ダークルギエルを追い、アバドンは地球を再度訪問した。
その時、地球は宣戦布告をされる。果たしてアバドンは、この星を守る事はできるのか……。
劇場版 ウルトラマンアバドン
「グゥオオオオオオオ!!」
太く黒い、地の底から響く声であった。
しかし、その声は悲鳴とも取れていた。
「待てやこのカス」
数十個の声が同時に襲っていたからだ。
「アイツ、悲鳴を上げてもなお、まだ倒れないのか!?」
ジークはそう叫んだ。
「どっちかっつーと、俺たちに怯えてるようにも見えるがな! まぁこんなペチペチパンチの貧弱ヤロー、俺たちの敵じゃあないぜ!」
アバドンはそう叫び、その黒い巨人を捕縛した。
「お見事だアバドン。コイツが何故襲ってきたのか聞けるかもね」
ジークは冷静にそう言った。
「ぐうぉ……こうなれば、このダークスパークの力で!」
その黒い巨人……ダークルギエルは、手に持ったダークスパークの切っ先を向けた。
「貴様らもスパークドールズにしてやるわぁっ!!」
「ダークスパーク……お前はギンガがたおしたはず……!」
ジークは思わずその場に困惑してしまい、動きを止めてしまった。
「はぁー……(クソデカため息) あ ほ く さ」
一方アバドンはそう呟くと、ルギエルの手を蹴り上げた。
「我のダークスパークがっ」
「辞めたら? ラスボス」
そう言ってソバットをぶちかますアバドン。
その直後、無数の着地音がした。
「おっと、取り乱しちゃった……」
ジークは一瞬にしていつもの冷静な自分を取り戻した。
「コイツは本気で倒さないとまずいな……」
着地したのはアバドンとジークの分身体である。
ぞろぞろと一糸乱れぬ行進であった。
「さぁ、また倒してあげるよ」
「やっ、やめろォ! 来るな、来るなぁああああ!!」
「……だってよアバドン。もちろん……?」
「答えは『否』ッ。何がなんでも『否』ッ! 否ッ、否ッ、否ァッ!!」
アバドンの叫びと共に、分身たちは構えた。
「同感だよ。僕もさっさと終わらせて帰りたいから。終わらせようか」
アバドンと同様に、ジークの分身達もいつでも蹴れるように構えた。
「やめろぉおおお!!」
「黙ってろよイキ杉田! 終身名誉ホモガキの癖にイキってんじゃあねぇ!」
アバドンの各種フォームがダークルギエルを殴りつけた。
その中には見慣れぬ姿もある。
「? その姿はなんだ……?」
「……この一年間、伊達に渡り歩いてねえよ」
そう言って、アバドンは分身体と共に駆けた。
「なるほどね……ようは君らしくない運動不足かい?」
そう言いながら援護するようにお得意のキックで殴りだした。
「いんや、逆さ。コイツじゃ生温すぎんだよ」
そう言って、一つの分身体が躍り出た。
右腕からは氷の刃が覗かれている。
「なるほどね。それならすぐに終わるかもね」
ジークは話しながら勢いよく顔面を蹴り飛ばした。
吹き飛ぶダークルギエルを、氷の刃で切り付ける。
傷口は即座に凍結し、その直後燃えるマグマが降り注ぐ。
「ツキクサフローズ」
「ショウジョウヒマグマ」
氷の力とマグマの力である。
「氷とマグマの相性も良いものもあるんだね。良い勉強になったよ。さて、そろそろトドメを刺すかい?」
「まだだ、まだこのカスをいたぶってない」
どうやら、一年半前の傷心をぶつけたいようだ。
「……君がそういうなら僕もそうするよ。僕もこんなに長く戦うの久々だからね。ちゃんと援護するからね」
「やるぞ、おい!」
「トキハスペーサー!」
「ウツブシグラップラー」
そう言って
「色とりどりな攻撃と思った僕がいる……」
そんなジークを他所に、アバドンはさらに攻撃を続ける。
このままではジークが空気になりかねん、そう察したアバドンはひらり体を反転させ、ダークルギエルを盾にした。
「お?」
「よぉーし……ジーク! 分身はしたか?!」
「!! もちろんだよアバドン!」
「よォし! じゃあ、思う存分こいつを殴れ! 分身したままな!!」
「分かった!!」
そう言った瞬間、分身達と飛んで蹴りを連続で放った。
ダークルギエルはその蹴りをモロにくらった。
「もっとだよ! 僕の蹴りはこんくらいだと思ったら大間違いだぁ!!」
叫びながらキック力がさらに上がり、トドメとして横蹴りで顔面を殴った。
「あ……やり過ぎた? 気を失った……」
ぐらり、と倒れるダークルギエル。その直後、ルギエルは目を覚ました。
「あ……起きた。アバドンにターンを譲るよ。トドメを刺すのは君だって決まっているからね」
アバドンは無言でダークルギエルをリンチした。
「うん、やっぱ彼は彼だね」
ジークは何故か笑いながらそう言った。慣れたんだろうね……
「なっ、何故だ! うっ……うおああああああああああああ!!!」
ダークルギエルは断末魔の悲鳴をあげた。
「よし、任務完了だね。早めに報告書を提出できそうだね」
そう喜んでいたが、ふと違和感を感じてその場で考え始めた。
「アレで終わりとは……思えねえんだよなあ」
「僕も思うよ。それと同時に……どうやって蘇ったのだろうね」
その時、地球からウルトラサインが届いた。
「……! あのウルトラサインは……」
「ヴェラっちだな」
「ヴェラムから直接ウルトラサイン……何かあったのかな?」
そう思ってジークはウルトラサインを読んだ。
『至急地球に来たれり』
「……なるほど」
「これだけなんとなく予想はできる……地球で何かあったんだね。向かおうか」
「ああ」
そう言って、二人は地球に飛んだ。
「……」
フラフラと地上を散策する慎太郎。
その時であった。
「慎太郎」
「……! たっちゃん!」
久しぶりだなぁと慎太郎は手を挙げた。たっちゃんと呼ばれた青年もつられて手を挙げる。
彼の名は
慎太郎とは本編終了から半年後に出逢い、互いに世界中を、いや世界線すら飛び越えて旅をしていた仲である。
「久しぶりだね、たっちゃん!」
「久しぶりだな……慎太郎」
何かを言うまでもない、二人は何を言わずとも真意が伝わる位には絆が深い。
「……慎太郎、無茶だけはするな」
「分かってるよたっちゃん、それじゃ」
「また会おう」
CET本部。
「……ヴェラっち、久しぶり」
「……慎太郎か。久しぶりだな」
慎太郎と肇が邂逅した。
既に紗和も古橋も居る。しかし、何名かはいなくなっているようだ。
「……ヴェラっち。迫水隊長は?」
「……自殺したよ」
重い空気が流れた。
「…………」
二人はそのまま何も言わずにその場で黙り込んでいた。
紗和は以前と比べて明るさが減ってしまい、いつものあの笑みをあまり見せなくなった。特定の時だけ、その明るさを見せる。
「……兎に角だ。俺は繰り上がりで副隊長に任命された。んで、今の隊長が」
「久しぶりね、慎太郎」
「……基町副隊長、いや今は隊長……か。お久しぶりっス」
「…………ここに来るの……約……いつぶり……だっけ?」
気まずい気持ちになりながら古橋にそう言った。
「……一年半」
古橋は静かに言った。
「…….ありがとう……」
気まずい気分がさらに悪化したようだ。
「んで、欠員補充の為に数名ほど新メンバーを入れた訳だ……入り給え」
「押忍ッッ!!」
うるさいのが来たなと内心思いつつ、慎太郎はその方向を向いた。
大きい。180、いや190はあるかもしれない。
目には憂鬱と失意、そして絶望が込められており、しかしそれを上回る明るさがオーラとして出ていた。
「カグラ・ゲンタロウです! よろしくオナシャス!」
「…………元気な青年だね」
「押忍! 話には聞いてます紗和センパイ!!」
めっちゃビビって肩を動かしたが気を取り直して挨拶した。
「あ、えっと……よろしくね。宝星紗和、だよ……」
「押忍! 以後よろしくオナシャス!!」
まるで元気な仔犬のようである。
「あ、あ〜……取り敢えず話に戻るために落ち着こうね……」
いつの間にか無意識に頭を撫でてしまっている。
「押忍!」
そう言うカグラの後ろから、どこかで見たような青年が入ってきた。
「CETに一時的に配属されました、朝倉リクです。よろしくお願いします」
朝倉リク。その名前に慎太郎はピンと来たようだ。
「朝倉リク……リク……?」
慎太郎は唸りながら記憶と知識の糸を手繰り寄せていた。
「……あ……♪」
紗和はリクを見て即思い出したかのように微笑を浮かべた。
