私が無様に殺されるまでのものがたり、開幕(続かない

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スマホ書き不慣れのため1字下げとかできておりませぬ、申し訳なく。ちょろっとした小ネタとして暇つぶしになれば幸い


鬼滅ボツネタ

鬼滅の刃。50年以上の歴史を誇る人気漫画雑誌に掲載されていた、これまた人気を博した作品である。連載当初から読んでいたものの、社会現象のようなブームにまで発展したことには驚いたものだ。

 

しかし何故か私は今、その作品を読む側でなく……作品の舞台の中で生きる1人として存在している。

自分が生きた時代の過去ではない。何故なら私は既に実体験として鬼の存在も鬼殺隊の存在も確認しているからだ。……襲われて、その上で助けられたからな。

 

なぜ自分が死んだのかも、なぜこの世界に生まれ落ちたのかも覚えてはいない。鬼に襲われて走馬灯のように前世を含めた記憶が蘇るまで自分が別の人間として生きていたことすら忘れていたのだから当たり前だ。……きっとそこに、意味などないのだろう。理解する気にもなれない超常現象を考察するほど、私は学者肌でも探求者でもない。

 

まあ新たな記憶が脳に甦ったところで、それを証明する物は何一つないのだ。単に私が生死の狭間で狂っただけかもしれない。

それに知ったところで何が出来る?私はこの世界の片隅で生きる商家の娘。特別な力などありはしない。

 

耳を塞ぎ目を閉じて口を噤み、ただ終わりが来るまで生きていれば良い。その終わりが穏やかなものであると願いながら。

 

不確かな記憶にだけあるあの鬼の大将のセリフは、なかなか頷ける。

鬼。あんなものは災害だ。

遭遇しないよう祈りながら身を縮めて生きていくしかないのだ、普通の人間は。

 

助けてくれた隊士には感謝するが、あんなものに立ち向かえる人間は確かに異常者である。尊敬はするが共感はできない。

 

私も家族を殺されたら意識が変わるのか?

そうも考えたが、箒で店の前を掃きながら静かに首を横に振った。子供が首をかしげながら私を見て前の道を通り過ぎてゆく。

 

悔しかろう、憎かろう、悲しかろう、恐ろしかろう。

だが立ち向かうまでの一線は越えられないと、震える体を抱きしめて思う。

私は死ぬのが怖いのだ。自分が痛くて苦しむのが嫌なのだ。

 

だから私は助けられた命を握りながら、この世界の片隅で祈りながら生きてゆくしかないのだ。己の惨めさを嘆き、しかし誇りながら。

ああ、醜く無様だが私は異常者ではない!

 

誇り高き英雄たる異常者が鬼の大将を殺すまで、 私は自分の狂った記憶に蓋をして生きてゆく。

私が話さなければ誰も知らない、この世界がたどる結末を。

 

なのに、何故

「なんだ、この記憶は。……この不愉快でおぞましい映像は!!!!」

たった今私を殺した男が怒り狂って喚いている。殺されたのになぜ思考ができているのか?分かるはずがない。これもまた考える気にもならない超常の現象だ。

 

ただひとつ理解する。「ああ、この世界の鬼殺隊は全て殺されてしまうかもしれない。炭治郎はかてないかもしれない」

何故なら鬼滅の刃という作品の結末までの情報が、私の血を介して鬼舞辻無惨に流れ込んだからだ。笑ってしまう。

 

しかしもう一度死んでゆく私には関係ないこと……

関係ない……

…………馬鹿な!馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!!!

そんなことが認めらるか!!!!!

 

私は私が死ぬことを許さない。何故死ななければならない。私は異常者ではないが普通の人間だ。普通の人間はこの理不尽に怒るのだ嘆くのだ憤るのだ!!

苦しいのは嫌だ終わった先に何があるのか怖い。本来ならずっと先に老いて迎えるべきだった恐怖。

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい痛い痛い痛い!!!

考える間もなく死に耐えればこのように思考する時間も無かっただろうに!!

もうやめてくれ、痛い。苦しい、狂う!

熱く滾る志向の波が全て怒りに変換されていく。

 

「鬼舞辻、無惨んんんんんんんんんんんんんんあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

「!!」

悪鬼のような形相で、真の悪鬼に飛びかかる。

?私は今どんな姿で動いている。なぜ動ける。首を切られたはずだ。なぜ叫べる。

 

思考はそこで途切れる。

次目覚めた時、私は鬼舞辻無惨になっていた。

 

※転生の祝福(呪い)

対象者が直前まで読んでいた作品の能力をランダムに付与。死の間際1度だけ発動する。

発動されたのは【転生したらスライムだった件】のリムル=テンペストが有していた暴食者【グラトニー】

 

何故こうなった何故こなった。精神は発狂しては正常になるを繰り返す。

私であった思考と鬼舞辻無惨の思考が混ざりあっている。私は誰だ。

だが確実にわかることはある。このまま手をこまねいていては、私はただ殺される!!鬼舞辻無惨の重ねた業までもこの身に取り込んだのだから!

 

いやだ、死にたくない。もとから持っていた感情に鬼舞辻無惨の持ち合わせていたそれが加わりより強烈な死に対する拒絶反応をみせている。

 

鬼殺隊だけではない。もし鬼舞辻無惨の中身が取るにならない羽虫だと鬼たちに知られたらどうする?私なら謀反する。命を握っている相手をむざむざ放逐するなど馬鹿げている。

 

太陽を克服することを諦め部下たちの前から姿を消し、静かに潜み生きてゆけばいい事だろう。

だが、ああ、忌々しい!!私に取り込まれたくせに、鬼舞辻無惨の思考が!浅ましい生存本能が!さらに惨めな私の思考と結びついて離れない!

今の私はいったい誰だ!!

 

私は生きたい。死にたくない。

ならばこの蓋をしてきた記憶を便りに私が鬼殺隊を殺し尽くさねばならないのか。いやしかしはるか未来で青い彼岸花を奴らの子孫が完成させて……

 

駄目だ。能力と感情は取り込んだのに頭の悪さがそのままだ!なんてことだ。私はこのまま頭の悪い自分の思考回路だけで生きる道を探さねばならないのか?

クソが!!!!

 

これは私が鬼舞辻無惨として殺されるまでの、ただただ無様な物語である。

 

 

タイトル【鬼舞辻無様のものがたり】

 

無様「なに、失敗?……(思考は読めるけどうまく殺せるか分からないな。この体の使い方まだようわからん。あと多分こいつの方が私より頭いい)……次回への構想と改善点をまとめて提出しろ。及第点でなければ殺す(いい方法考えてくれ〜!鬼殺隊強いんじゃー!たのむー!)」

 

 


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