【FGO×結界】ゼロセイル酔いに効く薬ありません?By利守 作:駒由李
原作:Fate/
タグ:クロスオーバー クロスオーバー コラボ 二次創作 墨村利守 年齢操作 未来パラレル キャプテン(Fate)
▼「カルデア職員墨村利守(20代後半)と、新入り一ちゃん」(https://syosetu.org/novel/240055/)
「君ありて、」(https://syosetu.org/novel/251974/)
の続きみたいなものです。
▼朕と項羽様と空想樹撃破して2部4章入ったよ! 書文先生のときは泣くかと思ったよ! ヒィンこのお爺ちゃんっょんぃ ぐっちゃん先輩が項羽様倒したあとブチ切れてて「そう言われても向こうから立ち向かってきたんですが……」ってなったけど、終局特異点映画PVでマシュが吹っ飛ばされたのを見て「うちの子に何すんじゃ!!」ってブチ切れたのできっと同じような気持ちだなって
pixivより転載
最初のときは、さして気にならなかったのだ。それどころではないと思っていたのもあったかも知れない。
しかし、いよいよごまかしが利かなくなってきた。
『ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。シャドウ・ボーダー、間もなく実数境域へ入港します』
そのアナウンスを聞きながら、しっかりベルトを締める。気休めだ。こうでもしないとやっていられない。
『汎人類史残存数値:C 異聞深度:A 実数空間における
そろそろだ。無意識にベルトを握りしめる。
『虚数潜航、終了。これより実数空間へ浮上します』
ボーダーが揺れた。それはもう激しく。
『実数空間にアンカー固定。実数証明完了。シャドウ・ボーダーの存在確立。ゼロセイルによる帰港に成功しました』
ボーダーの運転席、窓の向こうが明るい。あの虚数空間の異様な色合いは消えていた。ホームズが立ち上がる。
「よし。無事に実数復帰できたようだ」
「フォウフォウ」
フォウは相変わらず元気そうだ。その中でマシュが立香の様子を窺っている。
「っ……相変わらずのひどい振動でした。ご無事ですか、マスター」
「今の浮上、北欧の時みたいだった……」
「…………ふうん。けっこう勘が良いんだね、立香。――ところで、そこで真っ青な顔をしてる君。大丈夫?」
最初キャプテンが誰のことを言っているかわからなくてボーッとしていたが、「トシモリとか言ったっけ」と言われてはじめて自分のことだと気付く。僕は無意識に口元に手を当てたまま「大丈夫じゃないです……」と小さく呟いた。ゴルドルフが歩み寄ってくる。
「まだ慣れないのかね、君は。そこのぬるま湯のベースから出てきたばかりの新参サーヴァントならともかく君は、と言うか我々は異聞帯に来るのも4回目だろう」
「無理なものは無理です……オェッ……」
「トシモリ吐くか? エチケット袋要るか?」
ムニエルがどこからか黒いビニル袋を持ってきてくれる。それを固辞しながらもなおもぐったりしていると、キャプテンが言う。
「……オキアミのように無力。もちろん、クジラの胃の中のオキアミの話。でも、どんな揺れだろうと、海の中なら僕にはそよ風と変わらない。僕はともかく船酔いに注意すべきなのは君たちだし、明らかにこの艦には快適性が足りてないけどそれを抜きにしても、君は違うんだね。体質?」
そう言われて、心当たりがあった。と言うかひとつしかない。自分がこの業界に飛び込むことになった原因のひとつ。
「前言ったかも知れないけど、僕、結界師の家系だから……」
「? ケッカイシ?」
「あーっと、空間支配系能力者の家系って言えば通じますかね」
『だから過敏に虚数と実数の齟齬を感じ取っちゃうみたいなんだよね~』
ダ・ヴィンチのアナウンスが入る。若干機械越しのその音が割れているため、それすら頭に響く。口の次は頭を抱えながらぼやく。
「結界師としてはミソッカスなのに、こういうところで体質が足を引っ張る……最悪ですよ……」
「――でも、それもやはり才能だよ」
「キャプテン?」
顔を上げると、表情に乏しいように思われたキャプテンが、少しだけ――そう、ほんの少しだけ微笑んでいた気がした。
「空間支配系能力は希少だからね。ましてや生き残った面子の中でその異能を持っているのは君ぐらいじゃないか? 今までも役に立たなかったわけじゃないだろう、その力は」
「まぁ……」
――思い出すのは、人理焼却のはじめ。カルデアが潰滅しかけたとき。
あのときは片端から走っていって結界を張りまくったっけ。
終局特異点。あのときも似たような感じだった。
「……ある意味便利ではありましたね」
「だろう」
「良かったか悪かったかと言われたら良かったとしか言いようがないというか……」
「あとは次からは薬を開発してもらうしかないね」
『ゼロセイル酔いの薬なんて作れるかな~~!』
そう言ってキャプテンはそっぽを向いた。それを見ながら、ひょっとして慰めてくれたのかな? ――と思った。「繰り返すようだけど快適性が足りてない。具体的には、もう少しシートにクッションを入れたい」と言い出してダ・ヴィンチと揉めだしたキャプテンの小さな背中を見つめた。そのときには酔いはすっかり良くなっていた。
End.