転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「エリス。これからみんなを集めて、ちょっとしたゲームをやらないか?」
町中にて、朝から二人並んで散歩を楽しんでいた最中、唐突にそんな提案を持ちかけてくるリムル。彼がこうやっていきなり僕に提案して来ることはよくある事だから、そこまで驚く様なことも無いけど・・・・・・今日はどんな事を思い付いたのかな?
「ゲーム?・・・・・・それって、どんなの?」
「よくぞ聞いてくれた!そのゲームは・・・・・・名付けて『絶対に笑ってはいけない
「・・・・・・」
リムルの口から出たそのゲームの名称に、僕は前世でも大人気だった某”大晦日特番番組”のことが頭をよぎった。
「内容はお前も知ってるだろうが、”笑ったらケツをしばかれる”っていうシンプルな遊びだ。時間は夕暮れまでで、人を笑わす手段は問わない。最も笑わなかった奴には豪華景品を、最も笑った奴は罰ゲームだ」
「え?そのゲーム自体が罰ゲームなのに、それにプラスして更に罰ゲームをさせる訳?・・・・・・それは流石に・・・・・・」
「良いだろ?それの方がみんな真剣になるだろうし、場の盛り上がりだって上がるはずだ。大丈夫だって。罰ゲームって言ったって、軽いもんだからさ?・・・・・・と言うわけで、早速みんなを集めるぞ!」
「う、うん。分かった」
と言うわけで、リムルの提案でそのゲームをやる事になったので、僕とリムルは手分けをして目星をつけた参加者のみんなを広場へと集合させることとなるのだった。
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「これより!第一回『絶対に笑ってはいけない
広場に、今回のゲームの実況に抜擢されたソーカの声が響き渡った。ソーカは開催の宣言をすると共に、今回のこの『絶対に笑ってはいけない
「今回、笑ってしまった場合の罰は・・・・・・こちらっ!!」
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・えっ?」」」」」」」」
ソーカが示した方へ一斉に視線を向けた僕達は、そこで見た光景に”背筋が凍る様な感覚”に陥った・・・・・・。・・・・・・それは何故か?何故なら・・・・・・。
「ふんっ!はぁっ!せいっ!・・・・・・なるほど、少し大きいですが、かなり振りやすくて軽いですね!この
そこでは、シオンがどこから用意してきたのか分からない、”巨大な棍棒”を軽々しく振り回していたからだ・・・・・・。うん、ちょっと待って?
「そ、ソーカ?もしかしてだけど、まさかあの棍棒で・・・・・・?」
「その通りです!もし笑ってしまった場合、こちらのクロベエさん特製の超特大棍棒にて、お尻をしばかれます!ですので、皆さんはこちらの棍棒の餌食にならないよう、頑張ってください!」
テンションが上がってきたソーカは、太陽の様な笑顔を浮かべながらそう叫ぶが、僕達の表情は曇るばかりだった。別にこのゲームに対してでは無い。このゲームに関しては、僕も含めた全員が面白そうと言う気持ちを持って臨んでいるのもあり、むしろさっきまでは全員の表情は晴れやかだった。
・・・・・・だが、問題なのは笑った時の罰だ。
「リムル・・・・・・。いくら何でも、笑った時の罰が
「同感だ・・・・・・。・・・・・・ったく、やっぱ罰の内容をシュナ達に一任させたのはマズったかな・・・・・・。いや、だがそれにしたってあの馬鹿でかい棍棒はやり過ぎな気もするが・・・・・・」
高身長であるシオンよりも更に大きいその棍棒。それはまさに、鬼が持つあの”大きな黒い棍棒”を彷彿とさせた。そんな物でお尻をしばかれたらたまった物ではない。・・・・・・ん?でも待てよ?
