日輪の進撃   作:狼ルプス

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進撃の巨人は久しぶりの投稿です。

若干進撃はスランプ気味ですが、いよいよ奪回作戦入ります!


トロスト区奪回へ

無事壁を登って退却できた俺たちだったが、みんなは疲れもあり、士気も表情もあまり良くなかった。無理もない。人が巨人に食われたのを間近で見て、地獄を味わったのなら尚更だ。

 

この状況で冷静にいられる奴は相当イカれてる奴だろう。実際俺も冷静に状況を窺っているイカれた一人だ。いや、おそらく俺は以前から……か。

数年前、ヒストリアの母親を殺された光景を見てもヒストリアを助けるために飛び出したのがいい例だ

 

 

そして今、治療をそのクリスタから受けている。

 

「はい、これで終わり」

 

俺を建物の前の階段に座らせた後、クリスタは俺の手に包帯が結んだ。退却した際、気付かないうちに軽い切り傷を負っていたようだ。

 

「ありがとう…」

 

「リン、隠そうとしても私はちゃんと見てるんだからね?軽い切り傷だからって甘く見るのはダメ」

 

クリスタは救護班の手伝いをしていたため、器用に手当てをこなしていた。

 

同期の訓練兵がクリスタに手当てされているのはよく見ていたが、こうして俺自身がされるのは初めてだ。

 

 

「私、他の人の手当てをして来るね。今はゆっくり休んでて…」

 

「了解、クリスタも無理はするなよ」

 

クリスタはその場から離れていくと、近くにいたユミルが近寄って来た

 

「私のクリスタから手当てを受けるなんいい身分じゃねぇか、リンさんよぉ…?」

 

「俺も唾を掛ければ充分だと言ったんだが……悪い、あまり思い出したくないから何も聞かないでくれ」

 

ユミルが俺の肩を強めに叩いた。クリスタに怪我をしていることを言われて俺は唾をかけるだけで充分と言った途端、クリスタはどすの利いた声で俺の名を読んで笑顔で俺を見つめていた。しかも笑顔の裏に激しい何かを感じた俺は何も言えず、クリスタのなすがままに手当てを受けた

 

「おい、何があった?お前がそこまで顔色を悪くするなんざ異常だろ?」

 

「……ユミル、お前は俺に何か用があるんじゃないのか?いつもクリスタのそばにいるお前がクリスタがいなくなった途端、俺に話しかけるなんて普通はない筈だろ?」

 

「話を逸らしてるとこは腹が立つが、まぁいい。私が聞きたいのは一つ、お前のあの手品は何だ?なんで剣先から火や、水、雷が見えたんだ?」

 

確かに、あれだけ異常な力を目の当たりにされたら気になるのは当たり前だろう。

 

「説明すると長くなる。簡単に言えば呼吸法によって錯覚するほどの幻視が見えるだけだ」

 

「呼吸だぁ?ふざけるなよ、そんな事で納得すると思ってんのかテメェ?」

 

「じゃあ一つ聞く。これに息を吹いて破裂させる事は出来るか?」

 

リンはユミルに空の水袋を出し見せつける。彼女はそれを見て混乱していた

 

「はぁ?こんなもん破裂出来るわけねぇだろ。馬鹿かお前は?」

 

「………」

リンは無言で息を吸い、水袋に息を吹く…

 

「そんな事やって破裂なんざするわけ……」パァン!!

 

ユミルは最後まで言わなかった。いや、言えなかった。

 

「マジかよ……」

 

「理解したか?」

 

「お前、本当に人間か?」

 

「人間だよ、まぁ、正確には、人間の常識を超えた人間……だけどな」

 

 

「自覚はあんのかよ、余計タチ悪いね」

 

すると、多くの兵士たちが待機する街中に、1発の砲撃音が鳴り響いた。その場にいた全員が音のした方向を向き、思い思いのことを口にし始める。

 

「砲声!?」

 

「なぜ1発だけ!?」

 

「壁の中だ!!」

 

「水門が突破されたのか!?」

 

「1番頑丈な箇所だ。ありえない…榴弾を落としただけだろう」

 

「にしても…あの煙の量はなんだ!?」

 

「まさか!?巨人の蒸気!?」

 

