若くして人生を終えた一人の青年は、胡乱な女神の導きで雑に転生する。

ゴッドイーターの世界へと。
人ではなくアラガミでもないが。



思いつきを腐らせるぐらいなら文字に起こしてしまえ。
と思い立った結果がこの作品になります。
隙間時間にでもお読みください。

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剣が武器の作品なら行けるかなぁって


違うそうじゃない
最高に輝く神機


選択肢の意味が無いよねそれ。

 

目の前で提示された二つの選択肢。実質一つである事を知ってもう呆れるしか出来ない。何でこんな状態になったのかというと───

 

『あっもしかして回想入ります?長いです?』

 

回想入りまーす。そしてさらっと人の思考を覗くな。

 

『女神なので』

 

もういいや回想入って時間稼いでやれ。

 

『稼いだところで何も変わりませんよ?』

 

うっせ

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

「スッキリはするけど虚しくもなるな」

 

部屋を埋め尽くしていた、もうプレイしていないゲームと玩具をまとめてホビィオウフに売った感想がそれだった。

 

「後は頼むぞキッズ達」

 

今を生き、未来で立派な特撮オタになるかもしれないマスクドキッズと、現時点で立派な特撮オタである見知らぬ同士に託す。値札貼られるけど。

 

「思い残す事は・・・まぁまぁあるけど、続きとか」

 

余命宣告されるなんて思わなかった。まだピンと来てないし、今もこうして動いてホビィオウフ来れてるし。怖いっちゃ怖いけど。

 

そういや何で視点が低くなってるのかな。身長180cmはあるはずなのに、ほぼ地面じゃないこれ?あ、なんか靴見え

 

 

『遺言が靴見えるって、それで良いんですか?』

 

良くねーよご臨終しちゃったじゃんよ

 

『余命ですからね仕方ないですね』

 

あんた誰

 

『私だ』

 

お前だったのか。じゃなくて誰よ

 

『続ければ分かったのに、女神です』

 

なるほど、で転生ですか?召喚ですか?

 

『わーお話がはやーい』

 

余命宣告されてたのは事実だし、もうこの際あんたがモノホン女神だろうが女神を自称するヤベー奴だろうがどうでも良いわ

 

『冷めた若者ですね、嘆かわしい』

 

悪かったな

 

『まぁそれは置いといて、転生です、お仕置きで』

 

は?お仕置き?何で?

 

『あなたが微妙に悪い人間だからですね、普通なら問答無用であの世にシュウゥゥゥゥ!超エキサイティン!なので、やり直すチャンスが有るだけありがたく思うように』

 

えぇ・・・

 

『あなたに限らず現代の若者は大抵地獄に堕ちてますよ。閻魔やらの目から光が消えてます』

 

地獄のブラック企業で草。で、何で俺にはチャンスが?

 

『それは私が特撮とゲームを司る女神だから』

 

は?

 

『スーサイドの神だっているんです。特撮とゲームの女神がいても可笑しくないでしょう。何の生産性も無い、酔生夢死としか言い様の無いあなたの人生で唯一の美点が私の司る特撮とゲームを愛していた事です。あなたが売却した中から転生先を選ばせてあげます。セイバーとゴッドイーター、どっちの世界に転生したいです?』

 

畳み掛けるな・・・じゃあセイ

 

『分かりましたGEですね』

 

おい

 

『GE世界、アラガミのせいでバカスカ人がコロコロされるんですもの。世界を救ってとは言わないので少し間引いてください』

 

人を?

 

『スタート地点ウロヴォロスの足元にしてあげましょうか?』

 

サーセン

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

『はい、回想終わりましたね?』

 

本当に選択肢の意味、というか選べてないよね?俺セイバーの世界が良かったんだけど?さらに言えばアニメの円盤もあったよね?ほのぼのストーリーのやつあったよね?

 

『特撮でもゲームでも無いのでダメです。まぁそこまで言うならセイバー要素持った状態でGE世界に送りますよ』

 

オラクル対応してなくて詰むパターンでは?

 

『頑張ってくださいねー』

 

話聞いて?

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

(あの駄女神・・・覚えてろよ)

 

視界に映るのは人の気配が無い街。おそらくは───

 

(贖罪の街、の廃ビル内か?なんか懐かしいな)

 

ゴッドイーター自体かなり前にプレイしていた為、懐かしさが込み上げてくる。

 

(曇るアリサは性癖に刺さったなぁ・・・あ、オウガテイル発見)

 

そういう歪んだ性癖があるから、こういう事になるのでは?それはさておき、二足歩行の小型アラガミ【オウガテイル】を視界に捉えた転生者君。早速アラガミをコロコロする為に動こうとするが───

 

(動けん・・・なぜ?・・・ファッ)

 

動けない事に気付き、ようやく自分の体を確認した転生者君。その体は鋼を纏っていた。というか鋼そのものだった。厳密にはいろいろと素材混じってるだろうけど。

 

(俺自身が神機になることだ・・・じゃねぇよ、何でだよ)

 

ゴッドイーターの世界において、人間がアラガミに対抗出来る唯一の手段【神機】。に転生していたらしい転生者君。動けないさ、神機は所詮武器だもの。

 

(そら神機ならアラガミ倒せるけどさぁ・・・俺が神機そのものになった所で、動けなきゃ意味無くない?)

