書記長が行く第四次聖杯戦争   作:ガチタン愛好者

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第18話~その後~

スターリンが聖杯を消し飛ばした後、聖杯戦争は自然と終結した。何せ目指していた聖杯が失われた以上続ける理由がない。

 

「平和だなぁ」

 

雁夜は呟く。聖杯戦争が終わった後は汚染され切った聖杯をこれ以上使うわけにはいかないということで聖杯は魔術協会監視のもと解体された。つまり冬木においてこれ以降聖杯戦争が起こることはない。

 

「そう思わないか?ロード・エルメロイ…………二世だっけ?カッコいい名前になったな。ウェイバー・ベルベット」

 

「くっ…………からかう暇があるならさっさと胃薬をよこせ!」

 

スターリンの根回しもあってすんなりと桜を受け入れてくれたウェイバー・ベルベット。今ではケイネスの後を継いでロード・エルメロイ二世を名乗っている。そんな彼が何故胃薬の世話になっているのかというと

 

「流石にあいつらを相手取るのは死ねる。逃げたい……………」

 

「でも逃げないんだろ?バカ真面目な奴め」

 

「逃げられんよ。王との約束………だ…………ゴフッ」

 

咳き込むロード・エルメロイ。無理もない。虚数という貴重な属性を持つ桜をその力を制御させる術を教えながら、封印指定して監禁、保存したがる魔術協会から桜を守っている。普段の業務に加えてだ。

 

「はいはい、これでも桜を受け入れて安全な生活を送らせて貰っていることには感謝してるんだ。ほれっ」

 

「ありがとう」

 

薬は人によって合う合わないがあり、彼が愛用しているのは日本の胃薬。故にこうして定期的に雁夜に持ってきて貰っている。雁夜は桜の様子を確認するついでなので喜んでこの役割を受けている。

 

「桜もどんどん成長しているな。あんなことが出来るとはな」

 

今回桜と会った際には満面の笑みでよく分からないヒトガタを見せてくれた。虚数魔術で産み出した使い魔的なモノだそうな。

 

「正直虚数属性は実例が少なくて苦労している。暴走させないことを最優先で色々教えている」

 

「過ぎた力は滅びを生むからな」

 

「あの書記長の言葉か………」

 

今後ある程度力がついたら桜を日本へ返す予定だ。魔術協会の監視付きとはいえ普通の平凡な暮らしを送らせたいと雁夜が望んだからだ。魔術協会はその申し出に最初はふざけるなと反発したが、聖杯が汚染されていることに気がついていなかったことに加えて、聖杯戦争の生き残りということで雁夜を無視できない魔術協会は監視付きという条件で認めた。

 

「これでハッピーエンドなのかね?」

 

「君がそう思うのならそうなのだろう。さあ用が済んだならさっさと帰れ。ここは君のような人間が長居していい場所じゃない」

 

「そうだな」

 

ロード・エルメロイの招待という形でここ、時計塔に入れる雁夜だが魔術が使えない以上居心地は最悪だ。

 

「じゃあまたな」

 

「ああ」

 

ロード・エルメロイの教室を後にする雁夜。彼は時計塔に行くために海外へ赴いた時は帰りにいつも立ち寄る場所がある。空港へ向かい彼がそこから向かった場所は………

 

 

 

「お久しぶりです。同志書記長」

 

彼が向かったのは赤い壁の前。現ロシア連邦にあるレーニン廟のすぐそば。クレムリンの壁の一部に存在するヨシフ・スターリンの墓だ。魔術協会の人に聞いた話だと座に戻った英霊は記憶がリセットされるらしく、おそらくここに眠るスターリンは雁夜のことも、桜のことも知らない。それでも雁夜は時計塔の帰りにわざわざロシアのここに立ち寄って日本へ帰る。

 

「桜はすくすくと育ってます。今回行ったときは自慢げに魔術を見せてくれました。ちゃんと制御できている様です」

 

何せ彼が召喚に応じていなければ、今雁夜はここに立っていない。桜も普通に生きていない。自己満足だとはいえこうして毎回雁夜はスターリンに近況報告をする。

 

「ではまた」

 

挨拶を終えた雁夜は帰りの飛行機で考える。

 

「俺は一度死んだからといってあんな行動がとれるだろうか?」

 

脳裏に焼き付くのは自分を逃がし我が身を犠牲にして多くの命を救った鋼鉄の男の姿。ここからは想像だが現実に被害を及ぼさぬ様に聖杯を破壊し尽くすそのときまで彼は生きて結界を維持したのだろう。膨大な熱線と放射能に晒されながら。

 

「そんなことが出来るあなたは紛れもない英雄だった」

 

ヨシフ・スターリン。数千万の人命を奪った独裁者は様々な評価をされている。しかし、誰が何と言おうと雁夜にとってはこの世の誰よりも偉大な英雄であった。

 

 

 




これにて完結です。ここまでの後愛読ありがとうございました。
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