もののけ(ヤンデレ)姫   作:トマホーク

11 / 11
ロードショー便乗更新です。

もうちょっとこう…ヤンデレ力を強くしたかったのですが、まとまりませんでした…。


閑話 ヤンデレ出陣

アシタカを村から放逐し半年。

 

エミシの村にある社では嘗てのように――アシタカに沙汰を告げた時のように重く苦しい雰囲気が漂っていた。

 

「「「「……」」」」

 

「はぁ……」

 

村長衆の面々が思い詰めた表情で顔に影を落とし、巫女であるヒイ様がため息を吐きながら呆れ顔で石を弾き呪(まじな) いを行う。

 

「……う、うぅ……」

 

ただ以前の状況と違うのはアシタカが居た場所に、顔をパンパンに腫れ上がらせ青タンを幾つも作り、所々に巻いた包帯に血を滲ませ、小さなうめき声を上げながら横たわる次期村長候補――アシタカの後任にあたる男が居る事であった。

 

「……ふぅ」

 

「ヒイ様……」

 

「結果は、結果はいががでしたか?」

 

石を弾くのを止め僅かに天を仰いだ後、何度目かのため息を吐いたヒイ様に村長衆が声を掛けた。

 

「少なくとももうこの近辺には居ないようだ。私達の手を離れて自由の身となったと呪いで出たよ」

 

「やはり……」

 

「遅かったか……」

 

「手遅れならば追跡――ゴホン、捜索隊は引き上げさせるしかあるまいか」

 

ヒイ様の言葉に落胆した様子で互いの顔を見合わせる村長衆の面々。

 

「全く……あれから半年。ようやく皆落ち着いてきたというのに厄介な事をしてくれたねぇ」

 

そんな男達をよそ目にヒイ様は眼前に横たわる男を感情の無い瞳で睨みつけ呟く。

 

「も、申し訳……うぅ……」 

 

軽蔑と失望が入り交じる侮蔑の視線を浴び、男は縮み上がりながら言葉にならない声を漏らした。

 

「お前が嫌がるカヤを無理矢理手籠めにしようとさえしなければこんな事にはならなかったものを」

 

「全く。アシタカに続いてカヤまで失う事になろうとは……此度の始末はどうするつもりだ」

 

「そもそもカヤはヒイ様の跡を継ぎ村を導く巫女となる事があの一件の後に決まっていただろうに、何故こんな事をしたのだ」

 

「うぅ」

 

怪我で息も絶え絶えな事など知ったことかとばかりに周りから次々に飛んでくる叱責にうめき声を上げるだけの男。

 

「さてはて、どうしたものだろうかね」

 

そんな哀れで愚かな男から視線を外し、最側近である村長衆の数人と膝を突き合わせながら密談を始めるヒイ様。

 

「カヤはもう村には戻らないのでしょうか?」

 

「いや、全てはあの娘の選んだ道次第。良き方に転べば自らが最も欲した物を得て華々しく凱旋、良くない方に転べば最も欲した物の一部だけを得て消え去る」

 

「最も欲した」

 

「物を……」

 

ヒイ様が導き出したカヤの進退に対しての呪いの結果に村長衆は互いに視線をぶつけ合う。

 

「それはつまり……」

 

「アシタカだろう」

 

「やはりか……」

 

「アシタカがおらんなってからのカヤの奇行の数々……あれは見ておれんかった」

 

「まさかとは思いますが、此度の一件カヤが?」

 

「ないとは言い切れぬのう、何せ手際が良すぎる」

 

「後腐れなく出ていく為にあやつに自分自身を襲わせたと?」

 

「「「「……あり得るな」」」」

 

言葉を積み合わせて行くうちに何故か楽しげな表情を浮かべて出歯亀精神丸出しでヒートアップしていく村長衆数人。

 

「こうなってくると結果が楽しみじゃ」

 

「全く。しかし、アシタカはあれでモテるからのう。カヤが見付けた際に別のおなごと一緒におったりなんてしたら……グフフ」

 

「この目で見たかったのう……修羅場」

 

「あやつも案外スケコマシじゃからな、呪いなんぞ片手間に片付けて別のおなごも一緒に連れ帰ってくるやもしれぬぞ」

 

先程までとは一転して和気あいあいと言葉を交わす長達。

 

