ただ一言だけ伝えたい。


  ──ありがとう。



※pixivとマルチ投稿しています。


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星の彼方へ

 

 ただ一言だけ伝えたい。

 

 

 ──ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

☆────────☆

 

 

 

 

 穢れを許さぬ潔癖の城は、何もかもをまっさらに染め上げる。

 

 白いシーツ、白い壁、白い明かり。もはや人間味すら感じられないこの空間は、長年の僕の居場所だった。

 いつも僕以外は誰もいない個室。物音ひとつしない室内。でも、たまには学校のクラスメイトと名乗る人が来ることもあったし、家族は頻繁に様子を見に来てくれる。主治医や看護師のみんなも優しい。同じように入院してる子どもたちもみんないい子ばかりで、その中には、僕よりももっと重い病気に罹ってる子たちだっていた。

 それなのに、毎日を笑顔で一生懸命生きて。今日も明日も、そして明後日も。同じように未来へと続いていくと信じてる。

 

 だから僕は弱気なところを見せてはならない。苦しいのもつらいのも、僕だけじゃない。

 

 

『──』

『大丈夫だよ、母さん。そんな心配そうな顔しないで』

 

 

 今は母さんが様子を見に来てくれていた。両親は共働きだが、仕事の合間を縫ってこうして様子を見に来てくれる。

 僕は、母さんや父さんが見舞いに来てくれるのを嬉しいと思うと同時に、申し訳なさを感じていた。何故こんな病気に罹ってしまったのか。それはただの偶然だったのかもしれないし、そもそもの運命だったのかもしれない。

 

 

『……ふう』

 

 

 病室から母さんが退室したのを確認し、小さく息をつく。最後に母さんがちらと不安そうに振り返ったときに、しっかりと笑顔で応えた。

 

 だから、大丈夫。

 

 

 母さんが退室して回診の時間になる。それと同時に、老齢の主治医と複数の看護師が僕の病室に入ってきた。

 

 この主治医とは長い付き合いだ。小学生の頃からお世話になっている人で、僕の病状を誰よりも把握している。その頃はただ通院するだけでなんとか毎日を過ごせていた。

 しかし、中学生である今となっては入院しなければならないほどに病気が進行していて、僕はベッドで安静にする状態が続いていた。

 

 

『はい、大丈夫ですよ』

 

 

 僕は笑って答える。

 

 それに対してこの主治医は、悲しそうな笑みを浮かべる。彼ら彼女らは専門家だ。僕が無理して笑ってるなんてこと、とっくの前にお見通しなのだろう。

 廊下を少し歩いただけで軽く息切れすることもあるし、激しい胸の痛みが襲うこともある。でも、それはどうすることもできないものだ。

 

 僕は生まれつき体が──心臓が弱かった。

 

 初めにその異変に気付いたのは小学校低学年頃。確か体育の授業だっただろうか。準備運動して軽く校庭を走るだけ、だったはず。それなのに僕は、一周もしないうちに胸に激しい痛みを覚えた。

 救急車を呼ばれて病院に行って、すぐに検査された。その結果が心臓病の一種、しかも難病を患っているというものだなんて、当時の僕にはよく理解できなかった。

 でも、今になってみれば分かる。それなりに知識もついてきたのだから。僕の体がどういう状態なのかは、自分がよく知ってる。

 

 

『はい、いつもありがとうございます』

 

 

 診察が終わり頭を下げる。するとやっぱり、主治医も看護師もみんな悲痛な顔をする。

 

 どうか、そんな顔はしないでほしい。

 

 

 

 ……

 

 

 

 ……

 

 

 

 彼らが去っていった。これで今日もまた、暇な一日が始まる。

 

 僕はそっと病室のベッドから降りる。そしてゆっくりと、数歩ずつ歩みを進める。心臓に負担がかからないように、ゆっくりと。

 

 何もすることのない僕の唯一の習慣。それが散歩だった。

 

 こんな体でできることなんてたかが知れていて、将来の夢も希望もない。でも、せめて生きることは諦めたくなかった。こうして地に足をつけて歩くことで、生を実感したかった。

 靴に履き替え建物から出ると、少しだけむわっとした暑さを感じる。

 春も終わりが近づいてきたこの時期。桜が散って、燦々(さんさん)と太陽の光が照りつける夏がやってくる。

 

 世間では、夏にはいろいろなことをやるという。学校でプールの授業が始まったり、海に海水浴に行ったり。日が伸びるため、一日中くたくたになるまで遊ぶのだとか。他にもキャンプに行ってバーベキューしたり、夏祭りで花火を見たりすることもあるそうだ。

 

 

 中庭に出る。

 車椅子を看護師に押してもらって外の光を浴びる人や、松葉杖をつきながらもしっかりと自分の足で歩く人。三者三様だった。

 

 

『……』

 

 

 木漏れ日の下、ベンチに座った。

 

 これから来るであろう、夏を予感させる太陽が空にはあった。その眩しさから目を隠すように、手を掲げる。

 

 しばらく景色をぼうっと眺める。美しく整理された花壇や、小さな噴水。この箱庭の中で、少しでも景観を楽しめるようにと整備されたものだ。

 でもそれらは、結局は人工物。自然のものではない。自然なものと言ったら、空の太陽くらいのものだった。

 

 

『──』

『……?』

 

 

 そうして空を眺めていると、かすかに何かの音が聞こえた。

 

 

『ぁ……ぁの』

 

 

 中庭のベンチに腰掛ける僕に、小さく蚊の鳴くような声が届く。顔を下ろせば、そこには一人の、患者衣に身を包んだ女の子がいた。

 

 

『あの……えと……』

 

 

 ──トクン。

 

 彼女の全貌を見た瞬間。

 胸が高鳴った。

 

 長い金髪は、太陽の明るい光に照らされ輝いていて。パッチリとした大きな瞳と整った顔立ちは、とても可愛らしくて。かすかに漂う甘い香りは、女の子特有の色気を含んでいて。

 

 夏の兆しを感じる風が、彼女の髪を揺らす。手で髪を軽く抑える仕草が、何故か印象に残った。

 

 僕は一瞬で、彼女をつくるその全てに心を奪われた。

 

 

『……』

 

 

 数舜の間、見惚れていた。

 それほどまでに、彼女の存在が僕の心を強く打った。

 

 

『……どう、しました?』

『え……! あ、あの……』

 

 

 しかし、なんとか平静を装いながら言葉を発する。

 すると、彼女はあたふたとし始めた。見た感じ、僕と同じくらいの年。つまり、中学生くらいだと感じた。

 

 

『じ、実は……道に、迷ってしまいまして』

『……え?』

 

 

 恥ずかしそうに、頬を赤らめながら彼女は言った。もじもじと、指をすり合わせる。

 

 

『それで、あの……あなたに、道をお訊きしたくて』

『……そうなんですか』

 

 

 彼女は患者衣に身を包んでいる。入院したての患者だろうか。

 

