※59名呼び 呪術はモブ術師(最後らへん五条)、aphは朝菊が出ます かわいそぉなモブ術師たちがメインです 呪術側は薄ら捏造渋谷事変後をイメージしてます
▼ヘタリアの面子は、漏瑚の言ってた「真の人間」に近い気がします。正の感情も負の感情も体現しているわけですから
pixivからの転載

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【呪術×腐向けヘタリア】「そういう人」たちが実は特級呪霊だという話

 最初はただの人だと思われていた。王の周囲にまとわりつく幼子だと。しかし王はその幼子の存在に身に覚えが無く、幼子がいつまで経っても成長しない。そして、彼らは国の情勢に合わせて体調を変化させる。

 そういう「人」が「国」であると、人々が気付くのは割と早かった。神話の時代にはもう彼らの存在は確認される。

 本来ならそれらはオカルトと区分されるべき存在だったはずだが、自然のように当たり前に存在したものだから、人々は彼らをごく普通に接した。人として、人として、人として。直属の上司は国の元首。ただただ、年若い姿のまま、まるで永遠を生きる存在として、ひっそりと彼らは生き続けた。永遠など夢幻だと彼らはわかっている。国に永遠はない。そう夢見る人々のために、比較的若い姿で居続ける。

 そんな彼らを「特級呪霊」と位置付けたのは、神話の時代が終わってしばらく経った頃だろうか。

 

 手土産を片手に、足取り軽く歩く青年がいる。ビスケット色の金髪と緑色の目、意志の強そうな眉と幼顔が特徴的な白人の青年だ。青年の「手土産」からはおどろおどろしい黒煙が垂れていたが、青年は恋する乙女のような顔でいた。青年の向かう先は、生け垣に囲まれた古式ゆかしい日本家屋だ。しかし、青年の足取りはそちらへは向かわず――裏道へと入っていく。

 そこで、そこに控えていた黒服の男の胸倉を掴んだ。青年は凄む。

「おい、てめぇ。前ここに来たとき言ったよな。日本は俺が守るから、俺が来る日は警備は要らねぇって」

「し、しかし、特級呪霊にはせめて1級術師がついていないと。呪詛師や呪いからの護衛もありますし」

「いいか、呪術師」

 青年は言った。

「俺らのことを『呪霊』なんて呼ぶんじゃねぇ。俺らは、人で、国だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ」

 男は答えなかった。

 

 

 呼び鈴を鳴らすと、ぱたぱたと軽やかな足音が聞こえてくる。物騒な世の中なのに、インターホンというものを導入する気はないらしい。無防備に引き戸を開けてきた彼に、青年は微笑んだ。

「久し振り、日本。手土産持ってきた」

「有り難う御座います、イギリスさん。わぁ。………………ひょっとして手作りですか」

「おっ、よくわかったな。今日のはうまくいったと思うんだ」

「ソウデスカ……」

 言いながら、包みを受け取った彼――日本は、イギリスと呼ばれた青年を自宅に招き入れた。

 その様を、先程脅しをかけられた呪術師は見守り、そして見送った。これ以上、「イギリス」がいる間に自分がいればそれこそ何をされるかわかったものではない。

 特級呪霊に類される「国」「そういう人」。彼らは国民の想い――呪いの集合体とされる。彼らは国際情勢の表舞台に立つことが多く、彼らを祓うことは即ち更なる「化けもの」を呼び起こしかねない。ゆえに、各国の呪術師が担当の「国」を見張っているというのが実情だ。中には秘書として働いている者もいるという。

 閑話休題。ここ100年から150年ほどの動きで、各国の「そういう人」たちに変化が訪れた。

 彼らが、呪霊を見ることができなくなったのだ。そして、その存在を忘れてしまった。

 それまでは多かれ少なかれそういうものが見えている国が大半だった。しかし、国民の想いを、呪いを受ける彼らは、ダイレクトにその影響を受けてしまった。

『科学の発達したこれからの時代に、お化けなんて馬鹿馬鹿しい』

 ――それが、「国」から見えていたはずのものを奪った。

 そんな彼らを呪霊として扱うのはもう無理ではないか? そういう意見が出たこともある。

 呪霊が見えない呪霊など存在しない、と。

 しかしこういう意見もある。

 特級呪霊である「国」に、「非術師であれ」という呪いを寄せられた結果が今の状況ではないかと。

 結局彼らは特級呪霊という扱いのまま、そして祓わせるわけにいかないというこの国において最重要な立場のままであり続けている。

 なのでできれば、あまり呪霊同士関わりを持って欲しくないなとも各国の呪術師たちは思っている。特級呪霊が徒党を組んで「なにか」をやらかさないとも限らないので。「渋谷事変」――2年と少し前に刻まれたトラウマが呪術師たちには根深かった。

 

 

「あまり、いじめないであげてくださいね」

 そう、日本がぽつりと呟いたのは、なんだかんだと手土産を置いてきぼりにされ日本に出された茶菓子を食べていたときだった。座敷童は相変わらず屋敷の中を駆け回っているのが聞こえる。それを微笑ましく聴いていたイギリスは、日本の言葉に咄嗟に応(いら)えを返せなかった。

「なんだって?」

「先程、外の裏手で揉めていたでしょう。入れ替わり立ち替わりですが、私を見守ってくれている人のひとりでしょう」

「……」

「客観的に言って、私たち『国』という存在はひどく非常識であり得ないもの。それに見張りがつくのは当たり前と言えば当たり前でしょうね」

(……やはり、呪霊はもう見えない、か)

 イギリスが黙っていると、日本は湯飲みを手で挟んだまま言う。

「でも、責めないであげてください」

 日本は微笑んでいた。いつものアルカイックスマイルとも違う、慈愛に満ちた微笑みだった。

「私には詳細はわかりませんが、国民の皆さんの心を安んじるために行われていることなのでしょう。だから、イギリスさん。あまり、責めないであげてください」

「……日本」

「でも」

 イギリスが眉を顰めていると、日本はふふ、と忍び笑った。

「イギリスさんのご心配も嬉しいんです。私は。愛されているんですね、私は」

「……か、勘違い……」

「してもいいんでしょう?」

「…………おう」

 返す言葉はやけに小さかった。

 

 この日の担当だった呪術師は幸いだった。イギリスに追い払われたため、この糖度の高いやり取りを見ずに済んだので。

 

 

「はぁ~~? 『イギリス』の一喝で追い返されたぁ? 情けない。降格ものだよ。まったく……呪霊ってのは本当に厄介だねぇ」

 

 

 


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