旅の歩みの中で、別の旅人と出会う事もある。
ただそれだけのお話。

・IF響(グレ響)とスーパーヒーロー作戦CSの世界を通過した(シンフォギアの世界を経験した)後の門矢士が出会う話。
※スーパーヒーロー作戦CS未見でも特に問題はありません。

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『シンフォギアXDUのIF響(グレ響)』と、私が執筆しております二次創作作品、『スーパーヒーロー作戦CSの物語を終えた設定の仮面ライダーディケイドこと門矢士』が出会う話です。
スーパーヒーロー作戦CS未見の方は『シンフォギアの世界に【私立リディアン音楽院の教師】という役割で立ち寄った事のある門矢士』と考えていただければ特に問題はありません。


旅人たち

 とある並行世界。

 エレクライトの力で並行世界を巡り、贖罪の旅、そして人助けの旅を続ける少女が1人。

 彼女の名前は『立花 響』。

 贖罪の言葉通り、罪を背負いながらも今を生き抜く戦姫の1人。

 

 そんな彼女は今、窮地に追いやられていた。

 紫と黒を基調とした姿──エレクライト──を身に纏い、周囲を取り囲む敵を見渡す。

 

 この『敵』達は、この世界における人類の脅威。

 彼女が元いた世界における『ノイズ』に相当する敵とでも言えばいいだろうか。

 人を助けるために敵の群れに身を投じたものの、現在彼女は劣勢だ。

 

 

(数が多い……!)

 

 

 1体1体が強い、というわけではない。

 苦戦している理由は至極単純、響が心中で吐き捨てた言葉が全てだ。

 軍勢と称するには十分すぎる程の数が、彼女の周囲を取り囲んでいた。

 

 

(……1つずつ、潰すしかないか)

 

 

 問題は体力と気力の問題。そしてその隙を突かれれば致命的な攻撃を食らう可能性もある。

 とはいえ効果的な手段があるわけでもなく、彼女は黙々と敵の撃滅を考える他ない。

 構え、眼前の敵を睨み、呼吸を整える。

 

 一歩踏み出す──────その瞬間だった。

 

 

 ────FINAL ATTACK RIDE……DE・DE・DE・DECADE!────

 

 

 電子音声と共に『何か』が敵の群れ目掛けて落下してきた。

 一瞬、黄色いカードのような幻影が見えたのは響の目の錯覚だろうか。

 群れが吹き飛び、砂埃を巻き上げて一瞬の突風が衝撃と共に舞う。

 両腕を交差させて衝撃を凌ぐ彼女が目にしたのは、落下してきた『何か』が動く姿だった。

 

 

「……何?」

 

 

 思わず口に出してしまったが、彼女の目にしたものは何とも不可思議な姿をしていた。

 全身が奇抜なピンク、いやマゼンタだろうか?

 緑色の瞳にバーコードのような黒い線が何本か刺さったような形状をした仮面。

 腰には白いバックルを付けた、異形の姿。

 

 彼女の知る兵装、シンフォギアでも、エレクライトでもない。

 ただ1つだけはっきりしているのは、この状況下の中に飛び込んでくるほどの、そして敵を吹き飛ばす事ができる程の能力を持った『何か』であるという事。

 

 異形は響を見た。

 その動きは何処か動揺や驚愕にも似た挙動を僅かに滲ませているように見える。

 

 

「立花……?」

 

「え……」

 

 

 何と、どういうわけか名前をドンピシャリと当ててきた。

 それも知り合いの名前を呼ぶかのような感覚で、響の顔を見るや否や、だ。

 

 

「……そんなわけないか。まあいい」

 

 

 そして勝手に何かに納得したらしい。

 響としては「そんなわけなくない」のだが、目の前の異形はつかつかと近寄ってくる。

 

 

「おい」

 

「何……? 私の事を知ってるの……?」

 

「あとにしろ。それより、コイツ等と戦ってるんだな?」

 

「え、あ、まあ……」

 

「手を貸してやる。さっさと終わらせるぞ」

 

