HUNTER×HUNTERの世界に憑依転生したオリ主が、紆余曲折を経てゲート世界に転移したあとのお話。

※カイト生存。人間側でキメラアント討伐戦参加後、放浪中に転移した想定。
 転移時の時系列は原作開始の1年程前です。ピトーが森の中で倒れていた所、レレイとカトーに拾われた。
 本編は自衛隊がコダ村に来た所から始まります。

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ハーメルン初投稿。着地地点が見つからずそのままお蔵入りにしていた作品です。1話分しかありませんが、折角なので投稿してみました。楽しんで頂けたなら幸いです。


ピトー憑依主がゲート世界に転移する話

 

 

 

 楽しそうな小鳥のさえずりで、ボクことネフェルピトーは目を覚ました。いつものように体から薄手の掛け布団を引き剥がし、ベットの側に置いてあった衣服に着替える。寝るときは基本的に全裸なので、手早く着替えを済ませる。

 

 軽く身支度を整えたあとは、家の外にある井戸まで顔を洗いに行く。この辺りの村人は働き者が多いようで、既に起きている者も多い。途中声を掛けられたので、適当に返事をしておく。竃に水を汲み上げて、家に運ぶことも忘れずに行う。

 

 井戸から戻ったら朝食の準備に取りかかる。この家に一緒に住んでいるカトーとレレイは魔導師であるため、夜遅くまで魔法の研究をしていることが多い。なので、家事やその他の雑務はボクが率先して担当している。

 

 

 

 ボクがこのコダ村という地に辿り着いたのは、丁度一年くらい前のことだっただろうか。ネフェルピトーとして生まれ変わり、人間側としてキメラアントと戦い、一区切りがついたあとは大陸中を旅していた。

 

 旅の途中、たまたま通りすがった森の中で、どこか甘い匂いを嗅いだことまでは覚えている。その記憶を最後に気を失っていて、いつの間にか森の中で倒れていたボクをレレイが見つけてくれたようだった。

 

 言葉の通じないボク相手に、レレイとその師であるカトーはとても親切にしてくれた。衣食住はもちろん、空いた時間を見つけては少しずつ言葉を教えてくれたのだ。

 

 キメラアントのポテンシャルの高い体のおかげで、一月も経つ頃には簡単な会話が出来るようになっていたが、それよりも彼らの献身さが一番役に立っていたことは間違いないだろう。

 

 意思の疎通が出来るようになってからは、彼らに恩を返せるように様々な家事や雑事を手伝った。料理を作ったり掃除をしたり重たい荷物を運んだり、とにかく色々だ。カトーは賢者と呼ばれる程の偉大な人物らしく、村人からもよく頼みごとをされる。忙しい彼に代わって頼みごとをこなすのもボクの役目だ。そんな風に過ごしながら、ボクはコダ村での生活を送っていた。

 

 

 

 朝食の準備が出来たので、カトーとレレイを起こしに行く。昨夜は研究が捗ったのか、二人ともいつもより起きる時間が遅いような気がする。レレイの部屋の前に着いたので、ノックをして起きているか確認をする。

 

「おはようレレイ。朝食の準備が出来たからそろそろ起きるニャ」

 

 そう声を描けると、少し眠そうな声で返事が聞こえて来る。

 

「わかった……。着替えたらすぐに行く」

 

「はーい。カトーの所に行ってくるニャ」

 

 レレイの様子が確認出来たので、お次はカトーの番だ。部屋の前まで行くと、こちらは中から物音が聞こえてきた。もう既に起きているようだ。

 

「おはようカトー。朝食の準備が出来ましたニャ」

 

「おはようさん。いつもいつも助かるわい」

 

「助かってるのはこっちの方だよ。家事くらい大した手間じゃないニャ。準備が出来たら来てね」

 

「わかっておる」

 

 それだけ伝えると、一足先に台所に戻る。

 

 

 

 カトーとレレイが揃ったので、一緒に食事を頂く。本日の朝食は小麦でできたパンと干し肉の煮込み料理である。農村での食事と言えばどこも似たようなもので、味を変えながらではあるが、ほとんど毎日スープのようなものを食べている。コダ村の場合は近くに豊富な水源がある為、時折川魚などを食べることもあるが、基本的にはこれが多い。

 

 いつものように三人で朝食を食べながら、研究の様子について尋ねてみた。

 

「そういえば昨日は遅くまで起きてたみたいだけど、何か進捗でもあった?」

 

「うむ。魔導式の構築に新しい理論を試しておってじゃな。うまく行けば、従来の物よりもほんの少し展開速度が向上しそうなんじゃ」

 

「それはすごい。魔導師同士の戦いでも、普通は少しでも早い方が有利に決まってるもんね」

 

「それもこれも、お主がわしらの魔法を軽々と避けるからじゃろうが」

 

「そりゃあ、訓練なんだから避けるに決まってるよ」

 