 勝手が分からないのならば、看護師に付き添ってもらう方が賢明だと思ったけど、人にはそれぞれ事情がある。だから、深くは訊かないことにした。

 話を聞いてみると、購買の場所を知りたいと言った。病院内には、患者がいつでも利用できる売店が備わっている。

 

 

『一緒に行きましょうか?』

『あ、ありがとうございます!』

 

 

 嬉しそうに顔を綻ばせながら彼女は頭を下げた。

 そんなにかしこまられると、こちらが困る。

 

 彼女と隣り合って、院内に戻る。この病院はもはや僕の家のようなもので、院内はほとんど把握していた。

 彼女は不安そうにきょろきょろと見回す。まるで迷路にでも迷い込んでしまったかのようだった。確かにこの病院は広く、僕も初めは自分の病室の場所を覚えるのにすら苦労した。

 

 無言で歩くのは気まずかったため、何か会話のきっかけを作るために尋ねる。

 

 

『あの……失礼ですけど、年はいくつですか?』

『え……アタシですか? えっと──』

 

 

 すると、自分の予想通りの返答が帰ってきた。

 彼女は、僕と同じ年齢だった。

 

 

『それじゃあ、僕と同じですね』

『え!?』

 

 

 彼女は手を口に当て、ひどく驚いたように目を見開いた。そして彼女は、そんな自分の行動を失礼だと思ったのか、また慌てたように身振り手振りをして『あ、ち、違うんです』と焦りながら言った。

 

 

『てっきり、もっと年上の人だと思ってました』

『それはまた、どうして?』

『だって……すごく、落ち着いた雰囲気をしていたので』

 

 

 彼女の眼にはそう映ったらしい。実を言うと彼女だけじゃない。病院内の知り合いは、みなが口々にそう言う。まだ子どもなのに落ち着いていて立派だと、よく言われる。

 

 

『……ここですね、着きましたよ』

 

 

 売店までやってきた。お菓子や雑誌。世間でいう、コンビニに属するものらしい。僕はあまり利用したことはないけど、いい暇つぶしになるのだと聞いたことがある。

 隣の彼女を見れば、瞳を輝かせながら店内を覗いている。ここで僕の役目を終わりだろうか。

 

 そう思っていると、彼女がポツリと呟いた。

 

 

『……本当は、ちょっと不安だったんです。年の近い人も見当たらなくて』

『……』

 

 

 確かに、僕と同じくらいの年の人は見たことがない。ましてや、彼女とはぴったり同じ学年だった。

 ふと、彼女は『あっ』と何かを思い出したように口を開いた。

 

 

『そう言えば、アタシまだ名前を言ってませんでしたね』

 

 

 一度小さく咳払いし、佇まいを直した。僕と同じくらいの身長の彼女は、僕の目を真っすぐに見つめながら言った。

 

 

 

『──アタシは、天馬咲希(てんまさき)っていいます。よろしくね!』

 

 

 

 ──にっこりと笑った彼女。

 

 僕は初めて、恋というものを知った。

 

 

 

 

☆───────☆

 

 

 

 

 咲希と出逢ってから数ヶ月が経った。

 

 普段から話し相手がいない僕は、彼女とよく話すようになった。彼女は話せる友達が欲しいのだと言っていた。それがちょうど、僕だったというわけだ。彼女の言った通り、同年代の人との会話というものは、とても馴染みやすいものだった。

 

 初めは敬語だったり、ため口だったり、距離感が上手く掴めない感じだった。けれど、その頃にはもうお互いに砕けた口調で話せるようになった。

 

 

『アタシね、ピアノをやってたことがあるんだ』

『……ピアノ?』

『うん、お母さんがピアノの先生でね。お兄ちゃんと一緒に習ってたんだ』

 

 

 何気ない会話の中で、咲希はそう言った。

 

 どうやら兄がいるらしい。彼女が自分の家族のことを話すときは、とても温かい雰囲気に満ちていて、きっと仲の良い家族なんだろうなと思った。

 彼女は僕と同じように体が弱い。そして、日によって体調が良かったり悪かったりと、波が激しかったようだ。そんな彼女にとって、ピアノは家でもできる趣味みたいなものだった。

 

 

『ピアノかあ。僕は全然、音楽は分からないなあ』

『好きな曲とか、ないの?』

『うーん。ないかなあ』

 

 

 記憶の引き出しを開けてみても、それらしい曲は入っていない。印象に残るような何かがなかったのだろう。そう考えると、自分がひどく虚しい人間に思えてくる。中学生は思春期を迎える時期だと言われるけれど、今の自分がそこまで多感だとは思えない。

 

 何かに強く惹かれたりすることなんて……。

 

 

『……』

『……?』

 

 

 

 彼女は、黙り込んだ僕に首を傾げた。

 

 ……そうだ。

 僕は、目の前の彼女のことを。

 

 

『……咲希は、毎日ピアノの練習してたの?』

『あ、ううん。そんなことはないよ。体調がいいときは、友達と公園で遊んでたんだ』

 

 

 話題を変える。()()を伝えたところで、彼女を困らせるだけだろうから。

 

 彼女には一緒に遊ぶ友達がいるらしい。明るい性格の彼女のことだ、さぞ人気なんだろう。

 

 

『そうなんだ、羨ましいな。僕は友達がいないから』

 

 

 僕も友達が欲しかった。でも、それは無理な相談だった。

 

 こんな体の僕は、小学生の頃はとにかく学校を休みがちだったし、そんな僕と深く関わろうとする人はいなかった。

 ときどき病室に来るクラスの委員長と名乗る人も、普段から全く学校にいない僕のことなど、心の底ではどうでもいいと思っているだろう。

 でも、別にそれはその人が悪いわけではない。当たり前のことなのだ。

 

 

『……むー』

『……?』

 

 

 伏せていた視線を彼女に戻すと、何故かむくれていた。

 

 

『えっと……どうしたの?』

『どうしたの、じゃないよ!』

 

 

 僕は彼女が怒っている理由が分からなかった。何か、彼女を不快にさせることをしてしまったのだろうか。

 甘く睨むように、ほっぺたを丸く膨らませるのが、小動物の威嚇行為みたいで可愛くもあった。

 

 

 

『──友達ならいるでしょ! アタシが!』

『……あ……』

 

 

 

 ……そう、か。彼女は、それで怒ってたのか。

 

 僕は無意識の内に、彼女を"友達"としてではなく、"好きな人"と認識していた。

 

 初めて、恋した人。

 ずっと、そばにいたいと思える女の子。

 

 これからも笑顔を絶やさずにいてほしい、大切な人。

 

 

『はは……そうだね、ごめんね』

『もー』

 

 

 しょうがないなあ、とでも言いたげだった。

 そうやっておどける彼女の仕草に、胸がチクリと痛んだ。

 

 

 

 

☆──────☆

 

 

 

 

『ねえ、見て見て! これ、すっごく可愛くない?』

 

 

 咲希は僕の病室にしばしば遊びに来る。それは、その日も変わらなかった。

 

 

『これは……?』

『これはね、ネイルって言うんだよ!』

 

 

 雑誌を開いて僕に見せながら、彼女は楽しそうに話す。

 