「……あれ? 叔父さん!? 叔父さんがなんでここに!?」
「リクゥ! やっとかめやねお前!!」
ずるる。
慎太郎とリクはカップ麺を食べていた。
「ジ……リク君、どんだけ食べてるの? ボクの年齢は近いと思うけど……」
積み上がるカップ麺のカラの数々。
久々のカップ麺で互いにテンションが上がったのか、これでもう互いに10杯目である。
「……(やっぱこの2人、遺伝が繋がっているなぁ〜……)」
紗和は呆然と2人のことを見ていた。
「……ここも、変わってないなぁ……」
2人に聞こえないくらいの小声で呟いた。
「はふ、はふ……っ、ぷはぁ。カップ麺なんて何ヶ月ぶりだろう……」
「一年半ぶりのカップ麺、旨い」
互いに事情もあり、積もる話もあるようで……。
「……(じゃ、邪魔者は退散しよう……)」
紗和は慌てて2人から離れて部屋を出た。
「……ふぅー……」
その溜息は、虚空に消えていった。
翌日。
「…………ルビー……ピンクサファイア……メタモルフォーシス……」
朝から自分の作業机の上で宝石を手にして見つめていた。
「……久しぶりだな、ここに来るのも」
「……そうだね。でもまぁ……消息不明だったボクらをあっさり見つけるとは思ってもなかったよ……」
「流石は肇だ」
そう言って、慎太郎はただ笑った。
「あっさりバレるとは……しかも古橋君のことも。……慎太郎は……ここからいなくなってから何してたの?」
「……半年くらい彷徨っていた」
「……そうなんだ。でも……変わったんだね……」
「……まあな」
そう言って、慎太郎は自嘲するように笑った。
「メタモルフォーシス……今の君はこの宝石と同じだね……」
そういいながら丁寧に持ってメタモルフォーシスという宝石を見せた。
「……どういう事だ?」
「言葉の意味は変化・変革・変質・変容・幸福。君は出会った頃からなんか変わったように見えるから……そう言った。それだけ」
慎太郎はそれを聞いて少し納得したように頷いた。
その時だ。
『怪獣出現。フツヌシ出撃せよ』
「……久々、か……」
宝石を厳重なケースにしまって立ち上がった。
「……俺も行くか」
「久々だから操作忘れかけてるけど頑張ろーと」
軽く伸びをしながら向かった。
「ゲゴォアアアアアア」
そんな鳴き声がした。
超古代怪獣 ゴルザだ。
「最近は怪獣とか現れなかったから平和でいれるかなぁと思ったけど……」
「……ゴルザが……ひぃふぅみぃよぅいつ、五体か」
「……なんでこんなに湧き出した? 誰かが連れて来た?」
「総員構えろ。てぇーっ!!」
基町の叫びに、一同が呼応した。
バルカン砲やスペシウムブラスターなどがゴルザを襲う。
「…………(倒せてはいる……でも……いや、気のせいか)」
「……まずいな、第二陣が来るぞ」
今度は十体。
あまりにも多すぎる。
「多すぎる……湧き地帯があるんじゃないですか? 隊長……」
冷静に紗和は自分の考察を話した。
「……いや、違うかもしれないわ。その証拠に、闇の気配すらしているもの」
「……闇のウルトラマンの気配だなこりゃ」
「気のせいでは、なかった……か。(でもこの闇……なんか……どこかで……)」
「……! おい!」
古橋が叫んだ。
「あれを見ろ紗和! どこかで見た事のあるマークだぞ!?」
「……ッ!? ……どうして?」
紗和は驚愕のあまりに操縦機から手を離して両手で口元を押さえた。
「……ヘラー軍!? 馬鹿な、殲滅させられただろう!?」
事の顛末を知っている慎太郎は、マッハストライカーから飛び降り、変身した。
「……どうして……どうして…………死んだはず……どうして、いる、の……ボク、は……」
紗和は驚愕のあまりに動けずにいた。小声でずっと呟き続け、変身せずにいた。
その時だ。
赤、青、黄。三つの光が舞い降りた。
「あ……」
「光の勇者・タイガ!」
「力の賢者・タイタス!」
「風の覇者・フーマ!」
そう、トライスクワッドの参戦であった。
「タイガ、フーマ……タイタスさん! なんでここに!?」
いやトライスクワッドだけではない。
「シャオラッ」
「シュァアッ」
「イーッサッ」
「ジュワァッ」
「ショワッ」
「デュアッ!」
「えいっ!」
ギンガ、ビクトリー、X、オーブ、ロッソ、ブル、グリージョ。そして。
「融合! アイゴー! ヒアウィーゴー! 決めるぜ! 覚悟! はぁあああ……ジード!!」
ウルトラマンジードが舞い降りた。
これにより、ニュージェネレーションウルトラマンが全員参戦した事になる。
「…………あ……ボク、も……」
手を震わせながらスマホを取り出してラピスへと変身した。
「……っあ……あ……」
しかし、変身してもなお、突然の出来事や微かな記憶に押されて足がすくんで動けなくなってしまう。
「……よし」
ヴェラムはラピスの隣に立った。
「……怖がるな」
そう言って、ヘラー軍の呼び出したゴルザの方へと向かった。
「わ、わかってる……やらなきゃ……(でも、今更なんで……まさかボクとタイタスさんを……いや、まさかね)」
ラピスはそう思いながら援護をしながら攻撃をした。
「ギンガファイヤーボール!」
ディッヤァアア!! とギンガが叫び、ゴルザにギンガファイヤーボールをぶつける。
ゴルザは膨張し、爆散した。
「ビクトリウムスラッシュ」
ビクトリウムの力が籠った回し蹴りが炸裂。ゴルザを大きく吹き飛ばし、その命の灯火を消した。
「行くぞX!」
「ああ!」
そう互いに言い合い、ゴルザを殴るX。ヘロヘロになったゴルザ目掛け、Xは同調率を最大まで高め放った。
「「ザナディウム光線!!」」
ザナディウム光線はゴルザに直撃。ゴルザをスパークドールズに変えた。
「スペリオン光輪!」
ゴルザの尻尾を切り落とすため、オーブはスペリオン光輪を放った。
続いてティガの力で高速移動。ゴルザを翻弄し、目を回したところにすかさず。
「スペリオン光線!!」
本編外ではあるが、スペリオン光線の久しぶりの出番であった。
「ハァッ!」
ジードの飛び膝蹴りがゴルザを大きく吹き飛ばし、
「ダッシャァ!!」
アバドンのカカト落としがゴルザの胸骨を砕く。
「いくよ叔父さん!」
「ああ!」
「レッキングバースト!!」
「アバディウム光線!!」
叔父と甥の同時攻撃が、ゴルザを打ち砕いた。
「ジュワッ!」
「デェラ!」
「えいやっ!」
湊家三兄妹は、息を合わせた闘いを進めていた。
「そろそろ決めようカツ兄!」
「ああ!」
そう言って、三兄妹は構えた。
「フレイムスフィアシュート!」
「アクアストリューム!」
「グリージョショット!」
その攻撃はゴルザを撃ち砕くことに成功した。
タイガは飛び蹴りでゴルザを翻弄した。そして父親譲りのハンドビームで牽制。
その直後、スワローバレットでゴルザとの距離をとる。
タイガ光輪でゴルザの肩を切り落とし、タイガスラッシャーでゴルザを空爆した。
「ハァッ! ストリウムブラスター!」
そして、ストリウムブラスターでゴルザを倒した。
フーマは疾風怒濤のスピードでゴルザを翻弄した。
ゴルザの超音波光線は空を切った。
「残像だ」
フーマの神速で出来上がった残像を撃ち抜いたのである。
「光波手裏剣・斬波の型ァッ」
鋭利な刃物がゴルザを貫いた。
「お前は遅すぎだッ!」
腕に
さらに天高く舞い上がり、高空から垂直落下式弾丸拳をぶちかまし、そして、フーマは極星光波手裏剣を放ちゴルザを撃ち砕いた。
「はぁ……はぁ…………ッ……(全滅寸前、これならゴルザとの戦いは終わる……だけど、本当の問題は……)」
ラピスは援護しながら攻撃をしていたが、やはり気になって仕方ないのか……ずっとヘラー軍団のことを睨んでいた。
「……目的は、なんなんだ……!?」
「今はそんな事を考えている暇はないぞ!」
タイタスは一喝した。
「ッ……!! す、すみません……! (いや、でも……なんでさっきから……ボクのこと見ているんだ?)」
背後からの視線がどうしても気になって仕方ないようだが、自分に言い聞かせるように無視して攻撃し続けた。
「合わせるぞラピス!」
「了解!!」
「はぁ……ッ! プラニウムバスターッ!」
「スターライト光線!!」
プラニウムの力がゴルザを包み、うちくだいた。
さて。
CET本部では、ニュージェネレーションウルトラマンたちの人間体が一堂に会していた。
