気が付くと俺は真っ白な部屋にいた。
何も無い、
白い空間。
その空間はどこまでも広がっており、
果てなく延々と続いている。
夢だ。
これは夢。
それも明晰夢って奴だろう。
あたりをキョロキョロと見回しているとどこからともなく変な奴が現れた。
全身がモザイクで包まれているように、そこにあるものが認識できない。
かろうじて人間だとは分かるが、それ以上の事はさっぱり分からない。
まるで認識した瞬間、記憶から抜け落ちているかのようなそんな印象。
「やあ、初めましてだね」
何が何だか分からずポカーンとしていると、そいつは俺に話し掛けてきた。
中性的で性別がまるで判断できない声。
声もモザイクが掛かっているようで、よく分からないが女と考えた方がいい。
よし、こいつは女だ。
その方がエロい。
「うん、女の子か。
それもいいね」
そのモザイクがそう言うと、それから何となく女に見える気がしてきた。
モザイクで分からないので、ただの俺の気の所為かもしれないが。
いや違う、気の所為じゃない。
こいつは女、それも美少女だ。
全身モザイクの野郎と話してても、なんの面白みもないしな。
「ふふ、美少女か。
君は本当に女の子が好きだね」
ん?
今気が付いたんだが、俺の体が前世のあの見なれた体に戻っている。
34年間俺が使っていたあの体。
まさか……戻っ
そう考えついた時にモザイクが声を発した。
「あ、違うよ。
今の君はボクが魂を呼び出しているから一時的にその姿になってるのさ」
という事はあの世界は夢じゃ無いのか?
俺がルーデウスとして10年間生きてきたのは本当に現実なのか?
「うん、君がこの世界に転生して必死に頑張って生きてきた人生は嘘じゃないし、夢でもないよ。
これまで本当によく頑張ったね。
前世の君とは大違いじゃないか」
ああ、良かった。
安心した。
初めは何だこのモザイクって思ってたけど、割といい事言うじゃないか。
気に入った。
「そんなに前世の自分が嫌かい?」
当たり前だ。
もう二度とあんな事になってたまるか。
「学校で理不尽な目に遭い、その結果学校に行けなくなって引きこもる。
引きこもったら両親が死んだ事もちゃんと知らされず、葬式に出なかったからという理不尽な理由で家を叩き出された。
うん、君は何も悪くないさ」
いや、確かにそうだが俺も過去を引きずって両親にずっと甘え続けてたからな。
今はせめて何か恩返しでもできててら良かったと思ってるよ。
ま、あの世界にいた頃の俺にできる事なんてたかが知れてるだろうがな。
「ふふっ、優しいんだね。
そういう所嫌いじゃないよ」
ありがとよ。
お世辞でも少し嬉しい。
で、さっきから話しているお前は一体どこの誰なんだ?
「えーとね。
うーん、どう説明しようかな?」
確かに自己紹介ってのは難しいよな。
俺も自分が誰かって聞かれたら迷うし。
「そうだね……。
君に分かりやすく伝えると神様、
になるのかな?」
神様?
ああ、それで俺の前世の事も知ってるのか。
でも普通こう言うのってもっと早く、この世界に転生する時とかに出てくるんじゃないか?
でもま、ルーデウスとして転生させてくれた事には本当に感謝してる。
「あ、君をルーデウスとしてこの世界に転生させたのはボクじゃないよ」
なんだ、違うのか。
じゃあどう言った神様なんだ?
「ボクは
ああ、聞いた事はあるな。
確か七つあった世界にいた神様だっけか?
「そう、ボクはその
なるほど。
で、その神様が一体俺になんのようなんだ?
あ、敬語の方がいいですよね。
「別にタメ語でいいよ。
堅苦しくされるのはそこまで好きじゃないし、君も素の方が気楽でいいでしょ?」
まあ、それはそうだが。
でも神様って、もっとずっと堅苦しい感じなのかと思ってたな。
「まあ、そういう神もいるかもね。
でもほら、やっぱりボクって全くそんなの似合いそうにないでしょ?」
そりゃ全身モザイクだしな。
神々しさでも放ってたら別だけど、特にそんなの感じないしさ。
「そう? これでも神々しいってよく言われる方なんだけど」
全く感じないな。
むしろ気さくなイメージ?
「さてと、そろそろ本題に入ろうか」
ようやく本題か。
で、俺なんかになんのようなんだ?
「単刀直入に言ってもいいかな?」
別に構わんが。
あ、もしかしてもう俺がルーデウスとして過ごせなくなったとかか!?
頼む!
