新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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供養?のために少しだけ(*'▽')


新しい世界

顔の右半分を鉄の仮面で覆った男は立ち上がった。

 

長髪をなびかせ、逆三角形の肉体に緑色の軍服と軍帽を身に纏う男は睨みつけるように円錐型のバックパックを付けた緑の光の粒子を放つ機体を見つめている。

 

男の名はーーウルベ・イシカワ。

 

その隣には緑がかった長髪に赤い丸眼鏡をした男ーーウォン・ユンファが居た。

 

「さてーーどうしますか?」

 

「そうだな。取り敢えずーーあのガンダムの性能を見てやろうか」

 

ウォンの言葉にニヤリと笑みを返しながらウルベは懐から藍色に「虚」と書かれた球を右手で掴んで取り出す。

 

何らかの式典が行われている会場で、スカイブルーの機体が完膚なきまでにガンダムに倒されるのを見てウルベは嗤った。

 

「フンーー。さあ、立て! 我が手足、ヴァニシングガンダムよ!!」

 

そうして球を掲げようとしてーー。

 

「ウルベ、いきなり切り札のヴァニシングガンダムを使うのは待ってください」

 

ウォンは、そう言いながらウルベに向かって透明な拳大の球を投げた。

 

左手で掴み止めたウルベは球を見つめて目を細める。

 

「ーーこれは」

 

自分が持っているガン玉と同じものだ。

 

だが、色が無い。

 

刻まれた機体を現す文字もない。

 

代わりに白いポーンの駒が入っている。

 

「どうやらコズミック・イラでの戦闘も無駄ではなかったようです。感じますか? 我々の、DG細胞の拠点が……」

 

空を指差すウォンにウルベも空を見上げる。

 

青空の遥か彼方にある闇夜の世界。

 

そこに息吹く確かな存在ーー巨大なDG細胞の塊を感じる。

 

「ほう? デュランダルは、あの世界のコロニーをデビルガンダムコロニーに変えていたのか」

 

「デスアーミー達を新しく造り替えていたようですね。しかも、Dと全く同じDG細胞のスペアボディを作り上げている」

 

「……無数のドモン・カッシュと同じ顔をした存在がゾンビ兵の代わりーーか。虫唾が走る」

 

「構わないではありませんか。むしろ、あのドモンやDを手駒にしたと考えましょう。鍛えればマーキロット達より余程良い仕事をしてくれそうですしね」

 

「ソレは君に任せるよ。私のコピーやマーキロット達を復活させて鍛え上げてくれ」

 

「分かっています。さあ、ウルベ。そのためにもデスガンダム・ポーンを使って一気に蹴散らしてください」

 

機体の戦闘データさえあれば、一気に戦力は整う。

 

そう語るウォンにウルベは冷酷に笑みを浮かべた。

 

「良いだろう。新しいデスアーミー、いやデスガンダムの力を見せてもらうとしようか。さあ、死の兵士よ。我が手足となって戦え! ガンダム!!」

 

右手の藍色のガン玉を懐にしまい、左手の透明な球を天に掲げる。

 

すると球の中に入ったポーンの駒が銀色の光を放ち、一瞬で17メートル前後の白を基調としたトリコロールカラーの機体が現れる。

 

丸みを帯びたゴッドガンダムの顔、エネルギーマルチプライヤーカバーの胴体に、ゲイツの肩から腕、腰から下、バックパックを持つ機体。

 

ウルベは静かに簡易式モビルトレースシステムが組まれた座席に座る。

 

「ふん、初めはMSとして闘ってやろう」

 

「油断せぬように、ウルベ」

 

「分かっているさ、ウォン」

 

既に、この世界のガンダムはMSをスクラップにしてから会場を後にして空へと去っていた。

 

背部のウイングバインダーを広げて一気に飛び立つ。

 

凄まじい衝撃をコクピットに受けてウルベは笑った。

 

「思い出すよ。かつてデビルガンダムをMSで追いかけたことをなぁ!!」

 

戦闘をする気満々のウルベを見送り、ウォンは静かに式典会場に向けて歩いていく…。

 

銀色の小さなビー玉サイズのものが宙に浮かび、会場の壁に向かって弾丸のようにぶつかると、球は式典会場と一体化するように壁に飲み込まれた。

 