 カトーこと、カトー・エル・アルテスタンという賢者はリンドン派攻撃魔法の大家でもある。いつの頃だったか、一人で念の修行をこなしていたところを見られてから、度々魔法の練習相手として誘われることになった。十分すぎる回避速度と魔法が直撃しても特に問題のない頑丈さがお眼鏡にかなってしまったようで、体のいい的代わりとして利用されている。たまに服がボロボロになることを除けば、特に問題はないと言えるのだが。

 

「それにしても、ピトーはピトーで速すぎると思う。本気で当てに行くのならもっと別の対策が必要」

 

「レレイならそのうち、とんでもない方法を思い付きそうで怖いんだけど……。なんだかすごく心配になってきたニャ」

 

「大丈夫。魔法の発展に犠牲は付き物」

 

「犠牲が前提なの!?」

 

 そんなこんなで、朝から賑やかな会話をしながら食事を終え、今日の予定を伝え合うとそれぞれ自分の仕事場に戻っていった。

 

 

 

 食事が終わったら片付けの時間だ。それから毎日の洗濯と掃除もこなしていく。今日はカトーからのおつかいも無いようなので、軽く念の修行をしておくことにした。

 

 そんな風に午前中を過ごしていると、何やら村の中心部が少し騒がしいことに気づいた。普段より人の気配が多いような気もする。商人でも来たのだろうか。

 様子を見に行くと、村長の家の近くに沢山人が集まっているのがわかった。その中には村人だけではなく、ここでは見慣れない緑色の迷彩柄の服を来た者も沢山いる。彼らは銃を持っていて、顔をよく見るとジャポン人に似ているようにも見える。まさかボクと同じように、なにかの拍子でジャポンの軍隊がこの地に辿り着いたとか?

 

 その中の一人が村長と会話をしているので、話が聴こえるように近くに寄ってみる。ボクを見た一部の緑の人が、驚いた顔をしていた。もしかして猫耳が珍しかったのだろうか。

 

 緑の人は手帳を片手にたどたどしい言葉遣いをしながら、近くのエルフの里に炎龍が出たと話しているようだった。

 

 それを聞いた村長は、一刻も早く村を離れなければならないと判断したようだ。村人達に荷物をまとめて避難をするように呼び掛けると、村中が一斉に騒がしくなる。

 

 色々と彼らに聞きたいことはあるけれど、ボクも早く戻ってレレイ達に知らせなければならない。研究の為の書物など、運び出したいものはいくらでもあるだろう。

 

 

 

 自宅に戻ると、村の喧騒が気になっていたのか居間にレレイ達が集まっていた。近くのエルフの里に炎龍が現れたので、村総出でここから離れることになった。そう伝えるとカトーは、こうしちゃおれんとばかりに慌てて研究室まで飛び出して行く。慌てすぎて転けなければいいけど。一拍遅れて、ボクもレレイと同時に自室に戻って荷造りを行う。

 

 ボクはこの地に来たばかりで荷物が少ないということもあって、あっさりと荷造りが終わってしまった。ここに来るときに持っていた荷物は、基本的に背負っていた鞄に入れっぱなしだし、特に欲しいものもなかったので、替えの服かお気に入りの食器くらいしか荷物がない。

 

 支度が済んだので、レレイの部屋をノックし何か手伝うことはないかと尋ねる。自分よりも師匠の方が大荷物だろうから、そっちを手伝って欲しいと言われ、了承する。

 

 カトーの下へ向かうと案の定、研究用の書物やら魔法に使う触媒の選別でひぃひぃと声をあげていた。目の前の机には山のように物が積まれていて、ここからさらに馬車に運び込むとなると、さぞ大変だろう。声をかけて手伝いを申し出ると、カトーはまるで勝利を確信したかのように笑みを浮かべ、ボクに荷運びを指示し、自身は選別作業に集中し始めた。恐らく、最初からこの荷物はボクに運ばせるつもりだったのだろう。力仕事がボクの役割とはいえ、こうあからさまな対応をされると少し面倒臭いな、などと考えてしまう。

 

 まぁ、老人に力仕事は堪えるのだろう。それにカトーだけじゃ運びきれないくらいの量なので、結局は手伝うはめになっていたと思うから、今さらか。

 

 そんなこんなで三人で荷造りをし、必要な荷物を全て運び終えた頃には、馬車の荷台は既にいっぱいいっぱいになっていた。御者台に座るスペースが無いので、荷台に隙間を開けて座ることも考えていたが、結局は普通に歩くことにした。それに皆が皆、馬車を持っている訳でもないだろう。

 

 途中、荷台が重すぎて馬車が動かないというトラブルがあったものの、レレイが魔法を使うことでなんとか問題なく出発することが出来た。

 

 

 

 荷馬車が列になって、村の出入口まで長々と続いている。他の村人達もかなりの大荷物なのか、ゆっくりとしたペースで前に進んでいく。自分以外にも歩いている村人が何人かいるようだ。そんなことをぼんやりと考えていると、隣にいたレレイから声をかけられた。

 

「そういえば、朝見たときと服が変わっている。一体なぜ?」

 