 初めて会ったときに買っていたのはファッション雑誌のようで、彼女は他にもメイクやらおしゃれやらに興味があるようだった。下の売店で発売されるたびにチェックしているのだとか。

 

 

『女の子って、やっぱりそういうことに気をつかうの?』

『え、当たり前だよ!』

 

 

 どうやら、それが女の子の間の常識らしい。同世代の女の子なんて、僕は咲希しか知らない。

 彼女は瞳を輝かせながら、雑誌に載るモデルのファッションを『いいなー』と言って、ページをめくっていく。

 

 僕の隣に椅子を置いて、雑誌を見やすいように気を遣う彼女。肩同士が触れ合うくらい、彼女が近くに寄り添う。

 

 白い病室で、僕はずっと独りぼっちだった。だけど今は、彼女が傍にいる。

 ときどき、彼女の金色の髪から甘い香りがしてドキドキした。

 

 この距離感が、僕には心地よかった。

 

 

『あーあ。アタシもネイルしたいなー。ヘアアレンジとかもして。それに、可愛い服とかも着てみたい』

 

 

 彼女は唇を尖らせながら羨ましそうに話す。近頃の女の子らしく、背伸びをしたいのかもしれない。でも僕は、そんな必要ないと思った。

 

 だって。

 

 

 

『そのままでも、可愛いと思うよ』

『……え?』

『咲希は、可愛いと思うよ』

 

 

 

 何も着飾らなくたって。

 何も取り繕わなくたって。

 

 あどけない顔も、無邪気な顔も。ふわっと下ろされた長い髪も。素朴で味気のない患者衣だって。

 僕にとっては、今の彼女の姿が全てであり、愛おしいものだった。

 

 彼女はびっくりしたように固まっていたが、やがて言葉の意味を理解すると、顔を真っ赤にしながら俯き始めた。

 

 

『え、あ……うぅ』

 

 

 手を膝の上に置きながら、人差し指同士をちょこんと合わせる。こういうことを、言われ慣れていないのだろうか。彼女はこんなに可愛いのに。

 

 

『……ありが、とぅ』

 

 

 ぽしょぽしょと喋る彼女が、なんだか面白くて思わず笑ってしまった。

 

 

『ちょ、ちょっと! 笑わないでよ!』

 

 

 ぷくっと頬を膨らませる。

 

 どうやら、からかわれたと受け取ったらしい。僕は別にからかったつもりなんてなかった。純粋に、僕がずっと思っていたことを伝えただけだった。

 

 

『ごめんごめん。でも、嘘じゃないよ』

『えー。本当かなあ?』

 

 

 訝し気な様子。

 すると彼女は、ポケットから何かを取り出した。よく見ると、それはヘアゴムだった。

 

 

『じゃあ、ちょっと見比べてみて!』

 

 

 そう言って、雑誌に載ってる" ツーサイドアップ "という髪型にし始めた。あまり慣れていないようで、苦戦している。

 

『あれー、なんか変だなー』と呟きながら、近くに置いてある鏡を何度も確認する。

 

 そうして、なんとか雑誌に載っているような髪型になった。

 

 

『ほら、どう? こっちの方が可愛くない?』

『うーん……。確かにそれも可愛いけど、やっぱり髪を下ろしてる方が好きかなあ』

『むー』

 

 

 どうやら自分の努力が否定されたことに不貞腐れたようだ。

 不機嫌そうに、眉をひそめる。

 

 

『せっかく女の子が頑張っておしゃれしてるのに』

『あ……いや。そんなつもりじゃ……』

『……なーんてね』

 

 

 そう言って、茶目っ気たっぷりにウインクした。ちろっと小さく舌を出す彼女が、なんとも可愛かった。

 

 

『さっきのお返しっ』

 

 

 そう言われると、何も言えない。

 

 (はた)から見れば他愛もない時間。他愛もない会話。でもそれが、今の僕の日常になりつつあった。

 

 いつも独りだったこの病室。真っ白な室内。

 無機質だったこの空間は、彼女がいるだけでカラフルに彩られる。

 

 

『……はは』

『あー! また笑ってるー!』

 

 

 自然と頬が緩むのを、彼女にまた咎められた。

 

 きっと彼女は、気づいてないんだろうな。

 彼女がいるだけで、僕は幸せな気持ちで満たされているんだ。

 

 

 

 

☆─────☆

 

 

 

 

『ねえねえ。ちょっと、抜け出してみない?』

『え……でも』

 

 

 その話が出たのは、夏真っ盛りの時期。

 咲希は、屋上で星空を見たいと言った。

 

 確かに病院の屋上は、外出禁止の患者が外の空気を吸えるようにと、開放されている。

 しかし、今は夏だから星空が見えるのはかなり遅い時間帯になる。果たして、大丈夫だろうか。

 

 

『大丈夫! ちゃんと調べてあるから!』

 

 

 看護師が見回りに来るタイミングを把握したらしい。確かに僕も、ここで過ごし始めて結構な年月が経っている。だから、見つからないように抜け出すことはできる。

 

 そう思って、ベッドから出ようとしたとき。

 

 

 ──ドクン。

 

 

『っ……』

 

 

 ──胸がズキッと痛んだ。

 

 思わず、顔をしかめてしまう。

 

 

『あ……もしかして、嫌、だった……?』

『……いや、そんなことはないよ』

 

 

 彼女は僕の険しい顔を見て、落ち込んだ表情になった。その勘違いに、少しだけ感謝した。

 

 僕はすかさず仮面を貼り付けた。

 大丈夫。これくらいの痛みは、日常茶飯事だから。

 

 彼女に悲しそうな顔をさせてはならない。

 だから、僕は笑顔を貼り付ける。

 

 

『行こっか』

『あ……うん!』

 

 

 二人きりの、内緒の時間が始まる。

 

 足音を立てないように、そっと気配を殺しながら病室を出て階段を上る。エレベーターだと人目につく可能性があった。

 

 階段をゆっくりと昇る。ただそれだけの動作。

 だけど、胸の鼓動は加速度的に激しくなっていく。

 

 僕はそれを決して表には出さない。

 今までも、そしてこれからも。

 

 

『……誰もいない、かな?』

 

 

 彼女がこっそりと隠れながら屋上に続く扉を開ける。

 

 夜の病院の屋上。

 生温い風に乗って、夏の匂いが鼻腔を満たした。

 

 彼女と共に、開けた場所まで歩いていく。

 

 

『わぁ……!』

 

 

 ──空には幾千、幾万もの星が輝いていた。

 

 隣の彼女の瞳も、その光を受けてきらきらと輝く。

 

 しばらく、二人で星空に見入る。僕には星座の知識もないため、上手い話の一つも思いつかなかった。でも、この静謐(せいひつ)な空間が心を静めるようで、ひどく心地よかった。

 

 このまま眠りにつけたら、どれだけ幸せだろうか。

 

 

『……懐かしいなあ』

『懐かしい?』

『うん』

 

 

 咲希は、どこか憂いを帯びた表情をした。

 月の光がやわらかく辺りを包み込む中、彼女は優しい声色で言った。

 

 

 

『アタシね、幼なじみがいるんだ』

 

 

 

 ……幼なじみ? 