「は……?」

 

「……『あっち』とは違って随分静かだな。そいつはシンフォギアか? 見覚えが無いが」

 

 

 突然現れて手を貸すなどと言い出し、訳知り顔で接してくる。

 こんな状況で問い詰めるわけにもいかないが、響としては気になる事のオンパレードだ。

 この数秒でよくもまあ質問したい事がこんなにも湧くものだと思うほどに。

 その思いは、たった一言に集約される。

 

 

「……貴方、何者なの……?」

 

 

 異形は答える。

 たった1つの、彼の通り名を。

 

 

「────通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言おう。圧倒的だった。

 1人から2人になった事で、1人辺りの討伐必要数が半減した事もあるが、それ以上に助っ人の異形──『ディケイド』の力が凄まじいものだった。

 やれ分身するわ、やれ姿を変えるわ、最後には「面倒だ」と言い出してカードを胸に大量に張り付けた姿になって周囲を一掃して見せた。

 

 全てが終わった後、2人は向き直って変身を解いていた。

 ディケイドの中からは長身の青年が姿を現す。

 首から下げたマゼンタ色のトイカメラが印象的な姿だった。

 

 

「人間、だったんだ……」

 

「変身するって意味では似たようなもんだろ、シンフォギアも仮面ライダーも」

 

「……さっきから貴方、何でシンフォギアを知ってるの。あとこれ、シンフォギアじゃないよ」

 

「ほう。また別のがあるのか」

 

 

 フン、と鼻を鳴らして腕を組む彼は中々に偉そうな態度を取っている。

 とはいえその程度で気分を害すような事も無く、むしろ気になっている事が多すぎて態度にまで響は気が回っていない。

 

 

「貴方、さっき私の名前を当てたよね」

 

「立花響、だろ。知ってる」

 

「私は貴方の事、知らないけど」

 

「だろうな」

 

「……まさかとは思うけど、『別の私』を知ってる、とか」

 

「…………!」

 

 

 驚かされっぱなしだった響だが、最後の一言で今度は青年の側が驚く事になる。

 『別の私』。その発想に即座に行き着くとは思ってもいなかったからだ。

 それもその筈、事実、青年は『別の立花響』を知っている。

 そしてそれは、およそ一般人では及びもつかないような出来事の上で。

 

 驚く青年を見て響は察した。どうやらそれが正答である、と。

 ただそれは響にとっても驚愕に値する答えだった。

 わざわざ「まさかとは思う」と前置きをした通り、それは響にとっても意外なリアクションだったのだ。

 

 

「貴方、別の世界から来たの……? 私と同じで……。

 あと、別の世界の私と会ってる……?」

 

「……どうやら、『俺と同じ』なのか、お前」

 

「そうみたい。……少し何処かで、話そうか」

 

 

 ディケイドは世界を巡る旅人だ。

 立花響も世界を巡る旅人だ。

 そんな2人がある時ばったり出会って、共通の話題を持っていた。

 幾重もの偶然が起こした小さな奇跡。

 2人の物語に刻まれる、小さくも忘れられない1ページだった。

 

 

 

 

 

 公園のベンチで缶コーヒーを飲む士と缶のココアを飲む響。

 1人分のスペースを開けて3人掛けのベンチの端と端に座る2人は、掻い摘んでお互いの経歴を話し合っていた。

 とりあえず、最初はお互いの名前から。

 此処で初めて響は彼の名前が『門矢 士』である事を知った。

 

 

「……じゃあ貴方、やっぱり『あの私』を知ってるんだ。しかも先生だなんて」

 

「ああ。ガングニールじゃないお前を見た時は見間違いかとも思ったがな。エレクライト……だったか」

 

「うん。私も一応、ガングニールの適合者ではあるけど」

 

「どの世界もそこは変わらないんだな。ただ性格が違いすぎるだろ」

 

「色々違うから。あの子には陽だまりがあった、私には無かった。それだけだけど、一番大事なもの」

 

「……『お前の方の小日向』、何かあったのか」

 