「お前らがニュージェネレーションウルトラマンか」
「おう。礼堂ヒカルだ」
「ショウだ」
「大空大地です」
「クレナイ・ガイだ」
「俺は湊カツミだ」
「俺が湊イサミ!」
「湊アサヒです!」
「工藤ヒロユキです」
「へえ……おい紗和、挨拶したれ」
「……ん?」
首をかしげながら見つめていた。でもすぐに前を向いた。
「あ、ゼロ兄さんがお世話になりました。ありがとうございます♪」
ニュージェネとは初対面だったのでゼロの妹として挨拶した。
「お前がゼロの妹か」
ヒカルは紗和の肩に手を置いた。その瞬間、殺気がしたように思えた。
「……」
古橋の嫉妬である。
「……は、はい、そうです。07親子の養女ですけどね……ウルトラウーマンラピスで、人間体では宝生紗和と言います。(誰か古橋君を抑えて!!)」
殺気を感じて若干震えているが正常を保っていた。
「はいはいステイステイ」
慎太郎は古橋の首を絞めながら話を進めた。
「やり過ぎ……あ」
ヒロユキを見て何か見つけたかのように近づいた。
「あぁ……どうも」
生返事をするヒロユキ。
『ヒロユキ、身体を借りるぞ』
「えっ?」
その直後、ヒロユキの目が黄色に変わり、髪にも黄色のメッシュが入った。
「……久しぶりだな、ラピス」
顔も姿もヒロユキなのに、声だけはタイタス。
早い話が仮面ラ〇ダー電王のイ〇ジンである。
「お久しぶりです。タイタスさん。……あれ? こうやって再会するの何年ぶりでしたっけ? 場合によっては何万年かな?」
笑いながら首を傾けた。背後の殺気が増したのを感じながら……。
「うむ、だいたい五千年、いや四千年くらいか?」
タイタスはそう言いながら笑った。
「おや? そんなに経っていたんですね……と、なると~……タイガとフーマとの再会も同じくらいですね」
「本当に久しぶりだなラピス!」
「嬢ちゃんも生きてて安心したぜ!」
「うん、久しぶり。二人も元気でよかった……♪ (ヒロユキさん……苦労人なんだね……)」
「……ところで、カグラは?」
慎太郎は周りを見渡した。
「すみません、ゴルザの残党狩ってました」
「ああ、たしかお前ネ───」
「わ゛ー! わ゛ぁ────!!!」
「あっちもあっちで楽しそうだな……(でも、やっぱり……正常でいるのが……難しい。どうしよ……)」
両手を見つめると、手は震えていた。それもそのはず……あのヘラー軍団を見てしまえば。
「……! (待てよ……なんでヘラー軍団は……どうしてボクだけを見てたんだ?)」
その時だ。
「嗚呼、嗚呼。マイクテスト。……聞こえておるか? ウルトラマン共」
モニターがジャックされた。
「私は新生ヘラー軍の総統……ヘラー・グレイラス」
以後お見知りおきを、と言いながらヘラーは笑った。
「さて──」
ヘラーはギシ、と音を立てつつ椅子に座る。
「我々の目的はただひとつ。ウルトラウーマンラピスを新生ヘラー軍の、ひいてはこの帝国の帝王に君臨させる事」
「──ー! ……ボクを…………ヘラー軍の帝王に……」
その言葉は紗和の耳にしっかりと入り、怯えていた。
「ウルトラウーマンラピス、君にもし伴侶がいるならばその者を王族と見なそう……」
そう言ってヘラーは笑った。
「……(狙いはボク……ボクが行けば古橋君も……でも、今度はみんなが危ない。……いや、取引で……なら)」
紗和は誰にも気づかれずに後ろに下がり、部屋を出た。
「我らの王の擁立の為にウルトラウーマンラピスとその伴侶を渡して頂けるのならば、君達を殺すことは無い」
そう言い残し、モニターからヘラーは消えた。
さて。
紗和はCETを抜け出した訳であるが。
「……(気配がある……でも、この気配はヘラー軍団の時より薄い……なら、違う)」
一人抜けた紗和は基地の外へ出て回りを見渡している。完全に無防備状態だった。
そんな紗和を見逃す筈もなく、紗和は、あえなく昏睡させられ連れて行かれる羽目になった。
「さて……」
そう言って、ヘラー軍の一般兵は古橋を拉致。
そして、紗和を回収し、ヘラー軍の母艦に戻った。
ヘラー軍母艦『アイザック』。
「連れて参りました」
「……よくやった」
そんなやり取りを交わし、紗和と古橋は地面に寝かせられた。
寝ている紗和も一枚上手だったのも気づかずに……。
「…………(眠気に襲われてまだろくに動けない……でも……今なら)」
少しずつ指を動かした。その指先からCETに向かってウルトラサインを送った。『油断して捕まり、ヘラー軍団の母艦にいる。ごめんなさい……助けて』、と。
CET本部ではそのウルトラサインを受け取り、『古紗救出作戦』を展開していた。
「……とりあえずどうするんだ?」
慎太郎はそう言うと、煙草に火をつけ、紫煙をくゆらせながら虚空を見つめた。
ヘラー軍団の母艦では紗和は未だに眠っていた。古橋に寄り添いながら目を閉じていた。それでもなお、気づかれずにゆっくりと指を動かし……次のウルトラサインを送った。
『正直に言うと眠気に襲われてウルトラサインを送るのが苦痛……感覚が鈍るけど、ボクと古橋君は恐らくもう地球にいない。母艦は宇宙にいてどこかに向かっ…………0』
そこからまたサインは途絶えた。だが何故最後に数字の0が送られてきたのかは不明。
そのタイミングと同時に、紗和は目を覚ました。
「起きましたか陛下」
どうやらヘラー軍の中では、ラピスは既に皇帝のような扱いらしい。
「!? ……ボクは陛下じゃない……いや、なる気ない」
一瞬で目を覚ました紗和は冷静沈着にそう言った。
「目的はなに? なんでボクを陛下にしたいの……?」
「……陛下、貴女は皇帝と名乗った方がよろしいかと。陛下は我々が貴女様を呼ぶ際の呼び方ですゆえ」
意外と日本語に詳しいぞこのヘラー軍人。
「……さて、我々が貴女を皇帝に担ぎあげるべき理由はただ一つ。我らが偉大なる総統閣下が貴女と血を分けた兄妹であるからです」
そう淡々と告げるヘラー軍の軍人。
「日本語が上手くできていることに関しては褒めてあげる」
意外と優しいウーマン。
「……でも……どういうこと? ボクには本当の兄はいない。ボクは……君が言う総統とボクは……無縁だ」
怒りがこもった声で話し続けた。瞳の色も、怒りに満ちていた。
「……貴女は忘れているようだ」
「……忘れている? ……申し訳ないんだけど、ボクは一部の記憶を失っているんだ。この中にあるのなら……尚更、忘れているものだよ」
「貴女は、ウルトラマンタイタスと同じです。……ヘラー軍の産まれなのです」
「…………ッ……」
その言葉を聞いて思わず冷静を取り乱して頭を押さえた。
自分にとってその言葉は……聞きたくない、もう何万年も過去のことだからだ。
「その時の兄が彼なのです」
さらに軍人は続けようとして、総統からの命令を受け紗和を立たせ、紗和を総統室へと向かわせた。
「…………ここ……?」
「総統閣下、連れて参りました」
「うむ、入りたまえ」
総統の合図とともに開かれる扉。
「…………」
紗和の瞳は怒りがこもり、睨み続けた。
「……そうカッカするんじゃない、妹よ」
「君に妹と呼ばれる筋合いはない。ボクは……君とは違う。ボクは確かにタイタスさんと同じヘラー軍団から産まれた。そしてレイブラットの遺伝も持つ。だけど……ボクは君とは違うんだ。さっさと地球に帰らせて。古橋君と……」
「……ラピス、忘れたのかい? 私さ。君の血縁上の兄」
「…………申し訳ないけど、ボクは記憶の一部を失っているんだ。だから……今のお前はボクの敵。思い出せない……いや、思い出したくもないね」
完全に不機嫌で怒ることがない紗和が激怒状態となっている。
「……そうか、残念だよラピス」
「……そんなに思い出してほしい?」
「……ああ」
「なら……思い出させるように……目的と、そして……こんなことをした理由を全て話せ。ボクを記憶から、君を……思い出すために。しっかりと……!」
「……9000年前、私とタイタス、そしてラピス……君は生まれた。その頃のヘラー軍団は何も言うまい」
「……それは覚えてる。だけど……大賢者様が教えてくれた。ボクは事故でコールドスリープ状態となり、三千年も宇宙を放浪し、眠ってた……と、教えてくれた」
「……そうさ、君は到着するのが遅れたのだよ」
「……到着?」