 

 彼女はきっと、その幼なじみのことを大切に思っているのだろう。僕の見たことのない表情をしていた。

 

 彼女の心のスペースを大きく占領する幼なじみ。

 

 それを意識した瞬間、心がざわついた。

 

 

『それって、男?』

『え、違うよ? みんな女の子だよ』

『……そっか』

 

 

 彼女はきょとんとしながら言った。

 

 僕はまず、その幼なじみが男じゃないことに安堵した。加えて彼女の言い分から察するに、幼なじみは数人いるらしい。

 

 

『……あ、もしかして。アタシの幼なじみが気になるの?』

 

 

 ちょっとからかうみたいに、彼女はイタズラっ子の笑みを浮かべる。クスクスと笑うけれど、嫌みのない綺麗な声だった。

 

 

『みんな可愛いからねー』

 

 

 どうやら彼女は、僕の質問の意図を違った形で受け取ったらしい。

 でも、それでいい。深く突っ込まれて困るのは、僕の方だろうから。

 

 

『昔からずっと一緒で、仲がいいんだ。たまには喧嘩しちゃうこともあるんだけどね』

 

 

 えへへ……と、彼女は頬をかきながら話す。

 

 

『アタシの夢なんだ』

『……夢?』

『うん。元気になって、またみんなと一緒に過ごせるようになりたい。それが、アタシの夢!』

 

 

 星空を見ながら、遠くにいる幼なじみに思いを馳せる。その横顔がとても綺麗で、儚くて。

 

 ……どうしようもなく、その幼なじみが羨ましかった。

 

 彼女の心の中に、僕はきっといない。

 

 

『キミはどう?』

『え……あ、僕?』

『うん、何か夢はないの?』

 

 

 ……夢、か。

 考えたこともなかった。

 

 自由のきかないこんな体の人間に、いったい何ができるのだろう。何にも憧れることはできないし、憧れたところで結局何もできやしない。

 

 

『……やっぱり、早く病気が治ることかな』

『そっか!』

 

 

 彼女には、僕の病気の詳細を教えたことがなかった。

 

 訊かれたことはあったけど、上手く話題を逸らしてうやむやにした。話したところで、何も変わらないから。彼女の僕を見る目を変えてほしくないから。

 

 僕は、今の時間が崩れることを恐れたんだ。

 

 ……それに、僕の本当の願いは。

 

 

『……?』

 

 

 彼女を見ると、小首を傾げながらにっこりと微笑んだ。ルビーの瞳は純粋で、一切の邪念もない。

 

 彼女は僕を、()()()()()と認識していた。

 

 

 

 

☆────☆

 

 

 

 

 

 秋に入った。

 

 病室のテレビに映るニュースでは、紅葉狩りの季節だとテロップが貼られていた。映像には、どこかの観光地でたくさんの人が紅葉を楽しむ様子が映っていた。家族連れだったり、カップルだったり。いずれにせよ、この国で見られる最大限の美しい景色に見とれていた。

 

 

『おはよー』

 

 

 彼女がやってきた。少しだけ眠そうだろうか。

 

 

『……わ、紅葉だ!』

 

 

 しかし、途端に元気になる。ベッドに手をついて、身を乗り出しながらテレビ画面に見入る。

 現物ではないのに、よくもそんなに興奮できると思った。

 

 

『いいなー。アタシも観に行きたい』

 

 

 彼女は紅葉狩りに興味があるみたいだ。

 でも僕は、無力な子ども。何もしてあげることができない。

 

 

『ここでも一応、観られるよ?』

 

 

 病院の敷地内にも、わずかではあるが紅葉の木がある。僕の場合は別段、気にしたことはなかったけど。

 

 

『もー。分かってないなー』

 

 

 彼女は僕に顔をぐいっと近づけながら言う。

 宝石のように輝く大きな瞳。そして、整った顔立ち。

 

 僕の大好きな女の子が、すぐ傍にいる。

 

 ベッドに手をついて身を乗り出す彼女が、僕に心を許してくれているようで嬉しかった。

 

 

『こういうのは、お出かけすることに意味があるの!』

 

 

 ここで紅葉を観ることと、出かけて紅葉を観ることは別物らしい。

 テレビ画面に映るのは鮮やかな朱の絨毯(じゅうたん)。子どもも大人も関係なく、大自然に囲まれていた。

 

 彼女はテレビ画面を見る。その横顔に、少しの陰を差しながら。

 

 

『……』

 

 

 僕が大人だったら。

 僕が病気じゃなかったら。

 

 そんな叶いもしない想像が胸中を堂々巡りする。ありもしない妄想だった。満足に動かせない体でできること。それは、考えること。

 

 考えて、考えて。

 

 でも、結局何もできなくて。

 

 ……。

 

 

 

『……じゃあさ。来年は観に行こうよ』

『……え?』

 

 

 

 彼女は目をしばたたかせた。

 

 希望に満ち溢れた言葉。まるで、自分には未来があるかような、勘違いも甚だしい妄言。

 

 でも彼女は、ぱぁっと顔を輝かせた。

 

 

『うん!』

 

 

 そう、きっと来年には元気になるから。

 僕に比べれば、少なくとも彼女は。

 

 

『えっと、お弁当作って。それからいっぱい写真撮らないと!』

『はは……。それは楽しそうだね』

 

 

 本当にそんな未来があれば。

 どんなに幸せなことだろう。

 

 

 

 ……

 

 

 

 ……

 

 

 

 回診の時間。

 

 僕の病室を訪れた主治医はいつにも増して険しい顔だった。付き添いの看護師は、どこか痛々しいものを見るようだった。

 

 

『──』

 

 

 主治医が、落ち着いて聞いてほしい、と前置きする。

 そして僕に突きつけられたのは、ある意味で予想通りのことだった。

 

 ──余命宣告。

 

 心肺機能が弱ってきているらしい。でも、普段を平然とした顔で日々を過ごす僕に、主治医は一瞬油断していたようだった。

 主治医は、話すべきか本当は迷っていたようだった。だけど、僕ならきちんと受け止められると信じたらしい。

 

 でも、それは過大評価だ。

 僕は決して強くなんてない。ただ堪えてるだけなんだ。

 

 

『はは……そうですか』

 

 

 僕はいつも通り答える。

 それが事実なのであれば、受け止めるしかないのだから。

 

 

『なんとなく、分かってましたから』

 

 

 だってこれは、僕の体だから。

 自分の体のことは、自分が一番分かってる。

 

 

『はい……大丈夫です。僕の口から説明しますから』

 

 

 主治医が両親への説明をどうするかと問う。

 それは僕の口から話すか、主治医の口から話すかという二択。

 

 それなら、決まっている。

 

 

 

 

☆───☆

 

 

 

 

 両親に病状を説明してから、数週間が経った。

 晩秋になりかけの季節は、木枯らしが吹き荒れる。

 