「最初にちょっとね。ただ、今はもう居るから大丈夫。帰る場所は、ある」

 

「……そうか」

 

 

 この場にいる立花響とは異なる『もう1人の立花響』の話題から2人の話は膨らんでいく。

 天真爛漫で常に明るく騒がしくもムードメーカー的な『立花響』。

 対し、こちらにいる響はクールで寡黙、落ち着いて大人びた『立花響』。

 士は違う世界とはいえ同じ人間でこうも違うのかとギャップに驚くが、偏にそれは『立花響』にとって最も大切な要素があるかないかの差だった。

 

 小日向未来。

 どちらの『立花響』にとっても大切で、どちらの『立花響』の事も大切にしてくれている彼女達の陽だまり。

 それがいたか、いなかったか。それが明暗を分けたのだ。

 未来がいたから、『立花響』は明るさを失わなかった。

 未来がいなかったから、『立花響』は誰にも頼れず孤独を生きた。

 

 

「どっちの世界のお前も小日向一本なのは変わらないって事か。家でやれ全く」

 

「どういう意味なのそれ。……まあ、未来が大切な事は、否定しない」

 

「歯が浮くな。……その辺の根っこは変わらないんだな、お前等」

 

「どっちも私だしね」

 

 

 性格は180度違う。

 だが、内に秘めているものは同じなのだろうか。

 こちらの響と出会って間もない状態で完全に把握する事は難しかったが、何となく士はそう感じた。

 

 さて、簡単な身の上話は済んだ。

 此処からが士の聞きたかった本題だ。

 

 

「お前、何で世界を巡ってるんだ?」

 

 

 瞬間、響は目元に影を落とし、一瞬押し黙った。

 しかし数秒と経たないうちに、響は問いへの答えを語りだす。

 少しだけ、自嘲気味な声色で。

 

 

「償い、かな。エレクライトを手に入れた時の戦い……私が初めて『もう1人の私』と会った時の戦いは、沢山の並行世界を巻き込んだものだったんだ」

 

「また派手なのに巻き込まれたな」

 

「まあ、ね。それでその時、私は未来を失ったんだ。……帰ってきたけど、ただの結果論。

 当時の私はただただ敵に復讐したくて、たまらなかった。

 そんな時に私に手を差し伸べてくれた人と、その仲間達がいたの」

 

「…………」

 

「スターリット……それに、フォルテ、ララ、テスラ……T.E.Cっていう仲間が。

 ……私にとってもう1つの居場所。もう1つの、大切な人達だった」

 

(『だった』……か……)

 

 

 響の纏う何処か憂いにも似た空気に、最初の一言以降黙り込みながら彼女の話を聞く士。

 そして、『だった』という言葉からその『大切な人達』がもういないのであろうという事も察しが付く。

 どうにもこの少女、士のよく知る『立花響』以上に、過酷な運命を強いられているらしかった。

 

 

「色々、あったんだけどね。私はそのテスラって人の目的に利用されたんだ。

 ……結果的に、沢山の並行世界の人を殺してしまった。世界を壊してしまったんだ。私の、この手で」

 

「……!」

 

「……テスラも優しい人だった。だからこそ、戻れないところまで行ってしまった。

 フォルテも、ララも……。スターリットだけはその目的に反発してたけど、私を庇って、このエレクライトを託してくれて……。

 結局私は、その戦いで何も護れなかったんだ」

 

「それがさっきの、『償い』の意味か」

 

「そう。色んな世界に、取り返しのつかない事をした。利用されてただけじゃすまされない。

 それに、あの戦いで私は手を差し伸べる事ができるようになった。だから、私なりに人助けをしたかったから」

 

「人助け、ね……。フン、行き着く結論までそっくりだな」

 

「これはあっちの私に影響を受けたから。もう、間違えたくないんだ」

 

 

 利用されていただけでも、取り返しのつかない事をしてしまった。

 世界を壊し、誰かを救う事ができなかった事はこちらの響にとって大きな後悔だった。

 だから旅をしている。償いの為、そしてもう二度と間違えない為に。

 