「……ああ。私とタイタスは同じ時期に到着した。しかし、君は違った。私とタイタスが三千歳頃に到着したんだよ」
「…………え? なんで……?」
冷静が少しずつ消えていき、顔から焦りが出るようになってきた。
「……何故かって? それは、君が事故にあったからだ。タイムホール内での三千年間の間、君はレイブラッドの能力を刷り込まれた。生まれつきのレイオニクスではないのだよ、ラピス」
「……レイブラットの遺伝は……実験か何かで挿入されたってこと?」
「ああ」
「……(よくよく思い出せば……ボクはよく実験台にされていた。あの時点から……ボクは……)」
微かに残っている記憶を頼りに今の話から記憶を取り戻そうとしている。
「……ラピス、君には統治できるだけの血脈があるんだよ」
そう言ってヘラーは、己の真名を名乗った。
「……ヘラーと言うのは建前さ。私、いや僕の名前はフォス。フォスフォフィライト、さ」
「……フォスフォフィ……ライト。(……あれ? どこか、で……どこで? なんだっけ? フォスフォフィライトは希少宝石の硬度3半なのは知ってる。でも、名前としては……)」
「フォスフォフィライト。そう、僕の名はフォスフォフィライト。ヘラーでは無いんだよ、ラピス……いや、ラピス・ラズリ」
「……ラピス……(ラピスラズリ……硬度は5-5半……夜空のような宝石。そして……ボクの名前……)……宝石、が……ボクらの名前になって、いる……?」
「ああ、そうさ。夜空のような宝石であるラピス・ラズリの名前を受け継ぐ君だけさ。宇宙の王は」
「……! (あぁ……だからボクは……怪盗を始めたんだ。古橋君を巻き込んでしまい……ボクはCETから消えるように抜けて怪盗を始めた。それは記憶を思い出すために……でも、思い出した)…………あぁ……あ……」
「……ラピス、いいかい。宇宙の主役は、我々だ」
「……また、宇宙を支配するってこと?」
「ああ、全て君の思うがままになるよ」
「…………だ……」
「……?」
「……お断りだ。ボクはヘラー軍の遺伝子が確かにある。だけどボクは違う。ボクは……光の戦士だ」
「……光の戦士、か」
「ボクを新生のヘラー軍団の皇帝にするなら……好きにして。だけど……ボクは宇宙を支配することを望んでない。誰かを守るためにレイブラットの力を使い、自分の力で大切なものを守ることを決めてるから」
「何を言っている。支配して、敵性勢力を粛清し、平和を守る。これも治安維持じゃないのかい?」
「支配は、誰も望まない……」
「……交渉決裂かな?」
「…………決裂したら……なにする気? ボクを殺す? 古橋君に手を出したら……ボクはお前を倒す」
「いや、殺しはしないさ。ただ……」
「……ただ……?」
「……全宇宙に発信しちゃったんだよね……。ウルトラウーマンラピスが皇帝に即位した、って……」
そういった直後、フォスフォフィライトは飛び上がり、
「本当にごめん!!!」
土下座した。
いきなりの土下座は流石に予想外でめっちゃビビってしまった。そして1番の答えが……
「……(これ、絶対……父さんと兄さん……止めに来るな……)…………バカだね……このクソ兄」
「……は?」
「……え? (あれ? もしかして地雷踏んだボク?)」
「……そこまで言うか??」
「……え、えっと……なんか……ごめん」
流石に罪悪感が湧いたようだ。
「……で……これからどうする気? 古橋君はどこ……?」
「……そこに居るだろう?」
「……え?」
指をさした先には、古橋が座っていた。
「……状況が状況だから……気づかなかった……」
「……」
古橋は静かであった。
「……! (待てよ……じゃあ……ボクの両親は……)……1つ、質問していいか?」
フォスフォフィライトに向かって振り返り、そう言った。
「……なんだい?」
「……ボクの本当の両親は……どうなったの? 大賢者様は……事故死だって教えてくれた。でも……本当に事故死、なの? (教えてくれたことと事故死は違いがあった……なら、もし……知ってるなら、今知るしかない……)」
「……叛逆者として粛清されたよ」
「────!!!! …………粛清……殺され、た……?」
「ああ」
「……お前が……か?」
「……父さんも母さんも、叛逆者として粛清された。……僕が殺したわけではないよ」
「……なんで……どうして…………どうして……どうして……」
紗和の雰囲気が変わる。怒りに任せて光を失いかけている。
「……それが先代。それが独裁者であるヘラー……さ」
フォスフォフィライトは緩く首を振った。
「……以上だ、それともうひとつ教えておく……」
「……なに?」
「……もう、既に地球にロボット部隊が送られてしまったようだ。ウルトラサインで伝えてくれ、抗えと」
「…………送るさ……ただ、なんで君が伝えないんだ?」
「僕には未来がないからだよ」
そう言うと、フォスフォフィライトの口許から血液が流れてきた。
「ッ……!! なんで……!?」
「……光死病さ」
「!? ワクチン、投与していないの!?」
「……ああ。運悪く、ね」
「…………ッ……バカ、じゃないの? ……どうして、ヘラー軍人の復活を求めたの?」
「……君に、栄光を」
そう言って、大きく咳き込み吐血した。
「ッ!! フォス……フォス兄さん!!!! 古橋君……! タオルと止血剤! 見つけたら持ってきて……!」
自分を攫った人物を助けるかのように叫んで伝えた。
古橋は無言で胸ポケットから止血剤を取り出した。
直ぐに救命隊も来るであろう。
しかし、攻勢の手は、止まることは無かった。
地球。
「ギシャァアアアアア!!」
無数の怪獣軍団が降り立った。
地上では既にCET全部隊がギルジダーと交戦していた。
「オラオラオラァ! 死ねバケモノォ!!」
そう言って、慎太郎は銃を放ちまくる。
そのうちに
その時だ。
蒼い光が慎太郎の前に降り立った。
あ、ヒカリお願いします
「連絡を受け入れて来てやった。間に合ったか?」
「おう、悠々間に合ったわ。サンキューな、ぴかっち」
慎太郎、いやアバドン特有のあだ名である。
アバドンとヒカリは飲み友なのだ。
「で、持ってきたんだろ……例のブツ」
「お前は相変わらずだな。まぁいい、俺も呼ばれたからには手助けする。
アレだろ? もちろんだ……なんとか間に合った」
ヒカリは慎太郎にあるものを渡した。
「……これがゼットライザーのプロトタイプ、アバドライザーか」
アバドライザー。
見た目はゼットライザーそっくりであるが、ZではなくAとなっている。
プロトタイプはA、完成品はZ。奇しくもA to Zの形となった。
「メダルはゾフィー、ウルトラの父……そして、ベリアルだ」
「デビルスプリンター渡した甲斐があったよ」
「おかげで良いデータも得られた。それを使って変身しろ。こんな数の怪獣…………まさか、アレか? ラピスの……」
「ああ、自称ヘラー軍団が攻めてきたんでね。ちょっくら殺しに行ってくる」
そう言って慎太郎はアバドライザーを起動した。
その際にこう叫んだ。
「ぴかっち!」
「! ……なんだ?」
「黒瀬龍海って青年と一体化しとけ! それで戦え! たのんだぞ!!」
慎太郎の願いに対し、
「ー!! 分かった」
ヒカリは、冷静にそう言ってその場から離れた。
慎太郎はウルトラアクセスカードをアバドライザーにセットした。
『Shintaro:access granted』
バッ、と勢いよく手を開けば、ベリアル、ケン、ゾフィーのメダルがあった。
「止まるな、最強衝動!」
そう言って、慎太郎はメダルをセットした。
「兄貴ィ! ケン兄ィ! ゾフィくゥン!」
『Belial』
『Father of Ultra』
『Zoffy』
スライドし、三枚のウルトラメダルをアバドライザーにリードする。
「威勢解放! 武勇獰猛! 生き抜け、最強衝動!!」
そして慎太郎はアバドライザーのトリガーを押した。
「うぉああああああ!! アバドン!!」
その瞬間、ホログラムの三人が飛び交った。
「フンッ!」
「ダァッ!」
「ヘァッ!」
そしてその3つの力がアバドンに融合する。
『Ultraman abbadon : LOST ONES WEEPING』
ジードを思い起こすぐんぐんカットで巨大化するアバドン。
「俺の名はアバドン──ウルトラマンアバドン・ロストワンズウィーピングだ!」