 

「おい、リン!何処に…」

 

リンは呟くと同時に、立体起動を使わず屋根の上に登っていく。その光景を見たユミルは空いた口が塞がらなかった。

 

「そう言や、あいつ、戦闘の際もあんなことしてたな……」

 

 

 

リンが屋根を走っていると、前にライナー,ベルトルト,アニ,ジャンの姿が見えた。

 

 

煙の下に向かうと、屋根の上から見た光景は、何とも異様な光景であった。

 

そこには巨人らしきものがいたのだ、もう蒸発し始めていたが。

 

 

「なんだ、あれは……」

 

「…………」

 

「ベルトルト、もしかして……あれがさっき言っていた守秘義務ってやつか?」

 

「あ、ああ。けどすまない、内容は話せない」

 

「ジャンもさっき言ってたな、どの道全人類に知れ渡ると、確かにこれは…」

 

 

「そう言う事だ人外野郎……」

 

動揺を隠せないの俺をよそに、ライナーとアニは黙って様子を見ていた。撤退した際、何かあったのはわかったが、あの巨人に関係があるのだとすぐに察した。透き通る世界で見ると、三人の姿が見えた。人体の形からして、アルミンとミカサ、そして死んだと告げられたはずのエレンだった。

 

 

「(エレン?あいつ、確か死んだはずじゃ……それに相当疲労している…あの巨人が関係しているのか?)」

 

そして、煙の中からアルミンが丸腰でやってきて、弁明を始めた。駐屯兵の制止の声が聞こえる。

 

 

「貴様!そこで止まれ!!」

 

「彼は人類の敵ではありません!私達には知り得た情報を全て開示する意思があります!!」

 

 

アルミンが説得しようと試みるも、駐屯兵は耳を貸さなかった。人体や内臓や脳、血液の流れを見ると考えることを放棄している様子だ。

誰も状況がわからないが故に、恐怖だけが伝染している。

 

 アルミンは何かを決意したように、敬礼をし、叫んだ。

 

 

 

「私はとうに!!人類復興の為なら心臓を捧げると誓った兵士!!その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!彼の持つ『巨人の力』と残存する兵力が組み合わされば!この街の奪還も不可能ではありません!!人類の栄光を願い!これから死に行く、せめてもの間に!!彼の戦術的価値を説きます!!」

 

 

「アルミン……」

 

 

アルミンの見事な敬礼に、駐屯兵だけでなく、リンも心が震える。今まで一緒に過ごした中で、アルミンの姿は正に兵士の姿だった

 

他の駐屯兵が、駐屯兵団隊長に話しかけると、隊長は構うことなく、右手を振り上げた。リンはまずいと思い、深く呼吸を行おうとしたが……

 

 

「よさんか」 

 

その振り上げられた右手は、降ろされることはなかった。

 

 

「相変わらず図体の割りには子鹿のように繊細な男じゃ。お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか」

 

 

 

 

ドット・ピクシス──駐屯兵団司令官であり、現人類領土南部最高責任者である。果断な指揮能力を持っているが、飄々とした言動から生来の変人とも知られていた。

 

説得が成功したことを知るや否や、アルミンは力が抜け、地面に座りこみ、呼吸を整える。

 

 

「…なんとかなったみたいだな」

 

「そうみてぇだな…俺達は戻るぞ」

 

ジャンの言葉が合図となり、リン達もさっきまでいたところへ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇トロスト区奪還作戦

 

 

トロスト区連絡扉付近に集められた兵士達は、この非現実的な作戦を耳にしていた。つい先ほど、真っ先に第104期訓練兵団所属であるダズが、異議を唱えた。巨人に食われたくない、食われるくらいならここで処刑された方がましだ。その異議は、ここにいる兵士ほぼ全員の意見でもあった。

 

逃げられるものならば逃げたいが、こんな狭い壁の中で、どこに逃げようというのだ。しかし、そんな事を考える余裕もなく、また恐怖だけが伝染していく。所々から反対の声が聞こえてきた。上官が痺れを切らし、ダズをはじめとした兵士を反逆罪とし処刑しようとブレードを引き抜こうとする。

 

 

「ちゅうもぉぉぉおおおおおおく!!」

 

