彼と彼女のベタベタな話


吉兎の短編小説
気の向くままに書いています。

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お久しぶりの短編小説です。
自分が書いている。他の短編を読んでいただくと、少しだけ面白く感じると思います。ので是非。


彼はまるで雪のような。

 

雪の結晶。雪片は細部で見ると1つとして同じ形がないように、人間も同じく、誰一人として同じ人間はいない。だから俺も1人しかないし、アイツも1人しかない。

 

 

だから俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の巡り合いというものは数奇な運命で決められている。と、某有名な冒険漫画でも書いてあった。うちのお爺ちゃんやお父さんがそうだった。お爺ちゃんはお婆ちゃんと仕事で巡り合い。お父さんはもっと前、生まれる前からの出会いだったみたい。まぁ、信じられないことではあるんだけど、それでもうちの両親は茶化すことなくイチャイチャと話して居たので嘘でもないのだろう。

2人に聞いたことがある。他の人は考えなかったのかと。2人とも同じ答えを言った。

「彼女以外ありえないし、例え、彼女と似た人が居たとしても、俺は彼女を選ぶ。」と、

そんなイケメンなお父さんとお爺ちゃんで親が親なら子も子である。

 

そんな、出会いを二代に渡りして来たものだから私もいつかそんな素敵な出会いが待っているんじゃないか。と思っていたが、今年19歳。華の女子高生の期間も終わり。夢見るあまり彼氏いない歴=年齢になってしまった。全く残念である。あ〜あ、運命の王子様来ないかなぁ。といった少女の結末とは私のことである。

 

 

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「おい、帰るぞ。とっとと起きろ。」

「ん?おはよう。あと、ちゃんと名前あるんだけど。」

「それは失礼したな。じゃ、帰るぞ。」

「はァ、わかった。30秒で支度するから待って。」

「それ以上は待たないからな。」

 

私は彼と一緒に帰る為急いで準備をした。

 

 

彼は私の幼なじみのカナタ。夏に向くと書いて夏向。名前とは真逆で口数は足らず、常に冷たい。声も冬に吹く風のように冷たい声をしている。

四季の夏生まれだからと付けられた名前だが、夏向は夏ではなく業務用冷蔵庫の1番奥の寒いところの出身なんじゃないかと思うぐらい冷たい。がしかし、容姿端麗、文武両道。まさに才色兼備のモテてる奴。どうせ女が惚れるのは、顔と能力が良い奴なんだと常々思う。

 

「ねぇ、来年のクリスマスはどうするの?」

「今年のクリスマス終わった瞬間にそれかよ…その前にお前は彼氏の1人でも作ってから言えよ。いつも嘆きながら女子会してるんだろ?お前は来年もそーなるだろうよ。」

「あーもう!嫌な所突かないでよ!!女子会でも夏向との関係とかで質問攻めされるんだからもうコリゴリなの、来年こそ恋人の1人や2人ってそんな事どーでもいいの!で?夏向は?」

「来年はいつもと同じで何も無いな。どうせつまらないクリスマスを送る。今年は言った通り、つまらない合コンに誘われ、3分で帰った。」

 

本当にムカつく幼なじみだ。私だったら誰かお持ち帰りしたいのに、コイツはいつも女性はつまらないと言って誰かと付き合った試しすらない。贅沢なのか、何なのか全く分からない。

 

「で?なんで来年のクリスマスの話になったんだ?お前、まさか俺となんて考えてないだろうな……」

「は?夏向となんて1ミリも考えてない。自意識過剰な思考でちょっと引いた。」

「まぁ、そうだろうな。俺もそれはパスする。俺と過ごしたって楽しくはないだろうからな。」

 

その発言は流石にイラッときた。なぜイラッときた来たかは直ぐにはわからなかった。こいつと長年いるのにこいつと一緒にいると楽しくないと言われた事にイラッときた来た。こいつと居て楽しくないとは思ったことは1度もない。寧ろ、その逆である。なのにそんなことをサラッとコイツは行ってきたんだ。腹が立つ。

 

「……先に帰る。」

「おい、お前が食べたかったケーキはどうするんだ?」

「もう知らない…買ってこなくていい…」

 

そう言って私は走って家に帰った。どうせ嫌でも家が隣なんだ。謝りたい時に来るだろう。まぁ、アイツは謝ってこないだろうけど。

 

私は帰ってから部屋に籠って布団に転がっていた。張合いがないと言うか、潤いがないというか、何か満たされない。虚無感すら覚えてしまう。

そんなぽーっとしている中家にチャイムが鳴り響く。私は身体を起こす事もなく、下の階にいる母に対応してもらう。その後母から呼ばれたが無視してその場をやり過ごした。

 