 母さんも父さんも、ひどく泣いてしまった。

 

 どうして、どうして、と。

 どうすることもできない無力さに打ちひしがれていた。

 

 でも仕方ないことだ。確立された治療法もなければ、まともな対症療法もない。

 

 だから結局、毎日を安静に過ごすという選択しか、僕には残されていなかった。

 

 ……本当は、話さなければよかったのだろうか。

 どうするのが、正解だったのだろう。

 

 僕は両親に笑っていてほしかった。

 

 そのために、僕は決して弱みを見せなかった。淡々と事実を受け止め、つらそうな顔を見せなかった。

 

 ……なのに。

 

 なのにどうして、こうなるんだろう……。

 

 

 

 ……

 

 

 

 ……

 

 

 

『あ……今、大丈夫?』

 

 

 日も暮れて、月の光が差し込む頃。

 彼女はいつもとはちょっと違う表情で、僕の病室を訪れた。

 

 

『うん。大丈夫だよ』

『……そっか』

 

 

 彼女の様子はどこかおかしかった。

 

 ここに来た割にはあまり視線を合わせようとしない。いつもならファッション雑誌やら何やらをもって話をしてくるのに。

 

 まるで、何かを恐れているようだった。

 

 

『とりあえず座ったら?』

『うん……』

 

 

 彼女は落ち込んだように、椅子に座る。

 

 しばらく無言の時間が続く。彼女は何かを話そうとしていた。でもその度に、目を伏せて口を噤む。

 

 彼女はやっと決心がついたのか、覚悟を決めた面持ちで口を開いた。

 

 

『実はね、大切な話があるんだ』

『……大切な話?』

『……うん』

 

 

 ……いったい、なんだろう? 

 

 

『誰よりもまず先に、キミに言わなくちゃいけないと思ったから』

『……え?』

 

 

 僕に、一番に言わなきゃいけないこと……? 

 

 頭が混乱した。それは、僕だけではなく他のみんなにも言うつもりだということだ。

 

 それなら彼女はいったい、何を言うつもりなのだろう。

 

 

 静かで薄暗い病室。

 椅子に座る彼女は、病室の窓から差し込む光を背にして言った。

 

 

 

『──アタシね、退院することになったんだ』

『……え?』

 

 

 

 ──それは、残酷な別れの宣告だった。

 

 

『……退院……?』

 

 

 その言葉は僕には全く馴染みのないものだった。患いが完治し、健康な体に戻ったことを示す言葉。

 

 僕は何を言ったらいいのか分からなかった。それくらい彼女の言葉が衝撃的だった。

 ……いや、本来なら『おめでとう』と言うべきなのだ。彼女を縛り付けていた病が消え去ったことを、真っ先に喜ぶべきなんだ。

 

 

『……おめでとう。咲希』

 

 

 だから、お手本通りの返答をする。

 

 なのに、その言葉はひどく薄っぺらくて。

 中身なんて伴っていなくて。

 

 行き場のないモヤモヤを潰すように、シーツを握りしめた。

 

 

『……うん、ありがとう』

 

 

 彼女は静かに頷いた。退院が決まったというのに、どうしてかそこまで喜んでいないようだった。

 彼女は夢があると言った。幼なじみとまた仲良く過ごすこと。それが叶うかもしれないのだ。

 

 ……なのに、どうして。

 

 

『いつ、退院するの?』

『……来月の頭』

『……そっか』

 

 

 来月は十二月。一年の最後の月だ。

 クリスマスだったり、大晦日だったり。主要な行事としては、そんなところだろうか。

 

 

『本当に良かったよ。咲希が元気になって、僕は嬉しいよ』

 

 

 何故、こんな言葉が口を突いて出るのだろう。僕が思うと、思わざるとにかかわらず、台本を読むかのように喉は声を発する。

 だって、それが正しいことだから。僕は、彼女の退院を祝わなければならないから。

 

 だけど。

 

 

『はは……』

 

 

 なんだ、その笑い方は? 

 今まで何回も作ってきた顔だろ? 

 

 ちゃんと笑えよ。

 笑顔を作るのは僕の得意分野だろ? 

 

 病院のみんなにも、家族にも。全員にそうしてきたじゃないか。

 

 できないわけないだろ? 

 

 

『……』

 

 

 彼女は何も言わない。ひょっとすると、僕との別れを惜しんでくれているのだろうか。寂しげな顔に、そんな夢想をする。

 

 何を(たわ)けたことを。お前はただの友達だ。彼女には、大切な幼なじみがいるんだ。お前なんて、彼女にとっては大した存在じゃないんだよ。

 

 自惚れるな。

 期待するな。

 

 

『……ねえ、咲希』

『……?』

『僕もいつか、絶対に高校に行くよ』

 

 

 彼女にかける言葉が見つからない。見つからないから、作るしかない。

 

 

『だから、お互い高校生になったら……』

 

 

 それがたとえ、僕の本心でないとしても。

 決して、心の底から思うことではないとしても。

 

 

『またこうして、話をしようよ』

 

 

 僕も元気になる。

 元気になって、彼女と隣り合えるようになる。

 

 そんな気持ちを込めて、彼女を送り出す言葉を作るんだ。

 

 

 彼女は僕にしばらく呆然としていたが、やがて表情を崩して。

 

 やっと、小さく微笑んでくれた。

 

 

『……うん!』

 

 

 

 

☆──☆

 

 

 

 

 冬の冷たい風が頬を撫でる。

 

 病院の敷地内には落ち葉が散見され、一年の終わりが近いことを示した。

 

 

『今まで、本当にありがとうございました!』

 

 

 パチパチと拍手が上がる。

 

 花束を受け取った彼女。その隣には、彼女の家族が控えていた。家族一同、頭を下げて礼を告げていた。彼女は、お世話になった主治医や看護師、そして子どもたちに一言ずつ礼を言って回った。

 

 本当にありがとう、お世話になりました、と。子どもたちには、きっと私みたいに元気になれる、と勇気を与える言葉をかけた。

 

 そして最後に、僕の元に来た。一瞬寂しそうな顔をしたけど、でも次の瞬間には爛漫(らんまん)な笑顔を見せて。

 

 それが、僕の心を強く打った。

 

 

『キミと初めて会ったのは、アタシが迷子になったときだったよね? あのときね、本当はすごく心細かった』

 

 

 そして彼女は『でも』と続けた。

 

 

『あのとき、道に迷って本当に良かった。だって、キミに会えたんだもん!』

『……そっか。僕も、君に会えて良かった』

『えへへ!』

 

 

 僕の言葉に、彼女は嬉しそうに笑む。見る人を安心させるような、溌溂(はつらつ)でいて、優しい笑顔だった。

 

 別れは笑顔で。

 そんなありきたりな言葉が思い浮かぶ。

 

 ……でも。

 

 

 僕が、その笑顔を見たときに感じたものは。

 心の底から湧き上がってきたのは。

 

 

 その笑顔を裏切るような、真っ黒で醜い感情だった。潔白なこの城の中で、それはもってはならない感情。

 