「あー、念のために動きやすい格好にしておこうと思ってね。それにこれ、ここに来る前にきてた服だから気合いが入る気がしてさ」

 

そういって自分の衣服を指差す。

 

「もしかしたら、炎龍と戦うことになるかもしれないでしょ?」

 

「おぬし、炎龍と戦うなんて正気か!?」

 

「いやぁー、もしもの話だよ。もしもの話」

 

 カトーが頭のおかしな人でも見るような目をしているが、生憎ボクはキメラアントだ。言葉通り、普通の人じゃない。それにいくら炎龍が伝説にうたわれる程強大だろうと、王や護衛軍には遠く及ばないだろう……多分。

 

「勝算はあるの?」

 

「負けないだけなら多分大丈夫だと思う。空に逃げられると、どうしても決定打に欠けるのが不安な感じかなぁ。本気で戦って仕留められないと、あとが怖い」

 

 炎龍と戦うこと自体は別に怖くはない。念能力使って仕留めきれなかった場合、炎龍が念を覚える可能性が怖いのだ。

 

「確実に倒せそうなら、翼を狙って飛べなくしてからゆっくり削っていくつもり。予想以上に強かった場合は、適当に時間稼ぎで足止めしてから逃げるかな」

 

「おぬしが大丈夫と言うなら信じてやらんこともないが……。あまり無茶するんじゃないぞ?」

 

「うん、わかってるよ。心配ありがとうカトー。それにレレイも」

 

 なんとなく気恥ずかしい気持ちになったので、明後日の方向を向きながらお礼を言う。視線の先を見ていると、丁度いいものを発見する。

 

「あっちの方に大荷物の人がいるから、少し手伝ってくるね!それじゃあ!」

 

 それだけ言って、レレイ達の乗っている荷馬車から急いで離れることにした。そのままふりかえらなかったので、彼らがどんな顔をしていたかはわからなかった。

 

 

 

 大荷物の村人の手伝い終えそろそろ戻ろうかと考えていると、突然大きな音が辺りに響き渡った。聞いたことのあるあの音は、間違いなく銃声だ。何かトラブルでも発生したのだろうか。村人に声をかけて、音の発生地点へと急行する。そこにあったのは、地面に座り込むレレイの姿と、倒れ伏した馬の姿だった。

 

「レレイ大丈夫!?一体何があったの!?」

 

「大丈夫。何も心配いらない。それよりも、そこに倒れている人の方が心配」

 

 そう言ってようやく、レレイのそばに倒れている村人に存在に気がついた。近くには何人か看病をしていると思われる緑の人もいる。

 

「渋滞が起きていたので様子を見に来たら、人が倒れていた。馬が興奮して危ないところを、そこにいた緑の人がなんとかしてくれた」

 

 レレイが杖を使って、緑の服を着た男の方向を指す。それを見たボクは、その人に向かってお礼を言った。

 

「レレイのことを助けてくれてありがとう。本当に怪我がなくて良かったよ」

 

 緑の人は片言の現地語で、気にするなと言ってくれた。そばにいた緑の人が何人かかけよって来ると、そのままジャポン語で何かを話し始めた。

 

「流石ですね」

 

「咄嗟に体が動いただけさ」

 

 その会話を聞いたボクは、意を決して緑の人にジャポン語で話しかけてみた。

 

「あの、もしかしてジャポンから来た軍人さんか何かなのかな?」

 

 ボクの言葉を聞いて一瞬顔を驚かせたあと、近くにいた仲間と顔を見合わせる。すぐさまこちらに向き直ると、現地語ではなくジャポン語で返事がきた。

 

「私たちは異世界から来た、日本の陸上自衛隊というものです。それよりもなぜ日本語を話せるので?」

 

 日本語?ジャポン語じゃなくて?それに自衛隊だって?まさか、そんなことがありえるのだろうか。それに一体なんて言えばいいのだろう。ボクは元々日本人で、気づいたらハンターハンターという漫画の世界に憑依転生して、そこからさらにここの世界に飛ばされたなんて説明するのだろうか。自分で言ってて、頭がおかしい人としか思えない。

 

 

「えーっと、ボクが話してるのはジャポンって国の言葉のつもりなんだ。この土地に来る前に居た場所の言葉」

 

「この世界にも日本語が存在するのか!?」

 

「いや。話せば長くなるんだけど、多分ボクも別の世界から飛ばされてきたっぽいんだよねぇ。言葉が通じるのはたまたまだよ。たまたま」

 

「いわゆる、平行世界ってやつじゃないかな。そんな偶然もあるよきっと」

 

 全力で誤魔化したが、大筋としては間違ってないと思う。自衛隊の人はどことなく訝しそうな顔をしているが、実際に異世界なんてものがある以上は、納得してもらうしかないだろう。

 

「折角だから、通訳としてお手伝いしようか?こっちの言葉は問題無くわかるから。どうかニャ?」

 

 そう申し出ると、再び他の仲間達と顔を見合せた後、彼らは力強くうなずいたのであった。


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