その目は、ウルトラマンベリアルとウルトラマンジードのような目であった。
アバドンは辺りのギルジダーに回し蹴りを浴びせた。
その瞬間、ギルジダーは爆散した。
「ふん、他愛ない」
そういった直後、アバドンは宇宙空間へ向かった。
全ては増援を断ち切るため。
「ギシャァアアア!!」
ギルジダーの侵攻を前に、立ちはだかる銀の戦士がいた。
栄光の初代ウルトラマンだ。
「ここは私たちが食い止める。お前たちは母艦に向かい、ラピスを救出しろ」
「了解だ、初代」
ヴェラムはそう言って母艦へと向かう。
その姿を見届けた後、初代ウルトラマンは構えた。
「ヘェアァ!!」
掛け声を上げ、ギルジダーに立ち向かった。
「ギシャァアアア!!」
ギルジダーは突進した。
「ヘェアァ! (しかし、この数は押されるな……間に合うか……!?)」
調子付いたギルジダーは、その太い尾をぶん回した。
「グァア……!」
油断して直撃し、その場に倒れたが即立ち上がって光線を放った。
初代ウルトラマンの得意とするスペシウム光線である。
「ギシャァアアア!?」
ギルジダーは爆発し、死んだ。
2対1の中、夕映えの戦士が奮闘していた。
轟く叫びを耳にして、帰ってきたウルトラマン……ウルトラマンジャックだ。
「兄さん、待たせたね」
「遅いぞジャック……さあ、ともにやろう。わたしとお前の能力がほぼ同じだからこそできる最高の技を……」
「はい……!」
ジャックは右手を立て、初代ウルトラマンは左手を添える。
そして二人は吠えた。
「「スペシウム光線!!」」
そのスパークは正しく素晴らしい光であり、その威力は近くのギルジダーを蒸発させた。
「まだまだいますね……兄さん。他の兄弟達が遅いですね」
「いや、もう既に来ているはずだ」
「テェエエン!!」
えげつない声がした。
「ギシャァア……」
ギルジダーは後ずさりした。そのギルジダーを空に投げ飛ばし、十字のギロチンを放った。
臓物バラバラ撒き散らし、腐臭まみれた地獄に変化させていく戦士。
ギロチン王子こと、ウルトラマンエースである。
「エース……いつの間にいたのか」
「弟子の育成にかまけていられないんでね! 俺も来ましたよマン兄さん!」
そう言ってから、エースは
「相変わらずエグいね〜。でもそこもエースらしいよ」
「そうだな……他の兄弟達も、ようやく全員揃ったな」
「タァーッ!」
スワローキックがギルジダーを襲う。
「今来ましたよ、兄さんたち!」
未だ衰えぬ強さを誇る彼の名はウルトラマンタロウ。
筆頭教官である。
「あれ? セブン兄さんは?」
「アイツは別の任務をゼロと任せた。俺たちは今ここでコイツらを倒すことを優先するぞ……!」
戦いながら冷静に話すマンの隣に白いマントを羽織ったウルトラマンが現れた。
「隊長はゼロと一緒です! 俺もここで戦います!」
ゼロの師匠であり、セブンの弟子であるウルトラマンレオだ。白いハントを外し、開始早々にレオキックをギルジダーにお見舞いさせた。
「テェアアアアア!!」
薙ぎ払え! と言わんばかりに辺り一面のギルジダーを撃ち殺すゾフィー。
M87光線が着弾したその後コンマ1秒、ギルジダーは跡形もなく消滅していたのである。
「みんな無事か!」
ゾフィーはウルトラ兄弟たちに駆け寄った。
「ゾフィー兄さん……!」
「あぁ、大丈夫だ」
「隊長もゼロと一緒にラピスとベムラー人の救出に向かいました。アバドンとニュージュネ組とも途中で合流するかと……」
「……そうか、ならば今はこいつらを始末すること。それが今の私たちにできる最大限だ……行けるな」
「「「「はい……!」」」」
良き返事を上げてギルジダーを次々と爆散、消滅させていった。
「(隊長……無事にラピスを救出し、あのワクチンをお願いします……!)」
そのレオの願いがセブンに届いたかは分からないが、しかしその熱意は伝播しているはずである。
「ショワッ!」
「ハァッ!」
80はバックルビームでギルジダーをうちのめし、ユリアンはスペシウム光線でギルジダーを倒した。
その直後、80はサクシウム光線を照射。
辺りのギルジダー軍団を打ち破る。
「セイヤァ!」
上の兄達を援護するようにメビウスも参戦し、攻撃を開始した。
「レオ兄さん……! 僕も戦う!」
レオの弟アストラも参戦。レオとの連携技でギルジダーを倒していき、兄弟の力を合わせたウルトラダブルフラッシャーが辺りを焦土に変える。
「シュアッ!」
グレートのバーニングプラズマが空を裂き、
「ヘァッ!」
パワードのメガスペシウム光線がギルジダーを撃ち抜いた。
その戦闘を見て、カグラはエストレーラーを起動した。
「ウルトラマン、ネオォース!」
カグラ・ゲンタロウ。
彼は宇宙に放り出された元宇宙飛行士である。
その際にウルトラマンネオスと一体化したのだ。
「シュアッ!」
ネオスのキックが炸裂した。
その背後ではセブンに酷似した戦士、ウルトラセブン21がヴェルザードを操り、ギルジダーを斬り裂いていた。
そしてネオスはネオマグニウム光線を、セブン21はレジアショットを放ち、撃破した。
「デェリャ!」
マックスもネオスたちの背後で戦い、ゼノンと一緒に戦い続けた。
「ダァア! マックス、そっちだ!!」
「な……うぉ! デュゥアッ!」
「ギシャァアアア!!」
ギルジダーは体当たりをした。
「メ゛ッ!!」
空中から光線が放たれてギルジダーに直撃した。
「!? ヒカリさん……!」
「すまん、一時的に抜けてしまったな。だがもう平気だ。やるぞ……そして私の中の龍海もな」
「慎太郎の為にも、負けるわけにはいかないのだよ……」
ヒカリの声に被って、龍海の声がした。
「ギシャァアアア!!」
ギルジダーはヒカリめがけて突進した。しかし。
「ふん!」
ヒカリの、いや龍海の叫びに、ギルジダーは怖気付いた。
「叫びだけで怯えている……やるじゃないか」
「他愛ない……往くぞ」
「慎太郎がお前の名を言ったんだ。お前に希望はある……やるぞ!」
「ああ!」
二人は息を合わせた。
「ふんっ……! デリャ!」
ギルジダーを蹴っては殴り、トドメを刺して光線を放ち、数々のギルジダーを爆散させていく。
「ギ、ギシャァアアア!!」
ギルジダーが突進した。
その瞬間、ギルジダーは影に食い殺された。
「……俺の魔法だ」
龍海の目が光っていた。
「お前……ただの人間じゃないんだな。凄い魔法だ……」
ヒカリは驚愕しながらもギルジダーを全滅させる勢いで倒し続けた。
正しくヒカリ無双である。
「後何体いるんだ……コイツら……! まだ余裕はあるが……」
「……影に食わせてしまうか」
「……結構おぞましいやり方だが……数を減らせるならいいかもな」
「ああ……」
「デリャァ……! ハァ……!」
ブレスから青い刃を出し、無残に斬り倒し続けていた。
「俺の後ろはお前に任せる。俺は前だ」
「任せろ」
そういった直後、影がギルジダーを喰い殺す。
「(だいぶ数は減ったな……例の母艦からもう来なくなったみたいだな……俺の予測だが)デリャァ……!」
他のウルトラ戦士を置いてけぼりにするくらいには活躍するヒカリたち。
そして、ようやく視点はニュージェネと我らがアバドンたちに移る。
「邪ッ」
アバドンが着陸した瞬間に、辺りが揺れた。
その直後、ヴェラム、フィアそしてジークが到着した。
「ラピスはあそこにいるのかい?」
「みてぇだな……ったく、アイツめっちゃ狙われるよな〜……」
「そんなこと言ったらセブンさんとゼロに怒られるよ?」
「まあまあ……兎角やろうか、みんな」
「おい主役はオレだぞ」
こら、喧嘩すな。
「分担をしよう。ここから先に進めば敵が現れるだろう。警戒してラピスとベムラー人の救出をしよう」
「つーかラピスは……どこにいるんだ?」
「……アバドソナー」
アバドンは超音波を放ち、辺りをくまなく探知した。
「……あっちに二人がいる。フィア、ジーク。お前らはラピスの救援をしろ。俺とヴェラムはあっちの軍人殺してくる」
ツーマンセルで動くように、とアバドンは言い残し、ヴェラムと共に消えた。
「了解。行くよ」
「わーってる……」
そう言って2人がいる奥へ向かった。
ラピスたちは既にアバドソナーで特定されている。
ジークとフィアは共に走り、救出に向かった。
