誕生日を迎えた比企谷八幡は、女の子に生まれ変わっていた。
そして、周囲の性別もまた、変わっていたのだ。

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やはり俺がモテモテなのはまちがっている。


やはり俺が女の子になるのはまちがっている。

「うっそだろ…」

 

 比企谷八幡が誕生日を迎えた8月8日(その日)、まるで生まれ直すように比企谷八幡は女の子になっていた。

 

 

「なあ、俺って女だったかっ!?」

 

 比企谷八幡は己の母親に対して、随分と間抜けな質問をしてしまったが、彼の混乱を理解すれば仕方ない事だと言えよう。

 

「当たり前。あなたは昔から女の子だし」

 

 しかし、その間抜けな質問は、混乱の戯言と笑われずに、そのまま肯定された。

 

「マジかよ…」

 

 比企谷八幡は鏡を見た。

 そこには、彼をそのまま女の子にしたような人間がいた。

 

「姉貴は身だしなみ気にする容姿じゃないでしょ」

 

 取り敢えずそう言った弟の小町は殴っておいた。

 学校へ行くと、雪乃も結衣も葉山も皆性別が変わっていた。

 

 凄いイケメンとなっていた雪乃は、八幡の方を見向きもしなかった。

 過去に遡って性別が違っている為か、彼はいじめとは無縁だった。

 女子と違って男子は無能で虐められる事はあっても、嫉妬で虐められる事は少ない。

 雪ノ下雪乃(♂)は、イケメンツートップの孤高な方として人気者ですらあった。

 

「あっ、八幡ちゃんやっはろー」

 

 イケメンツートップの人懐っこい方こと、由比ヶ浜結衣(♂)は、彼特有の挨拶で朗らかに挨拶してきた。

 

 他の女子から、なんであんなボッチ女にッ!!と一瞬嫉妬の目線が八幡に突き刺さったが、どうせあんなボッチ女では恋のライバルになる事もないだろうと、すぐにその視線も収まった。

 

 見目が良くてもボッチだからパッとしないのではなく、パッとしない容姿だからボッチになるのだ。

 それが周囲も分かっているから、相手を選べる側の結衣が敢えて八幡を選ぶとは誰も思ってはいなかった。

 

 誰も彼もが性転換。

 こんな状況であったが、唯一性転換していない者がいた。

 材木座義輝だ。

 義輝は、何故か男のままだった。

 彼はやはりこの世界でもモテない。

 

 キテレツな性格だからモテないのではなく、モテないからキテレツな性格に歪んだ。

 この世界でもそうだった。

 

 彼は本当は葉山隼人(♀)みたいな美少女と付き合いたいが、手が届かない事を理解できるだけの知能はある。

 葉山隼人みたいな美少女は、雪ノ下雪乃みたいな美少年がお似合いだ。

 

 だから義輝は自分でも手が届きそうな、自分のランクに近い女子を狙った。

 

「おい八幡」

 

 女子を下の名前で呼ぶ。

 それも材木座義輝がだ。

 

 周りの視線は奇異と興味をもって彼らに注がれた。

 

「なんだよ材木…座?」

 

 八幡の頭を材木座は撫でた。

 彼のよく読むネット小説だと、これで八幡が惚れるはずだった。

 流石に隼人相手にはカーストが違うので触ることも許されない。

 

 しかし、この一件により、(面白そうだから底辺同士をくっつけて楽しもうとする)クラスメイトに祝福されて、無理矢理付き合っている事にされて、彼らは後に結婚する事になる。




やはり俺がモテモテなのはまちがっているからそんな展開にはしなかったぜ。
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