 

「お前とは、あっちの立花よりも話が合いそうだ」

 

 

 色々聞いた上での士の反応がこれだった。

 この話の何を持って『話が合いそう』と思ったのか、響は目を丸くする。

 

 

「どういう意味……?」

 

「……似たような経験がある、って事だ。

 悪党に振り回される、世界を破壊する……色々とな」

 

「嘘……」

 

「嘘なわけあるか。『ディケイド』の通り名、教えてやろうか」

 

 

 彼は自身の事を『通りすがりの仮面ライダー』と称する。

 だが、彼には呪いとも言えるようなもう1つの通り名があった。

 士自身、その通り名を使う事もある。

 ただし、多くの場合それは自分の力を『皮肉』として表現する場合に。

 

 

「『世界の破壊者』だ。……文字通り、並行世界を破壊する事ができる、な」

 

「……なんで、そんな力を」

 

「元々、ディケイドの力はそういうものだった。

 仮面ライダーってのが色んな世界にいて、それを全て破壊して回る。それが役割だった」

 

「でも、貴方もその、仮面ライダー、とかいうのなんでしょ?」

 

「目には目を……って事だろ。最終的に世界は救ったが、やってきた事は消えない」

 

 

 響目線でその話を聞くには、かなり突拍子もない話だ。

 並行世界を破壊する事の出来る力など、そうホイホイ存在するものではないだろう。

 エレクライトだって世界を破壊する力があるわけではなく、色々な要因があって結果的に世界が滅んだ、という経緯があるのだ。

 ところが話を聞く限り、『ディケイド』は単独でそれが可能だという。

 

 ただ、士の真剣な雰囲気がそれが嘘ではない事を物語っていた。

 響の真剣な話を聞いた上で、くだらない冗談を飛ばしているようには見えなかった。

 

 

「じゃあ、貴方も償いのために?」

 

「どうだかな。あまり考えた事は無い。

 そもそも俺が旅を始めたのは自分の居場所を見つける為だった」

 

「居場所を……?」

 

「ああ。当時の俺は記憶喪失で、何も覚えちゃいなかった。

 それで色んな世界を巡ったが……世界の破壊者を好き好んで受け入れる世界が、あると思うか?」

 

(……この人も、ひとりぼっちだったんだ)

 

 

 断片的な話ではあるが、響も士がどういう人間なのかを段々と理解し始めた。

 いや、理解し始めるというよりも、自分とよく似た経歴と思いを持っているのだと。

 

 かつて一番辛かった時期に、小日向未来という陽だまりすらおらず、

 まるで『世界から嫌われている』かのような孤独を味わった響。

 

 記憶喪失で自分が何者かさえも分からず、さらに世界からも『世界の破壊者』と罵られ、

 まるで『世界から嫌われている』かのような孤独を味わった士。

 

 だからこそ、共感という意味での理解をいち早く示せた。

 

 

「結局、見つかったの? 貴方の世界……陽だまりは」

 

「……一応、な」

 

 

 士の脳裏に浮かぶのは、1人の女性の姿だった。

 ただの居候先の娘。ただの旅のツレ。ただそれだけだったと思っていた。

 だけど、ある世界で彼女に言われた言葉がとても印象に残っている。

 

 

 ────『私も、待ってる事にしたんです。士君が帰ってくるのを』

 

 ────『何処の世界に行っても、士君が帰ってくるのは此処ですもんね』

 

 ────『だから……おかえりなさい』

 

 

 彼女のいる場所が、そして仲間がいる場所が、自分の帰る場所であり、居場所。

 いつからか心の何処かで士はそう思うようになっていた。

 奇しくも『陽だまり』を連想させる、『光』の名を持つ、彼女の事を。

 

 

「……いるんだ、大切な人」

 

「別に、大切とかそういうんじゃない」

 

「顔に出てた。ちょっと笑ってたよ、今」

 

「黙れ、初対面にずけずけと……」

 

「いいじゃない。折角並行世界で会った、似た者同士なんだし」

 

