ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
ヘスティア様に見送られ、ダンジョンに向かったわたくしは別の階層に存在するわたくし達の影を経由する事でゴライアスが生み出されるルームへと直行いたしました。幸い、ゴライアスはいらっしゃらなかったので何事もなく通過できました。もっとも、ゴライアスが湧く時間はしっかりと把握してわたくし達が常駐して狩り続けているので当然ですが……
ルームにある下り坂を下りて十八階層に踏む込みますと、明らかな異変がありますの。
周りを確認してみると、十八階層の奥の方からリリの気配がしますわね。それにわたくしであって完全なわたくしではないグレイの気配もしますから、目標はこちらでしょう。
「さぁ、狩りを始めますわよ、わたくし達!」
「「「きひひ」」」
全力で駆け抜けると崖が見えてきましたので躊躇する事なく飛び降ります。飛び降りた先には森林が広がっておりますので、身体を回転させたり、木々を掴んでこちらも回転して勢いを殺して枝の上に着地したりします。
『アサシン、行きなさい。他のわたくし達はアサシンの情報を基にして包囲いたしますわ』
『護衛はどうしますの?』
『
確かにここで死ぬわけにはいきませんが、
『次の
『了解しましたわ。ですが、何人かのわたくしを護衛として配置するべきだと進言いたしますわ。何も時間を沢山保持しているルーラーをみすみす殺させるのは愚の骨頂ですもの』
『その通りですわね。では、シールダーを用意するという事で……』
『盾を持っても動けませんわよ。わたくし達は非力ですもの』
『肉盾ですの?』
『肉盾ですわね』
『つまりリリが居ればよろしいのですわね』
そもそも、前衛はリリの役目ですからね。リリは前衛……タンク兼アタッカーです。わたくし達が持てる盾ではわたくし達のレベル滞では脆くて使えませんが、リリであれば重量が馬鹿みたいに重いのも使えますから。
『やっぱりシールダーってコスト的に要らなくありませんか?』
『後輩キャラはそれだけで萌えますのよ?』
『先輩!』
『目隠れ盾少女は置いておいて、シールダーは却下します。ただ護衛としておと……殿要因は必要ですわね。誰がやりますか?』
くるみねっとわーくを通して聞いてみると、誰も返事をしません。流石はわたくし達。誰も好き好んでやりたくはありませんわね。わたくしだって嫌ですもの。
『……仕方がありませんので、ルーラー権限で新しいわたくしを作りましょう』
『意義なしですわ』
『同意しますの』
『きひひ』
『こちらアサシン。目標を発見しましたわ』
『了解いたしました』
そんなこんなをしながら森の中を駆け抜けていると、アサシンから連絡が来ましたので彼女の情報をくるみねっとわーくを通してインストールして行動を起こします。
「きひひ、ひひひひひひひ!」
森の中を進んで行き、アサシンの近くに到着して少し離れた場所を覗き込みますの。そこには誰かが立っていらしゃいますわね。その人は特徴的な笑い声をあげながらその場に居るロキ・ファミリアの皆さんへと振り向かれました。
◇◇◇ グレイ
「きひひ、ひひひひひひひ!」
十八階層の道を進んでいると、先にある坂道を登り切った場所に立ちながら怪しげな気配を放っている少女を見つけた。
「!!」
「あれは……」
「冒険者……違うな……それにあの笑い方に声は……」
その少女は濡れ羽色のような綺麗な髪の毛を左右非対称のツインテールに括り、赤と黒を基調としたドレスを身に纏っている。その姿は私にはとても見覚えがある。ここに居るロキ・ファミリアの方々も何処か見覚えがあるはずです。
「クルミさんと似ている姿……もしかして、お姉さんなんでしょうか?」
「うふふ……面白いですわねェ。本当に、この世界はァ。霊力……いいえ、魔力? とにかく力が詰まったごちそうがこぉんなに沢山……それにどうやらわたくしを知っていらっしゃるご様子ですわね」
「ごちそうだと?」
「ああ、ああ、申し遅れましたわね。わたくしは時崎狂三……貴方がたが最後に出会った精霊──ということになりますわねェ?」
そう。相手はオリジナル。本当の意味でのオリジナル。大人のわたくしこと、時崎狂三。その本人の可能性があります。急いでルーラーに知らせようと思いますが、通達は出来ません。
「──精霊? それにその姿と名前は……」
「あぁ……貴女達ですのね? わたくし達と似た、異界の存在は。貴女達に惹かれて、わたくしはここまで来てしまいましたのよ? そう、貴女達がとっても
時崎狂三が魔力を放出すると、
「力の発現とともに、
「フィン!! この女は──!」
「──わかっている! クルミと同じ名前だが、彼女じゃない! 総員、戦闘準備! 彼女を
全力で加速して飛び出そうとした瞬間、声が聞こえました。