「気配が徐々に強くなってる。あそこか……!」
「その場から動いてないようだな。なら安心だ」
二人は総統室の前に着いた。
「ラピス! いるかぁ!!」
フィアが勢いよく扉を開けた。しかも破壊した。
「ピャッ!? ……フィ、フィア兄さん……! ジーク兄さん!?」
「ラピス……無事で良かった」
「……ジーク! フィア!!」
古橋は叫んだ。
「兄さん達! ワクチン……ワクチンある!? むしろ持ってる!?」
顔に焦りを表しながら2人に向かって駆けて慌ててそう言った。
「光死病のワクチンだ、それ持ってるか!?」
「持ってるならいますぐ頂戴……! フォス兄さんが……!」
その言葉の最中、フォスフォフィライトは口から血を噴き出した。
「!! フォス兄さん……!」
「……は? 何がどうなっているんだ?」
「彼がラピスを拐った本人……何が起きてるの?」
「ラピスを王に仕立て上げて帝国を
「はぁっ!? なら今ギルジダーが次々に現れているのはそういうことか!?」
「これは厄介だな……ワクチンは……まだ来てないセブンさんとゼロに任せたんだ。もしくはジードと彼だ……」
その時だった。
「叔父さんから連絡受けて来たんだ! 光死病のワクチン取ってきたよ!」
ジードの声がした。
「ジード……!! すぐにワクチンを貸して……!」
「はいっ!」
ワクチン、いや特効薬をジークに渡すジード。
「ありがとう……! フォス兄さん……これ飲んで。今からでも間に合うから……!」
嚥下するフォスフォフィライト。
その瞬間、フォスフォフィライトは大きく吐血をした。
「兄さん!!!」
そのあとだ。
少しづつではあるがフォスフォフィライトが快復し始めた。
「(光エネルギーも少し感じる……体力も回復してる)間に合った……!」
さて、少し時は遡る。
「……ここが軍部か」
怪獣兵器達が押しつめられている倉庫を見て、アバドンは露骨にゲンナリしていた。
とある場所からは未だに止めずにギルジダーが放たれるところがあった。
普通ならもう止めても良いが……
「……闇の香りがするぜ、しかもどこかで嗅いだ香りだ」
その場の闇は言った通り懐かしくも少し胸騒ぎがする匂いでもある。
だがそろそろギルジダーを止めないと宇宙警備隊のウルトラマン達の体力が危うい……
「……そろそろ、殺るか」
アバドンはゼペリオン光線と同じチャージをし、十字に組んで「アバディウムブレイザー」をぶちかました。
待機していたギルジダー達が一瞬で蒸発する。
これに関してはやはり用意されていた警報器が発動、他のヘラー軍団が次々と現れた。
「……さぁて、殺るしかねぇな」
その時である。
「フッ!」
アバドンたちの時間が、硬直した。
そして目の前に現れるは、ニュージェネウルトラマンたち。
ヘラー軍団は突然のことで何人かぶっ倒れていたが、即立ち上がった。
「さぁー……ここは任せてくれ! 後でジードたちも加わる!」
『おいおい……面倒になるからやめろとあれ程……』
ギンガが叫んだ直後、ねっとりとした嫌な声がした。
「……トレギア、テメェ」
アバドンは怒りを顕にした。
「トレギア……! なんでここにいるんだ!」
ブルが前に出て指を指した。
「フフフ……それは言えないなぁ……」
「いや言えよ! カツ兄! アサヒ!」
「ああ……やるしかないぞイサミ」
「ええ! 兄妹の絆、見せてあげましょう!」
湊兄妹は気合を入れた。
「勇ましいねぇ……しかしそれも蛮勇さ……ククク」
「……!」
アバドンは後ろを振り返る。
そこには、別働隊の連中がいた。
「え!? 囲まれた!?」
「いや、ちがうな……! おせぇぞおめえら!!」
「ごめん叔父さん、遅れた!」
「ジード! みんな!」
ジードは静かに頷くと、アバドンの方を向いた。
「相手は……トレギアか。叔父さん」
「ああ、やるぞジード」
そう言うと、二人は息をあわせ叫んだ。
「「ジーッとしててもドーにもならねぇ!」」
「蛮勇、蛮勇……ははは!!」
「行こうぜ!」
トレギアは指パッチンをし、様々な敵を召喚した。
「この因縁、はらさでおくべきか!」
「我が名はエタルガー……」
「イ゛ィーッサ」
「グォアアア……」
そしてトレギアは分身し、ロッソ・ブル・グリージョの三人組とトライスクワッド、そしてアバドンに向かっていった。
ロッソ・ブル・グリージョの三人は、ウルトラマングルーブに変身した。
「我と貴様の因縁、どうやら未だ終わらぬらしいな!」
「お前相手にするんなら、気合い入れねぇとな!」
ギンガスパークランスとダークスパークランスの打ち合いが始まった。
「おおおおおおぉ……」
「フンッハハハハハハハ!!!」
「シャオラッ!」
ギンガの前蹴りが決まり、
「ぐぅっ!?」
ダークルギエルが大きく後退した。
「ギンガサンダーボルト! デイヤァッ!」
ギンガはギンガサンダーボルトを放ち、ルギエルを痺れさせた。
「ギンガファイヤーボール!」
さらに無数の火球、ギンガファイヤーボールがルギエルを襲う。
「ギンガセイバー!」
無数の斬撃がルギエルを無慈悲に裂いた。
「ギンガスラッシュ!」
頭部から放たれた光線がルギエルの体で無数の爆発を起こす。
「ギンガサンシャイン!」
ルギエルが大きい爆発に呑み込まれた。
「ギンガクロスシュート!!」
そして、ダークルギエルは爆発四散し、再度死亡した。
『ウルトランス! サドラ・シザース!!』
「ジュアッ!」
「ぐぅっ!?」
サドラシザースがエタルガーを襲う。さらにウルトランスは止まらない。
『ウルトランス! エレキング・テイル!!』
「ジュェッ!!」
「がっは」
電撃がエタルガーを責めた。
『ウルトランス! グドン・ウィップ!!』
「オアアアアアア!!」
ビシ、バシ!
エタルガーに蚯蚓脹れが出来始めた。
『ウルトランス! キングジョー・ランチャー!!』
大量の光弾がエタルガーを蜂の巣にした。
『ウルトランス! ハイパーゼットン・クロー!』
ハイパーゼットンのツメがエタルガーに突き刺さる、その瞬間エタルガーの体内で一兆度の爆発が起きた。
『ウルトランス! EXレッドキング・ナックル!!』
フレイムロードが発動し、エタルガーはマグマの代わりに高エネルギーに包まれた。
『ウルトランス! シェパードン・セイバー!!』
「行くぞシェパードン!」
シェパードンセイバーがエタルガーを無惨に切り刻んだ。そして。
「ビクトリウムシュート!!」
エタルガーは爆発四散した。
「アタッカーエックス!!」
「デュウア!!」
蘇ったエックスダークネスは、エックスと互角の勝負を繰り広げていた。
光線も格闘も互角、しかし。
「こんなこともあろうかと、グルマン博士に作ってもらって助かったよ!」
『サイバーウルトラマンベリアルアーマー、ロードします』
身体にウルトラマンベリアルのアーマーが引っ付き始めた。
『サイバーウルトラマンベリアルアーマー アクティブ』
「サイバーデスシウム光線!!」
サイバーデスシウム光線がエックスダークネスを襲う。
「ぐうおあああ……!!」
「よし、やるぞエックス!」
「ああ解ったぞ、大地! 私達は今……」
「「最高に繋がっている!!」」
エックスはチャージをした。
カラータイマーが黄色に染る。そして。
「「ザナディウム光線!!」」
エックスダークネスがザナディウム光線で爆散した。
『ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!!』
「スペリオン
「デュウア!?」
オーブダークネスはスペリオン光線に吹き飛ばされた。
『ウルトラマンオーブ! バーンマイト!!』
「ストビュームダイナマイト!!」
二人が爆発した。
『ウルトラマンオーブ! ハリケーンスラッシュ!!』
「オーブスラッガーランス! トライデントスラッシュ!!」
オーブダークネスが切り裂かれる。
『ウルトラマンオーブ! サンダーブレスター!!』
「おぉおおおおおおお!!!!」
ゼットシウム光線がオーブダークネスを襲った。
『ウルトラマンオーブトリニティ!!』
「トリニティウム
トリニティウム光輪がオーブダークネスを真っ二つにし、
『覚醒せよ! オーブオリジン!!』
「オリジウム光線!!」
そして、オリジウム光線がオーブダークネスを撃ち破った!
