新たに観測された特異点へとレイシフトした人類最後のマスター・藤丸立香と、そのサーヴァントであるマシュ・キリエライト。彼らはいつものように現地にて、特異点の調査を行った。
結果、判明したのは………………………
『撃墜王、ね』
およそ300年ほど前に起きた《廃棄戦争》という大戦を終結させた、《撃墜王》なる存在が現在もこの特異点を支配していること。
そして《撃墜王》の支配に抗う、レジスタンスがあること。
「先輩、どちらに接触するべきでしょうか?」
「そうだね………」
支配している側である《撃墜王》が、聖杯を所持している可能性は極めて高い。かといって安易に近づくのは危険があるし、しかしレジスタンスの所在など分かる筈もない。
『とりあえず、今日は休もうか。こっちでも話し合っておくから』
そうして彼らは、早めに確保していた霊脈の通る森の中で野営する。就寝しようと目を閉じた、その時だった。
彼らの耳元で鳴り響く、カルデアからの緊急警報。警報の内容は、藤丸立香たちの方向に進む一人と、その一人を追いかける団体の接近だった。
野営地を手早く取っ払い、森の茂みに隠れて様子を伺うことにした藤丸立香とマシュ・キリエライト。彼らが目撃したのは、この特異点の正規軍に追われる水色の髪をした少女の姿。
正規軍の素行の悪さもあって、少女を助けた藤丸立香たち。正規軍を無事に退けた後に、お互いに自己紹介をした。
「私は陽菜です。助けて頂いて、ありがとうございます」
「何故、軍から追われていたのか?」そう陽菜に尋ねると、彼女は「自分は元々軍に所属していた軍医であったが、軍から脱走した為に追われている」と答えた。
『うんうん、なるほど………ところで君が脱走した原因は、その鞄に入れてある物で間違いないかい?』
「!?」
ダ・ヴィンチちゃんからの問い掛けに血相を変えた陽菜を見て、どういうことかと声を上げる藤丸立香。
『彼女の所持物からね、聖杯の雫と類似した反応が観測されたんだ。恐らく複数集めることで、願望器と同じような効果が出るんだろう』
「………………………」
「………陽菜さん。俺たちはこの特異点にある筈の、聖杯を回収しに来たんです。貴女が知っていることを、教えて貰えませんか?」
「………分かりました。藤丸さん達が“カルデア”なら、協力して貰った方が良さそうですし」
そう言った彼女の口から語られたのは、300年前に起きた《廃棄戦争》の真実。聖杯とは異なる願望器ーーー《
「この世界はとっても素敵です。
これ以上なく平和であり、これ以上なく理想的な世界。だからこそ、彼女は“否”と叩きつけなければならない。
この世界は間違っている、と。リヒトー=バッハを愛する彼女だからこそ、そう言わなければならないのだ。
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「………陽菜が脱走した、ね」
黒衣の軍服に身を包んだ白髪で長身の青年は、太刀を片手に握ってそう呟く。
「報告によれば、謎の一行が逃亡を手助けした模様です。レジスタンスかどうかは、確認できておりません」
「そうか」
「如何なさいますか?
敬礼を保つ部下からの問いに、彼は静かに命じる。
「すぐに特務部隊から追手を出せ。指揮は《追撃》に任せるように」
「了解しました」
そう言って部下が姿を消してから、青年………リヒトーは窓から広がる世界を見下す。
「………誰が何と言おうと、例え他ならぬ君に否定されるとしても………僕はこの世界を守ってみせる」
自分に言い聞かせるように言葉を吐き、リヒトーは己の愛刀を鞘から引き抜く。
そこに刻まれた数は………………………
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《追撃の撃墜王》が率いる追手に捕まった藤丸立香たち。その戦力差に圧倒される彼らの前に現れたのは、《鉄の信念》を持つあの男。
「かつて何度も言った筈だ、園原」
「信念を持て、とな」