
八幡「っつ!(やべー声に出てたか。でも前半部分が漏れなくてよかった)」
陽乃「比企谷君、今日はありがとね。素敵なプレゼントももらったし最高の思い出になったよ。」
八幡「いえ。こちらこそありがとうございます。(こんなものを貰えたのなら、あのブレスレットを買った甲斐があったってもんだな。)」
陽乃「ね、比企谷君。」
八幡「何ですか?(どうしたんだろうか、急に改まって。)」
陽乃「わたしね、君のこと好きになっちゃったの。だから、付き合ってください!」
§
陽乃side
陽乃「ね、比企谷君。(いよいよか~、告白する側ってこんな感じだったんだな~)」
八幡「何ですか?」
陽乃「わたしね、君のこと好きになっちゃったの。だから、付き合ってください!(神様、今だけは私に味方をしてください!)」
八幡「...。雪ノ下さんのその表情。いつもみたいにからかっているわけじゃなくて本気、なんですよね。」
陽乃「うん。私の嘘偽りのない気持ち。(信じてもらえないよね...)」
八幡「そのー、えっと、あのー...。こんな自分なんかでいいのならよろしくお願いします。」
陽乃「えっ?ほんとに?いいの!(よかった~、すごく緊張した~)」
八幡「は、ひゃい!」
陽乃「ありがとう!最高の誕生日だったよ!(ほっぺにならしちゃってもいいよね?)」チュッ
§
八幡side
陽乃「わたしね、君のこと好きになっちゃったの。だから、付き合ってください!(」
八幡「...。雪ノ下さんのその表情。いつもみたいにからかっているわけじゃなくて本気、なんですよね。(こんなに真剣な表情見たことがないしな。それに仮面が完全に取れてる。本気なんだろうな。)」
陽乃「うん。私の嘘偽りのない気持ち。」
八幡「(正直言って雪ノ下さんは苦手な人間。だけど今日プレゼントを選んだ時にすごく心が躍っていた。あー、俺ってば“陽乃さん”のこと好きなんだな。)そのー、えっと、あのー...。こんな自分なんかでいいのならよろしくお願いします。」
陽乃「えっ?ほんとに?いいの!」
八幡「は、ひゃい!(あー、おもいっきり噛んじゃったよ。恥ずかしい...。)」
陽乃「ありがとう!最高の誕生日だったよ!」チュッ
八幡「(俺、もう死んでもいいや)」プシュー
The end…