「あばよ」
「トレギア……! なんでお前がヘラー軍団といるんだ!?」
「そうだよ! そこが1番気になるところだ!」
「まさか……ヘラー軍団とグルなんですか!?」
「ははは、唆したのは私さ……!」
あっさりと吐くトレギア。
「なにっ……!? お前がヘラー軍団を……!?」
いつになくタイタスは怒りと焦りを見せながら叫びながら言った。
「あ、あのタイタスが……珍しい」
「仕方ねーだろ……ダンナもヘラー軍団と色々とあったからな。そりゃ怒っちゃうよな……」
「ふっ……砕いてみなよ……私を」
「やるぞ……お前ら!」
「俺たちもやるぞ! イサミ! アサヒ!」
「おう!」
「はい!」
「フッハハハハ!!」
「なに笑っているんだ!」
「お、落ち着けイサミ! アイツの挑発には乗るな!」
「そうですよイサ兄!」
ちょくちょく兄妹争いが起きるが、それでも息を揃えて殴りにかかった。
「フン、ハァッ!」
トレギアはぬるりと回避をすると、回し蹴りをした。
「きゃ〜!?」
「イッダァ!」
もろに直撃をしたがすぐに立ち上がって拳を顔面に当てた。
「トレギアなんかに私たちは負けません!」
「おいでェ? 坊やァ……」
そう言いながら光弾を放つトレギア。
「うぉと!」
バク転をしながら回避し、仕返しのロッソが主人格となって光線を放った。
「デルタブレストランサー!!」
「グァッ……!?」
トレギアが大きく吹き飛んだ。
「よし……!」
「カツ兄! 交代!!」
「任せたぞ!」
仲良く順番に交代をしてトレギアを殴った。
「ぐっ……!」
トレギアは後退りした。
「どうしたトレギア〜! 前と比べて弱くないか〜!?」
ブルが思わず煽った。
「イサ兄! 私も!」
アサヒ、グリージョもやる気満々でトレギアに突撃して腹に頭突きをした。
「グァッ……!!」
トレギアは大きくバックステップをし、
「トレラアルティガイザー!!」
トレラアルティガイザーをぶっぱなした。
「アサヒ! 変われ!!」
「はいっ!」
慌てて主人格を交代してバク転しながらギリギリ回避した。
「ギアギダージ!!」
トレギアは高速回転し、突進した。
「どわぁぁぁぁぁ危なっ!?」
「ラチがあかないよカツ兄!!」
「トドメを刺しましょう!」
そう言って、グルーブはトレギアにグルービング光線を浴びせた。
それはトレギアに直撃。
トレギアは爆発した。
「ムゥゥン!!」
タイタスが開幕早々にトレギアを殴った。
「ガッハ」
「なんだ? あの時とは違うな」
「あのトレギアはおそらく分身なんじゃないか?」
「タイガの言う通りだな。ならすぐに終わらせてやるぜ!」
「……トレラケイルボス!」
トレギアは、タイガたちにトレラケイルボスを放つ。
「うぉ……!」
「ダンナの拳を喰らってもまだピンピンじゃねぇか……!」
「油断するな、2人とも……! 分身でもトレギアなんか倒してやるさ! あの時と同じように!!」
「タァアアロォオオオオウ……!!」
どうやらタイガにタロウを被せて見てしまっているようである。
「っ……父さn」
「見極めろタイガ! アレはお前の父親ではない!」
どうやらタイガは一瞬、ダイヤの放出した洗脳ガスを吸ってしまったらしい。
少し幻覚を見た訳だが、しかしそこは流石ウルトラマンタロウの一人息子だ! 一瞬で体勢を整えて再度構えた。
流石だ、ウルトラマンタイガ。
「っ……! わ、悪りぃ……油断した」
「タイガ! さっさとこんなトレギアぶっ飛ばしてやろーぜ!」
「ハァッ!!」
トレギアは蹴りを浴びせた。
「うぉ……! あっぶな……!」
「やはり分身といえど本物と同じさだな……」
「クッソ……さっさと終わらせようぜ!」
そう言って、タイガたちは力を貯めた。そして。
「燃え上がれ! 仲間と共に!!」
バディゴー!!!
そう叫び声がして、そこに居たのは。
「貴様……ッ!」
トライストリウムのタイガであった。
「俺たちの絆は……お前なんかに壊されたりなんかしない!! 行くぞ、2人とも!」
「おぅ!」
「あぁ!」
タイガトライブレードを振り回すトライストリウム。
そう、タイガトライブレードは三人の絆の証!
物の見事に真っ二つ……とまではいかぬものの、トレギアの身体が裂傷にまみれていく!
「トレギア……お前が何故ヘラー軍団を復活を目論んだ!? ラピスを攫ったアイツに何かしたのか!?」
「ただの退屈しのぎさ……!」
「くだらん理由か……そんな理由でラピス嬢を拐わせて、ヘラー軍団の復活を目論んだのか……!」
「ダンナの言う通りだな! くだらねぇ理由で変なことが起きたじゃねぇか!」
「なんだと……!? 混沌こそ素晴らしい物だと理解出来ぬのか……ッ」
「できるか! お前のせいでこんなことが起きたんだろ!? それと……これ以上ラピスを傷つけるんじゃねぇよ!! ラピスはどんな辛い過去を持っているか分からないのか!」
「U40に関しては私だけにしておけ……! ラピス嬢だけはやめろ……!」
「(なんでこの2人こんなに嬢ちゃんに対してすげぇ庇うんだ? ダンナはともかく……タイガは)」
「そこまで執着する価値もなかろうに……!」
「ラピスとU40をバカにすんな!!」
「そうだぞトレギア……! ところでタイガ。何故そこまでラピスを庇う?」
「なっ……な、仲間だからに決まっているだろ!! いいから目の前に集中しろ!」
「これ以上なに言っても無意味だからな……トドメを刺そうぜ!」
「ぐぅ……! トレラアルティガイザー!!」
「終わらせるぞ! 2人とも!!」
「あぁ!」
「うむ!」
「トライストリウムバースト!!」
トレギアは、トライストリウムバーストで死亡した。
さあ、次はお待ちかね。
我らがオリトラマンの登場だ。
アバドンは分身をし、分身体は他のオリトラマンと融合。
ウルトラマンジルコンに変身した。
「迷惑かけちゃった分……ちゃんと加勢するね」
色々とあったかのように顔色が最初より変わっているが、目の前のトレギアを見つめた瞬間、一瞬で瞳が殺意へと変わった。
「……私は君と戦う気はない。ダイヤ、やってくれ」
「……皇帝を手にかけるのもまた一興」
そう言って、ダイヤモンドはジルコンの前に立つ。
「……だから皇帝になる気ないって……でも、それはそれでイラつくから……ぶっ倒す」
「デェアッ!!」
ダイヤモンドはジルコン目掛けて飛び蹴りをした。
「! ごめん、表に出る」
そう言って前に出て飛び蹴りを避けて顎を蹴った。
ダイヤモンドは一瞬よろけた。
「物理的に弱いのかな? でも……動きはそんなに早くない。空手で動きを反すれば倒せるはずだよ」
あの一瞬で推測と考察を2人に言った。
瞬間、人格はヴェラムに移る。
ジルコンはカポエイラじみた蹴り技でダイヤモンドを蹴り飛ばした。
ダイヤモンドから「ピシリ」と変な音がした。
「……? (まさか……人造?)」
さらにカポエイラじみた蹴り技でダイヤモンドを吹き飛ばし、次の瞬間ジルコンの人格はアバドンに移る。
ジルコンのラッシュが決まり、ダイヤモンドは大きく吹き飛んだ。
「……割れてる?」
ラピスはその光景を茫然と見ながら呟いた。
ダイヤモンドはノーモーションで立ち上がった。
「……あのダイヤ……何かおかしくない?」
「……だな」
「ぶぁかめ! このダイヤモンド、へき開を消すために全身くまなく人工ダイヤモンドの皮膜を使っておるのだ!!」
「……ダイヤモンドは硬度10。確かに硬いけど……特定の角度からは脆い」
「それを消すための表膜よォ!!」
「……(でもあの音は確かに……)アバドン、割る勢いで殴り続けて……割る方法はあるから」
「あいよ」
その直後、ジルコンは鬼神のような気迫でダイヤモンドを殴り始めた。
「……! 音! 音を頼りに殴って!!」
「ベリベリベリベリベリベリィッッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ!
「…………やっぱり……ヒビ!」
ラピスが叫んで指を指したところには消え始めているヒビがあった。
「そこかァ!」
そして。
「ベリベリベリベリベリベリィッッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ!