 

しかし、それは壁の上にいたドット・ピクシスによって遮られる。それにより兵士達は壁上に顔を向ける。

その登場に場が騒然とする中、ピクシスは声を張り上げる。

 

 

「これよりトロスト区奪還作戦について説明する!!この作戦の成功目標は破壊された扉の穴を、塞ぐ!! ことである!!」

 

 

どうやって?と同じ疑問を持った者は少なくなかった。というより、大半だ。しかしそんな兵士たちに構わずピクシス司令は言葉を続けた。

 

「穴を塞ぐ手段じゃが、まず彼から紹介しよう!!訓練兵所属エレン・イェーガーじゃ!!」

 

 

 

 

 

「エレン⁉︎」

 

「あの死に急ぎ野郎、生きてやがったのか……」

 

「(無理もない……)」

 

クリスタとユミルはエレンが生きている事に驚いていた。見知った顔がこの場で最高位の権限を保持する人物の横にいることに同期の104期訓練兵は驚きを隠せないらしく、至る所で彼の名を呼ぶ声が聞こえた。

 

「彼は我々が極秘に研究してきた巨人化生体実験の成功者である!!彼は巨人の体を精製し、意のままに操ることが可能である!!巨人と化した彼は前門付近にある例の大岩を持ち上げ、破壊された扉まで運び穴を塞ぐ!!諸君らの任務は彼が岩を運ぶまでの間、彼を他の巨人から守ることである!」

 

ピクシス司令の突飛すぎた作戦に全兵がざわめき混乱する中、真っ先に大声を上げたのはダズだった。

 

「嘘だ!!そんな訳の分からない理由で命を預けてたまるか!!俺達を何だと思ってるんだ!?俺達は……使い捨ての刃じゃないぞ!!」

 

巨人への膨大な恐怖心によって司令の言葉を一切信用出来なかったダズは、本能のままにそう言い放って立ち去ろうと壁に背を向けた。

 

「オイ!!待て!!死罪だぞ!?」

 

「人類最後の時を家族と過ごします!!」

 

引き止める上官に対しても見事に言い捨ててみせた。それが皮切りとなり離脱者が至る所で現れ始め、隊列が崩れていく。

 

「今日ここで死ねってよ!!俺は降りるぞ!!」

 

「俺も!!」

 

「わ…私も…」

 

 

 

 

「まっ、誰だってこうなるわな……」

 

「ユミル、声が大きいよ…」

 

見かねた上官の一人がついに刃を抜いて吠えた。

 

「覚悟はいいな反逆者共!!今!!この場で叩き斬る!!」

 

 

「(誰だって死ぬのは怖い、俺だって死ぬのも怖い)」

 

 

厳しい形相で迫る上官に対抗しようと離反者までもが刃を抜こうとしたその時、空気が震えた。

 

「ワシが命ずる!今この場から去る者の罪を免除する!」

 

「なっ…!?」

 

 

ピクシスの言葉に、駐屯兵団長キッツ・ヴェールマンが目を見開く。

 

 

 

「一度巨人の恐怖に屈した者は二度と巨人に立ち向かえん!巨人の恐ろしさを知った者はここから去るがいい!そして、その巨人の恐ろしさを自分の親や兄弟愛する者にも味わわせたい者も!ここから去るがいい!」

 

 

 

その言葉に、逃げようとした兵たちは反転する。

 

 

 

「(……俺が嫌いなのは、何もしないで死ぬ事、奪われるのは絶対に嫌だ。抵抗してやる。どんな相手だろうと)」

 

 

 

 

「リン……」

 

するとクリスタは俺の制服の袖を掴んできた。その表情から不安が伝わった。

 

俺は何も言わずにクリスタの手を握ることしかできなかった。大丈夫と言う言葉は今は無意味だからだ

 

「(俺は死ぬわけにはいかない。クリスタ、いや、ヒストリアも死なせはしない。約束したんだ。絶対に一人ぼっちにはさせない)」

 

 

文字の通り命を捧げる、トロスト区奪還作戦が幕を開けた。

リヴァイに全集中の呼吸(常中を含め)を習得させるかさせないか

  • 習得させる
  • 必要ない
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