「……ったく、変に押しが強いのはあっちのお前に少し似てるな」

 

「似たのかもね」

 

「あの馬鹿の余計な部分で影響を受けるな」

 

 

 クスクスと笑う響はココアを飲み干して、近くのゴミ箱に空き缶を捨てた。

 続いて士も不機嫌そうにコーヒーを飲み干し、同じくゴミ箱へ空き缶を放る。

 ゴミを捨てた2人は正面から向き直った。

 一瞬の沈黙。元々口数が多い2人ではないからだろうか。

 

 最初に口を開いたのは士だった。

 

 

「俺は次の世界に行く」

 

 

 簡素な言葉。別れの言葉だった。

 お互いに並行世界を旅する身、今いる世界は永住する世界なわけでもない。

 目的が終われば去るのが常。

 そして、先程の敵の殲滅を持って、2人ともこの世界での役割は終わっている。

 なればこそ、次の世界に踏み出すのは当たり前だった。

 

 くるりと後ろを向き、背中を向けて響の元を去ろうとする士は、「じゃあな」とひらひらを右手を振った。

 

 

「……ねぇ!」

 

 

 しかし此処で響が士を呼び止める。

 急な呼びかけにぴたりと止まった士は顔だけを後ろに向けて響を見やった。

 

 

「何だ」

 

「私は、色んな世界で人助けをしたい。でも、どの世界に行くとかは決まってないんだ」

 

「……だから何だ?」

 

「貴方は、行く当てがある?」

 

「別に。とりあえず右いくか、とりあえず左いくか……まあ、その時々だ」

 

 

 士の、ディケイドの『使命』は既に果たされている。

 今の士の旅は義務感とかそういうものとは無縁で、風の向くまま気の向くままだ。

 響の旅は贖罪の旅だ。

 だが、無限にも近い並行世界の中での人助けは、どの世界をどうやって回ると当たりを付けているわけではない。

 言ってしまえば、『旅の目的』に違いはあるが、『旅の目的地』ははっきりとしない事は違わない2人だった。

 

 

「だったらさ、次の世界まで一緒に行かない?」

 

「はァ?」

 

「貴方の話、興味ある。ディケイドの話も、もう1人の私との話とかも。

 ……迷惑は、できるだけかけない」

 

「その時点で迷惑なんだがな……」

 

 

 はぁ、と頭を掻く士。

 ふと、かつての旅仲間達の顔が浮かんだ。

 彼等との旅は、戦いの旅であり、ディケイドとしての使命の旅であり、自らの居場所を探す旅だった。

 だけど、そこで出会った仲間は、共に旅を共有した記憶は、どれもかけがえのないものだ。

 だからこそ、『共に旅する時間』がどういうものなのかを、士は知っている。

 

 士は再び顔を正面に戻し、響に背を向けた。

 そして、一言。

 

 

「好きにしろ」

 

「……! どーも」

 

 

 そうして歩き出した士は、目の前に灰色のオーロラ──彼が並行世界を巡る時の力を出現させて、その中に消えていく。

 エレクライトの並行世界を渡るシステムとは随分違う様相に一瞬戸惑う響だが、士に倣って彼女もオーロラに飛び込んだ。

 

 

 それから次の世界を巡った2人はその世界で人助けを──士は半ば響の行動に強制される形で──行った後、なんやかんやと次の世界、また次の世界と行動を共にした。

 そしてしばらくの間、様々な並行世界で『黒装束の少女と桃色の鎧を着た戦士』の存在がまことしやかに噂されたらしい。

 

 

 

 後に、結局ある世界で別々の道に進んだ2人だが、それは決して後味の悪い別れではなかったという。

 

 

「またな」

 

「またね」

 

 

 2人の旅は続いていく──────




『かつて存在を否定された経験/帰る場所』
という門矢士との共通点を持つ立花響。

そこに加えて、
『世界を破壊した経験から来る罪悪感/旅人』
という共通点まで加わるIF響(グレ響)

そんな共通点を持つ2人の話でした。

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