ダイヤモンドは、今にも割れそうである。
「おいメスガキィ! 水銀汚染してやれ!!」
「待ってましたぁ!!」
そう叫んだ瞬間、銀色と手袋で噛んで外し、青色の素手から大量の硫化水銀を出してヒビ割れの隙間に入れたり、全身に大量にかけた。
もう顔中どころか全身水銀まみれや。あぁ^~愉悦。
「よし……! 水銀中毒は水俣病と同じ症状が起きる。どんなモノでも毒が回って死ぬ!!」
「それは人造生命体であろうと……例外じゃねえってこった! 決めるぜ!」
そう言って、ジルコンは構えた。
「デスシウムバーストォオオオオオオ!!!」
パリン。
ダイヤモンドは、砕け散った。
そして、アバドンだ。
「トレラ・スラー……」
そう言って、トレギアは時空ゲートからある者を召喚した。
「!? なんだ……何を召喚したの!?」
「……さあ来い、最凶最悪の戦士よ……ウルトラマンベリアル!!」
「……父さん!!?」
「フンッ」
時空ゲートから派手に着地をして現れた。ウルトラマンベリアル。ジードの父親であり、アバドンの実兄である。
「あっ……兄貴……!?」
「さあ……絶望のもとにひれ伏せェ!!」
「と……父さん……!」
だがベリアルは……動こうとしない。
「……どうしたベリアル」
「……父さん?」
「……フゥンッ!!」
ベリアルは即座にトレギアを殴った。
「えぇ……!?」
これは思わずジードも驚愕。
「ぐぉっ……」
「ファッ!?」
アバドン、迫真の驚愕。
「悪りぃが俺は……確かに死んだ。俺の弟の世界ではな……」
「と、父さん……? (なんかメタい……)」
「……は?」
「アバドン……強くなったな」
鋭くて大きい真っ黒な爪でアバドンを指を指した。だがその指には、何故か闇を感じなかった。
「……なぜ蘇った。あんたはジードが成仏させたろうが」
アバドンは警戒しているようだ。
「言っただろ? 俺はお前の世界線で死んだ。だがこの宇宙は広い……てことはどこかの宇宙では俺は存在している、ということだ……」
「と、父さん……」
「つまりあのヤンホモでメンヘラな変態の厨二病が呼び出したのが……偶然その世界ということか」
「そういうことだ。運良くお前の世界線についてお前の記憶もあった。運が良かったな、弟よ。まぁ……あの野郎は俺を召喚したのが運悪かったな」
ベリアルはトレギアの方を振り向いてバカにしたような笑みを見せて煽る。
「ぐっ……どこまでも私をイラつかせる……!」
トレギアはアバドンを殴ろうとした、しかし。
「よえぇよお前」
前蹴り一閃。
「トレギア! お前はボク達家族の絆を見せてやる!」
「よく言ったぞ我が息子よ。アバドンも強くなったな〜。流石俺の弟だ」
「やかましい」
グダグダかよ。
「フハハハハッ! まぁいい、俺はちょい気分が良い。だがあの野郎を倒した方がもっと気分が良くかもなぁ!」
そう言って爪を向いてトレギアを殴り倒す。
「ガッハ」
「どうした? お前の強さはそんなもんか? あのクソガキの方がマシだなぁ!」
「(あ、ゼロのことか)」
「きさま……ッ!」
「ツキクサフローズ! スカイブルーフリーザー!!」
分身したアバドンは、ツキクサフローズになりトレギアの脚を凍らせる。
「叔父さん、もうトドメを刺す?」
「アイツには痛い目に楽しませてやろうぜ!」
「まぁーだダメだな」
「そっか……なら叔父さんと父さんに任せるよ」
「ジード、そこは優しさなんていらん。俺たち家族でぶっ飛ばしてやろうぜ!!」
「やってやるぞ!」
そう言って、別の分身体がフォームチェンジした。
「ショウジョウヒマグマ! シンクブラスター!!」
さらにトレギアをマグマが襲う。
「ハァッ!」
ジードは突撃をして腹を殴り、無慈悲に殴り蹴りをし続けた。流石ベリアルの息子。
「フゥンッ!! オラァ!」
ベリアルも2人に負けずに爪で引っ掻いたり、殴り続けた。
「トキハスペーサー! ハイザクラストッパー!!」
ジード、ベリアル、そしてアバドン以外の時間が止まる。
「ウツブシグラップラー! クチハラッシュ!!」
「ショウブストロング! シオンストライクラッシュ!!」
「「ベリベリベリベリベリベリィッッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ! ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ!
止まった時間の中、アバドンはトレギアを殴り、蹴り飛ばした。
「そして時は動き出す」
時間が動き出した瞬間、トレギアにダメージがフィードバックされた。
「叔父さん凄い……!」
「やるなぁ〜お前。あんなにやったんだ。そろそろ終わらせてやろうぜ」
「まだまだ!!」
そう言って、アバドンの分身はさらにフォームチェンジした。
「叔父さんはじっくりとやるの好きだね」
「まぁいいじゃないか。俺も痛みつけられる相手を見るのが面白いからな」
ベリアルは完全にこの状況を楽しんでいた。
「シュアンマイティ!」
「グンジョウアクア!」
「シンペキウィンド!」
「ショウブストロング!」
「ヒャアハハハハハ!! シッコクジェノサイダー!!!!」
「叔父さん怖っ……」
「流石俺の弟だな!」
完全にこの兄は楽しんでいる。愉悦部。
「……んで、本体は『ロストワンズウィーピング』さ」
「……父さんにはできないことをやってのける叔父さん。そこに痺れる憧れる〜!」
「俺は?」
「ごめんなさい……」
仲良く親子してる場合か。
「……さあ、決めるぜ!」
そう言って、アバドンたちは構えた。
「うぉぉぉおおおおお!!! レッキングバースト!!!」
「フゥゥンッ! デスシウム光線……! うぉああああああああああ!!!!!」
「アバディウム光線!!」
「コンペキスマッシュ!!」
「シンリョクスラッシャー!!」
「シオンストライク!!」
「ビンロウジバースト!!!!」
「はぁああああああ……! ロストアンブレラぁああああああ!!」
「ぐぅっ、あ゛ッ……!! こ、これが……ッ! 時空を超えた、家族の絆か……ッ!!」
トレギアは爆散した。
闘いは終わった。
地上に残ったギルジダーはヒカリとゾフィーにより(8割がたゾフィーがワンパンキル)消滅し、危機は去ったのだ。
「……終わったな。ふぅ……お疲れ様。みんな」
ヒカリはそう言い残し、龍海と分離した。
「世話になったな。龍海」
「ああ……ありがとう、ウルトラマン」
「またいつか、会おう。母艦にいる奴らに残りを任せて、俺たちは戻るぞ。ゾフィー」
「ああ。行こうか」
そう言い残し、ウルトラマン達は地球を去った。
ウルトラマンからメビウスまで。勿論ネオスとセブン21も例外ではない。
「この地球も……悪くなかったな」
ヒカリは小声でそう呟いた。
CETフツヌシチーム。
「おぉおおお!! チェストォ!」
脱退したリクの交代で入った青年が、慎太郎と組手をしていた。
「シャッ」
慎太郎のミドルキックが腹に深々と突き刺さり、肝臓を痛めつけた。
「かぅっ……」
「よくやったよお前」
「押忍……」
そして、宇宙。
「……ふぅ……」
ペンを置いて溜息を吐いたラピス。いつも通りの仕事し過ぎ癖である。
「無理はしないでもらいたいな」
ベムラー人の姿をとったジュウキチがホットココアを机に置いた。
「……ありがとう。今日の分以上はひと段落させたかったからね……でも……まだまだ仕事はあるよ……これでも光の国の警備員の1人でもあり、地球は世間を騒がす人でもある……重労働は慣れたもんさ」
ホットココアを飲みながらいつもの笑みを見せてそう言った。
「……まあな。壊れてもらっちゃ困る」
このどさくさに紛れ、フォスフォフィライトは独立国家を樹立していた。
今は遠い星で静かに統治しているらしい。
その後始末等がラピスに向かっているのである。
「……でも、ボクは気にしてなんかないよ。U40の大統領とか……まぁ、時々地球と光の国には帰るようにしているよ。そっちでもやることはあるし……次のターゲットの宝石も見つけた。フォス兄さんから始末届をめっちゃ貰うからずっとペンを動かしてるけどね……」
苦笑をしながらも少し幸せそうにも見えた。
「……幸せそうでよかったよ、ラピス」
「……君の側にいれるだけでも幸せだからね♪」
おうおう、相も変わらずおあついこって。
このバカップルはいつまでもバカップルであった。
「あ、やべ……そろそろ会議だ……」
でも仕事真面目なのは変わらないラピス。言ってしまえば、疲労のせいか目の光がない。
「今日は休め」
「え、でも……会議があるし……」
「もう休む旨伝えたんだ、はよ休め」
……前言撤回。
やはりコイツら、ただの馬鹿だ。
そして、アバドンであるが。
「……旅に出るよ」
そう言い残し、また旅立つ事にしたようだ。
時間を超え、世界線を超え、彼は一体どこへやら。
兄と甥っ子と竹馬の友を数名引き連れて、今日もまた慎太郎は、アバドンは世界を旅するのであった。