 

 ──咲希が元気になった。

 

 彼女が退院することは、望ましいことのはずだった。誰が見ても喜ぶべきもので、誰が見ても正しい道の進み方だった。

 

 でも僕は、同時にそうなってほしくないと思ってしまっていた。僕はもう、彼女と共にいられない。だって彼女は、ここから旅立つのだから。

 

 彼女に似合うのは雲一つない群青の空の下で、遍く照らす太陽の光を受けることだ。人工的な光ではなく、自然な緑の元で風を受ける。彼女が幸せになるのは、きっとそんな未来。

 

 ……なのに。それなのに。

 分かって、いるのに。

 

 僕は、心の底から祝福できない。

 

 ……どうして僕は、君の隣にいないんだろう。

 

 体を蝕む()()()が、徹底的に足を引っ張ってくる。コールタールのような黒沼にずぶずぶと引きずり込んでくる。

 

 僕はそれに必死に抗ってきた。絶対にコイツを倒して、僕は元の元気な体に戻るんだって、負けない意志をもって生きてきた。主治医にも、家族にだって弱音を見せず、僕は独りで戦ってきた。

 

 

 

『──絶対に後で、お見舞いに来るね!』

 

 

 

 最後にそう言い残し、彼女は車に乗り込んだ。

 彼女がここにいる理由は、もうないのだ。僕には彼女を止める術を持ち合わせてなどいない。

 

 車が発進して遠ざかっていく。

 彼女は窓を開いて、最後まで手を振り続けた。

 

 

 僕はそれを、ただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

☆─☆

 

 

 

 

 咲希が去って数ヶ月。春がやってきた。

 もう、何度目だろう。ここで桜を見るのは。

 

 春は新生活の始まりだと言われる。

 入学式。入社式。それは新しい道への第一歩。

 

 希望に満ちた明日への、輝かしい道のり。

 

 

 本来なら僕も高校生になるはずだった。制服に身を包んで、新しい環境で友達を作って。部活に入るかどうかは分からないけれど、それも一つの選択に入っただろう。たまの放課後には、友達と遊びに出かけたりするのもありかもしれない。

 

 でも、所詮それは夢だ。

 現実は違う。

 

 彼女が退院した後、病気の進行が異常に早くなったと主治医に告げられた。主治医は誠実で、ありのままの状態を僕に教えてくれた。

 

 日に日に弱っていく体。体つき自体の変化は少ないけれど、ふとした瞬間にそれは訪れる。

 たとえば、一度咳をすると全然止まらなかったり、胸を常時抑えなければ耐えられないほどの激痛に襲われたりする。

 

 そんな中でも、主治医は僕の体の治療を決して諦めない。聞いた話によれば、僕の病気の手がかりを探すために海外の論文を夜遅くまで読んでいるのだと言う。

 けれど、普段の診療ではそんなことをおくびにも出さない。

 

 ……なんで僕は、生きてるんだろう。

 

 僕だけが苦しめばいい話なのに。

 

 それなのに何故、僕を取り巻く人たちまで巻き込んでしまうのだろう。僕がいなければ母さんも父さんも、もっと仕事に集中できるし、自分のための時間だって作れるはず。

 

 僕が生きることで、誰かの足を引っ張り続けている。

 

 ……。

 

 もう、僕は……。

 

 

 

 ──ドアが開いた。

 

 

 

 籠った空気を吹き飛ばすように、新しい空気がいきわたる。

 

 そのドアの先には。

 

 

『──えへへ、久しぶり!』

 

 

 太陽のように輝く笑顔。

 元気な声。

 

 薄手のキャミソールに身を包んだ彼女は、ヘアゴムで金髪をツーサイドアップに結わえている。それが彼女にとてもよく似合っていた。

 

 僕の初恋の女の子。

 僕が好きな女の子。

 

 その子は──

 

 

 

『……咲希?』

『もう、忘れちゃったの?』

 

 

 

 呆ける僕に、咲希はムッとした。

 

 忘れるわけない。だって、君が隣にいるのが僕の当たり前だったのだから。

 

 彼女は、『色々落ち着いたからやっと来れたの!』と言った。僕のベッドの近くに寄ってくると、彼女は手慣れたように花瓶の水を取り替えた。

 手慣れているのは、彼女自身、同じことをされた経験があるから。そして今度は、立場が逆になった。ただそれだけの話だった。

 

 そう、彼女は元気なんだ。

 僕とは違って、彼女は本当に高校生なんだ。

 

 

『……入学、おめでとう』

『えへへ、ありがとっ』

 

 

 彼女は元気に高校生活を送れているらしい。

 椅子に座ってもらって、彼女の学校生活を聞く。充実した高校生活をしているのは、彼女の顔を見れば分かった。

 

 

『部活に入ったんだ! ちょっと大変だけど、すっごく楽しい!』

『うん……うん』

 

 

 相槌を打つ。まるで、そうすることしかできない機械仕掛けのおもちゃのように。

 

 今まで空いた時間を埋めるように、彼女が経験した全てを教えてくれる。僕が彼女と共に過ごせなかった時間は、彼女にとってこんなにも喜びに溢れた時間だった。

 

 

 ──そんなことがあったんだ?

 僕も経験してみたいな。

 

 ──勉強は大変?

 じゃあ頑張らないとね。

 

 ──いっぱいおしゃれしたい?

 女子高生らしくていいね。

 

 

 嬉しそうに、楽しそうに話す彼女。この時間の、一秒一秒が愛おしい。

 

 この一瞬を永遠にしたい。でも、それはやっぱり叶わない。

 

 だって、時間は決して止まらないのだから。

 

 

『それでね! 報告があるんだ!』

『……報告?』

『うん! アタシね──』

 

 

 彼女は満面の笑みを浮かべた。

 僕が知る中でも、一番の笑顔。

 

 

 

『──アタシね、夢が叶ったんだ!』

 

 

 

 ──窓から風が吹き込む。

 

 そして、彼女の美しい髪をふわりと揺らした。ツーサイドアップにまとめられた髪から、どこか懐かしい香りがした。

 

 

 ……ああ。

 分かってしまった。分かりたく、なかったのに。

 

 

 太陽のような喜びも、月のような憂いも。

 いつも見せてくれた輝かしい笑顔も、ふとしたときに浮かべる寂しそうな顔も。

 

 全部、全部。僕だけのものじゃなかった。君には、大切な仲間がいるんだ。

 

 

 ──そっか、それは良かったね。

 

 

 そう言うのが一番自然だ。だから早く言えよ。

 

 ずっと独りで戦ってきたんだろ? 

 だったら、お前にならできるはずだろ? 

 

 

 ──言え! 