玄関が閉まった音が聞こえた後、こちらの部屋に向かう足音が聞こえてきたとともに私の部屋の前で止まりノックの音が聞こえてきた。

 

「秋帆、入るわよ。」

 

そう言って母さんが入ってきた。

 

「夏向くんがケーキ買ってきてくれたわよ。」

「で、夏向は?」

「帰ったわよ。後でお礼ちゃんとしておきなさい。」

「いつかね。」

 

どうせ明日は顔を合わせない。嘘でもなく逃げでもない。

 

「まぁいいけど。後悔しないようにね。」

「何それ、あいつに何かあるわけないじゃん。自分から人を突き放すような不器用人間。」

 

それを聞いた母さんは少しばかりのため息を漏らし私の部屋から出ていった。

本当になんなんだろうか。アイツは小さい頃から一緒だったし、分からないことなんてひとつもない。どんなに口足らずでも基本冷たくても、ああやって私には優しくしてくれるし、今日のように喧嘩しても明日以降にはきっとまたいつものように何気ない話をしてきた。彼氏とか居なくてもいくら友達の愚痴を言っても、冷たくあしらわれるけど結局はいつも一緒にいてくれるし、話もずっと聞いてくれる。そういう奴なんだ。

だから、またいつものように2人楽しく生きていくんだ。アイツに彼女が出来たとしても。まぁ、アイツが彼女をつくることすらないけど。

 

 

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私は昨日の事を忘れたかのようにのほほんと起きて、のほほんとゼミに顔を出して講義を受けてのほほんとそのまま帰路に着いた。

実際は、昨日の事を忘れたわけじゃないしそんなに怒ってない。

けど、なんとなく早く仲を戻しておきたかった。そんな気分に朝からなってはいたが、大学を探せど探せど、夏向の姿はなかった。

まぁ、今日はお互い時間や都合を合わせずらい日だったから、いつも通り図書館にでも篭っているのだろうと、よってみたもののいつもの特等席には居らずじまいであった。

そして今、帰路に就いているというところである。こんなにも会えないとはめずらしい。携帯を何度も鳴らしても電話に出る気配もない。それなら突撃してやろうと、夏向の家に向かった。

 

 

 

夏向の家に着くと早速、チャイムを鳴らす。

いつもな、アイツが出てくるのだが、今日は違ったのだ。

 

「あ、秋帆ちゃん。どうしたの?もしかしてあの子いなくて寂しくなった?」

 

今日は夏向の母が出迎えてくれた。

は?どういう事だ?アイツは居ないと、今、おばさんは夏向が居ないと言ったのか?どういうことなんだろう…

 

「あのー、夏向は何処にいるんですか?」

「多分今は空の上を移動中かな。」

「は?」

 

は?空の上?と私が驚く顔を見せるとおばさんはあーもうという顔を見せた。

 

「あの子から何も聞いてないの?」

「はい…何も。」

「あのバカ息子は何をやっているのかしら。」

「あのーどういうことですか?」

「夏向、来年からは海外の有名大学に留学するの。だから、最低でもあと2年は帰って来ないわ。」

「は?はい?」

 

どんな爆弾発言でも、衝撃発言だったとしても私が衝撃的だったのは、夏向が2年間いないという事だった。その後のおばさんの話は全部右から左へと過ぎ去っていった……

 

 

家へと帰り、おばさんから渡されたノートの束と、昨日、夏向が買ってきてくれたケーキを自室へと持ってそれらを着くへに置き、私は身体をベットの上に投げ出した。

 

襲ってきたのは、昨日感じた虚無感。しかも、昨日の時とは計り知れないぐらい大きく、身体中に広がっていって何も無かったかのようなもの……

そう言えば、いつもは私が怒っても「勝手にしろ」と言ってきたアイツが昨日は私が行くのを止めようとしていなのかもしれない……

 

「ケーキはどうするんだって……ケーキより話さないといけないこと、沢山あったでしょ…」

 

自然に涙が出てきてた。当たり前にいた人がちょっと居ないだけで、2年間しか、いや2年間も居ないだけでこんなにも感じてしまうのがこんなにも寂しく、虚しいのか……

 

あぁ、私は彼氏が欲しかった。けど、いつかいつかと思っていたのは、アイツがいたから、夏向がそばに居たから……

私は夏向に依存してたんだ。

多分この気持ちを埋めるのは誰かじゃなくて夏向なんだ。

 

私はこの虚無感を埋める為にケーキを食べた。どんなに食べたかったケーキでもこの気持ちを埋めるものにはならないし、さらに涙は溢れるし、どうしようも無くなっていた。

 

 

 