『邪魔ですわ。下がりなさい。死にたいのでしたら構いませんわよ』
次の瞬間。差し出しかけていた足を思いっきり地面に突きさして土を削りながらブレーキを行う。同時に武器を手放して飛び退りながら私と同じく飛び出そうとしていたティオネさんとティオナさんの腕を掴んで一緒に下がります。後、ついでにベートさんも蹴り飛ばして下げます。
「わっ!?」
「ちょっ!?」
「なにしやがっ!?」
「伏せろぉぉぉぉぉぉっ! 」
「きひ?」
こちらが下がったタイミングでフィンさんが折れた指を押さえながら、指示を出しつつ皆さんを押し倒して地面に伏せます。他の人もフィンさんの指示に従って皆さんが伏せます。
次の瞬間、複数の方面から飛来した銀色と金色の螺旋がお母様の偽物へと殺到し、その周囲が纏めて極大の爆発を巻き起こします。
神の力の奔流によって私達はまとめて吹き飛ばされ、頭や身体を打ちながら転がってようやく止まったのは階層の壁でした。
「なにが……」
えぐれたり、折れたりした木々や土砂を退かして視界を回復すると地獄のような光景が写り込んでいました。
「なに、これ……」
地面が消し飛び、複数の階層が纏めて消滅したかのような巨大な、それはもう巨大な穴が出現していました。階層の半分くらいもありそうだ巨大な穴は底が見えません。何より恐ろしいのは今だに中心部でアポロンの炎であろう球体はくすぶっていることです。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──! 」
「あれ、クルミだよね?」
「何をやっているんだ!」
「グレイ、どうなっている?」
「わかりませんが……」
空に浮かぶ無数の私達は全力でオリオンの矢で作った術式に弾丸としてアポロンの炎を使った物をこれでもかというほど叩き込んでいます。
「私達、どうなっているのですか?」
『初手で全力ぶっぱしただけですの。お気になさらないで撤退してくださいまし。偽物の相手はこちらで……』
私達がそういった瞬間。
【三周目。エルフの喫茶店】
「で、どうだったんですの? 詳しくは聞いていませんでしたし、教えてくださいまし。何せ見るまでも無くヤバイ感じでしたので、
エルフのお店にある二階のテラス席。そこに座るママの膝の上にわたくしは座っておりますの。後ろから抱きしめられる感じなので、本来なら気持ちいいのですが……そんな事を考えられません。
「失敗しましたよ……多分討伐できてはいたと思いますが……」
「まあ、オラリオが消滅したのはどうでもいいのですが、士道さんが死んだら意味がありませんわよ」
「ごめんなしゃい……」
ママに頬っぺたをぐにぐにされながら叱られます。まあ、無理もありませんわ。
私とママは地上に居たので即座に時間を巻き戻して逃げましたが、恐らく世界は滅んだ可能性があります。最低でもオラリオのあった大陸は消し飛んだでしょう。
「初手に最大火力のぶっぱは格上との戦闘では基本戦術ではありますが、場所がわるかったです」
「それが理解できたならtake3とまいりますわよ」
「はい、ママ」
結果だけいうと三周目も殺せませんでした。火力が、火力が足りなかったのです……いえ、言ってみたかっただけですの。火力は足りておりましたが、その火力を出すとオラリオが滅んでしまうので意味がないです。
中途半端な火力じゃ殺しきれませんし、かと言って殺しきれる火力では
これぞ八方塞がりという奴ですわね。いえ、八方ではありません。あくまでも火力でゴリ押しするのが出来ないというだけですしね。
まだわたくし達には次善策のベルさんによる封印があります。こちらに関してベルさんがアイズさんを封印するだけではリリにシフトされるだけだと思われます。ですので、わたくしもリリとデートをして頑張ってみようと思います。
「と、いう訳でデートしましょう」
「いや、どういうわけですか?」
別のわたくしが封印の指輪を作る為に
「遊んでいる暇はありませんよ。指輪を作らないといけませんし……」
「それならわたくし達だけで問題ありませんわ。明日には予備も含めて五組はできていますわ」
「いや、そんなはずは……」
「わたくしがリリに嘘をついたことがありますか?」
「あるような、ないような……」
「まあ、問題はありませんので二人だけでデートしますわよ」
「……デートですか」
「はい、デートですの」
リリが至近距離からわたくしの瞳を覗き込んできます。可愛らしいリリの顔が近くて少しドキっとしますわね。
「ああ、なるほど。つまりアイズさんと同じくリリも反転してオラリオを滅ぼすんですね」
「な、なんのことでしょう?」
「このタイミングでクルミ様がリリをデートに誘うのですから、まるわかりです。リリも精霊を取り込んでいるんですからね。と、いうかクルミ様も危ないですよね?」
