ギアス世界に転生したら病弱な日本人女子だったんだが、俺はどうしたらいいだろうか 作:緑茶わいん
なんかホラーっぽくなりました
続かないし本編とも特に関係ありません
『コードギアス 反逆のルルーシュ』の世界に転生したら、知らない女がアッシュフォード学園の生徒会長をやっていた。
俺が転生したのはブリタニア人の男子。
年齢的にはルルーシュ達と同じ。
親は普通の勤め人で、人事異動により一家揃って日本にやってくることになった。
で、アッシュフォード学園に入学したところ──高等部の生徒会長が「リリィ・シュタットフェルト」なる人物だった。
「いや、誰だよお前」
あの時は、思わず素で呟いたね。
知らないだけならまだいいが「シュタットフェルト」である。
気になって調べようとしたところ、調べるまでもなく本人にたどり着いた。
アルビノのせいで夏でも長袖、外を歩く時は日傘の欠かせない病弱美少女。
校門まで車で送迎されて日傘で歩いてくる白髪女なんてこいつ以外にいるわけがない。
当然、噂もこれでもかと出回っており、中等部にカレンという名の妹がいることもすぐに調べがついた。
うん、OK。
「お前みたいなモブがいるわけないだろ!?」
カレンの姉とかいう美味しい立ち位置の女が物語に関わって来ない? ありえるかそんなもん。
だとすると、ここは『反逆のルルーシュ』の世界ではないのかもしれない。
なにかのスピンオフ、あるいはif世界の可能性が濃厚だ。
なにしろ最近はスマホゲーなんかで本編のif設定もあれこれ増えているからな。
本編に影も形もなかった狂犬がどっかから生えたりするくらいだから、カレンに姉がいても特におかしくはない。
思えば、この世界はブリタニアとの戦争に日本が二年くらい耐えていたり、両国の関係が原作より良くなっていたりもする。
となると、ここから先、原作通りに話が進む保証もない。
「いや、怖えなそれ……?」
原作通りに行ってもトウキョウ租界はかなりの打撃を受ける。
あれより良くなるならまだいいが、場合によってはもっとひどくなるかもしれない。
そもそもルルーシュがちょっとポカやらかしただけで全人類が統合されかねないわけで。
俺は、自分にもなにかできることがないか考えてみた。
レジスタンスに加わってみるとか?
いや、原作同様にカレンが参加しているかもわからないし、そこが『黒の騎士団』になる保証もない。
ルルーシュにギアス関連の知識を匿名で流してみるとか?
そんなことして原作からズレた結果、悪い方向になったらやばすぎる。
とか悩んでいたら、例のリリィ・シュタットフェルトがロイド・アスプルンドの婚約者であることが判明した。
「いやもうお前が黒幕だよなこれ!?」
なんだよこの怪しい立ち位置。
リリィの存在を知ってから定期的に奇声を発するようになった俺は周りの人間から変な目で見られるようになった。濡れ衣だ。
いや、でもほんとなんなんだよこの女。
どこまで知ってるんだ? ひょっとしてもうギアスを持ってるのか?
最悪なのは記憶改変系のギアスで状況をかきまわしている場合だ。
下手に接触したら俺の記憶が消されたり、読まれたりする可能性がある。
しかもなんかいきなり起業し始めたし。
「しかもなんでゲーム会社なんだよ……?」
一見軍事とは関係ない会社で資金を集め、テロかなにかに活用するつもりか……?
怖い。
いったいなにが狙いなのかまったくわからない。
明らかに得体の知れない奴なのに生徒会長としては優秀も優秀。
ミレイからは「先輩」と慕われており、ルルーシュやナナリーと話しているところさえ確認できた。
貴族家の後ろ盾と人目を惹く容姿、十分な知能と広いコネクションを持ち、原作主要キャラと片っ端から接触している知らないキャラ。
さらに噂に聞こえてきた彼女の二つ名は、
『アッシュフォード学園の白い魔女』
「……コードユーザーの可能性もある、だと……?」
高等部の生徒とは思えない幼い容姿にもそれで説明がつく。
C.C.以外のコードユーザーもこの世界にはいるわけだし、子供の姿の永生者なら原作にも出てくる。
もしかしたら既にC.C.からコードを引き継いでいる可能性も……?