「(僕は精神生命体の魔物な訳だし、『痛覚無効』もあるし、物理攻撃の痛みはない筈だよね?だったら問題なんて無い・・・・・・)」
《告。かの棍棒には微力ですが、
うん・・・・・・なんて物を作ってるのかなクロベエは?いや、ゲームを平等にするための配慮だとは思ってるんだけど、そこまで徹底しなくても良いのに・・・・・・。それに、当然と言えば当然だけど、痛みを軽減させるための防具等の着用も禁じられているから、もはやあの棍棒の痛みから逃れる道は”笑わない事”以外無いと見て良かった。
リムルもどうやらあの棍棒のその脅威さに気が付いたようで、薄く苦笑いを浮かべていた。
・・・・・・このゲームに参加したの・・・・・・間違った気がするな・・・・・・。
「さて!ではそろそろ始めましょう!第一回『絶対に笑ってはいけない
僕がこのゲームに参加した事を半ば後悔しているのを尻目に、ソーカがこのゲームの開始を宣言してしまう。もうこれで、このゲームの参加が確定してしまった事もあり、僕は内心で特大のため息を吐きつつ、ゲームへと乗り出す事に決めるのだった。
このゲームでなるべく勝ちに近づく、もしくはダメージを可能な限り少なくするには当たり前のことだが、笑うのを凌ぐほかない。それは、僕だけでなくここにいる参加者全員が考えていることだろう。だが、ソーカを含めた仕掛人側としては、それも見越して戦略を練って来るだろうからそれを行うのは至難の業なのかもしれない。というか、それ以前に笑いを堪えると言う時点でかなりハードだ。今回は、微笑んだり、くすり笑いでも笑いにカウントされてしまう為、常に顔の表情が緩まないように気を引き締めてないと行けないから、かなり神経を使う。
「始まりましたが、笑いを堪えると言うのは、かなりキツそうですね・・・・・・」
「常に、注意してないと行けないからね・・・・・・。ちょっとでも笑えば、あの棍棒の餌食なわけだし・・・・・・」
苦笑いを浮かべつつそう呟くベニマルに対して、後ろに控えてるシオンを誇示しつつ、そう伝える僕。・・・・・・と、その時だった。
「では!開催を祝いまして!私が一曲この場で歌いたいと思います!!行きます!ハァ〜〜・・・・・・フゥ〜〜・・・・・・・・・・・・虚に灯る火が問いかける・・・・・・」
「「ぶふぉっ!」」
「ぷっ・・・・・・ぷはははっ!!」
ソーカのいきなりの攻撃に耐えられなくなった三人は、揃って吹き出してしまう。・・・・・・なるほど、歌うのは建前で、歌う際に”マイクが入ってない事”を逆手に取って笑いを取る作戦ってわけか・・・・・・。僕も一瞬吹き出しそうになったな・・・・・・。
「ぷっ・・・・・・OUTっていうか・・・・・・あれってもうミスじゃないっすか・・・・・・」
「ソーカ・・・・・・。我が妹でありながら、なんて姑息な手を・・・・・・」
「ほとんど歌詞が入ってこなかった・・・・・・ぷくく・・・・・・」
「なんであれ、あなた方が笑った事には変わりありませんよ?では、シオン?」
シュナがシオンを前に出すと、三人は揃ってお尻を彼女の前へと差し出した。・・・・・・そして。
「行きますっ!はぁっ!!」
「「「痛ぁぁぁぁぁあああっっ!!!!!」」」
シオンの振りかぶった巨大棍棒が、三人のお尻を盛大にしばいた。それと同時に響くは三人の叫声。シオンも多少は手加減はしてくれてるとは思うが、それでもこれだけの声を出しながら痛がると言うことは相当な威力だったと言う事を物語っている証拠だ。だが、呑気にそれを静観している余裕は僕たちには無かった。だって、三人が痛がっていると言うことは、その”痛がっている様”を僕達はしばらくの間見物をしなくては行けないことを意味しているからだ。
ちなみに、ゴブタは自分のお尻を押さえつつ、ぴょんぴょん飛び跳ねながら痛みに絶叫している。ガビルとセキガはあまりの痛さに立つことが出来ずに、まるで魚のように体をピクピクさせながら悶絶していた。