「まぁアシタカのことじゃ、なんとかするじゃろう」

 

「うむうむ。しかし……何はともあれ」

 

「「「「アシタカも大変じゃ」」」

 

皆、思う事は同じなのか遠い目で彼の者へ思いを馳せたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

「えーっと、こっちかな?兄様に続く道は」

 

「フフフ驚くだろうなぁ、兄様」

 

「会えたら兄様嬉し泣きしてくれるかなぁ……」

 

「半年以上会ってないし、ギュッと抱き締めてくれちゃったりして」

 

「でも心配だなぁ……」

 

「呪いで占ったら兄様の周りに薄汚い牝犬と穢らわしい雌狐が擦り寄るだろうって出たし」

 

「他にも有象無象のゴミ虫共も集るだろうって」

 

「でもでも大丈夫だよね?私の小刀と一緒なんだし」

 

「それに私に会えないからって例え気の迷いをおこしていても私が目を覚まさせてあげればいいだけだし……」

 

「フフフッ、待っていてね兄様。すぐにカヤが参りますからね」

 

「フフッフフフッ、フフフフフフ……」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

目覚めたらそこはシシ神の森でした(作者:もふもふケモノ大臣)(原作:もののけ姫)

もののけ姫面白かったのでつい書いたSS。▼ぐだぐだかつ勢い任せかつ時代考証は割と適当で付け焼き刃です。▼中世日本風ファンタジーと割り切った方が精神への負荷は軽いかもしれません。▼続くかどうかも分からない見切り発車です。▼2018/11/05▼何とか続けてみました。誤字脱字が多いもので訂正してくれる皆さんに感謝しております。▼勘違い要素タグ追加。▼2019/0…


総合評価:14329/評価:8.47/短編:7話/更新日時:2021年03月14日(日) 14:16 小説情報

平成のワトソンによる受難の記録(作者:rikka)(原作:名探偵コナン)

ルパンvsコナンのTV版のラストシーン見てて思いついた作品。▼コナンの傍に、事情をある程度知っている助手みたいなのがいれば面白いなと思い、ストレス発散も兼ねて書いてみました。▼コンセプトとしては、個人的に面白いと思った単発、あるいは数回だけ登場したキャラをどうにか上手い事拾って行く感じです。▼なお、女性率が高い気がしますがお察しください▼いいトリックを思いつ…


総合評価:48428/評価:9.05/連載:163話/更新日時:2022年09月16日(金) 20:02 小説情報

戦鎚とったからパラディ島行くわ(作者:匿名)(原作:進撃の巨人)

『進撃の巨人』世界のマーレ帝国に転生した主人公は▼エレンたちが生き抜いた世界を見たいがために▼戦鎚の巨人の力を奪い▼パラディ島へ向かう


総合評価:11240/評価:8.72/連載:13話/更新日時:2025年10月01日(水) 18:00 小説情報

進撃ロスのサラリーマン、転生し超大型巨人を継承する(作者:ダブドラ)(原作:進撃の巨人)

▼ 絶大な人気を博した漫画、「進撃の巨人」が完結し、とあるサラリーマンがロスに陥っていた。▼ だがある日、彼は進撃の巨人の世界に転生し、ある運命を背負ってしまう。▼ これは、残酷な世界で抗い戦った、▼ 一人の転生者の物語。▼ ▼ ▼ <注意事項>▼ 本作では序盤から原作のネタバレが含まれます。読む際はご理解の上でお願い致します。▼ 現在不定期更新…


総合評価:2125/評価:8/連載:21話/更新日時:2026年04月16日(木) 22:13 小説情報

これもきっと妖怪のせいに違いない(願望)(作者:R1zA)(原作:妖怪ウォッチ)

▼リハビリ作。▼最近事故で死にかけた時に見た走馬灯で妖怪ウォッチがやりたくなったので久々にやった結果、『妖怪ウォッチって改めて見るとめっちゃヤンデレ適性高いな?』と思って書いた怪文書です。▼以下あらすじ▼妖怪ウォッチ世界でケータ君に転生した人が無印から3までを死に物狂いで駆け抜けた結果、繋いだ縁でがんじがらめにされる話。▼※匿名解除しました(2025/1/1…


総合評価:6713/評価:8.91/短編:2話/更新日時:2026年06月03日(水) 01:32 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>