触れたら死ぬんじゃねえかこれ……?
ガクブルしていたら学園の購買で『リリィソフト』の製品第一作が販売開始された。
『ポシェットモンスター』
「お前オリ主じゃねえかあああああああ!!」
明らかにタイトルがパクリだろどうなってんだよ!?
廊下で叫んだら生徒指導室に呼び出されてめっちゃ説教された。
二時間にも及ぶ説教の末、解放された俺はトイレでめっちゃ吐いた。
無理だわこれ、オリ主とか最悪じゃん。
追加のコードユーザーかもしれないし、オリギアス持ってるかもしれないし、指ぱっちんしたらオリジナルKMFが出てくるかもしれないし、王の財宝とかいきなりぶっぱしてくるかもしれないんだぜ?
やめよう、俺はなにも知らない。なにも見なかった。
原作知識なんて持ってないし転生者でもない。ただのモブだと自分に言い聞かせ、とにかく危なくなりそうならすぐ逃げようとそれだけを心に決めて。
「こんにちは、少々お時間よろしいでしょうか?」
綺麗な声。
振り返ると、心配になるほど白い肌と、やっぱり妙に白い髪をした『現役女子高生社長』が立っていた。
「お願いします助けてくださいなんでもします殺さないでください」
その場で泣きながら土下座したら翌日も生徒指導室で説教されたうえ、ミレイから「あなた面白いわね!」と死刑宣告をされた。
「ほう。お前が先輩の連れてきた『面白い人物』か。……なるほど」
「あ、はは、ははは」
原作主人公とサシで個室に放り込まれ、品定めを受けた俺は本気で死の恐怖に怯えた。
リリィ・シュタットフェルトが怖すぎる。
ゲーム会社社長という肩書きを盾に「作品の参考になればと」と学園内で奇行を繰り返している人物(※俺)に接触。
カフェテリアという人の多い場所で面談の末、自社でプログラマーのバイトをしているという少年と引き合わせてきた。
こんなの絶対俺の「オリ主発言」を探る気じゃん。
ルルーシュはルルーシュでなんか自己紹介と風貌だけでわかったような雰囲気出してるし。
こいつの場合、なんかやべー核心をやべー思考経路で掴んでてもおかしくない。
「まあ、そんなに警戒するな。ほら、これでも飲んで落ち着け」
「あ、あああ、ありがとうございます」
差し出された緑茶のペットボトルを受け取る俺。
……毒とか入ってないよなこれ?
封が開いていたり変な形跡がないのを確認してからごくごくと飲んだ。
美味い。やっぱり緑茶はいい。
こっちに来てからはちょくちょく飲んでいる俺である。アッシュフォード学園の自販機にはなぜか緑茶があるので重宝してるんだよな。
「緑茶か。たしか『けっこうなお手元』とか言うんだったか」
「それを言うなら『けっこうなお点前』な」
ルルーシュでも言葉の覚え間違えとかするんだなー、意外だなー、でもこいつ相手に間違えを指摘できるとか一生の思い出になるなーとか思っていたら、
「ほう。なるほどな」
「……あっ」
美味そうに緑茶を飲んだ挙げ句、日本語の訂正を当たり前にしてどうすんだよ俺!? 俺は純粋なブリタニア人で、特に日本かぶれでもないんだぞ!?
「なるほど。お前にはいろいろと聞くべきことがありそうだ。……いろいろと、な?」
「……はい。ほんとすみませんでした」
わけのわからん魔女と原作主人公のタッグにあっさり詰まされた俺は、このあとあれよあれよという間にあれこれ喋らされた挙げ句、最終的にリリィソフトの雑用係に就任した。
なお日本は最終的に独立を果たし、ブリタニア皇帝はかなり穏当な形で退位させられ、次期皇帝にはオデュッセウスが就任。
リリィ・シュタットフェルトはコードユーザーになったうえロイドと結婚し、リリィソフトは数々の伝説を打ち立て大企業に成長した。
うん、意味がわからん。なんだあの女。