「「「ぶふっ!」」」
その三人の痛がる様に、耐え切ることが出来ずに吹き出してしまったのは僕とリムル、ベニマルの三人だ。人の痛がっている様を見るほどに面白いものは無い・・・・・・とは、何処ぞの大物芸人から出た名言だが、それには納得する他ないほどに、三人が痛がっている様は面白かった。
「OUTですね。では、罰の執行です!」
「エリス様やリムル様に危害を加えるのは気が引けるのですが・・・・・・」
「気にすんな。これはゲームだからな。思いっきりやってくれ!」
流石に、主君であるリムルや僕のお尻をしばく事には抵抗がある様子のシオンだったが、リムルのその”余計な一言”によって、罰の執行を決意したそうだ。スキルも無しに・・・・・・シオンに本気でしばかれたら気絶するよ?多分・・・・・・。
「行きますっ!てやぁぁぁ〜〜っ!!!」
「「「ぐわぁぁぁぁぁあああっっ!!!!!」」」
シオンの振りかぶった棍棒が、僕達のお尻に炸裂する。ベニマルはもちろんだが、僕達もそのあまりの威力と痛さに絶叫する。その痛さゆえに、一瞬意識が飛びそうになるが、何とか踏みとどまれた僕は、痛みを堪えつつお尻をさすっていた。
「ぐっ・・・・・・くっ・・・・・・た、立ち上が・・・・・・れん・・・・・・」
「だ、大賢者の奴・・・・・・何が『
ベニマルもリムルも、何とか意識を保つことはできていた様だけど、やはりというかわかっていたことだが、一撃でノックアウトされてしまっていた。勿論僕もそうであり、今は痛みに耐えるので精一杯で、しばらく動くことはできそうに無かった。
「シュナ?シオン?・・・・・・すまないけど、このゲームの続きは明日って事にしない?・・・・・・ほら、さっきの三人が”ああ”なってる以上、続けるのは無理だからさ?」
僕は、痛みで顔を歪ませつつ、先ほどの強烈な一撃のせいで”意識が飛んでしまった”様子の三人を指差した。
「・・・・・・へ?・・・・・・あぁ、そうですね。流石にこんな状態で続けるのは可哀想ですし・・・・・・分かりました」
「ソーカにはこちらから伝えておきますので、皆さんはもう帰って休んでもらって結構です。・・・・・・正直言うと、もうちょっとこの棍棒で遊びたかったですけど・・・・・・」
「その武器は没収だ!危険すぎるっ!明日からは違う罰に変更させてもらうからな!?」
すでに離脱者が出てしまってる以上、続けるのは困難と判断した僕とリムルは、このゲームの続きは後日にすると決め、罰の内容も変更する事も勿論決めた後、気絶した三人を手分けして運びつつ、自分の家へと帰っていった。帰ると同時に『治癒』を発動させ、傷を癒した事で痛みから解き放たれた僕は良かったものの、他のみんなはしばらくの間、そのお尻の痛みに悶絶する羽目となるのだった・・・・・・(この後、各自の家へと行き、同じく『治癒』にて痛みを中和した)。
「俺たちは・・・・・・何もしてないが、あの棍棒の威力は相当なもの。笑わなくて良かったと思えるな・・・・・・」
「・・・・・・シオンの怪力は恐ろしいものだからな。そんな奴が振り回す棍棒をまともに食らって意識を保てたリムル様やエリス様には感服する他ない・・・・・・」
参加者の中で、罰を免れたゲルドとソウエイは、互いに目配せをしつつ・・・・・・心底自分が笑わなくて良かったと、ホッと胸を撫で下ろすのだった・・・・・・。
いくら微力とは言え、怪力を誇るシオンが振れば痛みが絶大になるのも納得です。罰ゲームの執行人をシオンに任せる事自体が間違いの気もしますが、それを本人たちがわかっているのか疑問なところです。
というか、どうやったら
次回から、本編に戻りますが、所々でこちらも投稿していきますので、こちらも是非楽しみに待っていてください!
ちなみに、次の『エリスの日常日記』は、今回の続きになります。