そのまま会場内に設置されているコンピューター端末からこの世界のデータを抜き出していく…。

 

「ふむ。今、倒された機体はAEUイナクト。太陽光エネルギーを主軸に作られた機体。宇宙にまで上るあの巨大な建造物は軌道エレベーター。なるほど、中々の技術体系だ。コズミック・イラと良い勝負です」

 

どの組織に入るのが適切か、ゆっくりとウォンは力を示すタイミングを考えながら宇宙にあるデビルガンダムコロニーを地球圏へ移動するようDG細胞に指示していた。

 

ーーーー

 

ガンダムを追いかけ空を飛行するデスポーン。

 

ウルベは巨大な建造物の周りで複数のイナクトという機体がガンダムを囲むのを見ていた。

 

ウォンから送られてくる情報データはDG細胞を介してデスポーンのコクピットモニターとウルベの脳内に同時に浮かぶ。

 

5機のイナクトに実弾兵器や実体剣で斬りつけられ、ガンダムは苦戦していた。

 

ウルベは、それを期待外れだとばかりに冷酷に見据える。

 

「フン、コズミック・イラと比べるまでもない。あの程度の雑兵に、あの小僧達が手こずる訳がない。拍子抜けだな」

 

下から雲を突き抜けてビームライフルが3機のイナクトを葬り去る。

 

味方からの援護を受けて残り2機のイナクトもガンダムが切り捨てた。

 

ゆっくりと速度を落とし、右手に持つビームライフルを向けながらウルベはガンダムを見据える。

 

「…ガンダム? だが、太陽炉がない。お前の機体もガンダムなのか?」

 

青を基調にした細身のガンダムーーそのパイロットから通信が入る。

 

しかしウルベは地面に身を隠している狙撃兵の方に意識を向けていた。

 

「機体のバックパックに付いている円錐形のバーニア。何か特別な力を感じる…。面白い」

 

そして向き合うガンダムから感じる力を…。

 

「この機体は私のガンダムではないが、コレのテストに付き合って貰おうか。異世界のガンダムよ」

 

「ソレスタルビーイングではない、のか。敵ならば、倒すだけだ!!」

 

同時に右手の武器を構える。

 

ウルベはビームライフル。

 

ガンダムは折りたたみ式の実体剣だが、折り畳んだ剣の柄の部分から短い砲身が見えた…。

 

(剣とライフルの複合武器、か)

 

同時に引き金を引く。

 

緑のビームライフルと桃色のビーム弾がぶつかり、相殺する。

 

戦闘開始の合図だった。

 

「ガンダムエクシアーー。目標を駆逐する!!」

 

「身の程を知らない子どもが、あまり調子に乗ってはいけないな…」

 

高機動でバーニアをふかしながら接近戦を挑んでくるエクシアと名乗るガンダムに、優るとも劣らない速度で空に軌道を描きアクロバットに移動しながらビームライフルを放つウルベ。

 

だが、その表情は余裕に満ちていた。

 

コズミック・イラでのキラやアスランとの死闘が、ウルベを更に高みへと上げていたのだ。

 

MSでもMFでも、ウルベは超一流の域に達していた…。

 

やがてエクシアがビームを躱しきれずに右腕の折り畳んだ剣に当たり、後方に下がる。

 

一瞬の睨み合い、その間隙を縫って真下からのビームライフルがウルベに狭った。

 

軽く目を見開いて後方に下がり避けるが、デスポーンが右手に持っていたビームライフルの銃身が撃ち抜かれて爆発した。

 

「器用なことだ」

 

「刹那、迂闊に挑むな。セカンドフェイズは終了だ、引き上げるぞ!!」

 

叫ぶ第三者の声にウルベがニヤリとした。

 

左手に持つ盾の先からビームサーベルの刀身を発生させて急降下しながら肩のマシンキャノンを放っていく。

 

「狙撃の腕もチャップマン程ではない! まして居場所がバレるような狙撃兵など愚の骨頂!!」

 

音速を越えるスピードで一気に岩山の地帯へと移動する。

 

「な?! 今ので俺の位置を割り出した??」

 

急降下しながら迫りくるウルベに地面に仰向けに寝るような姿勢で居たガンダムが立ち上がる。

 