変な時間に寝たからだろうか……

泣き疲れてそのまま寝てしまったのだろう。私は机から顔を上げると目線はおばさんから貰ったノートの束へと自然に目がいった。

 

このノートに何が書いてあるかは知らないが表紙にはナンバーが降ってあった。

 

「なにこれ。けど夏向の文字だ。」

 

悪いと思いながらも、おばさんがくれるということは何か意味があるのかもしれないと、私はこのノートを片っ端から読んでみることにした。

 

「このノートは言葉足らずの自分が伝えておけばよかったと思う事を書き記すノートである?何これ?厨二病でも患っているの?あ、けど、描き始めたのは中学二年生の時だ。」

 

最初はあーすればよかった。こーすれば良かったと後悔のオンパレードだったけど、日を重ねていく事に普通の日記になって言った。

 

「毎日日記をつけるとか、アイツ乙女かッ!」

 

もちろん、この日記には私のことも書いてあり、思い出補正もかかって、懐かしくも面白くどんどん読み進めていった。けど今日に近づく度に「明日には必ず」という言葉が付け足されていった。

そしていつの間にかそのノートの束の最後の1冊を開いた。

 

『今日は秋帆と話す最後の機会だったが、俺が怒らせてしまった。ケーキを買って行って2人食べながら話せればと思ったがそうもいかなかった。明日から何年か、海外に行くが、アイツは俺の事を気にかけずに彼氏を作るだろう。そうなったらまぁ、仕方が無いと諦めは着く。けど、どうしても言葉足らずで感情が上手く表せない俺はここに一応書いておく。まぁ、俺が日記なんて書いてることなんて誰も気づいてないから、気持ち悪い事でも最後に書いておこう。

俺は秋帆が好きだ。それは間違い感情でどうしても上手く伝えられない感情である。

彼女はこんな冷蔵庫の1番奥の寒いところから出身の俺を嫌わず幼少の時からずっと一緒にいてくれた。最初はすれ違いのか傷つけることも多かったけど、それでも一緒にいてくれた。素直に嬉しかった。そしてこんな性格を知っていても、俺を俺として見てくれた。他の女性とは全く違う。

俺だって、一般男性だから近寄ってくる女子は嬉しかったけど、全員俺の本心を見てくれないし、結局は見た目と金なんだろうという事が見え見えだった。けど秋帆だけは違ったのだ。それだけなんだ。たったそれだけ違うだけで俺はあいつを好きになった。アイツが彼氏を作っても、いつでも好きでいよう。本当に気持ち悪いかもしれないが居るだけなら迷惑はかからない。

 

 

雪の結晶。雪片は細部で見ると1つとして同じ形はないがないように、人間も同じく、誰一人として同じ人間はいない。だから俺も1人しかないし、アイツも1人しかない。

だから俺が日本に帰ってきて秋帆に彼氏が居なかった時……

その時は誤魔化さず、好きと伝えよう。

 

らしくない事を描いたが、明日からは秋帆は隣にいない。だからこの日記のような反省文のようなものもお終いだ。

頑張れよ、明日からの俺。』

 

 

との事だった。

 

「こんな恥ずかしいこと書くならちゃんと隠しなさいよ。何見つかっているのよ……馬鹿。」

 

ノートを全部読み切ったあと先程の虚無感とは違う何かが心を支配していた。

また、涙が出てきていた。

けど、どうしてかこんなにも満たされた気がした。ノートのことを思い出しただけで顔が熱くて心臓が飛び跳ねそうになるこの気持ち……

もしかしたら、あの虚無感につけ込まれてしまったのかもしれない。けど、そんなのどうでもよかった。

 

これからずっと一緒にいたいと本気で思ったんだ。次は依存じゃなくて一緒に支え合いたいと思った。

 

すぐにでも、声を聞きたくなってスマホに目を向けると、見慣れた電話番号から電話がかかって来ていた。

 

私は時差なんて関係なしに電話をかけてやった。アイツが出たら怒鳴り散らしてやろう。そして思いっきし泣いてやろう。最後には宣言してやろう。

 

彼氏なんか作らない。ずっと待ってるからと。

 

 

 

だって、雪のように冷たく、けど私の隣で暖かくしてくれる君は運命の王子様なのだから……

 

 

なんて考える私もまだまだ夢見る少女だ。

 




今回はお題名無しに書きたいものを自由に書いてみたため、内容はベッタベタのお話になりました。すみません。
だが後悔はしていない!!

誤字脱字文章の文字抜けがあれば気軽に指摘してください。
感想も、気軽にして貰えるとありがたいです。
後、知り合いにも広めて貰えるととても嬉しいです。

いつもの欲張りセットですが、また次話会いましょう。

バイバイ

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