 

 

 

『……夢が、叶ったんだ?』

 

 

 ……どうして。

 

 どうして、たった一言が言えないんだろう。

 素直に喜べないんだろう。

 

 

『うん! だからね──』

 

 

 彼女が僕の手を握りしめる。たおやかな温もりにドキッとした。

 

 

『──キミも、絶対に良くなるよ! だって、アタシの夢が叶ったんだもん!』

 

 

 すべすべで、小さくて、柔らかい手が僕の手を優しく包み込む。その手からは、(あつ)いぐらいの熱を感じた。彼女は心の底から、僕の病気が治ることを信じている。

 

 でもね、君の言うことは間違ってるんだよ。

 だって僕の夢は、体が良くなることじゃない。

 

 それはもう、本当はずっと。

 きっと、もっと前から。

 

 僕が、諦めていたものだから。

 

 

『……はは』

『……?』

 

 

 軽く笑う僕に、彼女が不思議そうに、コテンと首を傾げる。彼女はたぶん、もう一つ勘違いしてる。

 

 僕の望みはね、もう叶ったんだよ。

 たった今。

 

 

『……あったかいね』

『うん! 春だもんね!』

 

 

 はは……やっぱり、伝わってない。

 

 こうして彼女と触れ合えたこと。それが何よりも、僕が望んでいたことだった。

 

 

 ──春の風が、窓から吹き込んでくる。

 

 

 瑞々しい緑を彷彿(ほうふつ)とさせる温い風。これから先やってくる、夏の匂いを感じさせた。

 

 僕は一度、彼女の手を両手で包み込んだ。

 

 

『お見舞いに来てくれてありがとう』

『えへへ、当たり前だよ! だって、約束したんだもん!』

 

 

 なんてことのないように、彼女は言う。

 それが嬉しくて、苦しくて、どうしようもなくて。

 

 

『……っと、そうだ!』

『……?』

 

 

 彼女はポケットから何かの紙切れを取り出した。

 

 

『これ、病室だとスマホが使えないから書いてきたんだ!』

 

 

 確かに、病院ではスマホの使用を禁じられてる。特定の場所では使えるけれど、建物の中では基本的に使用禁止だ。

 一応僕も、母さんから与えられてはいるけれど、ほとんど未使用のまま棚の中に眠ってる。

 

 

『……これ、は?』

 

 

 受け取った紙を開こうとすると、彼女は慌てたように止めた。

 

 

『あ、今は開けちゃダメ!』

『……今は?』

『……うん。あとで、夜の就寝時間の前くらいに見て』

 

 

 さっきの慌てようは何だったのだろう。

 そんな疑問が残りながらも彼女の言う通りにし、横の棚の引き出しにそっとしまった。

 

 

 

 ……

 

 

 

 ……

 

 

 

 彼女が帰ってから、ずっと横たわっていた。

 夜の帳も落ちて、暗闇が辺りを包む。

 

 

『っ……』

 

 

 悲鳴を上げ続ける心臓、たまに言うことの効かない呼吸。

 

 でも、彼女からもらった一枚の紙の存在が、僕の意識を現実にとどめていた。

 

 みんなが寝静まった時間帯。僕は引き出しの中をゆっくりと開く。そして、懐中電灯を点けた。棚の中には、昼間に彼女からもらった宝物があって、丁寧に取り出す。

 

 僕は、綺麗に閉じられたそれを、そっと開いた。

 

 

 

 ───────────────────────

 

 

 キミは今、この手紙を読んでいるかな? 

 なんて、こんなこと書いても意味ないよね。

 

 まずはありがとう。

 初めてこの病院に来たとき、アタシはすっごく不安だったんだ。

 誰も知り合いがいないし、まるで独りぼっちで放り出されたみたいな感覚だった。

 

 だけどね、そんなとき、アタシはキミに会ったんだ。

 キミと会ってから、アタシはずっと楽しかった。アタシは独りじゃないんだって、すごく心強かった。

 

 ……でも、頑張って文字に起こして書いても、上手く伝わらないよね。

 

 だから、キミに別の形で気持ちを伝えたいんだ。

 

 

 ───────────────────────

 

 

 

 不意に途切れた文章。その下には、英数字の文字列が並んでいた。

 手書きでは苦労したのだろう、なんだか歪な文字だった。

 

 

『……URL……?』

 

 

 それは、ネット上のアドレスのようなもの。特定のページに飛ぶときに必要な、一種の暗号だった。

 手元にはパソコンがない。だからこれを見ることは……。

 

 

『……そうだ』

 

 

 一つだけ方法があった。

 棚の中をよく調べる。そこには、真っ黒で何のカバーもついていない端末が一つ。

 

 使い方をおぼろげに思い出しながら、端末を起動する。あまり充電が残っていないのか、電池のマークが点滅していた。

 

 

『う……』

 

 

 胸の痛みが間歇(かんけつ)的にやってくる。

 僕は頭を振りながら、ベッドから降りた。

 

 屋上へと向かうために廊下に出る。あそこでならスマホが使える。

 

 

『……はぁ、はぁ』

 

 

 手すりに寄りかかりながら歩いているというのに、あっという間に息切れする。階段を一歩上る足取りがやけに重い。

 数歩ずつ止まりながら、それでも上を目指す。少しでも、空へと近づくために。

 

 十分ほどかかっただろうか。ようやく屋上まで着いた。

 

 懐中電灯で紙を照らしながら、スマホにタップしてキーボードを開く。上手く動かない手を懸命に動かしながら、URLを打ち込む。そこにある、手紙の続きを読むために。

 

 一つ、また一つ。

 

 不規則な文字列を決して間違えないように、慎重に打ち込んだ。そして僕は、そのページにアクセスした。開かれたページには、一つの動画だけがアップロードされていた。

 

 僕は、動画の再生ボタンを押して音量を最大まで上げた。

 

 

 

『──えっと、ちゃんと映ってるかな?』

 

 

 

 ──トクンと、胸が高鳴る。

 

 そこには、僕の恋した女の子。

 

 ロングの金髪を真っすぐに下ろすその子は、僕がいつも見てきた彼女の姿のままだった。

 

 

『ふふ……それじゃあ見えないよ』

『わ、そっか』

 

 

 黒髪の女の子が、諭すように言う。

 すると、咲希はカメラらしきものから離れ、その全体像が映った。

 

 そこに映っていたのは不思議なセカイ。

 学校の教室のような一部屋だった。 

 

 彼女たちのバックには、窓越しに夜空が広がっている。それに、ドラムセットやキーボードもあるし、よく見ればギターやベースを持った女の子もいた。

 

 

『えへへ……。手紙は読んでくれたかな? あまり上手く書けなくてごめんね』

 

 

 照れ笑いをしながら彼女は言う。

 そして彼女は、キーボードの後ろに移動した。

 

 

『だから、アタシは音楽でキミに気持ちを伝えるね。──ありがとう』

 

 

 そう言うと同時に、ドラムがリズムを刻み始めた。彼女たちはアイコンタクトをして──

 

 

『──』

 

 

 ──メロディが流れ始めた。

 

 幻想的な空間で、彼女たちの音楽が流れる。

 

 ギター、ベース、ドラム。

 

 ……そして。

 

 

『あ……』

 

 

 ──彼女は、キーボードを弾いていた。

 

 楽しそうに、軽やかにキーボードを弾く。彼女たちは度々、アイコンタクトをしながら音楽を紡いでいく。

 