 

止まらない愚痴をこぼしながら、マイボディになっている神機を観察する転生者君。気になっているのは視点と刀身。

 

(視点があるのは盾の部分か?ギリギリグリップ部分も見れるけど俺の目どうなってんだ。それに刀身はショートっぽいな、ゲームではロング使ってたんだけど)

 

そして何よりも

 

(銃身が無い?俺まさかの旧型?)

 

神機は旧型と新型に分類できる。刀身と盾を備えた近接型と、銃身のみを備えた遠距離型がそれぞれ存在し、どちらか一つの形態しか持たない旧型。可変機構によって近接形態と遠距離形態を切り替えできる新型。転生者君はどうやら【ショートブレードの旧型神機】になっているらしい。

 

(まじかぁ、そうなると俺を使ってくれるのはタツミか?どうせならカノンちゃんとかジーナさんが良かったなぁ・・・)

 

ショートの旧型使いでネームドキャラと言えば極東支部の【大森タツミ】くらいしか知らない転生者君。ちなみに彼の言う【カノン】と【ジーナ】は女性のゴッドイーターであり、どちらも遠距離型である。

 

(とりあえずこの伝説の剣状態から抜け出さない事には何も始まらん・・・伝説の剣?)

 

自分の例えに電流走る。やや斜めに刀身を下にして、地面に突き刺さっている転生者君。もう一度自分の体を、「色」をよく見る。

 

(最光か?最光じゃねぇのこの色)

 

【光剛剣最光】特撮作品【仮面ライダーセイバー】の登場人物の一人にして聖剣の一つ。変身すると剣そのものになり、自由に浮遊して敵と戦う中々にシュールな光景が見れるライダーである。転生者君は【光剛剣最光っぽい旧型神機ショートブレードタイプ】になっているらしい。

 

(セイバー要素ってこれかよ・・・いや、動けないんだけど!)

 

原典の仮面ライダー最光は剣が飛んで会話し、時には主人公に自分を持たせて敵と戦うのだが、転生者君は全く動けない上に声を発する事も出来ない。

 

(これでどうやってアラガミスレイするん・・・刀身に噛み付かせて自傷させるとか?一体倒すのに何年掛かる事やら・・・とりあえず挑発の念を送ってみよう)

 

方向性を間違ったポジティブを発揮する転生者君。

 

(来いよコンゴウ空気弾なんて捨ててかかってこい!・・・今コンゴウって言った?オウガテイルどっか行っとるやんけ、完全に猿ですありがとうございます)

 

自分の観察をしていたらオウガテイルは何処かへと消え、入れ替わるように猿のような中型アラガミ【コンゴウ】が出現していた。それも三体。

 

(まぁまぁ狭いこの場所で猿三匹はヤバイな。普通の人間とかGEに転生してたらフルボッコだドン!でアウトだったかもしれん)

 

コンゴウに限らず、狭い空間でアラガミと戦闘を行えばリスクが高くなる。考察している内にコンゴウの一体が転生者君に気付き、近寄ってくる。

 

(あれぇ!?神機ってアラガミが食べたくないとか食べられないとか、そんな設定無かったっけ!?何でこっち来てんだぁぁぁ!)

 

厳密にはゴッドイーターの腕輪に供給される偏食因子が、アラガミと同じオラクル細胞で構成された神機からの捕喰を防いでいるだけであり、【スサノオ】のような神機を好んで捕喰するアラガミも存在する。ようするに神機だから捕喰されないという事はない。

 

(うおぉぉぉぉぉ!こんな雑な感じで死ねるかぁぁぁぁ!何か出ろぉぉぉぉ!あ、ダメだわコレ)

 

誰にも届かぬ声で何か奇跡を起こそうとするも、そう簡単に不思議な事が起こる訳もなく。アッサリと諦観する転生者君だったが、そんな彼の前でコンゴウが停止する。そして、おっかなびっくり転生者君にその逞しい腕を伸ばしては引っ込めるという行動を繰り返す。

 

(・・・初めて火を見た猿か!お前らから新たな人類史が始まるんか!)

 

コンゴウの行動は完全に火を初めて見た獣のそれだった。

 

(はっ!無理無理!普通のホモサピエンスですらないお前らに俺は抜けないって)

 

───スッ、ザッザッザッ

 

触る事無く去っていくコンゴウ達。どこにあるかは分からないが、悲しげな目でその背中を見送るしかない転生者君。

 

(チャレンジくらいはしてほしかったなぁ・・・)

 

その後はゴッドイーターもアラガミも現れず孤独に新たな人生、ならぬ剣生をどう過ごすか考える転生者君だった。ちなみにまだ転生一日目である。




神機なのに戦わない(戦えない)

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