もう少しだけ見逃してくれ!
「違うよ、君が望むならそのままこの世界に居てもらって構わないよ。
むしろこの
おお!
神様から保証されるとなんか安心するな。
じゃあ俺がルーデウスとして生きていても全く問題無いんだよな?
「うん、良いよ
と言っても今君が生きてるこの世界が無事だったら……、なんだけどさ」
なんか意味深な言い方だな。
もしかしてそれが今回の要件なのか?
「そう、許可も出たし単刀直入に言うよ。
君にこの世界を救って欲しい」
世界を救え?
また大層なお願い事だな。
確かに異世界じゃよくある事だけどさ。
「本当なら僕が自分一人で解決したかったんだけど、もうそうも言ってられないんだ」
マジかよ。
この世界って今そんなやばいのか?
「ちょっと今回は本気でピンチなんだよ。
もうボク一人じゃどれだけ手を尽くしたとしても甲龍暦530年までには確実に世界が滅ぶ」
530年、って事は後113年?
俺が生きてる間には滅ばないじゃねぇか。
「いや、運が悪ければ10年で世界が滅びるなんてこともありえる」
はぁっ!?
マジかよ!
「だからもう早急に何とかしておきたいんだよ。
異世界人である君の力を使ってもね」
で、今はどういう状況なんだ?
まずはそれを説明してくれないか?
「うん、分かったよ。
最初から説明するとボクには超強力な未来視の力があったんだ。」
未来視?
未来が見えるって奴か?
占い師みたいに。
「君が思っている占い師よりも何億倍も強いけどね」
何億倍?
さすが神ってだけはあるな。
「ボクは日々その未来視の力を使って人に助言を与え、その相手がどうするかを見て楽しんでたんだ」
いかにも神様のやりそうな事だな。
それでどうなったんだ?
「でもある日を境に、その未来視が全く機能しなくなった」
はい?
神の権能みたいなもんなんだろ?
なんでそれが機能不全になってんだよ。
「一言で言うと敵の攻撃さ」
敵?
「そう、敵。
神話を読んだことがあるなら知ってるかもしれないけど、一人は世界を滅ぼしたあの龍神さ」
でも確かそいつは死んだんだろ?
復活でもしたのか?
「確かに龍族には転生法っていうのがあるんだけど、今の龍神は100代目。
あの世界を滅ぼした悪い龍神の子孫みたいなものだよ」
やっぱそう言うのもあるのか。
でもなんでその悪い龍神はこの世界を滅ぼそうとしてるんだ?
別にメリットなんて無いんだろ?
「正確に言うとこの世界を滅ぼそうとしてるんじゃなくて、龍神はボクを殺そうとしてるんだよ。
人の世界を維持しているボクが死ねば、その瞬間にこの世界は跡形もなく崩壊する」
そういう事か。
お前は龍神に恨まれてるんだな?
「うん、そうみたい。
多分ボクが初代龍神を殺したからだと思う」
親の敵みたいなものか。
そりゃ恨まれても仕方がないな。
でも世界を滅ぼそうとした龍神を殺したんだから完全に正当防衛だよな。
完全な逆恨みかよ……。
「実際君の言った通りで、今の龍神は初代龍神の息子の転生体なんだよ。
まさに親の敵って奴だね」
それで俺はその龍神を倒せばいいのか?
いや、一人はって言ったよな?
「そう、もう片方は龍神じゃない」
でも世界を滅ぼせる龍神よりは弱いんだろ?
俺はそこまで強くないし、実際に戦うとしたらそっちになるのか?
「いや、正直言うともし仮に龍神だけだとしたらボク一人でもどうにかなるんだよ。
だけどこっちは一人でもボクの手に負えるような存在じゃない」
世界を滅ぼせる龍神より強いってなんだよ。
頭おかしんじゃねぇのか?
どんなチート野郎だよ。
「それが全く見えないんだ。
この世界のどこにいるかも分からないし、どこの誰かも分からない。
だけど世界の裏に潜んで暗躍しまくってる事は確かなんだよ」
なんだそりゃ?
まるで影の実力者みたいな奴だな。
「影の実力者か、言い得て妙だね
例えばそれはどんな存在なの?」
ふとした時に物語に介入して、圧倒的な実力を見せて去っていくような奴だ。
勇者とか魔王とかいった名声のある存在じゃなくて、日頃はまるでただのモブみたいっていうのもポイントだな。
「ふふっ、じゃあボクの敵は正しく君の言ってるようなその陰の実力者だね」
おや? ヒトガミの様子が?
ユッケ様、
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