が、目の前に既にウルベは迫り左手の盾から伸びたビームサーベルを薙ぎ払った。

 

間一髪でロングライフルの銃身を斬られながらも下がる緑色の狙撃ガンダム。

 

「ロックオン!!」

 

横から刹那と呼ばれたパイロットのガンダムエクシアが剣でウルベのデスポーンに斬りつけた。

 

盾で受けると盾はバターのように斬り裂かれる。

 

ウルベは咄嗟に斬り裂かれた盾から手を離し、斬撃を避けていた。

 

「フン、ザフトのMS盾を苦も無く斬り裂いた、か。中々の斬れ味だな」

 

素手になったウルベに構えるエクシアと狙撃ガンダム。

 

「投降しろ。お前には、聞きたいことがある」

 

「まず、そのガンダムが何なのか。どうして俺達を襲ったのか? 目的は何なのか、全て応えてもらうぜ。ガンダムマイスターとして、テメエは見逃せねぇ」

 

ウルベは、これにニヤリと笑うとモビルトレースシステムを起動した。

 

「勘違いをした愚か者どもが」

 

座席と操作パネルは床と壁に引っ込み、ウルベは立ち上がって拳を握る。

 

すると自然な動きでデスポーンも右の拳を握る。

 

そのあまりにも人間めいた動きに刹那とロックオンの目が見開かれた。

 

「違う。なんだ、このガンダムは? 明らかにソレスタルビーイングのものとは違う」

 

「おまけに、どの組織にも開発出来てなさそうな動きだ。人間の動きをトレースしてMSに反映させてるのか?」

 

ウルベの目が真紅に輝いた。

 

「さて、少しだけ遊んであげよう。今度はガンダムファイターとしてね!!」

 

その場からバーニアも吹かずに消えたと思わされるスピードで懐に踏み込むと瞬く間に打撃音が響き渡り、エクシアと狙撃ガンダムが地面に倒れ伏した。

 

「なんだ? 何をされたんだ?」

 

「動け、動いてくれ! デュナメス!!」

 

2体のガンダムを見下ろし、ウルベはつまらなさそうに横に首を振る。

 

「やはり、この程度かね? モビルファイターになるまでもなかったな」

 

言いながらウルベは胸部カバーを展開させてエネルギーマルチプライヤーを露にすると藍色の光球を生み出して両手で挟み込むように掴むと、そのまま前方に両手を突き出して青黒い光線を放った。

 

「消えろ、ガンダム!!」

 

強烈な光が晴れて世界が元の色を戻したころ、岩山は平らな荒野に様変わりしていた。

 

「何?」

 

「次元覇王流、聖拳突きぃいい!!」

 

レーダーに警告音が流れると同時に強烈な緑がかった光を纏う右ストレートがウルベに迫る。

 

咄嗟に、右腕で防ぎながらも後方に吹き飛ぶウルベの前には赤い炎を全身から放つゴッドガンダムが居た。

 

いや、ガンダム開発部に居たウルベにはソレがゴッドガンダムの後継機であることは一目瞭然だった。

 

「……ありがとう、ディナイアル。コイツを俺の前に引き摺り出してくれて」

 

ポツリと呟くような声がゴッドガンダムとよく似た機体から聞こえた。

 

ドモンよりも更に深い赤い炎。

 

先ほど倒した2体のガンダムは、それぞれ違う細工が施された2体のゴッドガンダムの後継機に支えられている。

 

「ジュンヤ、無茶すんな!! ソイツはデビルガンダム事変の張本人だ!!」

 

「俺たち3人なら勝てる!! ジュン兄!!」

 

そんな二機のゴッドガンダムのファイターに向けてジュンヤと呼ばれたファイターは、ゆっくりウルベに拳を握る。

 

「…悪りぃ、譲ってくれ。コイツは、コイツだけは。俺がブン殴らなきゃいけないんだ。母さんのために。俺のために!!」

 

歩んでくる新型ゴッドガンダムを睨みつけてウルベは言った。

 

「…媚びへつらうだけだった子どもが。今更、私を止められるのか? 息子よ」

 

「…言うな!! 母さんを見捨てた貴様だけは、俺が倒す!!」

 

ハイパーモードが発動し、ジュンヤの気が一気に爆発した。

 

 




以上、供養でした(*^^*)
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