 まるで、これからの明るい未来を感じさせる曲だった。熱くて、魂に訴えかけるようなリズム。彼女たちの歴史を感じさせる、彼女たちだけの曲だった。

 

 隣に誰もいない屋上。時おり吹く風に、夏の匂いを感じる。

 

 ライブ映像に映る彼女たちは、楽しそうに演奏する。ギターの爽やかなメロディと、ベースの冷静ながらも情熱を含んだ低音。ドラムの鼓動は力強く、確かな芯を持っていた。

 

 そして、キーボードの真っすぐで優しい音色。ここで見てきた病弱なところなんて微塵も感じさせない、彼女の強かさ。

 

 素直で、純粋で、優しくて。

 

 僕が大好きな、彼女の全てだった。

 

 

『……ああ』

 

 

 そうだ。彼女は今、幸せなんだ。

 それを、このライブ映像で教えてくれている。

 

 アタシの夢が叶ったよって、教えてくれてるんだ。

 

 

 

『……』

 

 

 

 天を仰ぐ。

 夏も間近の星降る夜が、地上を見守る。

 

 このセカイには、どうしようもないくらい苦しいことやつらいことがあって。

 そして、それと同じくらいに楽しいことや嬉しいこともあって。

 

 それが当たり前なんだ。だからこそ、人生は楽しく、人生は苦しい。

 

 ……でも。

 

 僕は、楽しいことや嬉しいことが、これからも彼女の生きる道にたくさんあることを望んだ。

 

 彼女には暗い顔なんて似合わない。もし彼女が悲しくなったり、嫌な気持ちになることがあるのだとしたら、僕はその全てを肩代わりしたい。

 

 そのためなら僕は、どんなに苦しくても、どんなにつらくても。

 

 たとえ、このセカイからいなくなっても。

 

 彼女のためなら、全てを受け入れよう。

 

 

 

『……』

 

 

 

 満天の星が視界いっぱいに広がる。

 煌々と光を発する恒星や、恒星を(まわ)る遊星。

 

 その輝きは、きっと(そら)の果てまで続いている。

 

 

 ──『アタシの夢なんだ』

 

 

 彼女の夢。そして共に見上げた星空。

 

 手元の端末に表示されるのは、彼女であり、彼女たちだった。

 そこには観客なんて誰一人としていないだろうに。僕のことなんて、知らないだろうに。

 

 それなのに、たった一人のために、彼女たちは音を奏でる。

 

 

『……っ』

 

 

 ふらっと。

 頭の中から何かが抜けていく感覚。

 

 さっきまで確かな平衡感覚を保っていた体。その均衡が崩れるのが分かった。よろけてしまいコンクリートの地面に座り込む。視界が暗くなるのを感じた。

 

 どうやら()()が来たらしい。

 

 不思議と恐怖はなかった。あのときみたいに彼女が隣にいるわけじゃないけど、僕の心は落ち着いていた。

 

 だって彼女は、()()にいるのだから。

 

 

『……はぁ……っ……』

 

 

 血の気がだんだんと失せるのを感じる。何も考えることができなくなりそうだった。胸の痛みも激しくなってきた。

 だけど、空に佇む月の光が心を落ち着かせてくれた。

 

 

 ──もう、眠りにつきなさい。

 

 

 優しく耳朶(じだ)を打つのは、爽やかなそよ風に乗せられた月の調べだった。

 夜も遅い。だから、早く眠りにつかなきゃいけないのだと。

 

 でも、一つわがままを言ってもいいかな。

 母さんや父さん、主治医にも、看護師にも。同じように病気と闘うみんなにも。

 

 全員に感謝したいんだ。

 

 僕がここまで生きてこれたのは、かけがえのない人たちがいたから。

 

 ……それに。

 

 

『──アタシは、天馬咲希っていいます。よろしくね!』

 

 

 ──それに、咲希に出逢えたから。

 

 彼女と出逢ってからの日々。

 

 僕にとっては、それだけで生きる理由になった。彼女が笑ったり、怒ったり、ときには悲しそうな顔になったり。ふとした瞬間の何気ない仕草だって、鮮明に覚えてる。

 

 ……ああ、そう言えば。

 一つ、約束を破ることになっちゃうな。

 

 秋になったら紅葉を観に行こうって、約束したんだった。鮮やかな朱色の紅葉や、イチョウの木をバックに彼女を写真に収めたら、きっと素敵な写真になるだろうな。

 

 それで、二人でお弁当とか食べて。

 まるで、デートみたいに楽しくて。

 

 僕が君に気持ちを伝えたら、どんな返事が返ってくるかな。困ったように笑いながら、やんわりと拒絶されるか。それとも、僕の気持ちを受け入れてくれるか。

 どちらにせよ、僕は君のことを好きでい続けるんだろうな。だって、君以上に好きになる人なんていないだろうから。

 

 それだけは、自信を持って言えるよ。

 

 

 ──意識が薄れていく。

 

 

 少しずつ、ゆっくりと、確実に。

 僕が、僕である証が消えていく。

 

 

 ……だめだ、理性が崩れてしまう。

 

 僕だけのセカイで必死に積み上げてきた堅牢な壁が、まるで砂上の楼閣であったかのように消えていく。

 

 

『ああ……いやだなあ』

 

 

 決して言うまいと閉じ込めてきた思いが溢れてきてしまう。これは誰にも見せてはならない。

 

 だって、それは弱音だから。それを言うことはみんなを悲しませるから。

 

 でも、今は誰もいない。だから、もう。

 

 

 

 

『やっぱりっ……生きたい、なぁ……っ……』

 

 

 

 

 全てが零れ落ちていく。

 感覚が、時間が、空間が。

 

 今までのありとあらゆる歴史が、還っていく。

 

 

 

 

『……うぅ……、あ、はぁ……』

 

 

 

 

 そっと瞼を閉じる。胸を抑えながら、ゆっくりとうずくまった。自分の体のことは、自分が一番分かっている。

 

 これは、()()()()()()()()だ。

 

 

 

 

『──』

 

 

 

 

 視界は真っ暗。手足の感覚も鈍い。夏も近いこの季節だというのに寒い。

 それでも、耳には彼女たちの音が届く。僕は独りじゃないのだと、独りではなかったのだと、教えてくれる。

 

 だから安心して眠れる。

 

 ……でも、その前に一つだけ。

 

 できれば、面と向かって言いたかったことがある。ここで言っても、誰にも届かない言葉を。

 

 せめて、どうしても言わせてほしかった。

 

 

 

 

 

『……あ……』

 

 

 

 

 

 僕は、最後の力を振り絞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ありが……と、ぅ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば咲希、どうして髪を下ろしてるの? いつもは結ってるのに」

 

「これ?」

 

「学校だと、ヘアゴムで結ってるよね? だからどうしてかなって」

 

「えへへ……。実はね、こっちの方が好きだって言ってくれた人がいるんだ!」

 

「へえ、そうなんだ」

 

「うん! とっても大切な人なんだ! ……そうだ、今度みんなにも──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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