「わたくしはヘスティア様のおかげで状態異常が無効になりましたので問題ありませんわ」
「……ヘスティア、様ですか」
「はい」
「ああ、つまりクルミ様は戻ってこられたんですね」
「なんでわかって……」
「ああ、やっぱりですか。時間を操れるクルミ様でしたら可能だと思っていました」
誘導尋問に引っかかってしまいましたわね。まあ、別にバレても問題は……普通ならありますが、わたくし達は過去と未来のわたくし達で上書きしておりますのでママと違って制約はありません。まあ、あくまでもわたくしが過去に戻った場合に限りますけどね。
「秘密ですわよ。色々と制約はありますから」
「わかっていますよ。それよりもデートですか……」
「はい、デートです。何処から行きましょうか?」
「いや、それ以前にリリは女なのですが、相手はベル様ではなくてクルミ様ですか?」
「当たり前ではありませんか。リリはわたくしのですわ。ええ、誰にも渡しません」
リリの頬に手をあててから顎にやり、持ち上げて互いの顔を見詰めます。やってみましたが、顔が赤くなってきますね。
「そういえばクルミ様は女の人が好きで、リリはクルミ様の愛人でしたね。わかりました。デートをしましょう。ですが、果たしてリリが心の底からクルミ様を受け入れていると思いますか?」
「え?」
「え? ではありません。今までどれだけ、どれだけリリの事を好き勝手にしてきたか覚えていますか?」
「そんな事は……」
「火で焙って強制的に筋トレさせたり、無理矢理ジャガーノートと戦わされたりしました。即死しなければ手足の再生だってできるからって危険な戦いを強制させられてきたんです。これで好きになるとでも?」
「あっ、アレはリリだってノリノリに……」
「ノリノリにならないと死ぬからですが、何か!」
思わず後退ると、今度はリリの方が詰め寄ってきて壁ドンをされかえされ、ドキリとしました。
「だいたいクルミ様はいくら死んでも代わりの自分が居るからって、毎回毎回無茶ばかりして何を考えているんですか!」
「ご、ごめんなさい……」
「こうなれば言わせてもらいますが……」
リリに色々と言われてへこんでいきますの。
「はぁ~まあ、いいです。それよりもこれからの事です。リリとデートするんですよね?」
「でも、リリが心を開いてくれないと無駄ですわ」
「それならリリの鬱憤を晴らさせてくれたらいいですよ。デートの内容と行き先はリリに任せてくれますよね?」
「まあ、構いませんが……」
ニヤリと笑ったリリがわたくしの手を掴んである場所に連れていかれました。
「あ、あの、リリさん……? ここは……?」
「歓楽街の部屋ですね」
はい。連れてこられたのは歓楽街にある宿屋でした。そこにはベッド以外にも色々とヤバイのが色々とあります。
「じゃあ、脱いでください」
「え、あの、リリ、さん……? なんで鞭なんて持って……」
「リリが可愛がられた分、今度はクルミ様をリリが可愛いがってあげますね♪」
「ひぃっ!?」
片手に鞭を持ち、もう片方の手に金色の炎を灯したリリの顔が薄暗い部屋の中、不気味に迫ってきました。
「ふぅ。スッキリしました」
「汚されてしまいましたわ。責任、取ってくださいまし。それと覚えておきなさい……ふふふ」
左手薬指に指輪を嵌めたリリが拘束されたわたくしの身体をくすぐってきます。その時にパリパリとした物が取れていきます。ちなみに本番はしていません。ただわたくしの身体がリリに弄ばれただけなのです。
「もっとお尻を叩いてあげましょうか?」
「やめなさい。と、いうかもうさせてあげませんからね! 反撃しますわ! ええ、しますとも! わたくし達!」
「あ、ちょっ!?」
「すでに指輪を嵌めた今、もはやリリの言う事を聞く必要はありませんからね! 全身をくすぐり返してやりますの!」
「数人がかりとか反則ですよ!」
「良いではないか、良いではないか~!」
複数のわたくし達でリリを押さえつけて身体を揉んだり、くすぐってやります。二人でくんずほぐれつ遊んだ後、一緒にお風呂に入って洗いっこしました。
後、次の機会があればリリに問答無用に指輪を嵌めてキスしてやります。リリはあんなことを言っていましたが、よくよく考えるとおかしなこともあったので、くすぐっている時に普通に受け入れていました。ただわたくしで遊びたかっただけだと白状したので問題ないでしょう。
|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?
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豊穣の女主人
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その他(タケ、此花亭)